個人事業主になるには?税金のメリット、開業の仕方など解説

個人事業主 フリーランス

今回は個人事業主の開業の仕方や税金のことについて書いていきます。

近年、副業をしながら働くサラリーマンが増加し、個人事業主のあり方が変わってきました。減少傾向だった個人事業主で働く人の割合も若干ですが増加傾向にあります。

  • 副業をしているサラリーマンは個人事業主として申告した方がいいのか?
  • 独立したいんだけど、法人で登記するのか個人事業主として開業するのかどちらがいいのか?
  • そもそも個人事業主って何?そのメリットって?

以上のことをポイントに「個人事業主」について解説します。

個人事業主とは

フリーランス

個人事業主とは、会社に雇用され毎月固定の給与をもらうのではなく、独立して自分で事業を行なっている人のことを指します。自分で事業を行う場合、会社を登記し事業を行う場合と、会社を持たず個人で事業を行う場合がありますが、個人事業主は後者にあたります。

一昔前、八百屋さんや街の電器屋さんなど個人商店を営む人が多く、個人事業主の形態で働く人が多くいました。しかし、近年、大型ショッピングモールやチェーン店などが台頭し、個人商店の割合が減りサラリーマンとして働く人が増えたことで、個人事業主として働く人の割合は大きく減少しました。

最近はITエンジニアやWebデザイナーなどが独立し、「フリーランス」として個人で生計を立てて働く人たちが増えたこともあり、また個人事業主としての働き方が再び注目を浴びています。

「個人事業主」開業ってどうするの?

会社員 副業

個人事業主の開業は誰でもできる!?

開業届を出せば、誰でも個人事業主として働くことができます。会社を設立する時と違い、費用がかかることもなく、面倒な手続きも必要ありません。「誰でも手軽に開業できる」という、自由度の高さが「個人事業主」として働くことのメリットの1つといえます。

「個人事業主」開業の簡単な5つのステップ

では、実際に個人事業主として開業するにはどのような手順を踏めば良いのか順を追って解説します。

①屋号を決める

「株式会社◯◯」のように、個人事業主も会社名のように名前をつけることができます。それを「屋号」と呼び、領収書や請求書にもその屋号を使用することができます。屋号は必ずしもつける必要はなく、「個人名」を屋号の代わりとして使うこともできます。

「屋号」で開業すれば、屋号名で銀行口座を作れます。個人事業主は、個人で事業を行うが故にプライベートとビジネスの口座を一緒にしてしまいがちですが、屋号を作ることにより分けて管理することができます。

②白色申告か青色申告かを設定する

「確定申告」における申告の方法を説明します。確定申告には白色申告と青色申告の2つの申告の仕方があります。

白色申告は、帳簿付けが簡単で申告も非常に簡素化されています。一方で税金の控除措置などの特例がほとんどなく税制上優遇を受けろことができません。白色申告は、個人事業を始めて間もない方や、所得が少ない方が選択する傾向にあります。

一方、青色申告は、白色申告よりも帳簿付けが難しく、確定申告の提出書類も多く煩雑なものとなります。その代わり、最大65万円の税金特別控除や赤字繰越が3年間できるなど税制上の特例措置が多くあるので、個人事業主の多くは青色申告で確定申告を行なっています。

青色申告は前もって税務署へ申請書を出しておく必要があり、個人事業主として開業届を出した時に何も申請をしていなければ白色申告の扱いになります。ちなみに年度の途中でも確定申告前に申請書を出せば後から青色申告に変更することも可能です。

③税務署へ開業届を提出する

屋号と申告方法が決まったら、税務署へ開業届を出しに行きましょう。税務署に用意してある開業届を書いて提出すれば完了です。国税庁のサイトに開業届のフォーマットがあるので、ダウンロードして事前に記入していくとスムーズに当日開業届を出すことができます。

引用:【手続名】個人事業の開業届出・廃業届出等手続(国税庁HP)

ちなみに青色申告をする場合、開業届を出した時に申告すればすぐに申請書をもらえます。開業届を出すと同時に、青色申告の申請書を同時にもらっておくと良いでしょう。青色申告の申請書も国税庁のHPにフォーマットがありますので、そこから書面を事前にダウンロードすることができます。

引用:【手続名】所得税の青色申告承認申請手続(国税庁HP)

税務署で開業届が受理されたら、そこから「個人事業主」として活動することができます。

④必要な許認可を受ける

個人事業主として開業ができたとしても、許認可を受けないと商売ができない業種が数多く存在します。許認可が必要な業種で開業する場合、営業前に申請をしておかないと営業ができないので、開業届をだしたらすぐに許認可を取りにいきましょう。

下記に許認可が必要な業種と、その許可や届先の一覧を記載しましたので、確認してみてください。

業種 許可・届出 許認可権者
不動産業 宅地建物取引業免許 国土交通大臣 or
都道府県知事
建設業 建設業許可
旅行業 旅行業登録
旅行代理業 旅行業者代理業登録 都道府県知事
タクシ-業 一般乗用旅客自動車運送事業許可 国土交通大臣
トラック運送業 一般貨物自動車運送事業経営許可 運輸局長
軽トラック運送業 貨物軽自動車運送事業経営届出
自動車分解整備業 自動車分解整備事業認証
人材派遣業 一般労働者派遣事業許可
特定労働者派遣事業届出
厚生労働大臣
酒の販売 酒類販売業免許 税務署長
倉庫業 倉庫業登録 国土交通大臣
煙草の販売 たばこ小売販売業許可 財務局長
飲食店 食品営業許可 保健所
ホテル・旅館 旅館業営業許可
美容院 美容所開設届出
理髪店 理容所開設届出
クリーニング店 クリーニング所開設届出
介護事業 介護事業指定 都道府県知事
産業廃棄物処理業 産業廃棄物収集運搬業許可
産業廃棄物処分業許可
貸金業 貸金業登録 財務局長 or
都道府県知事
中古品販売 古物商許可 公安委員会
風俗営業 風俗営業許可
警備業 警備業認定
探偵業 探偵業の届出

引用:「個人事業主.com」

⑤個人事業用の帳簿を用意する

個人事業主の経理は法人よりも簡単なので、自分で帳簿をつけて確定申告をすることができます。さらに、現在では個人事業主用の会計ソフトが安価な金額で利用できるので、経理に疎い方でも簡単に帳簿をつけることができます。しかし、そういったソフトに頼らず、「税金」のことを詳しく知っておくことは独立して事業を行う人にとって必須科目です。後々、税金のことでトラブルにあわないように定期的に税理士に相談に乗ってもらうことをおすすめします。

ちなみに、法人の場合、決算月を自由に決められますが、個人事業主の場合は全員毎月12月が決算月になります。1/1〜12/31までの営業記録(新規開業した場合、開業日から12/31まで)を、翌年の2/16〜3/15の間に税務署へ申告するという流れです。

お金の管理をきちんとしないと、後々確定申告の時に大変な思いをすることになります。月々の売上記録や経費の使い道を日々の業務できちんと残しておくようにしましょう。

「個人事業主」と「法人」比較

会社員 フリーランス

起業や独立、開業を考えた場合、「個人事業主」か「法人(会社)」のどちらの形態で事業を行うか悩みどころです。どちらを選択するのが適切でしょうか。それぞれ比較して解説していきます。

個人事業主のメリット(法人比較)

個人事業主のメリットは、なんといっても「誰でも気軽に、すぐビジネスができる」ことです。会社の設立〜維持、または会社をたたむ時すべてに法人はコストがかかるのに対して、個人事業主で開業する場合は設立や廃業の際にコストがかからないことや、月々のランニングコストも抑えることができます。

仮にはじめた事業が赤字になったとしても、開業してから3年間は赤字繰越もできます。(法人の場合赤字でも7万円税金がかかる)

「いくつかやりたいことがあって、どれもやってみたい」「今現在、サラリーマンだけど副業にもっと力を入れたい」「フリーで自由に暮らしたい。仕事を抑えながらプライベートも充実させたい」など、「個人単位」でビジネスを始めていきたい人にとって「個人事業主」は適しています。

法人のメリット(個人事業主比較)

法人(会社)のメリットは、「信用度の高さと、節税に優れている」ところです。法人は、設立費用や維持、会社を廃業する時まで全てにそれなりのコストがかかります。コストの良さで考えると個人事業主には劣りますが、その代わり法人は信用度が高いので個人事業主に比べて大きな資金調達ができたり、取引先を多く獲得できたり、多くの人材を雇用することができます。

さらに、法人税と所得税を比較した時に法人税の方が累進性が低く、法人の方が経費で支払いができることも多い為、一定の収入を超えた場合、節税の面でも優れています。

年間所得金額 所得税 住民税 事業税 合計税率
195万円以下 5% 10% 15%
195万円超~290万円以下 10% 10% 20%
290万円超~330万円以下 10% 10% 5% 25%
330万円超~695万円以下 20% 10% 5% 35%
695万円超~900万円以下 23% 10% 5% 38%
900万円超~1,800万円以下 33% 10% 5% 48%
1,800万円超 40% 10% 5% 55%

▲個人事業主の課税の税率

年間所得金額 法人税 住民税 事業税 地方法人特別税 合計税率
400万円以下 15.0% 2.60% 2.70% 2.187% 22.482%
400万円超~800万円以下 15.0% 2.60% 4.00% 3.240% 24.835%
800万円超 25.5% 4.41% 5.30% 4.293% 39.505%

▲法人の課税の税率
引用:決算ドットコム「個人事業主と法人化の税率」

自分のやりたい事業が決まっていて、事業規模を大きくしていきたいと考えている人は法人にすると良いでしょう。また、個人事業主で事業をしている人も、売上が1000万円を超えた場合、法人にした方が節税においてメリットがあります。ちなみに個人事業主から法人に形態を移行することを「法人成り」と言います。

 

個人事業主 法人
開業、設立について 開業届のみ(0円) 登記、定款作成等

(合同会社約6万円、株式会社約25万円) 

会計、経理 確定申告 法人決算書、申告
赤字の繰越 3年 9年
経費  認められる範囲 が狭い 認められる範囲が広い(経営者の給与や保険料など)赤字の場合でも法人税7万円かかる
事業の廃止 届出を出す(0円) 解散申請、公告など(数万円程度)
信用度
生命保険 所得控除 全額経費
社会保険  会社負担分なし (5人未満) 会社負担分あり(全員)

▲個人事業主、法人比較

「個人事業主」と「会社員」比較

サラリーマン 副業

「会社員」と「個人事業主」それぞれの立場のメリットを解説していきます。近頃は、会社員として働きながら、副業で収入を得る人も増えてきました。国単位で副業を推進する流れもあり、今後も副業をしながら働く会社員は増えていくといわれています。そのように個人事業と会社員の両立は可能なのでしょうか?

それぞれのメリットを含め解説します。

個人事業主のメリット(会社員比較)

個人事業主として働くメリットは、会社員とは違い、結果を出せば出した分だけ収入になるということです。会社員として長く働いているとついつい意識が薄れてしまうことですが、個人事業主になると仕事がある限り、どれだけやろうがやった分だけ収入になります。

ある程度業界のスキルや経験がある方であれば、自分の実力に見合った収入を得ることができるので、独立して働くことも視野にいれると良いでしょう。また売上が多い場合、個人事業主として事業をすれば、青色申告による控除を年間65万円まで受けることができます。

そういった青色申告などの確定申告のやり方をはじめ、事業を行うのに必要な業務をすべて自分で行わないといけない上に、自己責任になる分、様々な経営に関する知識とスキルが身につくこともメリットの1つです。

会社員のメリット(個人事業主比較)

会社員として働くメリットは、もらっている給与以外に「見えないお金」があるという点です。例えば、税金に関する業務(給与計算や保険)は基本的に会社が行ってくれますし、経費(交通費、オフィス費用、事務所備品など)も会社持ちです。他にも有給休暇があったり、福利厚生が充実している会社であれば、社員旅行、忘年会など会社負担のイベントがあるなど、様々な恩恵を受けることができます。また万が一のことがあって働けなくなった場合、健康保険や雇用保険が適用されます。

上記のような仕組みを個人事業主がやるとすると相当なコストがかかります。だからこそ、会社員はもらっている給与以外にかなり充実した支援を会社から受けていると言えます。

個人事業主と比べ安定感でいえば、会社員の方がメリットは計り知れないものがあるでしょう。

「会社員」と「個人事業主」を両立することは可能か

両立することは基本的になんの問題もありません。世の中にはサラリーマンとして働きながら、個人事業主として働いている方、会社以外で複数の収入を得ている方はたくさんいます。政府も働き方改革の中で、会社員の副業や兼業を後押しする方針を打ち出しています。

そうした流れもあり副業を認める企業も増えてきましたが、いくつか気をつけておかなければならない点もあります。

①副業禁止の会社ではないか

会社によって、就業規則で副業を禁止している所もまだ多く存在しています。そのような場合、会社の業務に支障をきたすとみなされ、両立は難しいでしょう。副業が禁止されているにも関わらず無断で個人事業主として収入を得ていると、会社からペナルティを受けてしまう事もあるため注意が必要です。

マイナンバーの導入もあって、個人の副業での所得が会社にバレてしまう確率も以前より高くなりました。会社以外に一定の収入がある場合、上司などから指摘されるリスクが高まりますので気をつけましょう。

②税金はどうなるのか

納税する額は副業での収入の規模の大きさや経費で使った額によっても変わってきますが、納税すること自体義務です。

所得の分類ですが、規模が小さい場合は「雑所得」として扱われることが多く、規模が大きい場合には「事業所得」として扱われます。この規模の境目は税務署側の判断であり、具体的な基準はありません。黒字幅が大きい場合は開業届を出して青色申告を活用し、控除などを受け、節税策を使いましょう。

ちなみに、社会保険の面で考えると会社員で副業をするメリットは大きいです。会社員の社会保険は勤務先の4月〜6月の収入に応じて決まりますが、そこに副業の収入は加算されません。ですので、副業の収入分は保険で引かれることがないのでお得です。

個人事業主(まとめ)

個人事業主

個人事業主について解説してきましたが、いかがでしたか?

個人事業主として活動することは、誰でもすぐ可能です。

  • やりたい事業があるけど、まだ自信がない
  • ひとまず様子をみながら事業を始めたい
  • 会社勤めしているが、副業をしたい

そんな風に思ったら、個人事業主として開業することも考えてみてください。

会社を設立するより、手続きがシンプルでコストもかかりません。ハードルが低い分気軽に始められるので、まだ起業をすることに抵抗がある方は個人事業主として活動することがおすすめです。