コアコンピタンスとは?事例やケイパビリティとの違いを解説

コアコンピタンス

企業経営において欠かすことのできない事業の中核的な強みとなる「コアコンピタンス」。今回はコアコンピタンスの用語解説をはじめ、分析の仕方、トヨタやソニーの企業事例、ケイパビリティとの違いを解説していきます。

コアコンピタンスとは?

ストックオプション とは

コアコンピタンスとは、一言で言ってしまうと「企業の強み」です。

「コア=中核」と「コンピタンス=能力、実行力、力量、才能」が組み合わさった言葉で、1994年に経営学者のゲイリー・ハメル氏とプラハラード氏が『コア・コンピタンス経営』という書籍の中で提唱したのが始まりです。

コアコンピタンスには様々な要素があり、事業を進めていく上で、また継続的に利益を出していく上で非常に大切な要素であると考えられています。

コアコンピタンスを分析する時の着眼点

コアコンピタンス 分析

コアコンピタンスを分析する際には、主に以下の5つに注目して分析していきます。

  1. 模倣可能性
  2. 移動可能性
  3. 代替可能性
  4. 希少性
  5. 耐久性

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.模倣可能性(Imitability)

模倣可能性は、競合他社に真似されやすいかどうかという視点で分析するものです。模倣可能性が低いほど(真似されにくいほど)、競合他社に追いつかれる可能性が低いので競争優位性が高いです。

例えば、トヨタのカンバン方式は非常に真似されにくい生産方式で、トヨタの強みとなっています。

2.移動可能性(Transferability)

移動可能性は、ある強みを他の製品や分野でも活かせる汎用性があるかどうかという視点で分析するものです。移動可能性が高いほど、利益を上げやすいので競争優位性が高いです。

例えば、画期的な技術で新商品を開発したとしても、その技術に汎用性がなく、特定の商品の開発にしか使えないのであれば、その技術にコアコンピタンスがあるとは言えません。

3.代替可能性(Substitutability)

代替可能性は、他の方法やもので置き換え可能かどうかを分析するものです。置き換えができない唯一無二のものであれば、それだけ市場を独占的にシェアできます。

例えば、iPhoneの発売初期は代替可能性の低い唯一無二のものと言えたでしょう。

4.希少性(Scarcity)

希少性は、企業が有している技術や特性に希少性があるかどうかを分析するものです。希少性が高いほど、価値が高まりますので利益を生み出しやすくなります。

例えば、任天堂が2006年に発売したゲーム機のWiiは、常に需要が供給を上回り品薄状態が続きました。手に入れにくいという希少性がさらなる人気の後押しとなり、結果的に5,000万台近くを販売しました。

5.耐久性(Durability)

耐久性は、その強みが長期間に渡って維持できるかどうか分析するものです。耐久性が高いほど、コアコンピタンスの価値が廃れにくく、長期間に渡ってコアコンピタンスが持続することとなります。

例えば、技術進歩の早いIT業界では、他の業界と比べて比較的耐久性が低いと考えられています。また、近年ではあらゆる業界で耐久性が低くなっています。

コアコンピタンスの企業事例

コアコンピタンス トヨタ ソニー 事例

ソニーの小型化技術

ソニーが1980年代に発売した「ウォークマン」はコアコンピタンスの事例としてよく取り上げられます。

ソニーのウォークマンにおけるコアコンピタンスは主に以下の3点。

  1. 模倣可能性:ソニーの小型化技術力は競合他社が簡単に模倣することができませんでした
  2. 移動可能性:ウォークマンの販売後、ソニーはポータブルCDラジカセやポータブルMDプレイヤーなど、小型化技術を活かした横展開を行ないました
  3. 代替可能性:ウォークマン以前には音楽を外で持ち歩いて聞くという市場自体が存在していませんでした。消費者のマインドを変化させ、新しい市場を作り上げたウォークマンに代わる存在はありませんでした

トヨタのカンバン方式(トヨタ生産方式)

経営学の題材として世界中で使われるトヨタのカンバン方式。カンバン方式のコアコンピタンスとしては、

  1. 模倣可能性:日々の改善によって生み出されるカンバン方式は、容易な模倣が難しく、トヨタの強みとなっています
  2. 移動可能性:特定の車種だけでなく、トヨタが生産するあらゆる車種に対して応用が可能です
  3. 耐久性:昔から知られているトヨタの強みにも関わらず、依然としてトヨタの強みとなっています

コアコンピタンスとケイパビリティの比較

資本政策 とは

企業経営におけるコアコンピタンスを語る際、必ずと言ってもいいほど出てくる言葉にケイパビリティがあります。

コアコンピタンス、ケイパビリティともに日本語に訳すと「能力」と翻訳されてしまうため、同じ意味のように思われがちですが、両者には明確な違いがあります。

両者の違いを理解するためにも、まずはケイパビリティについて解説していきます。

そもそもケイパビリティとは?

ケイパビリティ(Capability)とは、「Capable(可能)」と「Ability(〜できること)」が合わさった用語で、特定の事柄を成し遂げる遂行能力を意味します。

例えば、スピーディーな納品や質の高いカスタマーサポートができる優秀な社員がいることはケイパビリティと言えます。

コアコンピタンス(コンピテンシー)が競合他社と「比較」した上での強みであるのに対し、ケイパビリティは社内に内包されている企業独自の強みのことです。

つまり、コアコンピタンスが相対評価であるのに対し、ケイパビリティは絶対評価なのです。

コアコンピタンスはケイパビリティの集合体

競合他社に対する強みは、企業独自の内包的な強みが積み重なって生まれるもの。例えば、スピーディーな納品と質の高いカスタマーサポートという1つ1つの強みが積み重なった結果として、競合他社よりも優れたサービスを提供できるというコアコンピタンスになります。

つまり、複数のケイパビリティが合わさってコアコンピタンスになるのです。もちろん、コアコンピタンスはケイパビリティだけで形成されているわけではないということに留意することが必要です。

まとめ

コアコンピタンスについて解説してきましたが、いかがでしたか?

企業が継続的な利益をあげるために大切なコアコンピタンス。ビジネスモデルを考える上でも、事業を推進していく上でもコアコンピタンスを確立することは欠かせません。

これから起業しようとする方は、考えているビジネスモデルのどこにコアコンピタンスがあるのか、またそのコアコンピタンスは客観的に見て確かな強みなのかを確認しましょう。

また、すでに事業を営んでいる方は、一度時間を作ってあなたのビジネスのコアコンピタンスについて考えてみるといいでしょう。