資金繰りとは?正しい意味や悪い状態を改善していく方法解説

資金繰り 計算

「資金繰り」という言葉、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?資金繰りは、企業が支出管理を行う上で必要なスキルになりますし、資金繰りが上手な会社は安定的な利益獲得を期待できます。

逆に、資金繰りについて把握していないと、将来的に資金で困ることも発生してきます。今回はその資金繰りについて、悪化する原因から、具体的な改善していく方法について述べていきます。

「資金繰り」の正しい意味を理解しよう

資金繰り とは

資金繰りとは、企業に入ってくる資金と、流出していく資金をうまくコントロールすることです。

「資金」=/=「利益」

資金繰りにおいて、資金と企業の利益を混同して考えている方がいるかも知れませんが、それは間違いです。

資金繰りにおいて大事なのは、手元にあり、いつでもすぐに出す事が可能な資金のことを指します。利益が出ているのに、資金繰りが悪いという企業も存在します。

ではなぜ、利益は資金に結びつかないのでしょうか?これは利益というものが会計上で出てきたものにすぎないからです。会計上では取引が発生した日をもとに計上しますが、実際の入金が数ヶ月から半年後という取引は珍しくありません。

入金がされていなければ、手元にキャッシュがありませんので、「資金」=/=「利益」となります。

資金繰り悪化で「黒字倒産」の可能性も

利益があるのに資金がない状態に陥っている会社は多数存在します。

原因は様々ですが、利益は上がっているのに資金回収が遅れることが主な原因です。入出金のバランスが悪化し、利益があるのに倒産する黒字倒産というケースもあります。

ちなみに、ここでいう資金は、企業が事業を行なっていくために手元に必要な営業資本です。このことを運転資本といいます。

運転資本についてもっと詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。

運転資本とは?計算やマイナスの意味までわかりやすく解説!

資金繰りの鉄則事項

資金繰りについて把握するためには、今いくら手もとに使える資金があるのか、またすぐに現金化できる資産はどのくらいあるのかを把握しておくのが大切です。資金状況を把握することで、将来のことまで含めた資金繰りが大きく改善されます。

そして、可能な限り前払いで支払いを受けることによって回収する時期を早めるとともに、支出を数ヶ月後など先延ばしすることによって、資金繰りを改善することができます。

資金繰りが悪化する原因と改善策

資金繰り 滞り

資金不足に陥るまでの時間が残り少なくなってしまうことを、資金繰りの悪化と言います。おおよそ三ヶ月先の支払いが可能であればまだ資金繰りは安全だと言えます。

資金繰りが悪化する原因はいくつか考えられます。今回は、いくつかの原因をピックアップしていき、それらに対する解決策も盛り込みながら解説していきます。

赤字経営

赤字経営は資金繰りが悪化する原因の最たる例であると言えます。

収益が下がった、人件費が上がった、固定費が上がったなど、赤字経営となる原因は様々でしょう。

赤字経営による資金繰りを改善するには、黒字経営に転じさせて行くのがセオリーです。

例えば、人件費節約のため社員をリストラしたり、無駄な経費を削減して経費をひねり出すようしましょう。

また、もし将来的な利益獲得が見えてるものの、どうしても節約できる幅が少ないかつ融資を受けてない企業であれば、融資を受けることも一つの手段です。

融資の返済

事業拡大などのために銀行から融資を受けることがあると思います。しかし、事業がうまくいかなかった場合、だんだんと資金繰りが悪くなってしまいます。

また、一時的に大きな収益を獲得したからといって、全額融資を返済する事も資金繰りを悪化させかねません。その後に期待通りの収益を得れるとも限らないため、余裕のある返済を選ばないと、資金繰りは苦しくなります。

資金繰りが悪くなる前に、事業拡大などについてはマーケティングなどを確実に行い、売れる確率を正確に見極めてから行うようにしましょう。

急激な売り上げの増減

売り上げが減ることはもちろん、意外かも知れませんが売り上げが急に増加することで資金繰りが悪化することもあります。売り上げが減ると資金繰りが難しくなるのは想像できると思うので割愛します。

では、なぜ売り上げが上がることで資金繰りが悪くなるのでしょうか?

これは、例えば「ソフトウェア開発にて、製品の制作を受託するも、支払いの受け取りが製品確認後という契約の場合、製品が完成するまでの人件費を払うことで資金が削られることから資金繰りが劇的に悪化する」というような状態です。

収入があることは確実だが、それまでの支出の費用により資金繰りが悪化することがあげられます。

借入返済額の増加

利益に対して返済額が高くなっていては、資金繰りは悪くなる一方です。また、借入額がたとえ小さくとも、金利が高すぎたり、あるいは返済期間を短く設定して無理が生じるパターンもあります。返済プランまでしっかり吟味する必要があります。

もし金利が高いところから借入を行なっている場合は、借り換えを行い金利の低いところから借り直すのも検討すると良いでしょう。

現状からできる資金繰りの改善策

資金繰り 改善

ここまでは悪化した資金繰りの改善策について述べてきました。しかし、たとえ今資金繰りが良い状態であっても、資金繰りについて考える事を企業は求められます。

ここからは、現状の資金繰りをさらに改善していくにはどうしたら良いかについて述べていきます。

手元資金を把握する

資金繰りを考える際に、今すぐに企業が使える資金がいくらあるのかを把握することは必須とも言えます。

資金を把握せずに企業運営を行うことは、財布にいくらお金が入ってるのか分からないのに買い物に行くことと同じようなものです。手元にある資金を把握した分だけ、すぐにでも資金繰りは改善できる点があります。

お金以外の資産を把握する

資金繰りを改善するために、商品の在庫など資金になりうるものを把握しておくことも大事であると言えます。

例えば、全く活用されてない土地など、保有しているだけで支出を発生させるものや、利益として資金を獲得できる商品の在庫などの、資金に変換可能な資本がある可能性もあります。

これらの整理を行うことにより、支出の削減や資本を資金に変換したりする事が可能となります。

将来の資金計画を把握する

資金繰りで重要なのは、現在の資金と将来の支出を逆算して行くことにあります。

将来いくらの資金が回収でき、いくら支払いがあるかというものを把握する事自体が、資金繰りの本質にあります。

将来資金繰りを悪くしないのではなく、常に良い資金繰りで事業を推進して行くことを心がけて行く必要があります。

資金繰りが滞った場合

それでも資金繰りが滞ってしまう場合があります。もしそうなってしまった場合は金融機関から融資を受けたりする必要が発生しますし、それができないのであれば倒産する恐れが発生します。

倒産をしてしまうと企業の社会的信頼は大きく落ちてしまいます。そのため資金繰りは経営者にとって非常に重要な知識となっているのです。

資金・資産を把握するための資金繰り表

資金繰り表

資金繰り表とは、自社の資金繰りが適切に行われているか否かを表す経営の羅針盤とも言える資料です。資金繰り表を用いて、自社の資金や資産を把握し資金繰り悪化の対策を練りましょう。 資金繰り表の主な3つのスタイルを紹介していきます。

月次資金繰り表

資金繰り表で一般的なものが一ヶ月ごとに管理するスタイルです。エクセルなどを使って自社オリジナルの票を作成しても良いですし、ひな形などを用いてもよいでしょう。

インターネット上からでもフォーマットを手に入れることができます。最近では、金融機関がホームページに公開するようなケースも増えているみたいです。 

資金繰り表

日繰り票

資金繰りがきわめて厳しいような企業では、月ごとの管理では不十分です。

例えば、売り上げ入金が月末に集中して、毎月25日に給与を支払っている企業であれば、月末に現預金残高がプラスであっても25日から月末まではマイナスになっている可能性もあります。

そんな時は、日繰り票です。 特に、月末の現預金残高が月商以下になるといったような場合におすすめです。

資金繰り表

 キャッシュフロー計算書をベースとした資金繰り票

キャッシュフロー計算書とは、会計期間におけるお金の増減を営業活動、投資活動、財務活動ごとに区分して表示する票です。 よって、お金の増減を細かいところまで把握することができます。 

資金繰り表

これら、3つの資金繰り票を参考にし、自社の資金繰り票を作成してみましょう。 自社資金繰り悪化の解決への手がかりとなるでしょう。

資金繰りの具体的な方法とは

資金繰り

では、資金繰りの方法として具体的にはどんなことが行なわれているのでしょうか。ここでは具体例をまとめました。

資金繰りは、大きく分けて内部調達と外部調達の二種類が存在します。それぞれご紹介します。

内部調達

内部調達とは、会社の資産から資金を生み出す調達方法です。もっと具体的にいうと、取引先との関係を強化するなどして自社に有利な条件へと持っていく方法です。

例えば以下のような方法が該当します。

  • 支払日を伸ばしてもらう
  • 入金を早めてもらう
  • 手付金を入れてもらう

外部調達

外部調達とは、外部から自社に資金を導入する調達方法のことを指します。

例えば以下のような方法が該当します。

  • 出資を受ける
  • 融資を受ける
  • 助成金をもらう
  • 高い金利のローン・融資を返済する

これらの調達方法は資金調達についての記事に詳しく書かれています。さらに知りたい方は以下をご覧ください。

資金調達の方法!事業を加速させる資金調達方法のメリット・デメリット

 後回しにして良い支払先

資金繰り表

 税金

税金は財務省が取り立てに来るものであり、ほかの債務よりも回収力の強いものです。 回収力が大きいため、確実に回収できる可能性が高いとして、財務署も数日〜1ヶ月程度の遅延でいきなり催促に来るようなことはありません。

社会保険料

社会保険料も当然支払わなければならないものですが、税金と同じく納付期限までに納付がなかったからと 言ってすぐに差し押さえられるわけではありません。

年金事務所にとっても無理な返済を迫って会社を倒産させてしまえば、保険料の支払いがなくなってしまいます。

なので、年金事務所は会社の事情をある程度考慮してくれるというわけなのです。会社側が正直に事情を話し、今後の納付計画をきちんと立てておけば、分納が認められます。

ただし、催促状の無視は厳禁です。年金事務所は会社の都合を汲み取ってくれますが、催促状を送ったのに連絡がない場合、催促状の到着10日後ぐらいから税務調査が行われ、差し押さえ処分が実行されてします。

銀行からの借金

銀行の借り入れも支払いを後回しにできます。銀行の借入については、相談が可能だからという点に尽きます。

銀行にとっても社会保険料と同じで無理に返済が厳しい会社に返済を迫り、会社を倒産させてしまえば返済されなかったお金が未回収のままで終わってしまいます。

だからこそ、リスケジュール(返済条件の変更)が可能になるのです。事前に交渉して、返済条件を緩和しましょう。

ここで紹介した後回しにしてもよい支払先は、簡単な気持ちで後回しにして良いものではありません。税金や社会保険料は期限までに決められた額を納めるのが当然の義務ですので、あくまで最後の最後の手段として考えてください。

まとめ

資金繰り 税金

資金繰りについての解説や、それらの改善策について述べてきましたが、いかがだったでしょうか?

資金繰りは、経営が厳しくなった企業に限らず、たとえ資産が潤沢出会っても今後成長して行くために企業にとって必要不可欠な知識になります。

資金繰りは経営者に必要不可欠な要素であるにも関わらず、ないがしろにされがちです。もしもの時のためではなく、これからの成長のために、今のうちに資金繰りについてを把握しておきましょう。