M&A事例17選!日本国内、海外、国際間の成功と失敗、買収背景まで紹介!

M&A事例

アメリカのシリコンバレーにおいて、IPOを目指すのではなく、M&Aによるイグジットを目指した起業が主流になってきています。

また、日本においてもベンチャー企業の台頭や中小企業の後継者問題などから、以前よりもM&Aが盛んに行われるようになりました。

そこで、今回は過去にどのようなM&Aの事例があったのかを紹介していき、なぜそのようなM&Aが行われたのかについての簡単な説明も踏まえて解説していきます。

M&Aとは

M&A事例

まず記事に入る前に、M&Aについて簡単に説明しておきます。

M&A(Mergers & Acquisitions)とは、複数の企業がお互いの目標のために協力することをいいます。

M&Aで事業売却や買収を行うことで、新規事業への参入をスムーズに行える、買収する会社の経営資源を活用し事業拡大できるといったメリットがあります。

詳しくは下記の記事にて解説しているので参考にしてください。

M&Aとは?その目的や手法、メリット・デメリットをわかりやすく解説

では、なぜM&Aが改めて注目されるようになったのでしょうか?

主流になったスモールビジネスのM&A

近年、中小企業におけるM&Aが増加傾向にあります。日本国内におけるM&A事例の約70%が中小企業を対象としたものになっています。

中小企業がM&Aを行う要因に、「後継者問題」と「事業の将来に対する不安」があげられます。創業して40~50年ほどの企業の多くが後継者問題を抱えており、それらを解決するための方法として中小企業のM&Aが増加する形になっています。

では、なぜM&Aが諸問題の解決手法として選ばれるのでしょうか?

中小企業が後継者問題を解決する方法として、

  • 親族や社員への事業継承
  • IPO
  • 清算をして倒産させる
  • M&A

の4つがあげられます。しかし、現実的には親族や社員への事業譲渡は限られた企業しか行えませんし、IPOにいたっては達成できる可能性が限りなく低いです。

残るのは下記の2つですが、倒産させるとなった場合、業務提携先の社会的経済的損失を作りかねないですし、従業員にとっては雇用がなくなるため、あまり好ましくない選択肢です。そのため消去法的にM&Aが手段として残るという形になります。

スモールM&Aで売りやすい案件や注意点については、以下の記事を参考にしてください。

スモールM&Aとは?案件の探し方や売りやすい物件、個人売買の注意点を解説

ベンチャー企業のイグジットとして

M&Aは、中小企業のみならずベンチャー企業でも行われています。多くのベンチャー企業は、IPOを目指して事業を行っていきます。

しかし、IPOをできるのは、本当に限られた企業しか行えません。そのため、ベンチャー企業のイグジットとして、IPOよりもM&Aの方が現実的になります。

加えて、M&Aを行うことにより、大企業からの金銭や経営に関する事業支援、従業員の雇用に対する安心を生み出すことが可能となります。

以上のようなことから、主に中小企業とベンチャー企業が積極的にM&Aを行うようになったため、近年M&Aが流行として見られるようになりました。

イグジット(エグジット)とは?意味や戦略、IPOとM&Aの違いを解説

個人から企業へのM&A

ここからは、様々なM&Aの事例を紹介していこうと思います。

まずはじめに、個人が行なっていた事業が、企業にM&Aされた事例を紹介します。

ジラフ|「質問箱-Peing-」

ジラフ→「質問箱-Peing-」

(出典:THE BRIDGE)

日本人の個人開発者によって作られた匿名質問サービス「質問箱-Peing-」。登録が簡単にでき、SNSによるシェア機能が充実したシンプルな構造からリリース後即大人気となり、リリース初月にアクセス数が2億を記録しました。一方、アクセス数の増加に伴いサーバーの負荷が膨大になり、個人が運用するには限界に近い状態でした。

そのことから、サービスをジラフへ譲渡しました。リリースから譲渡までわずか1ヶ月というスピーディーなM&Aでした。

毎日新聞|「俳句てふてふ」

毎日新聞→「俳句てふてふ」

(出典:PRTIMES)

株式会社polipoliの伊藤和真氏が学生時代に個人で開発した俳句アプリの「俳句てふてふ」が、毎日新聞に対して事業譲渡された事例です。広く認知度はあったものの、開発者側のリソースに制限があったため、俳句コンテンツに精通した毎日新聞が、運営の安定化などを加味してM&Aを提案してきたという形になります。

国内のM&A

上記でも述べたように、国内のM&Aは近年活発になってきています。その中には大企業やベンチャー企業がからんだものも多数実施されています。ここからは、直近で話題になった国内企業同士のM&Aについて解説していきます。

メルカリ|ザワット

メルカリ→ザワット

(出典:スマオク)

フリマサイトでお馴染みのメルカリが、ブランド品特化フリマアプリ「スマオク」を運営するザワットを2017年2月に買収しました。

中古ブランド品に特化したオークションアプリとして展開されたスマオクですが、今ではブランド品に限らず様々なものを取り扱っています。

両者がCtoCビジネスのノウハウを共有し、より事業を展開することが目的であるとメルカリ側が発言されています。

スタートトゥデイ|VASILY

スタートトゥデイ→VASILY

(出典:スタートトゥデイ)

ZOZOTOWNなどの事業を展開するスタートトゥデイが、コーディネートアプリ「IQON」を運営するVASILYを完全子会社化した事例です。

両者は、共にファッション系のECサイトで、互いの経営状態を把握することにより今後の事業展開についてを考察するのが目的のM&Aだったのではと言われています。

Yahoo!|dely

Yahoo!→dely

(出典:dely)

レシピ動画サービスの「kurishiru」を提供するdelyを、Yahoo!が株式を買収し連結子会社化した、M&Aの事例です。Yahoo!との提携をとることで、既存ユーザーとは異なる層の獲得や、検索機能を用いた新規事業への展望が見込まれています。

DMM.com|バンク

DMM.com→バンク

(出典:TechCrunch)

アイテムの写真を撮っただけで買取を行うサービスである「CASH」を運営する「BANK」を、創業から約8ヶ月でDMM.comが買収しました。

CASHは、リリースから間も無く注目され、サービス開始からわずか16時間で休止に追い込まれるほど話題になりました。

DMM.comが買収した理由として、プロダクトや市場の将来性のみならず、事業者やチームに対して価値を見出したことを述べています。

海外の例

アメリカのシリコンバレーでは、IPOではなくM&Aをイグジットに設定した起業が日本よりもさらに盛んに行われています。そのため日本よりもM&Aが一般的に考えられていると言ってもいいでしょう。ここからは、主にアメリカなど、日本以外の国での国内企業同士のM&Aについて紹介していきます。

DELL|EMC

DELL→EMC

(出典:DELL EMC)

アメリカのパソコンメーカー「DELL」が、ハードディスクなどのストレージ機器を開発している企業のEMCを、2015年に買収しました。これを受けて、DELLは、従業員数14万人、年間総売上は約740億ドルの世界最大のプライベートIT企業、DELL Technologiesへとなりました。

Microsoft|Github

Microsoft→Github

(出典:Github)

Microsoftは、1018年6月に、プログラミングのソースコードを共有するプラットフォームのGithubをおよそ8200億円を投じて子会社化しました。

子会社化した当初は、Githubのオープン性が損なわれるのではないかという不安視もされていましたが、Microsoftは独立企業としての運用を継続することを公言しました。それぞれの技術力を用いてサービスの充実を図ることを目標としています。

チャーター・コミュニケーション|タイム・ワーナー・ケーブル

チャーター・コミュニケーション→タイム・ワーナー・ケーブル

(出典:日本経済新聞)

アメリカで契約顧客者数4位のケーブルテレビ会社「チャーター・コミュニケーション」が、同2位の「タイム・ワーナー・ケーブル」を、2015年に買収しました。取引価格は、およそ9兆7000億円という大きな金額でのM&Aです。

チャーター・コミュニケーションは、同6位の「ブライトハウス・ネットワークス」も買収し、顧客者数首位の「コムキャスト」の顧客者数を上回る結果になりました。

Netflixなどの、インターネットによる動画配信サービスへと顧客が流出する危機感から、規模を拡大して経費を圧縮し、価格競争力を強化することで顧客を維持しようという狙いから、このM&Aに至りました。

日本と海外企業のm&a

M&Aは、日本企業が海外企業を買収したり、その逆も存在していて、国際的にも積極的に行われています。ここからは、国際的に執り行われてきた、国際的なM&Aについて紹介していきます。

ユーザーベース|Quartz(アメリカの経済情報メディア企業)

ユーザーベース→Quartz(アメリカの経済情報メディア企業)

(出典:Quartz)

ソーシャル経済メディアを取り上げているアプリの「NewsPicks」を運営するユーザーベースが、アメリカのオンライン経済情報メディアである「Quartz」の全株式を取得し、完全子会社化させた事例です。ユーザーベースは、NewsPicksを米国のみならずグローバルに展開していくために必要であると、Quartzの技術に対して期待を寄せています。

武田製薬|シャイアー(アイルランドの製薬会社)

武田製薬→シャイアー(アイルランドの製薬会社)

(出典:シャイアージャパン)

2018年に日本企業として過去最高額の6兆8000万円でのM&Aということで注目された事例です。武田製薬は、この巨額の金額を投じる事により、アイルランドの大手製薬会社シャイアーを完全子会社化する予定を発表しました。

「小が大を食う」「身の丈以上」でのM&A、国内企業史上最高金額であるということから不安視する声も少なくないです。武田製薬は今回のM&Aで国際化を加速させる事と、シャイアーが得意とする新薬開発への参入を試みています。

ソフトバンク|スプリント・ネクステル(アメリカの携帯会社)

ソフトバンク→スプリント・ネクステル(アメリカの携帯会社)

(出典:sprint)

ソフトバンクは、全米シェア第3位だった携帯会社の「スプリント・ネクステル」の株式の70%を、約1兆5700億円で取得し、同社を子会社化しました。

スプリント・ネクステルを買収することにより、ソフトバンクグループは携帯電話のシェア率が世界第3位にまでなりました。

失敗とみられるM&A

一方で、M&Aを行うことにより、大きな赤字を被ったりしてしまうケースも少なくありません。ここからは、M&Aによって損失を被った事例についてを紹介します。

セブン&アイ・ホールディングス|そごう・西武

セブン&アイ・ホールディングス→そごう・西武

(出典:そごう・西武)

セブン&アイ・ホールディングスは、2006年にそごう・西武の株式を65%取得しまし、その後株式交換を行い完全子会社化をしました。累計2300億円を投資したものの、業績の改善には至らず、評価損を計上しています。

Panasonic|三洋電機

Panasonic→三洋電機

(出典:Panasonic)

リチウムイオン電池「eneloop」など、リチウム電池開発を行う三洋電機を、Panasonicは、およそ8100億円を投じて完全子会社化しました。しかし、りい有無事業についての将来性などを読み違い、累計6000億円以上の損失を計上しています。

キリン|スキンカリオール(ブラジルのビール事業)

キリン→スキンカリオール(ブラジルのビール事業)

(出典:スキンカリオール)

2011年に、ビールやソフトドリンクでおなじみのキリンが、ブラジルのビール大手であるスキンカリオールを約3000億円を投資して買収しました。ところが、ブラジル国内の景気減速や他者との競合が激化し、およそ1100億円の赤字を計上。これによりキリンは上場後初めての最終赤字となりました。

SONY|コロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメント(アメリカの映画事業)

SONY→コロンビア・ピクチャーズ・エンターテイメント(アメリカの映画事業)

(出典:Sony Pictures)

1989年に、SONYは、現在のソニー・ピクチャーズ・エンターテイメントの前身であるコロンビア・ピクチャーズ・エンターテインメントを、約5000億円で取得しました。しかし、なかなかヒット作を生み出せないことから、多額の減損処理がなされています。

東芝|ウェスチングハウス(アメリカの原子力事業)

東芝→ウェスチングハウス(アメリカの原子力事業)

(出典:ウェスチングハウス)

2006年に、東芝は約6600億円を投じてウェスチングハウスを傘下に収めました。ところが、ウェスチングハウスが以前買収した企業の複数の不採算工事にを抱えていたことから赤字を計上。さらに、ウェスチングハウスは2017年に破産申請を行ったため、東芝の損失は1兆3000億円を越えることが見込まれています。

M&Aで失敗しないためにデューデリジェンスをしっかり行なおう

M&Aは成功すれば、企業を何倍にも成長させる原動力になりますが、失敗すれば多額の損失を被ってしまうことはお分りいただけたと思います。

失敗しないためには、買収先の企業についてしっかり情報を集め、自社とのシナジーは見込めるのかを事前にイメージしておくことが大切です。

以下はM&Aを検討する際のポイントになります。

  • 買収する事業とシナジーが見込めるか
  • 社風や企業の文化は合うか
  • 金額は適正か
  • 買収先の社員とはうまくやっていけるか

M&Aのメリットはお互いの強みや弱みを補完することで、「1+1」以上の相乗効果を期待できることにあります。買収後にうまくやっていけるイメージができない場合は、失敗する可能性が高いといえるでしょう。

また、買収される企業の社員の心をつかんでおくことも大切です。「一緒に働きたい」と思ってもらうことが、企業をさらに成長させていく上で重要なポイントになります。

このように、相手企業とのシナジーを見込めるか、買収金額は適切かなど、詳しく相手企業の情報を調査することをデューデリジェンスといいます。

デューデリジェンスを慎重に行うことが、M&A成功の鍵となりますのでしっかりと行うようにしましょう。

デューデリジェンスの種類や方法など、詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてください。

デューデリジェンスとは?その種類や方法、M&Aで使用する際の注意点を解説

また、企業の利益や資産、将来性などから企業価値を算定することをバリュエーションといいます。

デューデリジェンスで得た情報が、バリュエーションによる企業価値算定に影響を与えることもあるのため、合わせて確認しておきましょう。

バリュエーションとは?その種類や方法、M&Aで使う企業価値の算出手法を徹底解説!

日本でも、M&Aによるイグジットは一般的になりつつある

M&A事例
ここまで、様々なM&Aの事例について紹介してまいりましたが、いかがだったでしょうか?

M&Aは、中小企業のイグジット戦略としてアメリカではすでに当たり前になっていますし、日本でもその流れが少しずつ作られています。

また、起業をしてM&Aにて事業売却を行うことでお金儲けをする「連続起業家」という方も近年ちらほらと増えてきました。サクッと起業してサクッと売却するもの、もしかしたら将来主流の働き方になるかもしれませんね。