仮想通貨の確定申告で 駆け込み寺から縁の下の力持ちへ

善意の投資家を守る、税務部分でのコミュニティへの恩返し

株式会社Aerial Partners(以下、エアリアルパートナーズ)をご存知だろうか。

税理士紹介&仮想通貨による損益計算サービス「Guardian」と、仮想通貨損益の自動計算ツール「G-tax」を提供する会社だ。

この度、エアリアルパートナーズは、仮想通貨取引所のZaifとの連携に引き続き、株式会社マネーフォワードと連携で「仮想通貨申告サポートプログラム」をスタートした。

設立は2016年12月

まだ若い会社であるが、その連携先と、公開されているエンジェル投資家がNTVP村口和孝氏株式会社CAMPFIRE家入一真氏株式会社3ミニッツ石倉壱彦氏、といえば、その期待度の高さが伺えるだろう。

彼らはなぜスタートアップしたのか。
その秘密と、今後のビジョンを代表の沼澤 健人氏に伺った。

FXの負の歴史を繰り返さないために

もともと沼澤氏は仮想通貨の運用を行っていた。

自身会計士を志し慶応商学部へ、会計を習得しあずさ監査法人へ勤務

そんな中、確定申告をやろうと自分で思った時、年末に公表される国税のQ&Aに基づいて仮想通貨立ての取引を円価に換算する、
確定申告を行うために必要な情報が入手できないことに気付く。

エンジニアでも過去取引データを取得できないものもあり、その現実に唖然とした。

国税側も動いているが、この状況では絶対に混乱が起きる

その時、過去の負の歴史が脳裏をよぎった。

過去FX隆盛期にも自分で確定申告を行う必要がなくなる源泉分離課税の導入にFXの誕生から実に10年以上かかった
その前のタイミング、つまりは今の仮想通貨と同じ状況の、申告の情報不足の頃に、FXで何が起こったか。

適切に申告したかったのにやり方がわからなかった多くのユーザーが、数年後、無申告あるいは過少申告だった為ペナルティ付きの税金を追徴請求された

さらに最近話題になっているが、税金は自己破産しても逃げられない

当時、利益確定しなければ税金がかからない、というように、間違った情報が跋扈していた。

まさにこの歴史が繰り返されると思ったそうだ。
負の歴史は繰り返してはいけないし、今の仮想通貨市場がせっかく盛り上がり、全体で箱推し感があるのに、これでは衰退してしまう

社会に受け入れられるためには自分に何ができるか。

そう考え、情報発信を始めたという。


自分一人では救いきれない。独立から法人の設立へ

二匹目のヒヨコのアカウントを作ったのは昨年5月。

確定申告を正確に行うための仕組みが存在していない。その助けになればという一心で6月からつぶやきを始めた。

転機となったのはmineCCさんとの勉強会。

そこで税務の話を紹介したところから、二匹目のヒヨコのアカウントを認識してもらえたという。

そこから次々にTwitterで質問や相談が寄せられた。

7−9月で、500名程度の相談にDMで乗っていた

当時は駆け込み寺のようになり、パンクしていたという。

9月に至っては朝から晩までTwitterのDMを返していた

ここで思ったという。

「少なめに見積もっても10万人以上の確定申告が生じる。

自分で捌ける限界は500人で、このままでは頑張っても救えない。」

そう思い法人化を言い出したのが9月。

そこから短期間でファイナンスを実施。チームビルドの末10月から本格的に事業活動を開始した。

狙ってスタートアップしようというわけでもなかったですし、設立からまだ間もない。
今も日々チャレンジの連続です。(沼澤氏)

今も仮想通貨コミュニティの方々、投資してくださった方への感謝は尽きないという。

仮想通貨界隈で、同氏が支援しているALISが日本で初めてICOをする時。

ブロガーのポインさん自らALISにインタビューをしてブログで紹介を行い、結果、仮想通貨コミュニティでのALISの認知につながったというエピソードもある。仮想通貨を取り巻くコミュニティには、それぞれに自分に出来ることを見つけてやっていく文化がある

そんな優しいコミュニティへの感謝の思いをこめ、始まりからずっと、TwitterアカウントのPASSを知るのは沼澤氏のみ、自動投稿等で利用する連携アプリもなく、リアルタイムでつぶやいている

駆け込み寺から縁の下の力持ちへ

いずれ、仮想通貨取引はマジョリティに切り替わっていきます。
ブロックチェーン技術の本質とは関係のない税金の問題で、それが社会に溶け込む障壁になるのは避けなければなりません。
仮想通貨をはじめとするブロックチェーン技術が社会に受け入れられるための基盤を作る
そのために、まずは社会課題の大きい、税金に関する諸問題を解決します。
僕たちは、ブロックチェーン技術が浸透していく過程で生じる課題を取り除く縁の下の力もちでいたいんです。(沼澤氏)

そして2017年12月1日、サービスのリリースへ。
最初に出したのが「Guardian」
一番最初にやろうとしていたものだそうだ。

法制度化もままならない中、日々新たに仮想通貨を利用した新しい経済取引が生まれる状況下では、すべての取引を完全に自動で処理することはできない

そこで、結論この解決には、税務のプロフェッショナルである税理士のに、仮想通貨に係る啓蒙をして、投資家が相談する窓口を増やすことでしか成せないと考えた。

投資家が安心して相談できる窓口の母集団を増やそう
そんな思いからJCTA(一般社団法人 日本仮想通貨税務協会)を作って啓蒙をスタートした。

既に有識者・事業者側から複数名の理事の就任が決定しており、12月の協会員の募集スタートから今日に至るまでに、既に全国60の税理士事務所・税理士法人が参画している。

民間資格の付与をし、一定水準の仮想通貨取引の計算ができる税理士と投資家をマッチング

また、新しい経済事象が生まれたタイミングでは、利害関係者の影響力の大きい法人税や消費税まわりから制度改正がなされるため、所得税についても仮想通貨の取引の背景や実態を斟酌した前向きな制度改正を行うため、実務側から論点の整理やパブリックコメントを通じて税務を解決しようとしている

日本は、仮想通貨交換業者制度等、仮想通貨をとりまく法整備を前向きに行っているという点で、今世界でも先頭を走っていると考えています。

この良い流れに杭を打たぬよう、個人の仮想通貨取引の実態を適切に捉え、外に対してもその実情を共有していくべきだと考えています。(沼澤氏)

「Guardian」はかなりの取引をされるユーザー向け。
すべての取引所、取引形態に対応しており、ICOやレンディング及びポロウィング、ハードフォークやマイニングにも対応
限られた取引所において売買を行っているだけなど、ライトなユーザーには無料で提供したい、との思いから後追いで「G-tax」をリリース。

こちらは去年の年末CMなどで仮想通貨の価格が上がり、

「テレビCMをしているので安全?」
「そうやる儲かるらしい」

といった印象から仮想通貨取引を始める方が増えてきた。
そこで「Guardian」で仮想通貨の損益計算に利用しているシステムをwebアプリに移植、
1月9日にベータテストを開始
した。

年末年始で一気に作って
7000人のテストユーザーに今フィードバックをもらっている状態
だという。
同時に、「G-tax」をユーザーにとってさらに価値のあるサービスにするべく、開発費用の一部を賄う為にクラウドファンディングを開始した。

価値の源泉は温かいコミュニティ、仲間意識

クラウドファンディングを行ったのも理由は簡単である。

NEMやALISといった仮想通貨に共通した強みは、それをとりまくコミュニティの存在にあると同氏は語る。

そして、税務の問題の解決し、仮想通貨が社会に受け入れられる環境を整備するため、今抱えている問題意識を共有するコミュニティを作ろうとしている

CAMPFIREのミッションに共感しているのもプラットフォームに選んだ理由の一つ。

CAMPFIREのスローガン「資金集めを民主化し、お金の偏りを無くし、世界中の誰もが声をあげられる世の中をつくる」
ビジョンは「優しい革命をおこす」

これを、仮想通貨のコミュニティで起こしたいそうだ。

二匹目のヒヨコとして、仮想通貨のコミュニティに貢献するための活動を、投資家のみなさんに受け入れていただいて今に至ります。
今後も、この灯火を大きくし、仮想通貨をはじめとするブロックチェーン技術の本質からはズレのある損益計算の部分については、心配することがない世界を実現したいと思っています。
本来、仮想通貨に接している方は、投資の意思決定や、ブロックチェーン技術の応用でどんな未来を実現できそうか、そういった本質の部分に時間を使っていただきたいと思っています。

エアリアルパートナーズの描く未来。

あくまで私見ですが、日本の仮想通貨投資家の多くは真面目で、できることであればきちんとしたかたちで確定申告をしたいと思っています。そういった善意の投資家が、望んでも正確な確定申告できない状況が問題です。

税理士の方の多くもお手上げになってしまっている状況の中で、駆け込み寺は必要ですし、難しい問題に直面していても、手を差し伸べられる存在でありたいと思っています。
仮想通貨取引所を始め、この業界を取り巻くプレーヤーは皆それぞれに投資家を保護するために必要な仕組みの整備に汗を流しています。
僕たちは、僕たちにしかできないかたちで仮想通貨コミュニティに貢献していきたいです。(沼澤氏)

お話をお聞きして、同氏の接しやすさや優しさ、意気込みをとても強く感じたのと同時に、仮想通貨コミュニティへの愛とこの事業の必要性を肌身に感じた
今後も沼澤氏エアリアルパートナーズの描く未来に密着していきたい。