事業承継とは?事業継承との違い、税金、補助金、譲渡先の選び方を解説!

事業承継

事業承継とは、会社の経営を信頼できる後継者へと引き継ぐこと。事業承継は経営者にとって最後で、かつ最も重要な仕事と言われています。今回は事業承継における種類をはじめ、それぞれのメリット・デメリット、リスク、事業承継税制や事業承継補助金について詳しく解説していきます。また、事業承継と事業継承の違いなどについても説明していきます。

事業承継とは?

事業承継 事業継承

事業承継とは、会社の経営を信頼できる後継者へと引き継ぐこと。事業承継は経営者にとって最後で、かつ最も重要な仕事と言われています。

また、事業承継では実質的な経営権だけでなく、不動産や株式などの資産も引き継ぎの対象となります。会社の規模にもよりますが、後継者を決めるに当たっては取締役や株主の承認が必要です。

 

事前準備がない事業承継におけるリスクを把握しよう

事業承継 リスク

事業承継をすることによって、今の社長から新体制へと変わりますので、様々なリスクがあります。

リスクを下げるためにも早めの準備が大切なのですが、まずはどのようなリスクがあるのか見ていきましょう。

後継者の育成に時間がかかり、事業承継が上手く行かないと廃業のリスク

そもそもの問題として、事業承継においては適切な後継者を見つけるのが困難な状況になっています。現在の日本では親族への承継ができないケースが増えており、親族以外から後継者を見つけることになります。

後継者候補と思って育てていたら、最後の最後になって引き継がないということがわかって廃業するしかないという中小企業もあります。

相続税・贈与税などの高い税金のリスク

事業承継では後継者の税の負担が大きいです。

親族への事業承継では様々な対策を取ることができますが、親族以外への承継の場合、後継者の理解と事前の対策が大切になります。

昨今では、事業承継税制や事業承継補助金などの国の支援もありますので、有効に活用するのがいいでしょう。これらの制度については後述します。

相続争いのリスク

親族関係が複雑であったり、株主が複数いる場合に問題となるのが相続争い。事前に調整しておくことで無駄な争いをしないで済むようにしましょう。

事業承継の種類とそれぞれのメリット・デメリット

事業承継 メリット デメリット

事業承継には主に4つの方法があります。

親族への承継

中小企業において最も一般的と言えるのが親族への承継。息子や娘が後継として事業を引き受けることが多いですが、昨今では急激に減っているケースと言えます。

メリットとしては、

  • 時間をかけて事業承継ができる(すぐに引退するのではなく、徐々に引き渡す)
  • 取引先の理解が得られやすく、良好な関係を続けやすい
  • 財産(主に株式)の承継において、税制面で取れる選択肢が多い

一方のデメリットとしては、

  • そもそも適切な後継者がいない可能性がある
  • 後継者候補が複数人いる場合(例えば兄弟が複数人いる)、家族間での揉め事に発展する

役員や従業員への承継

親族への事業承継が減少している一方で、役員や従業員への事業承継は増えている傾向にあります。

メリットとしては、

  • 事業内容を熟知している者へ引き継げる
  • 幅広い人材から候補者を選べる
  • 後継者のことを十分に理解した上で引き継げる

一方のデメリットとしては、

  • 後継者候補による争い、派閥化が見られる
  • 後継者の金銭的負担が大きい(株式の買取ができないケースも)

株式上場による承継

事業承継の方法としてあまり見られませんが、株式を上場するという方法があります。

株式を上場することによって、優秀な人材を採用することができ、適切な後継者を見つけられる可能性が高まります。

ただし、上場のためのハードルは非常に高く、上場という手段を取れる中小企業は限られているでしょう。

M&Aによる承継

社内で適切な後継者が見つからない(育成できない)場合は、事業を売却するM&Aという方法もあります。

M&Aには様々なメリットとデメリットがありますが、メリットとしては以下が挙げられます。

  • 経営者は会社売却の利益を得られる
  • 後継者がいない場合も事業を継続できる
  • 買収先の事業とシナジー効果が生まれる
  • 従業員の雇用が守られるケースが多い

逆に、デメリットとしては以下などが挙げられます。

  • そもそも売却先を見つけるのが困難
  • 交渉途中の情報漏洩のリスクがある
  • 事業売却に関わる手続きが専門的
  • 売却のタイミングによっては安値でしか売れない

ここまで事業承継先ごとの特徴やメリット・デメリットを解説してきましたが、どの方法にも一長一短があります。絶対に良い方法があるわけではなく、会社の状況に応じて適切な方法が変わってきますので、自社の状況を見極めることが大切です。

M&Aによる事業承継が急増している背景

近年は身近な後継者が見つかりにくいという理由で、M&Aでの承継が急増しています。

  • 個人の保証や担保から逃れられる
  • 役員として後々事業に入ることも可能

というのも選ばれる理由の一部でしょう。

後継者が立てられない場合、残された選択肢はなかなかハードルが高く、結果的にM&Aを選ぶという人が多いのです。

また、M&A自体が近年増加傾向にあり、選択しやすくなっているという背景もあるでしょう。

事業承継の方法

ではここで、事業承継の具体的な方法をご紹介します。

事業という大きい単位の承継になるので、たとえ親族への承継であっても、準備には日時を要します。

事業承継方法の決定

どの承継方法にするかを決定します。このタイミングは後になることもあります。

資産や経営状況の把握と問題の明確化

主な事項として以下があります。

  • 個人と会社との間で貸借関係にある資産
  • 決算処理手続き
  • 自社株式とその評価額
  • 自社製品の売り上げ動向など
  • 自社内の知的資産

資産や経営状況で見つかった問題の対策

以下のような対策をとります。

  • 自社製品の拡大、精度の向上、期間の短縮化など
  • 人員の強化
  • 中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の策定と実行(中小企業庁)
  • 債務整理の実施
  • 職制や職務権限の整理

親族や親族外の後継者を立てる場合は事業承継計画の取り決め

  • 企業理念の明確化
  • 中長期の経営目標の決定
  • 承継時期
  • 基本方針

これらを5年から10年の事業承継計画に落とし込みます。

政府は中小企業や小規模事業者の事業承継を円滑に行なうために、「事業承継ガイドライン」や「事業承継マニュアル」を公開しています。

事業承継にまつわる税金や補助金

事業承継 税金
国の産業を支えるためにも事業承継は大切ですので、国は税金の免除や補助金という形で事業承継を支援しています。

ここでは事業承継税制と事業承継補助金の2つの制度について詳しく見てみましょう。

事業承継税制とは?

事業承継税制とは、中小企業における事業承継に関する税負担を軽減するための制度です。

具体的には、中小企業の非上場株式を相続または贈与された際にかかる税金に関して、一定の条件を満たせば納税が猶予されたり免除される制度です。

この制度ができた背景として、日本の中小企業の事業承継が進まず、廃業してしまうケースが増えていることが挙げられます。さらに、平成30年より、この制度の適用が緩和されていますので、事業承継を考えている経営者や後継者は積極的に活用しましょう。

事業承継補助金とは?

事業承継補助金とは、事業承継に必要な費用を国が負担する補助金制度です。

具体的には、最大500万円を上限として、様々な条件のもとに助成金がもらえます。条件等は多岐に渡るため、詳細は中小企業庁のホームページをご確認ください。

中小企業庁:http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180427shoukei.htm

事業承継の実施にあたって気をつけるポイント

事業承継 ポイント

現経営者にとって最後であり最も重要な仕事が「事業承継」。後継者候補が一人しかいない場合であっても、税務手続きなどを考えると素人だけで終わらせるのは難しいものです。

ましてや、後継者候補が複数人いたり、大株主が複数人いる場合は、事業承継をきっかけに内部トラブルが発生し、会社が潰れてしまうこともあります。

事業承継においては、特に以下の3点を気をつけましょう。

事業承継にかかる時間を見越して早めに準備をしよう

経営者は事業承継にかかる期間を甘く見積もりがちです。親族間の調整、ステークホルダーの調整、後継者の育成などなど、事業承継にはかなりの期間がかかります。

また、事業承継がスムーズに行かなかった場合(例えば後継者候補が途中で投げ出すなど)、改めて一から事業承継の準備をしなければならず、早期の準備が必須になります。

一般的には60歳を目処に事業承継の準備に取り掛かるのがいいとされていますが、年齢は関係なくケースバイケースです。自身の引退年齢を設定し、その年齢に合わせて準備を進めるのがいいでしょう。

現状把握を怠らない

事業継承をするに当たっては、現状把握をすることがとても大切です。

当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、中小企業では株の持分や権利が曖昧なことが多く、特に親族への継承だと揉める原因になるので事前にきちんと把握しておくことが重要です。

事業承継は千差万別!専門家と相談するのが吉!

全く同じ会社が2つとないように、事業承継にも全く同じものはありません。会社の数だけ事業承継があります。

特に相続や贈与に関しての税金関係は素人ではわからないことも多く、専門家に相談してみるのがいいでしょう。

事業承継と事業継承はどちらが正しいの?

事業承継 事業継承

ここまで事業承継について詳しく解説してきましたが、ときどき事業継承という言葉も見かけます。事業承継と事業継承、どちらが正しいのでしょうか?

若干のニュアンスの違いはありますが、意味合いとしてはほぼ同じで、事業を後継者に引き継ぐということです。

そして、法律面では「事業承継税制」や「事業承継補助金」というように、事業承継の方が正しい用語とされています。