デットファイナンスについて理解しよう!種類やメリットなどを解説

デットファイナンス

新規事業を興す際や起業する際に「資金調達」について悩まれること、あるいは悩んだ人も多いのではないでしょうか。また、資金調達そのものに対して不安に感じている人もいれば、資金調達をする方法について悩まれた方もいるのではないでしょうか。

今回は、資金調達の方法の中で主流な「デットファイナンス」について解説していきます。

そもそもデットファイナンスとは

デットファイナンス とは

デットファイナンスとは、「借入金融」とも呼ばれるものです。多くの方が「借入」と聞いたら何となく想像がつくと思いますが、銀行などからお金を借りる資金調達になります。デットファイナンスはお金を借りることになるため、調達資金は負債として貸借対照表(バランスシート)に記される資金調達になります。

デットファイナンスに分類されるものは、主に銀行などの金融機関から受けた借入が該当します。

デットファイナンスの種類

デットファイナンス 種類

では、デットファイナンスにはどのような種類があるのでしょうか?これからデットファイナンスの種類や、それらの特徴について解説していきます。

銀行借入

銀行からの借入は、私たちにとっても馴染みのある融資の方法です。一般的に銀行融資はローンと呼ばれています。銀行ローンと一口に言っても、たくさんの種類があります。銀行の金融商品として展開されているものに、一般向けや事業者向け、不動産担保や住宅、教育ローンなどがあります。

銀行借入にも2種類あります。保証付融資は信用保証協会が審査してから融資されるものです。プロパー融資は銀行が直接企業に融資するものです。

プロパー融資について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

シンジケートローン

シンジケートローンとは、「協調融資」とも呼ばれるものです。複数の金融機関がシンジケートと呼ばれる、債券や株式の発行を引き受けるために協調した団体から、アレンジャーと呼ばれる、主に銀行が行っている取りまとめ役を介して資金調達を行う方法です。

シンジケートローンは、借入側が大きな資金を1回で入手できるというメリットがあります。さらにシンジケートを組んでいる金融機関にとっても、リスクの分散が行えるため、仮に「貸し倒れ」となった際には、被害を分散できるようになっています。

社債発行

社債発行は、企業が債券を発行することにより資金調達を行う方法です。銀行融資などのような間接金融ではなく、資本市場という直接金融を活用することで資金調達を行う方法です。社債は、株式ではないため経営権を握られないというメリットがあります。

社債では、借金証書という借りた金額や利息、返済期日を掲載したものを発行します。

また、出資を受ける投資家の人数によっても社債の名称などが変わります。50人以上の投資家に発行する場合は公募債、50人以下だと私募債になります。特に私募債は金融機関からの借入よりも条件面で有利なことが多く、メリットを多く有しています。

また、企業が発行可能な社債には

  • 普通社債
  • 劣後債
  • 永久債
  • 新株予約権付社債

の四種類があります。

普通社債は、一般的な企業が発行する社債です。近年は資金調達において発行する企業が増えています。

劣後債は、企業が破産または解散をした際戻り金の返済順位を最後になることを条件に発行する債券です。資金調達というよりは自己資金の補強の際に使われることが多いです。

永久債は、返済期限が定められていない債券です。基本的に永久に元本は帰ってこない、つまり貸しっぱなしになりますが、金利も永久に支払われます。また投資で永久債を購入した人は元本の返還を請求することは不可能です。

新株予約権付社債は、発行会社の新株を一定の条件の下で買う権利(新株予約権)の付いた社債になります。

資本制ローン

近年作られた新しい資金制度に、資本制ローンというものがあります。資本制ローンの特徴の1つに、金融機関の審査上、一部金額を借入金としてではなく資本金とみなすというものがあります。つまり、資本制ローンを用いた借入は、新たに別箇所から融資を受ける際には資本としてカウントされるため、自己資本率を高く見せることが可能です。

ただし、ここで注意が必要です。資本制ローンは、借入時に負債を資本と「見なす」というだけで、本質的には返済義務のある借入であるため財務状況そのものが改善されているわけではないです。そのため、資本制ローンも財務会計上はデットファイナンスにあたります。

エクイティファイナンスとは

エクイティファイナンスとは

デットファイナンスとよく比較される資金調達法にエクイティファイナンスがあります。

エクイティファイナンスとは、新たに自社株を発行することにより、自社の資本を増やして資金調達を行う手法のことです。このエクイティ(equity)とは、自己資本や株式資本という意味です。

エクイティファイナンスの種類として、以下が挙げられます。

  • 公募(時価発行増資)
  • 株主割当
  • 第三者割当増資
  • 転換社債型新株予約権付社債(CB)

また、以下の場合によく使われます。

  1. 企業の資金体制をより強固なものにする時
  2. 株式資本の増加が事業発展のために必要な時
  3. 株式資本の増加が事業発展のために必要な時

負債であるデットファイナンスと違い、貸借対照表では資本に分類されます。

エクイティファイナンスについて詳しくはこちらをご覧ください。

デットファイナンスとエクイティファイナンスの違いは?

デットファイナンス エクイティファイナンス

デットファイナンスに加えてエクイティファイナンスについても見てきました。それでは、これらの資金調達を比較してみましょう。

負債か資本か

上記でも述べたように、デットファイナンスは負債を増やす「借入」での資金調達法です。デットファイナンスによる資金調達ばかりしていると、貸借対照表における負債が大きくなり、自己資本比率が下がります。

自己資本比率は、銀行から借り入れを行う際の審査基準ですので、過度なデットファイナンスでの資金調達は、追加での融資を受けられなくなることに繋がります。

一方で、エクイティファイナンスは、株を発行することで資金を調達する方法です。そのためデットファイナンスとは異なり、「資本」を増やす資金調達法だと言えます。資金調達をエクイティファイナンスで行うほどに発行株数と自己資本比率は増えていきます。

返済義務

デットファイナンスは、金融機関などからの借入であるため返済義務は必然的に発生します。多くのデットファイナンスでは利息を払う必要があるので、返済額は借入額より大きくなります。

エクイティファイナンスについては株式を発行する形での資金調達になるため返済義務がありません。ただし、株を売ることで資金調達を行うので、利益を分配する必要性は生じます。

株主権限

デットファイナンスは、銀行からの借入であるため、株主との干渉はありません。ただし、あまりにも負債が多いと株主総会にて疑問が投げかけられる事があるかもしれません。

一方で、エクイティファイナンスは株式を購入してもらう形で資金調達を行うため、経営権を握られやすくなっています。

しかし、経営権限を握られることは一概に悪い事であるとは言えません。株主の中に状況を好転へと導いてくれる人がいるかもしれません。ただ、自分の思い通りには事業を進めることはできなくなると考えるべきです。

リスク

資金を調達するという事においてはあまりリスクの差はありません。強いてあげるならば、デットファイナンスの方が返済をする義務があり、しかも今後も出資を受ける可能性があるなら滞納は許されないということが言えます。

一方、出資を行う投資家にとっては、エクイティファイナンスの方がリスクはあります。仮に出資を行なっても、エクイティファイナンスでの資金調達には返済の義務がありません。そのため仮に事業がうまくいかずに倒産してしまっても、投資家に出資したお金は返ってきません。結果的に投資家はエクイティファイナンスに対して慎重にならざるを得ないのです。

利益

利益については、デットファイナンスの方が高くなります。エクイティファイナンスは出資であるため、一部利益を出資者へ還元する必要があります。

例えば、1億円の商品を、以下のように購入した2人がいるとします。

  • Aさん:自己資金5000万円とデットファイナンスにあたる借入の5000万円で購入
  • Bさん:自己資金5000万円とエクイティファイナンスにあたる出資の5000万円で購入

両者ともにその商品が2億円で売れたと仮定します。その際、2人は以下のように利益を得ます。

  • Aさん:【2億】-【5000万(自己資金)】-【5000万強(借入額+金利)】=1億円弱
  • Bさん:(【2億円】-【1億円(仕入れ値)】)×【50%(仕入れ値における自己資金率)】=5000万円

このように、借入の場合は借入額(+利子)を返済するだけでいいので、デットファイナンスの方が利益は大きくなる傾向があります。

デットファイナンス 図

達成難易度

創立後3〜5年以上経っている企業の場合

ある程度の業績が出ている企業であれば、デットファイナンスの方が資金調達の難易度が低いです。デットファイナンスは金融機関や社債による借入のため、経営者の独断の判断で資金調達を行え、容易に実行へと移せます。

しかし、エクイティファイナンスの場合は株主から理解を得る必要性などが発生します。株主には、企業の経営に参画する権利があります。そのため、エクイティファイナンスでの資金調達の際には、仮に株を購入する意思がある人がいたとしても、株主の合意を得る必要があり、そこで否決される可能性もあります。

ベンチャー企業の場合

ベンチャー企業の資金調達においては、デットファイナンスの方がエクイティファイナンスより難易度が高いです。というのも、一般的なベンチャー企業は、確実に利益を得るまでの期間が不透明だからです。

利益、実績が出てないと返済できる可能性が不透明になるため、金融機関からの融資を受けにくくなります。そのため、ベンチャー企業に限っては、エンジェル投資家などからのエクイティファイナンスによる資金調達の方が難易度が低めになります。

以上がデットファイナンスとエクイティファイナンスの比較になります。両者の特性を知っておき、今後どのような手法で出資を受けるかの参考にしてみてください。

資金調達について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

デットファイナンスとエクイティファイナンスの中間がある?

デットファイナンスとエクイティファイナンスの中間がある?

メザニンファイナンス

デットファイナンスとエクイティファイナンスの中間に当たるものとして、メザニンファイナンスがあります。メザニンファイナンスとは、劣後ローンやハイブリッド証券の発行によって資金調達する手法です。

デットファイナンスとエクイティファイナンスの特色を両方活かして資金調達が行なえるという点がポイントです。そしてメザニンファイナンスのリスクはというと、ローリスク・ローリターンなデットファイナンスと、ハイリスク・ハイリターンなエクイティファイナンスとの中間で、ミドルリスク・ミドルリターンです。

メリット

このメザニンファイナンスには、企業側と投資側の双方にメリットがあります。

企業側にとっては、株主の議決権の希薄化や経済的利益による希薄化(ダイリューション)を防ぐことができます。シニアローンでは対応できないリスクマネーを調達することもできますし、返済スケジュールをある程度柔軟に設定できるようにもなります。

投資側にとっては、通常の社債投資をするよりもハイリターンが見込めます。

希薄化(ダイリューション )について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

デットファイナンスのメリット・デメリット

事業承継 リスク

上記のエクイティファイナンスとの比較にてある程度は出ましたが、ここでデットファイナンスのメリットデメリットについて改めて紹介します。

メリット

デットファイナンスは、株式を販売せずに資金調達を行うため運営権をにぎられることはありません。そのため調達資金については思惑通りに運用することが可能です。

また、融資先の選択肢が多いため様々な手法や機関から資金調達方法を選択できます。

意外に知られていないのが、返済実績についてです。借入を行った資金を返済完了することで、企業に返済能力があることが証明できます。そのため次の出資を受けやすくなるというメリットが発生します。

デットファイナンスは節税にも使えます。資金調達を借入にて行った場合利息がつくものが多いですが、この利息を会計上「損金」として扱えます。そのため利息に関しては経費として計上できるため、利益と損益通算して節税が可能です。

さらにデットファイナンスにて返済義務があるのは借りたお金と利息のみなので、投資家が利益をあまり大きく見ない傾向があります。そのためエクイティファイナンスのように配当金を、事業がうまくいっても払う必要性が低くなります。

デメリット

無論メリットがあればデメリットもあります。ここまでにほとんど述べてしまっていますが、そこまでデメリットの比率が多いわけではありません。

まず、当たり前ですが返済の義務が生じます。返済ができなかった場合には次回から融資を受けられなくなったり受けにくくなる可能性が生じます。

並行して、お金を借りることになるため、返済する際に利息が生じます。ただし、個人での借金とは違い、会社は利息を経費で計上できるので比較的小さなデメリットになります。

そして、デットファイナンスは負債を増やすことになるので自己資本比率が下がります。自己資本比率があまりにも低くなりすぎると、これも同じく銀行から融資を受けにくくなる可能性が発生します。

デットかエクイティか?スタートアップベンチャーの取るべき戦略

デットかエクイティか?スタートアップベンチャーの取るべき戦略

スタートアップといえばVCや投資家からの資金調達と思われがちですが、このような資金調達だけで会社を回そうとすると、エクイティファイナンスに偏ってしまいます。「リターンを追求しない」といった甘い言葉が投げかけられることもあり、あまり理解せずに調達してしまう人も多いのです。しかし、実際は大きく成長する見返りを求められていると言っても過言ではありません。

投資する側は大きな成長に期待をして出資します。というのも、買った株の価値が0になるというリスクを負っているからです。例えば融資のリターンは利子として入ってきますが、出資の場合のリターンは株の価値が0になってしまったら入ってきません。実際、1社のリターンが大きいために出資するのです。VCからの資金調達についてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ベンチャーキャピタルとは?VCの仕組み、調達額、出会う方法

そのような現状のなかで、近年スタートアップのデットファイナンスについての話題が増えてきました。では、実際どのように資金調達をしていくのが良いでしょうか。パターン別に考えてみましょう。

売り上げ0からスタートするパターン

最初はコストのみが発生するパターンです。この場合はキャッシュフローがマイナスなのは明らかなので、そのマイナスが大きければ大きいほどVCでの調達が向いています。特に大きな成長が見込めるビジネスには向いています。

VCでの資金調達後は「キャッシュがある」と認識されるために融資が利用しやすくなるという話もあります。エクイティファイナンスへの偏りを和らげるためデットファイナンスを考えている人にとってはチャンスにもなり得るかもしれません。

売り上げがすぐに上がって少しずつ伸びていくパターン

キャッシュフローはマイナススタートかもしれませんが利益は出ているので、不足している分だけの調達という方法が取れるでしょう。これは一気に調達してエクイティファイナンスに偏ってしまうのを事前に避けられます。また、請負などを中心に行なう事業の場合も、様子を見ながら臨機応変にしていくのが良いでしょう。

大きな成長が見込めない場合はデットファイナンスで検討しても良いかもしれません。

働かせるお金を借りることは良い事

デットファイナンス メリット

以上がデットファイナンスについての解説になります。参考になったでしょうか?

起業しよう!と思っている人の中にも、デットファイナンスに代表される「借金」に対して抵抗を持っている人は少なからずいるかと思います。しかしソフトバンクなどの大企業も、成長のためにデットファイナンスによる資金調達を、自己資金以上の額面で行っています。

上記でも述べましたがデットファイナンスは、エクイティファイナンスでの資金調達と比較しても利益率が大きく違います。ベンチャー企業などはなかなか資金調達が困難な一面もありますが、大きく利益を掴みたいのであれば積極的にデットファイナンスでの資金調達を行っていきましょう。