アセットアロケーションとは?資産分配の考え方や決め方を解説

ASSET ALLOCATION アセットアロケーション

資産をどのように分散させるかの意思決定「アセットアロケーション」。投資初心者だけでなく、起業家にとっても絶対知っておいてほしいこの言葉ですが、今回は正田圭の著書「ファイナンスこそが最強の意思決定術である」より引いて詳しく解説していきます。

アセットアロケーションとは

アセットアロケーションとは

アセットアロケーションとは、どんな資産をどれくらい持つかという意思決定のことであり、日本語では「資産分配」とも呼ばれています。具体的には、どの資産クラスをどれくらい持つかということです。

アセットアロケーションは投資の収益を決定する重要な要素であると多くの金融専門家から認められています。

(前略)

つまり「アセットアロケーション」とは、異なるリスクやリターンの特性を持つ「資産クラス」に分類した投資先への分配比率を決定することですを言うのです。

(中略)

実はこのアセットアロケーションは、投資の世界ではものすごく重要なのです。なぜなら投資の成否は、この「アセットアロケーション」で8割以上決まってしまうからです。
もう少し噛み砕いて言うと、投資の世界で最も重要なのは、銘柄選びや売買のタイミングではなく、「どの資産にどんな割合で投資するか」なのです。

ファイナンスこそが最強の意思決定術である より引用

なぜアセットアロケーションをする必要があるのか。

会社売却

分散投資をしてリスクを下げる意味は何でしょうか。それは長期的な視点でみて、市場全体の成長で儲けるためです。

どういうことか、ゲーム理論を用いて説明します。

ゲーム理論にはゲームの分類方法として利得の総和をみて分ける方法があります。主な分類としては、ゼロサム、非ゼロサム、プラスサム、マイナスサムの4つです。これを今回は株取引、債券取引、FX・為替取引の3つの投資とギャンブルに当てはめて説明します。

株取引

株取引は非ゼロサムゲームです。5年程度の短期で見れば損益合算がマイナスサムになることもありますが、長期的にみればプラスサムになっています。それは世界経済が成長を続けており、今後も成長し続けると考えられているためです。

債券取引

債券取引はプラスサムゲームです。債権は額面の金額+金利があるので、買う側から見ればプラスサムになります。

FXや為替取引

FXや為替取引はゼロサムゲームです。通貨は価値をはかる基準・ものさしであり、それ自体に価値があるわけでも、価値を生み出しているわけでもありません。つまり為替で利益が出るということはどこかで損失が出ているということなので、ゼロサムゲームです。

ギャンブル

ギャンブルはマイナスサムゲームです。胴元が集めたお金のいくらかを自身の利益とするので、客に還元されるお金は絶対に100%未満になり、参加する客からすればマイナスサムゲームになります。

このように投資の世界では、全員の損益を合計すればプラスになるものがあります。このことから一度に全資産を失うような事態をさけ、プラスサムゲームへの投資を長期的に続けるほど資産を増やせると言うことが分かるでしょう。

だからこそ一度に全資産を失わないよう、資産を分散させる必要があるのです。それを具体的に考えることこそがアセットアロケーションなのです。

アセットアロケーションを行う”資産クラス”の分類

アセットアロケーション アセットクラス

資産を分散させるには、世の中にどのような資産クラスが存在するか知る必要があります。

資産クラスとは、リスク・リターンの大きさや値の動き方など、市場全体の特性が他とは異なる資産のまとまりです。そのため、異なる資産クラスに属する資産どうしには連動性があまりありません。このことを相関性が低いと言います。

相関性が低いものを組み合わせてもつことで、すべての資産が連動して価値が減る事態を避けられるのです。

今回は世の中に存在する資産クラスを伝統的資産とオルタナティブ(代替)資産に分けて説明します。

伝統的資産

伝統的資産は4つあります。「国内株式」「外国株式」「国内債券」「外国債券」の4つです。これらはそれぞれ値動きやリスクの特性が異なります。

なかでも株式と債券は逆の動きを示す傾向にあります。株価が上昇すると債券価格が下落し、債券価格が上昇すると株価が下落する傾向です。

ただし反比例とまではいかない点には注意が必要です。市場の平均株価が下がるとき、政策金利も下げられる可能性があるためです。

債券価格と株価の相関関係について – 債券投資ガイド

さらに、リスク・リターンの面で比較すると、株式はハイリスク・ハイリターン債権はローリスク・ローリターンです。

国内株式・債券と外国株式・債券を比べた際は、国内のほうがローリスク・ローリターン外国のほうがハイリスク・ハイリターンです。さらに外国株式・債権のなかでも先進国と新興国でリスク・リターンが異なります。先進国と新興国で比較すると、先進国のほうがローリスク・ローリターン新興国のほうがハイリスク・ハイリターンです。

リスク・リターンに関しては、とにかく不安定な方がリスク・リターンが上がります

投資の用語集:リスクとは – myINDEX

オルタナティブ資産

オルタナティブ資産には探せば超ローリスク・超ローリターンもあれば超ハイリスク・超ハイリターンもあります。

なぜかと言えば、オルタナティブ(代替)という名の通り、伝統的資産以外すべての資産をまとめて指す言葉だからです。

今まで投資の対象ではなかったものでも、現在の評価価値と本来の価値の乖離を見つけ投資対象とすれば、それはオルタナティブ資産と呼べます。

伝統的資産とオルタナティブ資産の値動きは低相関です。

アセットアロケーションを反映した投資の仕方

アセットアロケーション やり方

ここからはアセットアロケーションを反映させた投資の仕方について説明します。

まずはリスクをどれだけとるか考える

まず自身がどれだけリスクを許容できるのか考えます。生活できなくなるほどの損失を出せば生きていけませんが、慎重になりすぎてまったく資産が増えないのでは投資をする意義を見出しづらくなります。

一般的に、最低限の生活費は年を取るとともに増えていきます。生活水準の向上や医療費の増大、子供がいる家庭では養育費も出てきます。さらに損失を出したあと取り返すための時間も減ります。

そのため、若い人は積極的にリスクをとって投資できますが、年金世代ともなればそうもいかないでしょう。

さらに言えば、「なんのために」投資をするのするのか、そのためには「いつまでに」「いくら」利益をださなくてはいけないのか、そういったことから取るべきリスクも出せればなお良しです。

これら「許容できるリスクの量」と「とるべきリスクの量」を考えて「どれくらいリスクをとるか」を決めましょう。

ここがもっとも重要であり難しいポイント。とにかく沢山のケースを想定して計算してみるのが大切です。

とるリスクの量にあわせてポートフォリオを組もう

「どれくらいリスクをとるか」が決まったら実際にポートフォリオを組んでみます。

リスクを極力減らしつつ資産を増やしたいなら、安定型のように堅実な資産クラスを多めにもつべきでしょう。逆に短期で増やしていきたいなら、積極型のように最低限のリスクヘッジをしながらリスクの高い資産クラスを多く持つことです。

下図は参考です。

アセットアロケーション ポートフォリオ

ファイナンスこそが最強の意思決定術である より引用

※「REIT(Real Estate Invesment Trust)」とは不動産投資信託のことです。不動産はオルタナティブ資産に分けられます。
https://orekabu.jp/reit/

ポートフォリオに沿って投資していく

具体的なポートフォリオを組んだらそれに沿って投資していきます。

たとえば上図の積極型ポートフォリオを組んだAさんがどのように投資するか考えてみましょう。ただし今回は現金預金を組み込んでいません。急な出費に対応できなくなるので真似をしないでください。

Aさんは都内で働く会社員で27歳の男性。年収は370万、生活費は月々14万ほどで貯金額は500万円。最近投資に興味が湧いたので貯金を使ってはじめることにしました。

Aさんはまだ独身で両親も元気なので心配ごとも特にありません。さらに30歳までに投資でだした利益で両親に海外旅行をプレゼントしたいと考えています。そこでAさんは思い切って積極的にリスクをとることにしました。

貯金の振り分けは以下のようになりました。なるべく自分の興味関心や状況の変化が知りやすい趣味や仕事に関連するテーマ、親しい友人が詳しい業界などを選びました。

  • 日本株式:5%ー25万円でアニメやゲーム、コミック、おもちゃ関連株を数名柄購入
  • アジア株式:26%ー130万円で中国のITベンチャー関連株を10銘柄購入
  • REIT:14%ー70万円を日本、北米、オセアニア、欧州それぞれをカバーするファンドに4分割して預金
  • アジア債券:29%ー145万円をアジア債券を扱ういくつかのファンドに分散して預金
  • 日本債券:26%ー130万円のうち100万で固定3年の個人向け国債を、30万で社債を1銘柄購入

以上のように枠に当てはめるよう分散投資していきます。

※あくまでも説明のための例であり、この通りに投資することを勧めるものではありません。

年に1~2度は「リバランス」

実際に分散投資したあとは定期的に経過を確認します。

時間の経過によって当初ポートフォリオ通りに分散させた資産のバランスは崩れていきます。それは運用損益や予期していなかった現金化などによってです。

こうしてバランスが崩れたまま放置するとアセットアロケーションした意味がなくってしまいますので、「リバランス」する必要があります。

さらに年齢を重ねてリスク許容度が下がればポートフォリオ自体を組み直す必要もあります。

そうしたことも含めて定期的にメンテナンスする必要があるのです。

まとめ

ここまでアセットアロケーションについて説明してきましたが、結局のところアセットアロケーションが投資の成否を8割決めるとはどういうことでしょうか。

それは多様なプラスサムゲームに分散投資すると決めれば、成功は8割決まるということ。逆にたった一つのマイナスサムゲームに全資産を投資すると決めれば、失敗は8割決まるということです。

このことは投資に限らず言えることです。ぜひこの機会に覚えておいてください。