アクセラレーターとは?インキュベーターとの違いやアクセラレータープログラムのまとめ

アクセラレーターというものをご存知ですか?

スタートアップ界隈ではよく聞く言葉だと思いますが、そうでない方にとっては馴染みがないかもしれません。

アクセラレーターとはなんなのか、またそこで行われているアクセラレータープログラムとはどういうものなのか、今回は解説していきます。

アクセラレーターとは?

アクセラレーターは直訳すると「加速者」という意味であり、その名の通り企業の成長スピードを加速させることを目的とした事業支援プログラム、あるいはそれを運営する組織のことを言います。

支援の対象となるのは各アクセラレーターによって変わってきますが、全体的な割合をみると創業したばかりのスタートアップやベンチャー企業が支援対象となることが多いです。

スタートアップの企業は成長段階でいうと「シード期」と呼ぶことがあります。ですので、そこからシードアクセラレーター(プログラム)と呼ぶこともあります。

基本的には既存企業の成長加速を目的としていますが、イノベーションとしてゼロの状態からアクセラレータプログラムを開始し、支援期間を経て新規事業を開始するというケースもあります。

アクセラレーター(プログラム)の運営

アクセラレーター(プログラム)の運営の形は様々です。

例えば、アクセラレータープログラムを事業として行っている企業があり、そこにスポンサーとして複数のVCや投資家が出資する、あるいは複数の企業(大手やベンチャー企業)が出資するという形があります。

また、大手企業が自ら開催しているケースもあります。オープンイノベーションを目的としており、大手企業が挑戦できない(イノベーションのジレンマ)分野に対して、自社の経営リソースを提供する代わりに、そこに挑戦してもらうというアクセラレータープログラムがあります。

起業支援型のアクセラレータープログラムでは、支援を受ける企業は大手企業の恩恵(経営リソース)を受けることができ、支援する側の大手企業は新規事業などイノベーションの機会を得られるというWIN-WINの関係が成り立ちやすいです。

この特定の企業や組織が支援する形はコーポレートアクセラレーターと言います。

アクセラレータープログラム

(シード)アクセラレーターが行なっている事業支援プログラムのことを(シード)アクセラレータープログラムと言います。一般的に3ヶ月から6ヶ月程度の期間で行われています。

アクセラレータープログラムで行なっている支援としては、

  • 資金
  • メンターからのアドバイス(メンタリング)
  • メンターネットワーク(人脈)の提供
  • オフィスの無料提供
  • ビッグデータの提供
  • ワークショップやイベントの場

などが主な内容です。

プログラム内容によって支援する幅は異なりますが、おおよそ上記の内容がメインとなるでしょう。

また、アクセラレータープログラムは出資を受けることが目的ではなく、あくまでも事業を成長させることが目的のため、強化合宿のように期間を決めて行われます。

立ち上げたばかりのスタートアップや大手企業の経営資源を活用したいベンチャー企業にとっては、事業を成長させるためのいい機会かもしれませんが、必ず参加できるというわけではなく、応募をして合格しなければいけません。

アクセラレータープログラムの流れ

アクセラレータープログラムは運営しているところによって多少変わってきますが、大まかな流れは下記の図のようになります。

応募

アクセラレータープログラムは大体3〜6ヶ月という期間が一般的です。

募集間隔も半年間隔で行われています。ほとんどのアクセラレータプログラムはWEB上での応募となります。

募集対象となるのは各アクセラレーターによって異なりますが、割合として多いのは設立数年(5年程度)以内のベンチャー企業などが多いです。

他にも、個人・法人、プロダクト・サービスの有無を問わない、対象を幅広く設定しているところや、逆に事業分野など様々です。

選考

応募完了後、選考に移ります。選考フローは各アクセラレータープログラムによって様々です。

書類審査をしたのちに面接やプレゼン審査を経て合格というケースや、ビジネスプランコンテストを開催してそこで勝ち残ったところがプログラムに選ばれたりします。

合格率も各プログラムによってまちまちであり、難関のところだと全体の2%しか合格しないというプログラムも存在します。

支援・プログラム開始

選考を通過したらいよいよプログラム開始となります。運営団体によっては支援金額の確認など協業内容を検討する期間を設けます。

事業の加速あるいは創業を目指してフルコミットで取り組んでいく段階です。

支援内容は、事業計画書の作成や、事務手続きを専門家にサポートをしてもらったり、資金補助、バックオフィスや営業活動、採用活動の支援もしてもらえます。

このように総合的・全面的にサポートしてくれるところがほとんどであり、プログラムに参加している企業はそこのリソースをフル活用して一気に事業を加速させることができます。

結果報告・発表(DemoDay)

アクセラレータープログラムでは最後の結果発表としてデモデイ(DemoDay)が設けられています。サポート期間を経て、どれだけ成長したのかを発表する大舞台です。

各チームごとにこれまでの成果発表としてピッチを行うのですが、デモデイにはたくさんの企業や投資家、VCなどが集まります。つまり、デモデイは投資を受ける最大のチャンスの場ということになります。

アクセラレータープログラムの目的は資金調達ではなく、事業の加速・創出です。

インキュベーター(プログラム)との違い

アクセラレーター(プログラム)と似たものにインキュベーター(プログラム)というものがあります。インキュベーター(プログラム)は、オフィス提供や出資、メンタリングなどを通して事業支援をしていくということで、アクセラレーターとかなり近しいです。

しかしもちろん違いがあります。

まず、アクセラレーターが支援を行っている企業よりも、もっと初期の段階にいる企業を対象としているという点です。インキュベーターは事業を加速させるというよりは、事業の創出に重きを置き、そしてそれを育てて行くという面が強いです。

次に、アクセラレーターは3ヶ月などの期間があるのに対し、インキュベーターには明確な期間はないという点です。期間を設けずにオフィスの無料提供であったり、資金提供、事業に対するメンタリングなどのサポートを行なっていきます。

事業支援をするという大枠で見ると似たような感じになりますが、細かく見ると相違点があるということですね。

アクセラレータープログラムのメリット

アクセラレーターメリット

では、アクセラレータープログラムに参加するとどんなメリットがあるのでしょうか。前項までに出てきたものも含め、以下にまとめました。

メンターからのサポート

初期段階を対象としているインキュベーターほどではありませんが、メンターからのアドバイスが受けられます。投資家や起業経験者から起業に関するノウハウを学べたり、相談できたりするのは大きなメリットです。

環境

オフィスやそれに類する環境(シェアワーキングスペースなど)が提供されます。複数人でプログラムを受講するので、起業仲間との交流もあります。ライバル同士でもあるので刺激を受けられます。もしプログラムに提携する企業があれば、その提供サービスが格安で利用できます。

出資・融資

Demo Dayではピッチを出来る機会が得られます。入賞すれば、出資や融資が受けられます。

その他サービス

そのほか、プログラムや主催によって、独自のサービスがあることも。例えば、ワークショップやイベント、リーガルサービス、人脈紹介などを受けられるようなプログラムもあります。

【2018年】アクセラレータープログラムまとめ

2018年に開催されているアクセラレータープログラムをいくつかピックアップしました。

オンラボ

オンラボ

オンラボは、シリコンバレーの最先端のノウハウをもとに3ヶ月間の短期集中型アクセラレータープログラムを実施しています。プログラムの最後にはベンチャーキャピタルや投資家に対するピッチの場が設けられます。

オンラボ

キリンアクセラレーター2018

キリン

お酒や飲料、医療など様々な事業を展開するキリングループが主催するアクセラレータープログラムです。01ブースターと連携していくことにより、日本のスタートアップ企業を大きく躍進させていくことを目的としています。

キリンアクセラレーター2018

ドコモ

ドコモ

革新的な技術を持ったスタートアップ企業と、ドコモが提携することで、イノベーションを共創することが目的のアクセラレータープログラムです。サービスを創造する、イノベーションを促進する社会起業家を支援するプログラムに分かれています。

ドコモ

川崎

技術開発分野を専攻した、川崎市内似て事業を行う企業を対象としたアクセラレータープログラムです。様々な企業からのリソースや起業経験者からのメンター支援、さらにはベンチャーキャピタルからの支援も見込むことができます。

川崎

伊藤忠

伊藤忠

「どーん!とやっていこう!」というフレーズを掲げ、生産者から消費者までをつなげるバリューチェーンを覆すような製品やサービスを支援するプログラムです。個人、法人、業種問わず様々な分野からの参加が可能です。

伊藤忠

JXTGgroup

JXTGgroup

「地球の未来を創るイノベーション」をキーワードに、世界中にまだ経験したことのないような製品やサービスを提供する企業を対象にしたアクセラレータープログラムです。半年弱と、アクセラレータープログラムの中では長いスケジュールでじっくりとノウハウを学ぶようになっています。

JXTGgroup

富士通

革新的なスタートアップ企業の製品と、富士通の製品やソリューション解決能力によって、事業機会の創出を試みるアクセラレータープログラムになります。ピッチコンテストを前半に行い、提携事業を早期に選別するため、より効率の良いリソース支援を受けることが期待できます。

富士通

クックパッド

クックパッド

料理レシピサイトのクックパッドが主催する、「地球のこれから」を考える企業を対象としたアクセラレータープログラムです。事業ステージは不問になっているため様々なステージでの参加が可能です。

クックパッド

東急グループ

起業後のチームをメインターゲットに設定したアクセラレータープログラムです。交通や物流など、インフラ系のリソースを提供される数少ないプログラムの一つにあたります。

東急グループ

朝日新聞

斬新なアイデアや起業マインドと持ち合わせた個人や法人が、朝日新聞社と協力して、新しい価値を創造していくことを目指すプログラムです。経営のノウハウ指導に始まり、マーケティングや資金調達の支援まで行なってもらえます。

朝日新聞

KDDI

KDDI

KDDIは、新しいサービスを創造するスタートアップ企業と、経験などが豊富な企業を提携させるプラットフォームを提供しています。参加することにより、実証実験などを行うリソースが提供されます。

KDDI

ビックカメラ

ビックカメラグループが培ったきた経営ノウハウなどと、スタートアップ企業のユニークなアイデアで新たな事業を開拓していこうというアクセラレータープログラムです。販売プラットフォームからサブカルチャー系コンテンツまで、幅広いリソースを受けることができます。

ビックカメラ

青山アクセラレータープログラム

青山スタートアップアクセラレータープログラム

都内で起業することを前提条件に、ヘルスケア関連や女性起業家、「事業化が遅い」ものづくり系の分野を注力対象としたアクセラレータープログラムです。seed特化コースとearly特化コースが存在し、資金調達から初期ユーザー獲得まで、様々なノウハウを得ることが見込めます。

青山スタートアップアクセラレータープログラム

ゼロワンブースター

ゼロワン

様々な企業のアクセラレータープログラムを協賛する「ゼロワンブースター」。「Corporate Accelerator」という起業家と大手、中堅企業を結びつけて事業創業の流れを作るプラットフォームを構成しています。

ゼロワンブースター

SBヒューマンキャピタル

SBヒューマンキャピタル

“「働く」を変える”を経営理念にしているSBヒューマンキャピタルが主催するアクセラレータープログラムです。個人、法人、さらにはまだ起業をしていない人まで、様々な人が参加できます。

SBヒューマンキャピタル

サザビーリーグ

サザビーリーグ

衣食住をテーマにした、生活をより豊かにする事業についてのアクセラレータープログラムです。「手が届くものを提案」することを中心とした企業らしく、ベンチャースピリットを持ち、プロ視点ではなく消費者視点で「半歩先のライフサイクル」を想像する様々な事業が対象となっています。

サザビーリーグ

BRAVE

BRAVE

社会問題を解決するソリューションをアクセラレータープログラムです。社会人や学生を対象としたプログラムを展開しており、”働きながら”二ヶ月間のプログラムを通じて事業計画書作成から資金調達までの0→1の流れを実践的に習得していきます。

BRAVE

アクセラレータープログラムの現状と背景

アクセラレーター プログラムここまでご紹介してきた通り、アクセラレータープログラムには種類があります。

主に大企業、自治体、VCなどの金融機関が開催するアクセラレータープログラムに分けられます。

大企業のアクセラレーターは昔から行なわれており、大企業の場合は特定の領域やテーマ性のある事業を対象に行なっていることが特徴的です。というのも、大企業は応募するベンチャー企業との思惑が一致すれば提携ができ、既存事業の拡大もはかれるからです。

近年はアクセラレーターを導入する大企業は急増しています。

一方で地方自治体のアクセラレータープログラムも盛んになってきましたが、これは地域発ICTスタートアップを増やそうという総務省の取り組みからも来ています。

このようなローカルベンチャーモデルの動きは増えており、自治体によっては、地域おこし協力隊を兼ねて若い起業家を地域に移住させるなどもしています。自然環境や地域にある施設を生かしてビジネスをすることで地域活性化もはかれるというメリットがあります。

アクセラレータープログラムでプレゼンは必須

アクセラレーター

アクセラレータプログラムの最後demo dayでは、必ず投資家達の前で発表を行います。

アクセラレータープログラムで与えられる期間は3ヶ月から半年しかありません。この期間、自分がやりたいと思う事業が具体的にイメージできていなかったり、コラボするであろう企業が明確に判断できていないとあっという間にその期間が過ぎてしまいます。

もし、アクセラレータープログラムで他の作業で忙しくてプレゼンに時間がかけられなかった場合、投資家達は正しい評価を下せない場合があると思います。

そのため、アクセラレータープログラムに参加を決めたのであれば、まず一番時間がかかるであろうプレゼン能力を身につけましょう。

手っ取り早くプレゼン能力を身につけるのにお勧めなのはビジネスコンテストです。ビジネスコンテストでは期間中にいかに早く企画を練ってその考えた企画に対してうまくプレゼンできるかが勝負になってきます。一度参加するだけで飛躍的に成長できると思うのでおすすめです。

また、コラボ先の企業と交渉をするのに自分の言いたいことが伝わらないのでは意味がありません。短い時間でいかにわかりやすく相手に伝えるかが重要になってきます。基本的なことがわかっていれば、簡単に自分の意思を伝えることができるようになります。

まとめ

近年は起業家も増え、以前にも増してスタートアップ界隈は盛り上がっていますが、その背景にはこういったアクセラレーターの影響が大いに関係しているでしょう。

今まではこういったサポートプログラムはほぼ無く、資金は自ら用意したり銀行から借り入れしたりしなければならず、また事業においても手探り状態で自ら進めていかなければいけないという状況でした。

それが、アクセラレーターという事業支援プログラムが台頭してきたことにより、資金援助を受けたり、大きなデータを活用できたり、事業相談・経営相談ができたりしてサポート体制が整い、起業や事業を始めることのハードルがかなり下がりました。

今ではアクセラレータープログラムをやっているところが増えてきましたが、おそらくこれからもまだまだ増えてくるはずです。

そしてスタートアップ界隈はさらに盛り上がってくるでしょう。