【個人事業主の所得税】納付の仕方、時期、計算方法すべて解説

個人事業主 所得税

個人事業主にとって、所得税は最も税金がかかるメインの税金です。納付の仕方から納付の時期を知っておくことはもちろん、所得税の計算方法まできちんと理解をしておかないと、のちのち確定申告の際に多額の所得税を納めることになります。脱税はいけませんが、可能な範囲で節税を行うのは個人事業主として大切なスキルです。

今回は、個人事業主が絶対に理解しておかなければならない所得税の基礎の部分をわかりやすくまとめました。税金関係に対して苦手意識を持っている方は、ぜひ参考にしてください。

個人事業主の所得税とは

所得税とは

そもそも個人事業主の所得税とは、収入から必要経費を差し引いた「所得」に対して課せられる税金のことを指します。様々な税金がありますが、所得税が最も大きな納税額となるのが一般的で、個人事業主にとって所得税はメインとなる税金です。

所得と収入の違い

所得税について理解する上で、まず「収入」と「所得」の違いを押さえておく必要があります。

  • 収入・・・売上、給与、賞与など入ってくる金額の合計
  • 所得・・・収入から必要経費を差し引いたもの

所得税は収入ではなく、1年間に生じた所得に対し税金がかけられます。

所得には以下のようにいくつか分類して表すことがあります。

  • 事業所得・・・自営業や個人事業の所得
  • 給与所得・・・パートやアルバイト
  • 不動産所得・・・マンション・アパート・駐車場
  • 譲渡所得・・・株や不動産などの売買
  • 公的年金・・・雑所得

所得税は、基本的に所得の金額が高ければ高いほど税率も高くなる累進課税が採用されています。個人事業主は、自分で所得を計算して税務署に確定申告をして納税を行います。

なお、サラリーマンも毎月の給与から源泉徴収という形で会社が代わりに所得税を徴収して納税しています。

個人事業主の所得税の納付時期と納付方法

所得税 方法

所得税は、毎年1/1~12/31までの1年分の所得を自分で計算し、翌年の2/16~3/15までの確定申告の期間で税務署に納めます。

所得税を納めるには以下4つの方法があります。

  1. 納税地である税務署に直接現金で納める
  2. 金融機関から現金もしくは預貯金口座から振替
  3. e-Taxを使用し納める
  4. 国税クレジットカードお支払サイトから納める

現在、所得税などの税金の支払は現金だけでなく、クレジットカードやインターネットからでも可能です。

個人事業主の所得税の計算方法がわかる3つのステップ

所得税 計算

所得税の算出方法は以下の通りです。

【 所得税 = (売上 - 経費 - 所得控除 ー 青色申告特別控除)× 税率 - 税額控除 】

個人事業主 節税

こちらの算出方法を用いて所得税を計算します。その計算の仕方を1つ1つ解説します。

1、所得を求める

所得税を算出するには、まず所得金額がいくらなのかを求める必要があります。所得金額の算出方法は以下の通りです。

【 所得 = 売上 ー 経費 】

まずは1年間事業で得た売上を算出します。そこから次に、売上にかかった経費を引いて算出した額が所得となります。

経費とは

経費とは事業を行うために使用した必要コストのことを指します。

ざっと例にすると、商品の仕入れにかかった費用、オフィス家賃、駐車場代、光熱費、電話代、インターネット代、交通費、宿泊費、事務用品、オフィス用品、宅急便、郵便代金、名刺代、打ち合わせにかかった費用、ガソリン代、高速代、ランチ、飲み会、お歳暮、自動車税、固定資産税などを経費に組み込むことが可能です。

経費のポイントは「事業に関連する費用であるかどうか」です。例えば、一般的に仕事で使用するためのスーツや靴を経費として計上することはできませんが、芸能人やモデルのようにテレビにでるための衣装として使用する場合は、事業に関連するものと認定され、経費と認められます。

事業に関連性のあるかどうかは線引きが難しいところですので、困ったら税理士に相談するといいでしょう。

経費を算出できたら、売上から経費を引いて、所得を求めましょう。

2、所得から控除分を引く

所得を求めたら、控除の対象となる金額を引きます。個人事業主は主に「所得控除」と「青色申告特別控除」の2つ分が控除の対象となります。

所得控除

所得控除とは、所得の計算上考慮されない事情などを反映させるために定められたものです。所得控除は「人的控除」と「物的控除」の2種類に区分されています。

人的控除は、個人事業主やその家族の事情により控除額が決まるもので、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、基礎控除などがあります。もう1つの物的控除は、個人事業主やその家族などが支払った金額等により控除額が決まるもので、社会保険料控除や生命保険料控除、地震保険料控除があります。

詳しく所得控除について知りたい方は、 所得控除のあらまし(国税庁HP)を参考にしてください。

青色申告控除

個人事業主の確定申告には白色申告と青色申告の2つの方法があり、青色申告で確定申告を行う手続きをしておくことで65万円の控除を受けることができます。

青色申告で確定申告をするためには、青色申告の承認を受けようとする年の3/15までに税務署長に提出する必要があります。また、65万円の控除を受けるためには、賃貸対照表を作成することなど、一定の要件を満たす必要がありますが、個人事業主として一定の収入がある場合、青色申告をした方が税制面のメリットを大きく受けることができます。

3、税率をかける

所得税の算出方法をもう一度確認します。

【 所得税 = (売上 - 経費 - 所得控除 ー 青色申告特別控除)× 税率 - 税額控除 】

この章では1の項目で所得と経費の解説を、2の項目で所得控除と青色申告特別控除について解説しました。そして、ここでは「税率」の部分について解説します。

日本では所得税に関して累進課税制度をとっています。そのため所得額が大きくなればなるほど所得税の税率が高くなるように設定されています。所得税の税率に関しては下記の表を参考にしてください。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

引用:所得税の税率 国税庁HP

例えば、風される所得金額が1,500万円だった場合、税率は33%となります。

4、税額控除を引く

最後に税額控除の分を引きます。税額控除とは、納税額から直接差し引くことができる節税効果の高い控除のことです。3の項目で解説した税額の部分の控除額とは別ですので間違えないようにしてください。

節税の面で言うと、所得控除の部分より税額控除の方が節税効果のメリットが大きいです。しかし、税額控除は対象となるものが少ないので、該当するものがある場合は積極的に申請するようにしましょう。

税額控除
配当控除 配当所得を得た場合                

控除額:他の所得との合計額が1000万円以下は配当所得の10%、1000万円超の部分は5%を差し引くことができます。

住宅借入金等特別控除 住宅購入、改築などで借入をした場合        

控除額:ケースにより異なる

政党等寄付金特別控除 政党等に寄付金をした場合             

控除額:(その年に支払った政党に対する寄附金の合計額ー2千円)x30% = 政党寄付金特別控除額。

住宅耐震改修特別控除 耐震改修を行った場合

控除額:住宅耐震改修に要した費用の額

外国税額控除 外国の法令で所得税に相当する租税を支払った方

控除額:ケースにより異なる

税額控除の対象となるものに詳しく知りたい方は、税額控除(国税庁HP)こちらを参考にしてみてください。

以上のステップを踏むことで所得税を算出できるようになります。

所得税計算のシュミレーション

【 所得税 = (売上 - 経費 - 所得控除 ー 青色申告特別控除)× 税率 - 税額控除 】

<例>

青色申告の申告を受け事業を営む個人事業主で、事業収入1000万円、必要経費300万円、青色申告特別控除65万円、所得控除合計145万円、税額控除100万円の場合

【1000万円(売上)ー 300万円(経費)ー 135万円(所得控除)ー 65万円(青色申告特別控除) = 500万円(課税対象となる所得)】

課税される所得金額 税率 控除額
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円

【〔500万円 × 20%(税率)〕ー 42万7500円(控除額) = 57万2500円(所得税)】

以上の通り、57万2500円が所得税になるという流れです。

まとめ

所得税 まとめ

所得税の計算方法について、詳細の過程を解説してきましたが、いかがでしたか?

所得税について理解を深めておくことはとても大切です。自分が売り上げたお金をきちんと残しておくためにも、所得税について算出できるようにしておきましょう。事業を経営するということは、このような税金に関して対策をすることも重要な仕事です。

ちなみに所得が1800万円以上になると、所得税の税率も40%以上かかってきます。きちんと事前の対策を心がけましょう。