経費にできる、できない!?個人事業主が迷う経費について解説

個人事業主 経費

個人事業主として活動をしていると、経費となるものを自分で判断しなくてはなりません。しかし、経費として落ちるのか落ちないのか、判断するのは案外難しいものです。そこで今回は、個人事業主が経費として計上できる基準や経費計上のポイントなどを細かく解説します。

そもそも経費とは?

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そもそも経費とは、事業をする際にかかった費用のことを指します。

事務所を借りる際にかかった費用、机や椅子、またボールペンなど作業で必要な道具にかかる費用、さらには取引先に向かう際の電車賃、従業員を雇う際に発生する人件費など全て経費として分類されます。

個人事業主の場合、自宅を仕事場として使う人も多くいるでしょう。自宅の家賃や光熱費も一部経費とすることが可能です。そのことを家事按分といいます。

事業の利益(所得)が多ければ多いほど税金も多くなりますので、可能なかぎりの経費を計上することで税金を抑えることは大切です。もちろん脱税はダメですよ。

しかし、事業に関連するものすべての費用を経費にすることはできません。その辺の基準はどのようになっているのか、個人事業主として活動をし始めると非常に曖昧な部分になってくるのでより深く解説していきます。

経費として認められる3つのポイント

個人事業主 注意
  1. 事業に関連性があるか
  2. 事業のなかで必要性があるか
  3. 事業用の金額を明確にできるか

経費として計上できるのかの判断は上記3つのポイントに該当しているかを基準に判断されます。特に①の「事業の関連性があるかどうか」が経費として計上できるか争点となるポイントです。

事業の関連性があるかどうかを税務署が判断する基準としては以下の3点です。

  1. 経費が事業を行う際のどの売上に対応しているのか(業務の特定)
  2. 経費の目的が明確にある上で支出しているのか(支出の目的)
  3. 経費がどの事業活動に貢献し、有益であるのか(支出の貢献性)

例えば、飲食店やインターネットで事業をしている人の場合、美容代や仕事で着用するスーツ代などの費用を経費計上することはできませんが、芸能人やモデルのような職業である場合、美容代やスーツ代は、事業に関係する費用として認められ、経費として計上することができます。

税務調査で気をつけておくこと

税務調査とは、税務署の職員と直接面談して、必要経費として計上できる分のみを申告しているのかどうかチェックする目的で調査に来ることを指します。税務調査の際も、経費として計上できるかを判断するのに「事業との関連性」があるのかどうかがポイントとなります。その際に「社会通念上妥当であるかどうか」という文言が税務を取り扱う上でよく使用されます。

しかし、「社会通念上」という言葉に明確な定義はなく、「一般的に多くの人が納得できる常識の範囲」という曖昧な言い方で表現され、税務調査の際も「この経費が業務上関連しているのかどうか」が論点になります。税務調査が来た際はこの部分が指摘されるポイントですので、質問されたときにすぐ答えられるように対策をしておきましょう。

個人事業主の経費にできるもの

個人事業主 節税

個人事業主の経費にできるものを以下にまとめました。

経費計上できるもの
売上原価 仕入や製造にかかった費用
原材料などの仕入れ代金です。
地代家賃 オフィスの家賃や駐車場代
事務所や工場、倉庫などの家賃、月極の駐車場代などです。自宅 兼 事務所・店舗の場合は、事務所の面積と使用頻度の割合を基準に案分して経費とします。
水道光熱費 主に電気代が対象
電気、ガス、水道、灯油などです。自宅が事務所や店舗の場合は、それぞれの出費を案分して、事業用分のみが経費となります。事業内容によっては、水道代とガス代は経費として認められないことがあります。
通信費 電話、郵便、インターネットなど
事業で使う固定電話代、携帯電話代、ハガキ・切手代、プロバイダー料金などです。プライベート用と事業用を兼用している場合は、それぞれの出費を案分して、事業用分のみが経費となります。
旅費交通費 交通手段だけでなく、出張費用もOK
仕事で使った電車代、バス代、タクシー代、高速代、駐車料金、出張費用(宿泊費)、通勤手当などです。手帳やパソコンなどでこまめに入力しておきます。
消耗品費 オフィス用品全般
ペン、インク、コピー用紙、ノート、封筒、デスク、イス、蛍光灯などの事務用品全般です。10万円を超えるものは、減価償却費の対象となります。
荷造運賃 宅急便だけでなく、梱包用品もOK
商品の梱包と運搬にかかる費用です。宅急便、バイク便、航空便などの運送費、梱包に使われる段ボールやガムテープも含みます。
広告宣伝費 カタログや名刺もOK
名刺代、パンフレットやカタログ、年賀状、暑中見舞い、広告代、求人費用、展示会など、事業の広告宣伝に関する費用です。
新聞図書費 新聞、本、雑誌
事業で必要な情報を得るために読んだ新聞や書籍、雑誌などの費用です。
支払手数料 銀行関連や仲介者への手数料
銀行の振込手数料やATMの時間外手数料、売買契約の仲介者に支払う手数料などです。
租税公課 税金の一部や組合費
経費にできる税金のことです。所得税や住民税は経費になりませんが、個人事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金は経費とすることができます。また、商工会議所や同業者の組合などの会費や組合費も経費とすることができます。
接待交際費 取引先とのお付き合いに
得意先や仕入先、そのほか事業に関係する人との飲み代やプレゼント代なども経費とすることができます。菓子折りやお歳暮なども交際費にできます。
会議費 オフィスやオフィス外での会議
得意先や仕入先、そのほか事業に関係する人と打ち合わせで使った喫茶代、ランチ代、場所代などが会議費です。交際費との主な違いは、日中の交際費用で単価が高くないのが「会議費」、主に夜の交際費用で単価が高めなものが「交際費」です。
損害保険料 事業の資産に掛けた保険料
事務所や店舗、工場などの資産に対して掛けた火災保険や自動車保険などの保険料です。基本的に掛け捨ての保険を指します。貯蓄型の場合は積立保険料に相当する分を差し引きます。
減価償却費 高価なものを購入した時
車やパソコンなど、一般的に10万円を超える高価な備品も経費となります。ただし、その年にすべてを経費とせずに、耐用年数をベースに数年間に案分して経費に計上します。
修繕費 修理や点検代
土地、建物、車などの固定資産を維持管理するのに使った費用です。壁の塗り替え、屋根の修理、定期保守点検などをして原状回復することをいいます。
利子割引料 ローンなどの利子・利息
事業資金として借入をした際、元本以外に支払う利子のことです。土地の購入や事務所・店舗のリフォームなどで借入をした際のローンの利息も経費になります。
リース料 リース契約を結んだ時
コピー機やFAX、車などをリースしている場合に支払う貸借料のことです(リースを利用していない個人事業主には関係ありません)。
貸倒金 取引先の倒産時に
取引先が会社更生法や破産法などで法的手続きに入ったり、倒産した時、回収不能となった売掛金や貸付金などを経費にすることができます。
貸倒引当金 将来の取立不能見込額
経済状況を反映して、売掛金・受取手形などの債権の貸倒れリスクに備え、その見込額を計上することができます。
給与賃金 (専従者)給与、退職金、手当など
従業員、パート、アルバイトに対する給与や退職金、手当のことです。家族に支払った給与(専従者給与)も経費となりますし、従業員の制服なども現物給与として、経費となります。
福利厚生費 レクリエーションや慶弔金
従業員との忘年会費、社員旅行費、福利厚生費、従業員の慶弔金、記念品などのことです。一般的に家族以外の従業員に対するレクリエーション費用が対象となり、個人事業主が自分に対して使った旅行代やジムなどの費用は残念ながら経費とはなりません。

引用:個人事業主.com「経費とは?経費になるものならないもの」

個人事業主の経費 – 家事按分

個人事業主が経費にできるもののなかで「家事按分」という項目があります。家事按分とは、事務所や店舗がなく、自宅を仕事場にしている個人事業主の場合、生活費と経費が混同することになるので、その費用を分けることをいいます。

家事按分できるのには主に3つあります。

電気料金

電気料金も家事按分できます。例えば仕事で自宅のPCを使用している場合これも経費にあたります。按分は主に使用時間で計算します。仕事で使った分の時間を経費にあてがうことができます。

通信費

インターネットの接続料金やプロバイダーの使用料、スマートフォンの料金も通信費に含まれます。これらも電気料金同様、仕事で使った分の使用時間で按分します。

家賃

家賃も家事按分できます。自宅を仕事場として使用している場合、家賃を経費にあてることが可能です。この場合、仕事で使用する家の割合と、プライベートで使用する割合を、床面積を抜いて按分します。なので、仕事スペースとプライベートのスペースをきちんと区分けしておかないと按分が難しくなるので注意しましょう。

ちなみに、上記のことは賃貸の場合のみです。持ち家の場合は、固定資産税や住宅ローンの利子、火災保険料などかかる金額を合計し、事業で使用している分とプライベートで使用している分を按分し、経費を算出します。ただし、住宅ローンの元金の返済分は経費にできないことや、住宅ローンの控除を何かしらで受けている場合、事業で使用している分を経費にできません。また、そもそも事業で使用する割合が自宅の50%以上の場合は住宅ローンの控除を受けることができません。

持ち家の場合は経費の計算が複雑になるので注意が必要です。場合によっては住宅ローンの控除を受けた方が得することもありますので、どちらが将来的に特なのか見定めてから経費にしましょう。

忘れてしまいがちな経費の項目

固定資産税、不動産取得税、個人事業税、自動車税、登録免許税、印紙税などの税金や、ローンなどの利子・利息、従業員への給与なども経費にできます。見落とさずに経費計上しましょう。どのような区分けになるのかは、上記にまとめた表を参考にしてください。

また、以下の項目も経費計上できるので、きちんと申告をしましょう。

飲食代

気分転換にカフェで仕事をしたり、打ち合わせとして利用する場所で食事にかかった費用も経費計上できます。この場合、作業場の代わりとして使ったのであれば「雑費」、打ち合わせとして使用したのであれば「交際費」として区分けします。

祈祷料

商売繁盛を願い神社で祈祷をお願いする人も多いのではないでしょうか。実はその際に支払う祈祷料も経費にすることができます。もちろん事業に関連性のあることが経費にできるという前提ですので、個人的なお参りで支払った分は経費にはできません。

慶弔金

取引先に関係する人に対する慶弔金も経費にすることができます。この場合領収書ができないので、日にちを控えておいて案内状をとっておくと良いでしょう。

個人事業主で経費にできないもの

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基本的に事業に関連性のないものは経費として含まれません。例えば、家庭用の光熱費・通信費、プライベートの旅行、飲食、プレゼント、スポーツジム、健康診断などは、経費に計上することができません。

健康診断費

企業などに勤めていると健康診断が義務付けられいて経費計上することができます。一方、個人事業主の場合、健康診断にかかった費用を経費計上することができません。事業に関連性のないものと判断されます。

福利厚生費

健康診断と同じく、企業に勤めていると福利厚生でスポーツクラブや宿泊施設が割安で使用できることがありますが、これも個人事業主は経費にすることができません。

なぜ経費で落とせないのかということですが、それは本来、福利厚生とは従業員の慰安のために定めた企業の制度なので、個人事業主にはない概念だからです。これが経費になると、どこまでが経費として計上できるのか線引きが難しくなってきます。あくまでも事業に関連性があり、なおかつ事業を行う上で発生したものが経費として扱われます。

スーツや靴代

スーツや靴代は、事業に関連性のあるものですが、これも「プライベートでも使えるもの」として判断され経費計上できません。特例として芸能やモデルの仕事でスーツや靴を衣装として使う場合は経費として認められますが、原則として経費にすることはできませんので注意しましょう。

まとめ

フリーランス 節税

今回は個人事業主にまつわる経費のことについて解説してきましたがいかがでしたか?個人事業主は経費の判断は自分でしなくてはならず、時として経費として計上できるのか判断しかねる場合があります。

経費として落とせないものを経費に計上していると税務調査の際にとても面倒になるので、税理士に相談するなどしてきちんと対応することを心がけましょう。