個人事業主になるには!会社員から個人事業主になる際のポイント解説

個人事業主になる

会社を独立して個人事業主になるにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。IT化の流れもあり、副業での収入が大きくなり個人事業主となるケースが増えています。そこで今回は、個人事業主の基礎知識から、開業申請の仕方、会社を辞める際にやっておくべきことなどを一挙に解説していきます。

個人事業主とは

フリーランス 独立

個人事業主とは税務上の所得区分で、株式会社や合同会社などの法人を設立せず、個人で事業を営んでいる人のことをいいます。法人を設立している場合、法人の売上を事業所得として申告しますが、個人事業主の場合は個人の所得として申告します。

当然ですが法人税が適用されず、累進課税がとられる所得税の税金の割合が多くなります。そのことから、個人事業主として十分な年収がある人は節税対策のために法人へ移行する人も少なくありません。

また、「個人事業主=1人」と考えている方もいますが、小規模な商店やレストランなどを経営している個人事業主の場合は、個人事業主のままで従業員を雇用する場合もあり、必ずしも1人で事業を運営するものが個人事業主というわけではありません。

個人事業主の定義

会社員をやりながら副業をしている人や、専業主婦でありながら副業をしている人など、どこからが「個人事業主」としての扱いになるのか気になりますよね。

副業と言っても形態は様々あります。例えば、会社が終わってからの時間帯や休日にアルバイトをする人、週末起業して週末にセミナーなど事業をする人、インターネットで転売やアフィリエイトをする人などすべて副業にあたります。しかし、どのような副業をすると個人事業にあたるのでしょうか?

個人事業主の定義として、「独立・継続・反復」というキーワードがあります。

副業をしている仕事が

  • 独立しているものであるのか
  • 継続して行なっているものであるのか
  • 反復しているものであるのか

この上記3点を満たしていると事業所得として認められ、個人事業主として扱われます。そのため、会社員や専業主婦の人であっても、副業による事業所得がある場合は個人事業主となります。

ちなみに、休日にアルバイトをしている人は独立性がないので事業所得にはなりません。また、知り合いに頼まれて一回だけ週末にセミナーをしたというのも継続をして行ったものではないので事業所得とはなりません。

独立・継続・反復して何か副業をしているものがある人の場合は、個人事業主として該当するので開業届を出す必要があります。

個人事業主のメリット・デメリット

個人事業主 注意点

この章では個人事業主になることによるメリットとデメリットについて解説します。

個人事業主になるメリット

①開業が簡単

後ほど詳しく解説しますが、個人事業主として開業するのは非常に簡単です。法人で登記するには時間と費用両方かかりますが、個人事業主は費用がかからず必要書類を提出すればその日から開業することが可能です。

②家事按分できる

自宅をオフィスとして使用する場合、オフィスとして使用している分を経費として計上することができます。他にも、光熱費、パソコンやスマホの通信費など、事業として使用した分を経費にすることができます。

③会計や税金の処理が簡単

開業をするのも簡単ですが、開業をしてからも1年に1度の確定申告の際に必要な会計や税金の処理が簡単です。

法人の場合、1人の会社だったとしても役員報酬の設定や経費の取り扱い、社会保険や年末調整なども必要となってきます。それらを全て1人で賄うのは難しいため、法人の場合は税理士との契約が必至で、それなりのランニングコストもかかります。

一方で個人事業主の場合、会計や税金の処理が簡単で、所得や課税額の算出の仕方が分かりやすいことがメリットの1つです。最近では安価な会計ソフトも多く、会計の知識がない人でも処理ができるようになっています。

④やった分だけ成果として反映される

個人事業主として独立すると、会社員の頃と違い、自分の考えやスキルがダイレクトに結果として反映されます。雇用されていると、自分の頑張りが給与に直結しなかったり、自分のやり方が会社と合わないとストレスがかかりますが、個人事業主として独立すれば、すべて自分の考えのもとに事業を営むことができます。

個人事業主になるデメリット

①社会的信用が下がる

会社員と比べ、個人事業主は社会的信用が低いです。収入が安定しないところが一番のデメリットですが、他にもクレジットカードやローンなどの審査が通りにくくなるというデメリットもあります。

また、事業で考えると法人よりも信用度が低く、取引先を法人としか結ばないという規定を設けている会社も数多くあり、取引できる企業が限られるというデメリットもあります。さらに、人材を雇用する際にも、個人事業主は法人よりも信用度が低いことから、募集しても応募者が集まりにくい傾向にあります。

②雑務が増える

個人事業主は1人で会社を経営しているのと同じです。もちろん個人事業主でも従業員を雇用することはできますが、ほとんどの個人事業主は1人からスタートするか、ごく数人、身内の人を雇うなどしてスタートします。

そうなると、特に会社員の頃と比べ経理などの事務作業などをやらなくてはなりません。コピーをとったり、電話に出たり、消耗品を買いにいくなどの雑務も自分でやる必要があります。特に税金関係の業務は時間がかかるだけでなく、ある程度の知識が必要なので大変です。

③意外と自由にならない

個人事業主は、会社員に比べ、時間に融通がきき成果を出せば出すほど収入になることが最大のメリットです。しかしその反面、果たすべき責任の重さも会社員時代よりアップします。

取引先が獲得できず案件が受注できなかったり、仕事が評価されなかったりする場合、収入にはなりません。さらに人材の代わりがいないので体調不良や想定外のアクシデントが発生した場合も、納期を守らなければなりませんし、クオリティを下げてしまえば取引先との信用も下がります。

個人事業主開業の手順

開業の仕方 手順

開業届を取り寄せる

開業届とは、個人事業主として開業したことを税務署に申請するための書類です。正式名称は「個人事業の開廃業届出書」といいます。開業届を提出することで屋号で銀行口座を作ることができますし、契約の際にも屋号を使用できることができます。

個人事業主のデメリットとして「社会的な信用度が下がる」ということを述べましたが、屋号を使用することによって法人とまではいきませんが、ある程度社会的信用度が増します。

開業届を受け取るには、直接税務署に出向いて書類をもらってくるか、事前に国税庁のHPからフォーマットをダウンロードすることも可能です。

個人事業の開業・廃業等届出書 (国税庁HP)

開業届に必要事項を記入し、捺印した上で提出しましょう。提出をして税務署が受領をすれば、はれて個人事業主として開業できます。

青色申告承認申請書を提出する

開業届を出すと同時に、忘れずに青色申告申請書を提出しましょう。個人事業主の確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、どちらで確定申告をするのかは個人事業主の自由でが、青色申告で確定申告をした方が、圧倒的に税制面で優位な控除がつくので、青色申告で確定申告をするのがおすすめです。

主な青色申告によるメリット

  • 青色申告特別控除(最大65万円)
  • 赤字が3年間繰越できる
  • 家族への給与が経費になる(専従者給与)
  • 30万円未満のものを一括で経費計上できる(合計300万円まで)

白色申告では上記の控除はつかず基礎控除のみとなります。そのかわり、青色申告よりも帳簿付けが簡単というのが白色申告のメリットですが、平成26年度以降、白色申告の帳簿付けも義務化されきちんと作成しなくてはならなくなったこともあり、白色申告でのメリットはほぼないといえるでしょう。

青色申告申請書は開業届と同様に税務署で直接受け取ることもできれば、国税庁のHPからテンプレートをダウンロードして作成することも可能です。

所得税の青色申告承認申請書 (国税庁HP)

開業届と青色申告申請書を事前に記載してスムーズに開業手続きに入りましょう。

会社員が個人事業主になるために

会社員 フリーランス

会社員から個人事業主へと脱サラする際には、いろいろとやるべきことがあります。その流れをざっとまとめましたので参考にしてください。

会社員を退職するまでにやること

①退職届を提出する

勤めている会社との労働契約の解約をするには、法律上2週間前までに退職の意思表示をしなくてはならないと定められています。ただ、実際には1〜2ヶ月前までに職場の人に退職の意思を伝えると失礼がないでしょう。会社側からしても、人が辞める際は業務の引き継ぎや新たな人材を雇用する準備をしないといけないため、就業規則に1ヶ月前と記載している会社が多いです。

これから個人事業主になる人が退職する際の一番のポイントは「円満退社できること」です。例えばエンジニアの方など、独立後に退社した会社から仕事を受注するケースも多いです。会社のルールに従って波風立てず退社の準備に入りましょう。

②会社から必要書類を受け取る

会社をやめて独立する際、加入している保険や年金の切り替えを行わなければなりません。その際に必要となる雇用保険被保険者証や確定申告の際に必要となる源泉徴収票、また、年金手帳を預けている場合は年金手帳が必要になるのできちんと受け取りましょう。

③会社の備品をきちんと返すこと

仕事用に会社から支給されていたパソコンやスマホ、身分証明書や制服、また名刺や通勤定期券なども会社を辞める際に返却をしましょう。ボールペンなどの文房具もきちんと返却しましょう。会社の備品はすべて返却することが義務です。

また、独立した際に会社で契約しているソフトやツールを使用して仕事をすることも絶対にいけません。

④クレジットカードを作っておくこと

個人事業主になると社会的信用度が下がってしまうので、会社員のうちにクレジットカードやローンを組んでおくことをおすすめします。個人事業主になり、パソコンなどの備品が壊れたり取引先からの入金が遅れたりなどのトラブルがあった時に備えて、クレジットカードは何枚か作っておくと良いでしょう。

毎月決まった額の給与がもらえる会社員と違い、安定した収入が得にくい個人事業主は審査が厳しくなります。独立前に準備しておくことをおすすめします。

退職してから行うこと

会社を退職してからは、今まで加入していた保険の切り替えを行わなければなりません。基本的に「会社の健康保険から国民健康保険へ」「厚生年金から国民年金へ」切り替えを行う必要があります。ただし、健康保険に関しては退職後20日以内に手続きを行うことで、勤めていた以前の勤務先の健康保険を最大に2年間継続することができます。

そのほか、個人事業主になる際に必ず税金の基礎知識は把握しておかないといけないので、その知識などを身につけておきましょう。

ここまで準備すれば、開業届を出してスムーズに個人事業主としての事業に専念することができます。

個人事業主になるには(まとめ)

フリーランス

会社員から個人事業主になるには、やることが多くあります。勢いで会社を辞めて、自由になったと清々しい気分になるのもつかの間。退職する会社との手続きが不十分であれば、個人事業主として開業するまでに退職した会社にもう一度来社する手間が増えたり、保険の切り替えで慌ただしく動いたりなど、個人事業主の活動をに集中できません。

また、税務周りの知識なども余裕を持って勉強するためには、前もって書籍を購入したり、税理士に相談したりする時間が必要です。個人事業主としてスムーズに事業を開始するためにも、退職前からの事前準備を怠らないようにしましょう。