僕も周りが起業してたんで起業しちゃった(Skyland Ventures 岡山佳孝:前編)

Skyland Ventures で活躍する岡山佳孝氏にVCと起業とリアルについて、『サクッと起業してサクッと売却する』著、pedia主催正田圭とのインタビュー企画<前編>

(Writer:Chie Moriya)

ベンチャーキャピタルメンバー、#HiveShibuya というコーワーキングスペース運営しつつ、自らYouTuberとして活躍する岡山佳孝氏に気になるVCの活動や「スタートアップはライフスタイルだ!」のエピソードについてお伺いした。

Skyland Ventures について教えてください。

岡山佳孝:Skyland Ventures の代表パートナーは木下慶彦です。渋谷道玄坂に #HiveShibuya というコワーキングスペースをEast Venturesさんと共同運営して、そこで僕たちも仕事させてもらってます。コワーキングスペースはマネタイズ目的ではなく、主に投資した創業直後ベンチャーや、スタートアップコミュニティの交差点になるように運営してます。

投資候補先には、毎週水曜朝にSEEDSと言うスピードミーティングをやっていて毎週15分×10スロットいれて会っています。最近は20歳以下の若者起業への支援が多いですね。

 

基本的には、大学生と新社会人に投資したいと思っています。若者っていうと人によって若者の定義年齢が異なりますけど、明確にU25と言っていて、20歳前後の大学生や新社会人の間に起業する人に僕らを認識してもらいたいと思っています。

正田圭:だとすると、26歳の人はどんなにいい人でも可能性ないんですか?

岡山佳孝:実際はそんなことはないです。30歳以上で投資することも1年に1社くらいですがあります

ただSkyland Venturesは25歳以下しか投資しないらしい、と言われている中で26歳以上でもコンタクトしてくる人もいて、ある種いろんな人に自分ごと化してほしいみたいなものですね

正田圭:それ貴重な情報ですね、アンダー25で諦めちゃう人はきっといますよね。

岡山佳孝:無限に人に会えないので、意見を表明するの大事だと思います。

正田圭:ターゲットを絞るのは重要ですよね。わかります。

2018年2月に『サクッと起業してサクッと売却する』という本を出したのですが、編集者に本の帯のコピーを「29歳までに1億円のキャッシュを手に入れよう」と言われたんです。

実際はそんなこと言ってなくて、30歳以上の人は本を手に取ってくれないかもしれないと心配したんですが、編集者さんが年齢を言い切るのが大事なんだ!とコメントされました。

岡山佳孝:わかります。”みんな”というと、誰をターゲットにしているかぼんやりしてしまうんですよね。

あえてノーをいうことでイエス項目が浮き彫りにされると思ってます。必ずしも25歳以下でなくとも、僕たちの考えに賛同してくれたり、近いスタンスの人が集まればいいなと思ってます。

若い起業家の方が投資パフォーマンスがいいのか?

正田圭:実際投資した先のパフォーマンスは、若い起業家の方がいい結果を出してますか?

岡山佳孝:僕らの投資で今のところはリターンを出してくれた人は20代で起業した人だけですし、これからのリターンポテンシャルが高い人は若い人達だとよく話になります。シリアルアントレプレナーとして2回目の起業をしている人も初回の起業はほぼ20代なのでは無いかと。

正田圭:投資先で一番若いのは何歳くらいですか?

岡山佳孝:18歳ですね。

正田圭:中学生はなかなか出てこないもんなんですね。

岡山佳孝:ちょっと前は大学生の起業はあっても高校生で起業を考えてる人は皆無だったと思うので、起業年齢はだんだん下がっていると感じてます。スタートアップの初期投資コストの低下とスタートアップの認知度が向上したからだと思いますね。

正田圭:あとは友達が起業すると、起業したくなるシナジーありますよね。

岡山佳孝:友達が起業すると起業というものが身近になるんですよね。

正田圭:知り合いでもやっていけるんだ、この人で起業できるなら自分もできそうかな、意外とリスク少ないのかなと思えると起業へのハードルが下がりますよね。

岡山佳孝:そうなんです、僕も実際にVC入る前はFacebook 創業者のマーク・ザッカーバーグみたいな誰もが認めるすごい人でなければ起業できないと思ってたけれど、そんなことないって気づいたんです。必ずしも特殊能力があるすごい人でなくとも、日々の集中力が凄いとか、普通のことをひたすら積み重て、起業を成功に導いている人も多いと気づいたんです。なので起業することは、なんとなく怖いという漠然とした恐怖心がなくなりましたね。僕も周り起業してたんで起業しちゃったみたいなのもありますし

正田圭:たしかに、友達が2億出資してもらったと聞くと、自分も2億くらいなら出資してもらえるんじゃないかと思っちゃうんですよね。

pediaという起業家向けオンラインサロンを運営しているんですが、そのコミュニティの中で刺激を受け合うんですよね。現状は起業してる人半分、起業してない人半分、エグジットした人が0.5パーセントの割合ですけど、今後起業する人は確実に増えていくと思いますね。

岡山佳孝:そうですね、その起業していく人が増えるトレンドの中でも、今後は18-19歳くらいの若い世代に投資したいですね。

Skyland Venturesの投資基準について教えて下さい。

正田圭:Skyland Venturesの投資基準について教えて下さい。pediaオンラインサロンには60人のメンバーがいて、3月中に150人くらいに増えそうな勢いがあるんですが、勉強会多い質問は資金やVCからの調達のことがかなり多いんですよね。

岡山佳孝:もちろん事業内容や業界選定も大切な基準ですが、スカイランドでは、最初の順序にくるのは、特に創業メンバーへの投資の部分が大きいと思ってます。本質的には性格や考え方を重視しています。話すと人柄がでるので、人柄で選んでますね。

これまでコンプレックスがあって克服しようともがいた経験や、自分の良い面悪い面を理解しているのは重要なポイントだと思っています。

正田圭:いわゆる就職面接みたいにちゃんとリクルートスーツ着てるか、入室時に3回ノックするとかは関係ないんですね(笑)自己分析できてる人というのはどうしてですか?

岡山佳孝:自己認識でダメなところがわかっている人は、自分が持っていない部分を他の人に補ってもらえると思うんです。いいところ、わるいところは誰でもあることなので、それを踏まえてどう考えているかが重要だと思います。

正田圭:まわりの若手起業家で自己分析できている人はたくさんいると思いますか。

岡山佳孝:きちんと採用できている会社は、できない部分や足りない部分を補えていると思ってます。感覚的なイメージでは、シリーズA以降でCOOいないと事業が止まってしまうと思うんですよね。個人の力が最大化できていて、さらに事業を大きくするためには誰と働くかをきちんと選択できることが大切なスキルセットではないかと。

あと起業家として大切なことは、起業家になると決めていることですね。よく起業相談される時に、〜したらやるとか、〜な状況ならやるっていう人がいるんですけど、自分でコントロールできない部分に左右される人は気が散ったり、気を取られてしまうので凄いエネルギー消費しまくっちゃうんじゃないかと。外的要因に左右されず、起業すると気持ちが固まっていることが大切なんじゃないかと思います。不安だったらそこまで起業するに固執しなくてもいいと思いますし、正田さんは、今後もずっと起業家ですよね。

正田圭:そうですね、今後も売ったり買ったり小休止する場合があっても経営者でいるでしょうね。

岡山佳孝:やっぱりそうですよね。起業していると大変な時期がありますけれども、周りのチームメンバーはやめるオプションを考えていても、自分はやめられない。周りと自分は違うんだと感じた時が自分が経営者であると自覚するポイントじゃないかと思います。

正田圭:一緒の船に乗っていると思ってたのに、考え方違ったのか!とはたと気づいた時、自分と違う考え方なんだとクリアになりますね。わかります。

僕が経営者として生きていくしかないなと思った出来事は22歳くらいの時にありました。それまでは経営者しながら弁護士になると思っていたんです。会社を売却したこともあるし、いろんな経験を積んだあと、大学に入って勉強して在学中に司法試験を受けるもんだとなんとなく思っていたんですね。でも実際は会社の仕事が忙しくて、毎年センター試験のシーズンになっても今年は受けられそうもないというのを繰り返していて。

22歳のときに、普通に進学をしていたら大学卒業している歳になってしまったと気づいたんです。ここから大学に行って、最短で司法試験パスしても弁護士資格がとれるのは29歳なので、もう経営者として生きていくしかないとはっきりと自覚したんですね。会社経営する中で、いろんな弁護士に会いましたけど29歳で弁護士になったらそこから弁護士を極めるのは難しいと感じていて。

岡山佳孝:まさに「スタートアップはライフスタイル」を体現されていますね。川で拾った石を売るでも、NPOでも、起業家でも、職業選択と言うより生き方選択みたいな感じだと思うので、結局生き方を自分で選ぶことはすごく大事だと思いますね

正田圭:『サクッと起業してサクッと売却する』にも書いたのですが、連続起業家としての生き方がこれからの主流になると思いますね。

岡山佳孝:本読んで共感しました!スカイランドの企業名の由来の一つに、漫画ワンピースのエピソードがあるんです。代表の木下はルフィー的な思想があるんです。ルフィーは海賊としての自由を謳歌しつつ、コミュニティを作ってく人なんですね。VCとしてコミットする過程で、起業コミュニティに入れない人にも起業を知ってほしいと言う前段階での、社会貢献したいなみたいなゆるいミッションを併せ持っているんです。たとえば学生に無料で本配る、イベントで起業家以外も巻き込むの、スタートアップしない人、クリエイターとかにも起業しろってまじで木下さんは言ってますからね

投資基準で大切なのはやはり、人

岡山佳孝:起業する業界を選ぶ際には、トレンドに乗ることは必要だけど、基本的には本人がやりたいことがいいと思っています。

正田圭:投資する上で判断基準となるのは、人なんですね。

岡山佳孝:なんとなくこの人と長く付き合えたらなと思って、その人に対して起業したほうがいいと勧めることもあります。好きと言われると気になるのと同じことで、起業しなよと言われて初めて起業の選択肢が見えてくる人もいると思っています。

正田圭:なるほど、起業する潜在マーケットとしては起業してない人に起業しろというのもありなんですね。

僕も会社を売ることを考えてない社長に会社売ったほうがいいと、よく言いますね。言われて初めて、売却する選択肢を考え始めて、じゃあ実際のところ売却する時にはどうしたらいいんですか、と質問される流れになったりします。

岡山佳孝:起業しろと言われても、会社売れって言われても大変な事務作業が伴うので、間違えて無理やり起業しちゃいました、なんてことにはならないと思います。少なくとも僕は間違えて社名決めて、ハンコを買って、設立届出書を書いて、法務局行って、まじ間違えちゃいましたって聞いたことないですし

昔はそもそもVCが少なかったので、お金を調達するコストが高かったけれどいまはVCの数が増えてるので調達しやすくなってますね。

正田圭:たしかに16年位前はポータルサイトつくるのに500万出資してもらうと、株半分くらい持っていかれたんですよ。でもいまは状況違いますね。

岡山佳孝:そうなんです、なのでVCと言う一つの方法を使って起業できることを知ってもらうために、動画で”スタートアップ的”を広める必要性があると思っているんです。

正田圭:VCやプライベートエクイティファンドは、投資して欲しい人をあぐらかいて待っているイメージがありますけれども、VCこそスカイランドさんのように、マーケティング戦略は考えるべきだと思いますね。

岡山佳孝:個人的には自分のことをVCでもないし起業家でもないと思っている部分があって。昔ですけど、VCで働いていても、アソシエイトで実際にファンドにお金調達してないんだから、お前の肩書きはVCではないということを言われたことがあって。あ俺VCじゃないんだみたいな。

でもそういう話になるのなら、まあなんでもいいかと思って。別に何者でもないしなんでもありかと思って。

なので逆にVCらしくない部分、起業家、YouTuberとしての自分がいてもありかなと思うようになったんですね。

肩書き僕もうカオスですからねFounder兼 Co-Counder兼 投資家兼 起業家兼 CEO兼 COOじゃないですか。でも、普通に考えて最初に一人で始めたら全員C×O全部自分の状態じゃないですか、だからもうどうでもいいですよね。

むしろじゃあそれにレバレッジかけてオルタナティブやれんのかみたいなことの方が大事ですよね。もともと”なんだかよくわかんなかったこと”が理解されて分節されて、横転換されるみたいな流れをたどるじゃないですか。それを逆戻ししてカオスの状態から始めてオルタナティブやれんのかみたいな。

後半に続く