CHRO(最高人事責任者)とは?役割や人事部長との違い

人事部門の最高責任者であり経営に携わる役職「CHRO」。日本ではまだ認知度が低く、会議で聞いたけどなんのことかわからない、という人も多いでしょう。そこで今回はCHROの役割や仕事を、実例もあげて紹介します。

CHROとは?

CHRO

CHROとはChief Human Resource Officer(最高人事責任者)の略で、アメリカの企業統治形態である「オフィサー制度」における役職の一つです。日本でもCEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)などの役職を置く企業が増えたため、「オフィサー制度」における役職について聞いたことがある人も多いでしょう。

しかしCHROは知らない、聞いたことがないという人は多いです。なぜなら日本企業ではCHROを置いている会社は10%程度で、普段CHROという言葉を聞く機会も少ないからです。

CHROの役割とは?

CHRO

CHROは人事の最高責任者として経営に携わります。なので従来の人事部長がやっていた採用、教育、労務、福利厚生なども業務の範囲内です

しかしそれ以外にも、組織の「人」に関する課題を見つけ解決していくことが求められます。さらに採用をする際も、成長戦略段階からの参画が求められているのです。

CHROと人事部長の違いとは?

CHRO

CHROと従来の人事部長の大きな違いは経営に「携わる」か「従う」かです。

従来の人事部長の仕事といえば、経営陣が決めた方針を実現するための人事業務でした。しかしCHROは経営に積極的に参画することを求められます。

具体的には組織の改編や採用計画の立案、評価や報酬などによるインセンティブ設計など。そして必要であればCEOや他の役員に、要求したり提言すべきです。もちろん従来の人事部長も同様の仕事をしますが、CHROは経営の参画をより強く求められるのです。

CHROの実例

CHRO

実際にCHROを置いている企業を見ていきましょう。

Google

2006年、NASDAQ上場から二年後、まだ社員6000人のGoogleにゼネラル・エレクトリック(GE)から人事部門のトップとしてラズロ・ボック氏が入社しました。

当時、Googleは創設者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの方針で難関大学を優秀な成績で卒業した人材を採用していました。それが優秀な人材だと考えていたからです。

しかしボック氏はそれまでの学歴重視の採用をやめました。それはデータ分析の結果、社員の学歴とGoogleでのパフォーマンスはまったく無関係であると判明したからです。

その後ボック氏は「10の鉄則」(ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える ラズロ・ボック (著)参照)でもってGoogleの人事に取り組んでい来きました。

2017年、Googleは社員約6万人、その半数近くの社員が大学を卒業していません。しかしその売上は持株会社のAlphabetグループ全体で1108億5500万ドル(2017/01/01~12/31)、その98.91%がGoogleにあたり単体での売上は1096億5200万ドル。

日本円にして約12兆円にも上ります。

Alphabet Inc Alphabet Inc.

画像はGoogle親会社Alphabetの業績推移とGoogleのセグメント売上高

引用元:https://www.stockclip.net/companies/6826

CyberAgent

2008年にCyberAgentでは曽山哲人氏が人事部長から取締役に就任しました。

CyberAgentには「実力主義ではあるけども終身雇用の会社を目指そう」という考えた方があります。彼はそのビジョンを実現する「ミスマッチ制度」とよばれる評価制度を導入しました。

この制度は長期雇用により増えるぶらさがり社員に変化を促すものです。会社の価値観とあわない社員、周囲に迷惑をかける社員に対して異動、もしくは退職を勧告。逆に優秀な社員は年二回入る査定によって、一般的な企業よりも早くよい待遇を得られます。

2017年CyberAgentの売上は3,713億円、2008年の4倍強になっています。

CyberAgent

画像はCyberAgentの業績推移

引用元:https://www.stockclip.net/companies/1381

CHROに求められるスキル

CHRO

 

ではCHROになるために必要なスキルとは何でしょうか。

大きくは以下の2つにまとめられます。

  1. 経営者的な発想・思考
  2. 人事労務に関する経験・知識

そもそもCHROに求められている仕事とは、ビジネスを理解し会社が目指す理想を実現する人事です。

そうしたCHROとしての責務を果たすには、従来の人事部長よりも視野を広く持たなくてはなりません。とくに会社のビジョンを理解することは必要不可欠です。

会社は何を目指して創業したのか、どの領域で勝負するのか、スピードを大事にするのか、品質を大事にするのか等を完全に理解しているべきです。

そして会社にとって大事なものはなにかしっかりと理解した上で、どんな施策をとらなければならないか、経営者視点で考える必要があります。

例えば組織構造がなにかの問題の根本的原因だった場合には組織改革すべきですし、評価制度が機能不全を起こしているのならばこれも改善が必要になります。

求めている人材が現在の方法で採用できないなら、新たな採用手法を開発する必要も出てくるでしょう。

そしてこうした施策を実行するためには、人事労務の経験や知識が必要となってきます。

まとめ

CHROとは経営者としての視座をもちながら、経営戦略に基づいた人事を立案・実行していく存在です。会社を大きく成長させるために優秀な人材を囲い込もうと思うのなら、CHROは今後必要となってくるでしょう。