総ユーザー数300万人超の学習管理プラットフォーム「Studyplus」 さらなる事業成長を目指すスタディプラス株式会社が、アイ・マーキュリーキャピタル株式会社から出資を受けるにあたり、今後の勝算についてお伺いした。

総ユーザー数300万人超の学習管理プラットフォーム「Studyplus」

さらなる事業成長を目指すスタディプラス株式会社が、アイ・マーキュリーキャピタル株式会社から出資を受けるにあたり、今後の勝算についてお伺いした。

大学受験を目指す高校3年生の3人に1人が使う、抜群の認知度を誇る「Studyplus」。Studyplusでは、勉強内容を記録して、アプリ内のタイムラインやTwitterにシェアすることができる。結果勉強のモチベーションを保つことに成功し、勉強時間が伸びる・成績が上がるなどユーザーから評価されているという。人気サービスのビジネスモデルや集客、増資を受けての事業展望について取材させていただいた。

左:スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志氏
右:アイ・マーキュリーキャピタル株式会社 代表取締役社長 新 和博氏

大学在学中に起業!

ー まずはお二人の自己紹介をお願いできますでしょうか。

廣瀬 高志:2010年、当時大学3年生の時に会社を設立しました。事業内容はStudyplusという学習管理プラットフォームサービスです。

簡単に言うと勉強の記録をSNS上でシェアするサービスです。SNS上で勉強の記録をつけてシェアしたり、学生同士がお互いに励ましあって、切磋琢磨できるプラットフォームのサービスを提供しています。

現在会員数は300万人以上、特に高校3年生が多くて、 高校3年生の3人に1人が使ってるサービスとなっています。

サービス受賞歴としては Google Play のベストアプリ賞を2年連続受賞。

日本e ー Learning 大賞 最優秀賞受賞となります。

また2017年年末に女子中高校生の流行語大賞 アプリ部門にStudyplusが選ばれまして、高校生への認知度が非常に高いサービスです。

ー すごいですね、高校生のほとんどが知っているサービスなんですね。ビジネスモデルについて教えて下さい。

廣瀬 高志:ビジネスモデルとしては、広告収入がメインです。大学受験生や高校生が多いサービスなので、塾予備校や大学が広告主ですね。

数で言うと、200以上の大学、大手予備校となっています。2016年に動画広告サービスを開始して、今後もっと伸ばしていきたいと思っています。

また昨年から本格的に「Studyplus for School」という新規事業を展開しています。こちらは塾・予備校などの教育事業者向けのサービスで、塾の先生が自分の生徒の学習状況自宅学習の状況がわかったり、オンラインでコミュニケーションがとれたりするサービスとなっています。

最大手クラスの予備校では、生徒全員にサービス導入されていますね。実際に導入するとオンラインで先生が勉強状況をフォローしてくれて、先生が見ていてくれる安心感が好評になっています。

今回資金調達をして、さらに「Studyplus for School」を伸ばしていきたいですね。

 

事業部門、投資部門の二刀流キャリア

ー 今回増資されるCVC(Corporate Venture Capital)、アイ・マーキュリーキャピタル株式会社社長の新さんにもお越しいただいています。新さんのキャリアについても教えてください。

新 和博:新卒でドコモに入社して、2008年から事業会社としてのCVCの仕事をして、その後2011年にミクシィに転職しました。ミクシィではまずSNS事業に携わり、2012年から投資担当となりました。

スタディプラス株式会社に初回投資してすぐ後の2013年7月にCVCであるアイ・マーキュリーキャピタル株式会社を立ち上げました。スタディプラスさんには、CVC立ち上げの2ヶ月ほど前に初回投資をしていますね。

ー 新さんはどうして投資部門に行こうと思ったんですか。

新 和博:元々ドコモに入社した時から、新しいことをやりたいと思ってたのですが、当時自分でこれをやりたいという具体的なアイデアはなくて。廣瀬さんのように新しい事業を考えるベンチャーをサポートする仕事が面白そうだなと興味を持ちました。

というのも、1999年に社会人になった年に、ドコモがiモードを出した年で、iモードの事業部門が花形という時代だったんですね。

C向けの新しいサービスをやりたいという思いがあったのですが、コンテンツはサードパーティーが提供してくれるので、ドコモ社内で携われる新規サービスでは何が面白いかなと探すうちに、たまたまベンチャー投資に出会ったんです。

ー ミクシィに移った理由は何ですか。

新 和博:理由はいくつかあるのですが、一般の人がキュレーションするニュースの方が、キャリアのポータルサイトの情報よりも価値があって面白いなと気付いて。時代の流れが変わってきていることを肌で感じてミクシィに興味を持ち始めました。

あとはiモードのメニューが成熟してきて、もうすでに飽和している印象がありましたし、スマホが出てきて情報流通の経路が変わってきていると感じて。SNSが面白いと強く感じたんですね。

 

大学受験経験から、教育業界での起業を決意

ー 廣瀬さんが教育業界で起業しようと思った理由は何ですか。

廣瀬 高志:元々学生で起業をしたので、馴染みのある業界の中で起業したという背景があります。大学受験の経験から、勉強をもっと改善できるんじゃないかと思ってました。

と言うのも、予備校のカリスマ講師の授業は確かに面白いけれど、基本的に一方通行なので、机に向かって勉強するのと同じなんじゃないかと思ったり。参考書で勉強すれば知識は身につくので、授業に出る目的は何なんだろうと考えてましたね。

実際に成績がいい人の勉強方法見てみると、授業には出ないで自習室にこもっている人がいて。予備校に来る理由は、自習室やコミュニティで生まれるコミュニケーションが重要な要素で、いかにモチベーションを保つかが受験勉強のキーだと気付いたんですね。

勉強のやり方は合格体験記なんかでわかるし、参考書は本屋で買えるけれども、問題は勉強を続けていくモチベーションを保つこと。周りにサポートされたり、お互いに切磋琢磨して結果にコミットすることが大切だと思ったんですね。

教育業界は比較的古い慣習が残っているので、テクノロジーを上手く使ってもっといいものを作れるのではないかと思いスタディプラスの起業に至りました。

 

起業を志したのは、小学一年生!

ー いつから起業しようと思っていたんですか。

廣瀬 高志:小学校の時から起業したいと思っていました。

ー なんと!どうしてですか。

廣瀬 高志:かっこいいからです。小学校1年生の七夕の短冊に「社長になって、お金持ちになる」と書いたんですよね。大学生の時に小学校時代の同窓会に行った時に、それを覚えていた友達がいて、まだ起業してないの?と聞かれました。

新 和博:お父さんも起業されてる方だったんですよね。

廣瀬 高志:はい、小さい頃から廣瀬家の家訓「自ら機会を作り、機会によって変化を作り出す」をよく言われて育ちました。

ー 2011年にStudylog(スタディログ)というStudyplusの前身となるサービスを出してますよね。どういう経緯で新しいサービスに変化したのですか?

廣瀬 高志:Studylogはmixi、Twitter、Facebook と連携して、学習記録を投稿、シェアする分散型のサービスでした。ある日、Studylogユーザーから、Twitter に自分の勉強記録を流していたら自慢しているみたいで、友達から嫌な奴だと思われるというフィードバックをもらいました。

たしかに、急に勉強記録を定期的にSNSへ投稿するのは違和感があると気付きまして、勉強への意識が高いユーザー同士で交流できるようにアプリ内にSNS機能のあるサービスに作り直したのが今のStudyplusです。

 

ミクシィからの出資経緯

ー スタディプラスとミクシィの出会いはどういう経緯だったのですか?初回投資はミクシィから受け、その直後の2013年7月にアイ・マーキュリーキャピタル株式会社設立の流れですよね。

廣瀬 高志:はい。はじめにミクシィを知ったのは、知人の紹介です。

ー 一番最初に事業を見た時の印象はどのようなものでしたか?

新 和博:正直言うと、どうしてStudyplusが流行っているのかよくわからないと思いました(笑)

自身が受験生のときにスマホは無かったので、勉強記録をスマホで記録するとは新しいコンセプト!よくわからないなと思ったのが第一印象ですね。(笑)

App Storeのレビューを参照したところ、受験生から「神アプリです!!」など賞賛の声が多数上がっていて、高校生に人気のサービスであることがすぐにわかりました。

事業のコンセプト自体はすごく共感する部分がありましたね。僕自身も大学受験のために一番勉強したのは自習室でした。高校2年生から受験勉強を始めて勉強を手広くやっていて。

やみくもに勉強していたけど、自分がマスターしてるのはどの部分で、マスターできていない苦手部分がよくわからないまま受験突入してしまって。

自習室にこもったり、切磋琢磨できるコミュニティが心の支えになって、結果受験がうまくいったと思っています。

もう一つは mixi 自体が SNS なので勉強に特化したSNSは、事業上でのつながりがあり、いいなと思いましたね。

廣瀬 高志:SNSを研究しているときに勉強時間をひたすら投稿するmixiコミュニティがあって、とてもアクティブに投稿されていたのが面白いと思いましたね。今日は1時間とか、そういう投稿を見て、勉強記録のニーズがあるんだと改めて知りましたね。

ー 廣瀬さんがミクシィさんに初めて会った時どのような印象でしたか。

廣瀬 高志:当初からサービスにご理解頂いているCVCでした。

ミクシィさんからはサービスに対するフィードバックを頂けるなどの点が、とてもありがたいと心強く思っていました。

新 和博:当社が投資した時にはユーザーが7〜8万人で、熱狂的ファンのレビューが集まっていたので、ものすごい熱量がありそうと感じ取りましたね。

廣瀬 高志:当時どうやってユーザー獲得するのか、そもそも高校生ユーザーを獲得するのが難しいんじゃないかとVCから指摘を受けたこともありました。僕は「良いサービスを作れば口コミで伸びるんです!」と言っていたんですけど、実績積み上げる前にご理解いただくのは難しかったです。実際は、口コミで会員数が増えて、まさに想定通りになっています。

ー マッチングは特にプロダクト命で、プロダクトがよければ人気サービスになりますよね。

 

Studyplusを使うと、ズバリ成績が伸びます!

ー Studyplusを使うと、どのような効果があるのでしょうか??

廣瀬 高志:まず、Studyplusを使うと勉強のモチベーションを継続することが出来ます。勉強のモチベーション継続によって「三日坊主」を防止でき、勉強時間が伸びたというユーザーの声はとても多いです。

個人差はありますが、勉強量に比例して成績は伸びますので、モチベーションが継続し勉強時間が伸びた結果、例えばテストの点数が上がる・志望校に合格するなどの成果が上がります。

また、模擬試験で良い点数を取っているユーザーが使っている参考書・勉強補法を参考にしている、なんていう使い方も聞きました。

同じ志望校の受験生が使用している参考書や勉強時間がわかるので、勉強計画が立てやすくなって、モチベーションが上がるユーザーも多いですね。

リアルでは成績のいい友達に「何を使ってどう勉強しているの?」とは聞きづらいことですが、Studyplusだとそれが手軽にできる。

勉強を頑張る人同士のノウハウを共有し合う場でもあります。

 

Studyplusの会員数は300万人!

ー 会員数はどのくらいですか。

廣瀬 高志:現在300万人以上ですね(2018年5月時点)。

ー すごいですね、どうやって300万人も集めたんですか。

廣瀬 高志:口コミや、友達が使っているからダウンロードして使ってみたという方が多いです。

新 和博:友達が学習管理をしてうまくいっているのを聞いて、自分もやってみようとなるんですかね。

廣瀬 高志:学習管理したいというのもあるし、友達が使っているアプリが気になるからというのもありますね。App StoreやGoogle playで「勉強」と検索して、一番上に表示されたアプリをとりあえず落として使ってみるという人もいますね。

勉強カテゴリーで1位なのは、ダウンロード数が多くて、ユーザーの良いレビューが多いからですね。Apple StoreもGoogle Playもアクティブユーザ数とかレビューとかすごく見ていて、いいアプリはランキング上位に上げるという仕組みになっています。良いサービスを作れば勝手にアプリのランキングから入ってくるんですね。

高校生がメインのサービスなので、口コミが効きやすいということもありますし、これまでの積み上げによって、現在はユーザーが入って来やすいサービスになっています。

ー 高校2、3年生のユーザーが1番多いとなると、受験に成功するとStudyplusでの学習管理から離れていくじゃないですか。それでも会員数が右肩上がりなのが素晴らしい。

新 和博:先輩が後輩に伝えるんですかね。

廣瀬 高志:確かに、大学受験終了とともに使わなくなるユーザーも結構いますね。それでも、毎年新しく入ってくるユーザーのほうが使わなくなる人よりも多いですね。

最近は、大学入学後もテストや資格取得のために使うユーザーも増えてきています。

ー 合格体験記なんかでStudyplusを使ってました、という方がいるのかもしれませんね。

廣瀬 高志:そうですね、やはりユーザーにとって良いサービスを作ることが、ユーザー獲得の一番の手段ですね!

 

新しいコンセプト「スマホで学習管理」

ー 競合他社はいるのでしょうか。

廣瀬 高志:学習管理に特化したアプリは、Studyplusしかない状況ですね。

ー 新しいコンセプトをイチから作られたんですね。新しいサービスだとシードステージでの資金調達は大変だったんじゃないですか。

廣瀬 高志:シードステージでは、投資家の方にサービスを理解していただくのが難しい時期もありました。高校生のときにスマホを持ってない大人がほとんどですし、学習記録をスマホで記録して、共有すること自体が新しいコンセプトですから。

実際に、サービスが高校生に受けいれられるか、がサービス設計のポイントだと思いますね。潜在的なニーズがあるんだけど、まだそういったサービスがなくて、それでもあったらいいなと思うものを実際に作りました。

 

増資を受けての成長戦略

ー 今回アイ・マキュリーキャピタル株式会社さんからの増資は、どんな背景なんですか?

廣瀬 高志:上場を目指してのファイナンスとなります。

新 和博:追加出資しようとして決めた理由は、ビジネスプランがよりしっかりして、良いチームメンバーが揃い、売上が成長しているからですね。歯車が噛み合ってきて、うまくビジネスが回っています。

廣瀬 高志:そうですね、新メンバーが取締役会に加わって、ますます強いチームとなりました。

新 和博:社内のチームだけでなく、スタディプラスを理解して、心から応援している投資家も揃いましたね。今後が楽しみですね。

 

アイ・マーキュリーキャピタル株式会社の投資基準や投資フェーズとは?

ー アイ・マーキュリーキャピタル株式会社が投資するフェーズは決まっているのでしょうか。

新 和博:1件あたり1億円くらいの投資が多いですね。フォローでもやるし、リードをとる場合もありますね。

直近の事例でいうと、時価総額ベースで10〜30億円の案件が多いですね。それが結果的にシリーズA、Bあたりが多いです。

ー シードは投資しないんですね。

新 和博:シードはピボットする可能性があるので、基本的には投資しないですね。アイ・マーキュリーキャピタル株式会社はCVCなので、基本的にはミクシィの事業内容に沿う事業を選択してますね。

 

今後期待すること

ー 最後に、お二人から今後期待することをお願いします。

廣瀬 高志:上場を目指して準備を進めていくので、より厳しくご指導いただいてさらなる事業成長を目指したいですね。

新 和博:2013年にミクシィから初回投資をして、今回の増資が完了するまでは、ベンチャー特有の大変なことに向き合い続けてきました。苦しい時期を乗り越えて、いまは万全の体制で攻めに行けるタイミングですね。

チームメンバー体制強化したこのタイミングで、是非廣瀬さんのリソースをプラスの攻めに全力投資してください!

 

取材日:2018年5月9日

編集:森屋 千絵

カメラ:芳尾 俊孝