資金調達の方法!事業を加速させる資金調達方法のメリット・デメリット

ベンチャー 資金調達

経営者やベンチャー企業の起業家にとって事業を営む上で大切な『資金調達』。今回は資金調達の種類や方法の比較はもちろんのこと、銀行借入、信用保証協会、日本政策金融公庫、VC(ベンチャーキャピタル)、エンジェル投資家、補助金・助成金、クラウドファンディング、ICOなどについてのメリット・デメリット、調達できる額や調達までにかかる期間を紹介していきます。

資金調達の全体像!資金調達をする目的を忘れないで

資金調達の方法

会社を経営していたり、起業をするときに最も重要な『資金』。

スタートアップにとって自己資金で全てをまかなうのは難しく、多くのスタートアップが様々な手段で資金調達を行なっています。資金調達は事業をスタートするためにも、また事業を加速させて利益を生み出すためにも有益な手段ですが、資金調達自体が「目的」になってしまうこともあります。

例えば、昨今のスタートアップではVCから資金調達することがイケている事業の証とされることもあり、VCからの資金調達に躍起になる起業家もいますが、これでは本末転倒です。

資金調達は事業を成功させるための手段であり、目的ではないということを肝に命じて、これから紹介していく資金調達の方法を見て行きましょう。

会社設立前後の資金調達はデットとエクイティの2種類!違いを抑えよう

エクイティファイナンス デットファイナンス

資金調達には主に「デットファイナンス」と「エクイティファイナンス」の2種類があります。

これらの違いを理解しておくことは、資金調達をする上で非常に大切です。1つ1つの資金調達の方法を見ていく前に、これらの違いを確認しておきましょう。

デットファイナンスとは?

デットとは、借金や負債という意味。デットファイナンスは銀行や投資家からお金を借り入れる資金調達の方法です。

デットファイナンスで借り入れた資金は返済の義務が発生します。また、貸借対照表上で負債の部が増える資金調達の方法です。

エクイティファイナンスとは?

エクイティとは、株式という意味。エクイティファイナンスは株式を発行し、自己資本を増やして資金調達する方法です。

基本的にエクイティファイナンスで調達したお金に返済の義務はありませんが、株式を出資者に引き渡すため、出資者が株主として議決権や経営権を持つことになります。

デットファイナンスとエクイティファイナンスの違いを図にすると、以下のようになります。

デット エクイティ

資金調達の種類と方法。それぞれのメリット・デメリットを抑えよう

資金調達 メリット デメリット

資金調達と言っても様々な種類があり、それぞれ一長一短があります。事業を加速させるためにも自分にあった方法で資金調達を行えるように、正しい知識を身につけましょう。

それでは、それぞれの資金調達の方法を詳しく解説していきます!

自己資金からの出資

資金調達という語弊があるかもしれませんが、起業にあたって真っ先に準備すべき資金といえば「自己資金」。親や友人からお金を借りるにしても、銀行などから借入をするにしても、最低限の自己資金を用意しておくのは起業を成功させるための必要条件です。

昨今はVCから調達するのが格好良いような風潮もみられるが、理想は自己資本だけで会社を回していくことだ。

引用:事業計画と資金調達のルール ― 教科書に載っていないTips【連続起業家シリーズ #4】

自己資金で事業を始めることのメリットとしては、事業をすぐにスタートできる上に、投資家や債権者から意見を挟まれることがありません。また、周りになかなか理解されない事業をする場合など、資金調達が難しい場合でも事業を行うことができます。

友人・親族からの借入

起業をするにあたって友人や親族からお金を借りる人は多いです。

メリットとしては銀行などと違い人間関係に基づいて貸してくれるため、審査などなくすぐに貸してくれるということ。また、利子を求められないことも多いですし、返済期間を甘く見てくれる場合もあります。

一方で、デメリットとしては金銭トラブルに発展してしまうということ。絶縁状態になってしまったり、最悪の場合は裁判に発展してしまうこともあります。また、貸してくれた人がお金が必要になり、急遽返済を求められることもあります。

友人や親族からお金を借りる場合、口約束だけでなく、きちんと書面にしておくことがトラブルを避けるためにもおすすめです。

銀行からの借入/融資

資金調達で真っ先に思い浮かぶのがメガバンクをはじめ、地銀や信用金庫などからの銀行融資でしょう。

銀行からの融資には主に以下の3つの種類があります。

  • 銀行が直接融資をするプロパー融資
  • 信用保証協会の保証を付けた融資(上限:8,000万、実質:5,000万、保証協会が8割保証している)
  • 創業者支援のための創業融資

1つ目のプロパー融資は銀行が貸し倒れ(貸したお金が返ってこない)のリスクを負うため、企業に一定の信用が求められます。その分、2つ目よりも利率は低いのが一般的です。ただし、基本的に保証協会つきの融資を返済している実績がないと借りれません。

一方で、2つ目の信用保証協会は国の公的機関が運営している制度です。仕組みとしては銀行の貸付に対して、会社が返せなくなるリスクを信用保証協会が代わってくれる制度です。会社に代わって信用保証協会が責任を負ってくれるため、銀行も融資をしやすくなり、会社は資金を調達しやすくなるというメリットがあります。信用度の低い会社では銀行が直接融資してくれる可能性は低く、この制度を利用するのが一般的です。この制度は創業期だけでなく、事業のステージに合わせていつでも利用できます。

信用保証制度の仕組み
出典:信用保証協会と信用保証制度

3つ目の日本政策金融公庫(創業融資)からの融資は、国が100%の出資をしている日本政策金融公庫から融資を受けます。創業者のための銀行という立ち位置で、普通の銀行が貸し出しをできないようなハイリスクの創業期に貸し出しをして、日本経済を活性化させるために作られた金融機関です。

国が産業を育てる支援のために設立した金融機関ということもあり、利率が非常に低く無担保無保証人の融資制度というメリットがあります。さらに、女性・若者・シニアであれば利子率が下がるなど、特定の条件に合えば利子率が下がる制度もあります。

一方で、創業期に特化した融資制度なので、事業がある程度進んでしまうと融資の対象外となってしまうなど、細かい融資条件を満たさなければなりません。また、融資限度額は3,000万円(運転資金1,500万円)以内のことが多いです。創業資金の3分の1の自己資金が必要となるケースが多いです。

VC(ベンチャーキャピタル)からの出資

IT系企業を中心に、VCから創業期の資金調達をする企業が増えています。

VCとは、ベンチャー企業に出資をしてその代わりに一定の株式を引き受け、ベンチャー企業が上場(IPO)、または売却(EXIT)するときに保有している株式を売ることで利益(キャピタルゲイン)をあげることを目的とした集団です。

VCは投資先のベンチャー企業が成功しなければ儲からないビジネスモデルであるため、ただただお金を投資するだけでなく、経営支援や新規の提携先企業を紹介してくれることもあります。特に、若手の起業家にとって、経験豊富なVCがメンターについてくれるのは大きなメリットと言えるでしょう。

一方で、出資したVCは企業の株主となるので、VCと相性が合わないと事業を進めていく上での弊害にもなります。お金を出してくれるなら誰でもいいという考えで出資を受けるのではなく、きちんと相性の合うVCを選ぶことがポイントです。

また、銀行融資とは異なり、基本的に返済が不要です。仮に事業が上手くいかなかった場合に、お金を返済する義務は発生しません。その代わり、当然ですがVCはハイリスクを取っているのでハイリターンを要求されます。

さらに、VCへは株式を引き渡していますので、自分の持ち株比率が低下します。絶対に持っておくべき割合というのは断言できませんが、拒否権の発生する3分の1、実質的なオーナーになる2分の1は意識すべきでしょう。また、上場に至るまでには数段階にわけて資金調達をするの一般的。最初の資金調達ではVCに渡す株式は10%程度にしておくのがいいでしょう。

エンジェル投資家・個人投資家からの出資

VCと近い存在なのがエンジェル投資家と呼ばれる個人でベンチャー企業に出資をしている投資家。

エンジェル投資家には元々ベンチャー企業を経営していて、上場(IPO)した利益で若い起業家に個人的に投資をしているという人が多いです。

VCと同様にエンジェル投資家がメンターになってくれることもありますし、返済の義務もありませんし。

ただし、VCと異なる点として、エンジェル投資家はあくまで「個人」ということ。組織として投資を行なっているVCには様々な基準があり、VCの担当者と個人的な付き合いもしますが、あくまで前提として組織と組織の付き合いになります。

一方のエンジェル投資家とは、個人と個人の付き合いになることが多く、きちんと契約書をまかないで出資してもらったために後から金銭トラブルになるなどのこともあります。

補助金・助成金

国や地方自治体が行なっている補助金や助成金。融資とは異なり返済の義務は一切ありませんが、補助金や助成金は基本的に後払いであり、実際に支払いを受けるまでに半年〜2年ほどかかります。

直近の資金繰りのために利用する制度ではありません。また、制度も細かくわかれているので、自社に使えそうな制度は公式ページを探すか公的機関に問い合わせるのが一番の近道です。

ただし、補助金や助成金をもらうための手続きが煩雑なことが多いです。手続きに忙殺されてしまい、本業が疎かになってしまっては本末転倒。利用するか利用しないのか見極めることも大切です。

クラウドファンディング

昨今日本でも流行り出しているクラウドファンディング。簡単に概要を説明すると、インターネットを使って日本中(世界中)の人々から少額ずつ資金を集める資金調達の方法です。

クラウドファンディングのメリットとしては、

  • 出資者がそのままファンになってくれる(可能性が高い)
  • 事業を実際にスタートする前に市場テストできる
  • 事業をスタートする前にキャッシュを得られる(製造にコストがかかる事業では大きなメリット)

などが挙げられます。

一方で、デメリットとしては、

  • 必ずしも資金が集まるわけではない
  • プロジェクトを途中でやめるのが難しい
  • 出資者が多いため、やりとりのコストがかかる

などが挙げられます。

ここで、少し話はそれますが、クラウドファンディングで最も成功したと言える事例を紹介します。クラウドファンディングで最も成功した事例としてキングコング西野さんの個展「えんとつ町のプペル展」があります。これは合計で4,500万円を超える金額を調達しています。

キャンプファイア 成功例

出典:CAMPFIRE

ここまでの金額とはいかないものの、数十万円から百万円程度までの資金調達に成功しているプロジェクトは多岐に渡ります。

クラウドファンディングを行う際には、「CAMPFIRE」「Makuake」「READYFOR」などのプラットホームのホームページへ行き、どのような活動が資金を得やすいのか確かめてみるといいでしょう。

ICO

最後に紹介する資金調達の方法はICO(イニシャル・コイン・オファリング)。聞いたことがないという人も多いかもしれません。

ICOについて詳細を説明すると長くなってしまうので割愛しますが、簡潔に言うと、出資してもらう対価として自社独自のコインを渡します。アマゾンや楽天のポイントをイメージするとわかりやすいのですが(厳密には違います)、出資してもらう対価として企業で使えるポイントを発行するというような形です。

ICOでは数日で100億円以上集まったという事例もありますが、一方でICOで資金を調達するのはハードルがかなり高いのが事実です。正直にいうと普通の事業を営む起業家や経営者はICOで資金調達をすべきではありません。

ICOの事例を知りたいという方は以下を参考にしてください。
10社以上あるの知ってました!?2017年日本発ICO事例のまとめ

創業初期に取るべき資金調達の手段は何がベスト?

資金調達

ここまで様々な資金調達の方法を紹介してきました。

ベストな資金調達の方法というのは人それぞれ、企業の置かれている状況に応じて異なってきますが、「サクッと起業してサクッと売却する」の著者でありシリアルアントレプレナーである正田圭氏の考えによれば以下の通りとなります。

まず、お金に振り回されないように半年から1年の運転資金をキャッシュで準備できるとよく、そのキャッシュを自己資金でまかなうというものが最も理想的です。

次に、銀行借入やVCから資金を調達する際は、どちらかだけに絞るのではなく、両方を効率よく使い倒すのがいいでしょう。

お金に振り回されないですむよう、最低でも半年、理想は1年ほどの事業運営キャッシュは準備しておいたほうがいいだろう。
(中略)
ただ僕は、銀行借入とVCや個人投資家からの出資の双方とも積極的に活用してほしいと思っている。
(中略)
理想は自己資本だけで会社を回していくことだ。
引用:事業計画と資金調達のルール ― 教科書に載っていないTips【連続起業家シリーズ #4】

まとめ

資金調達の方法はいかがでしたか?

繰り返しになりますが、資金調達は事業を成功させるための手段であって目的ではありません。調達した資金をどのように使って事業を伸ばしていくのか、この計画がしっかりしていなければ事業の成功はないでしょう。

資金調達ありきではなく、事業を成功させるための資金調達をするようにしましょう!