20歳で起業、自力で立ち上げた東大フードテックスタートアップ「ふらりーと」がオイシックスグループ入りを発表 食のプロたちと「第2創業」で1000億円企業を目指す

オイシックスは、フードテックスタートアップ「ふらりーと」の全株式を取得し、子会社化することを発表した。

新年度が本格スタートした4月、全国各地で入社式が行われた。今春の新社会人は約89万人と推計される。同級生が新社会人として社会に踏み出す中、22歳の若手起業家が上場企業のグループ入りを「第2次創業」の道を新たに決意した。

オイシックスは、本日、フードテックスタートアップ「ふらりーと」の全株式を取得し、子会社化することを発表した。

ふらりーとは、22歳の東大生・齋藤大斗氏が創業した会社。東京大学入学後、大学2年時に食にまつわる学生団体で代表を務め(後に、Pernod Ricard Japanへ事業譲渡)、実名型グルメサービスRettyと短期集中プログラミング学習プログラムTECH::CAMPでのインターンを通じて事業の立ち上げを学ぶ。その後、起業を決意して大学を休学し、2015年11月当時20歳で創業した。TOKYO STARTUP GATEWAYの第2期ファイナリストにも選ばれている。

**食の領域で何かをやりたかったんです。はじめは趣味の延長線上のような形で学生団体に参画し代表を務めましたが、チームでモノ作りをしていく中で起業に関心を持つようになりました。**

**それから起業について調べるようになって、たまたま東京都主催のTOKYO STARTUP GATEWAY第1期のファイナルイベントが開催されるのを知って見に行ったんです。それまで一度もスタートアップ系のイベントに参加したことがなくて初めてだったのですが、登壇スタートアップの方々のプレゼンを見て感動して、来年はこの舞台に自分がスタートアップとして立ちたいと思ったんです。**

**起業するためにも、まずは事業の立ち上げを経験したいと思って、友人の紹介でRettyでインターンをしながら、プログラミングを勉強するためにTECH::CAMPに通いました。その後、仕事や子育てを頑張る全ての人を支えるような食を届けるような食のインフラを作りたいと思って、ふらりーとを創業しました。**

**はじめの頃は、自分でコードも書いたりしていました。ただエンジニアではなかったので1ページ作るのにも時間がかかったり、あとはチームで喧嘩したりとか事業と無関係なところで時間が取られ、全然思うようなスピードでPDCAを回せていなかったなと思います。**

そう語る齋藤氏は、創業直後を「第0次創業」、チーム体制が整ってサービスを開始した当時を「第1次創業」と振り返る。創業直後は学生起業ならではの苦悩も多い期間もあったというが、2016年3月には同級生らと共にチームをつくり、同年5月より、家庭の食生活と健康を専属の栄養士が支えるサービス『ふらりーと』の提供を開始した。

サービス『ふらりーと』は、家事代行の中でも料理代行に特化し、共働きや子育て世代向けにそれぞれの好みや体調に応じた食事を、栄養士・管理栄養士が自宅で作り置きしてくれるサービスとしてはじまった。

しかし、ユーザーヒアリングを積み重ねていく中で、**「一定数のニーズはあるけれども、海外のオンデマンドサービスのように、家事代行という枠組みを超えて文化として根付かせるのは難しい。このサービスだけでIPO、ましては企業価値1000億円を超える会社にはなれない」**(齋藤氏)と感じたという。

創業から半年後の同年9月、新たな事業へのピボットを検討しながらも、資金力と経営陣を強化するために、アーリーラウンドの資金調達も並行して動きはじめた。

**事業を伸ばしてから、アーリーステージでCVCからの資金調達を行いたいと思って、はじめは自己資本と借入だけで経営していました。開発を手伝ってくれたメンバーもみんな同い年で学生だったのでバーンレイトが高くなかったというのと、たまたま資金調達を考えていた時に、良い条件で融資を受けることができたんですよね。個人保証もつかずに、シードラウンドで資金調達するよりも大きな金額を融資していただけました。タイミングがよかったんだと思います。**

**その後、ふらりーとがある程度ユーザーもついてきたタイミングで、資金調達に動きはじめました。ただ当時、ピボットも検討していたんですよね。ユーザーが一定数ついてきて立ち上がりつつあるけれども、会社としてより大きな挑戦をするためにはピボットも選択肢にある、そう悩んでいました。資金調達で投資家の方々にお会いする時も、ピボットの可能性も含めてご相談させていただいていました。その時に出会ったのが、オイシックスでした。**(齋藤氏)

今回、齋藤氏が率いる「ふらりーと」はオイシックスによる100%完全子会社化を発表したわけだが、今年に入ってからサービス『ふらりーと』は閉鎖されており、次なる新たな取り組みに挑戦するのではないか、と思っていた矢先の出来事だ。

今回の経緯を齋藤氏に聞いてみると、齋藤氏が考えていたピボットのアイデアとオイシックスが検討していた投資領域が偶然にも一致しより早い事業化を進めるために**「ピボットを前提としてオイシックスグループ入りすることを決めた」**という。

オイシックスといえば、有機野菜などの定期宅配型ECや産地直送型EC、店舗事業などを手がける一方、日本初のフードテック専門の投資部門フードテックファンドを持つ。

フードテックファンドでは、単なる純投資という側面だけでなく、オイシックスのノウハウを生かした実行支援を行い、新技術や新サービスのより速い実用化、事業化を支援する側面もある。

* 参考記事:日本初のフードテック専門の投資部門「フードテックファンド」その仕掛け人・オイシックス 佐藤氏が語る、オイシックスのオープンイノベーションの活性化

スタートアップには様々な意思決定を伴う。その意思決定には、ヒトやモノ・コトとの出会いやタイミングが大きく影響を与える。今回の発表は、食の領域で圧倒的な地位を目指すという大きな流れの中のごく自然な成り行きであり、双方にとってさらなる成長へ挑む上での基礎になる。

**僕らは、今回オイシックスグループ入りし、既存事業からは完全にピボットし、新たな事業に挑戦します。僕らにとっては「第2創業」という意味合いが強く、現在は「ごふぁん」という主婦などの空き時間を活かした料理シェアサービスを開発中です(詳細はクローズド)。**

**もちろん、自分たちだけでピボットしてその後に資金調達するという選択肢もありましたが、これから僕らが挑戦する事業には様々な課題が待ち受けています。だからこそ、事業のノウハウやバックオフィスもサポートしていただけるオイシックスの環境が、これからの僕らにとって魅力的でした。また僕自身、高島さん(オイシックス 代表取締役社長 高島宏平氏)のことを尊敬していて、尊敬できる経営者の側で直接仕事ができるのは起業家としても成長できると思いました。**

**今回オイシックスグループ入りして資本構成は変わりますが、食の領域で1000億円企業を作るという想いは変わりません。むしろ、固定費をかけたくないので、僕らからオイシックス側にお願いして同じオフィスに入居させてもらいました(笑)**

**オイシックスのグループの一員として、僕らは新規事業担当の若手という意味合いも強いと思っているので、僕らがフードテックスタートアップとして新たな試みに挑み、僕ら単体としても1000億円企業、オイシックスグループとしても1000億円企業を作っていきたいと思っています。5月下旬にはiOSアプリのβ版のリリースを予定しており、エンジニアも創業期らしく何でもやる系人材も募集しています。今の第二創業フェーズに参画してもらえれば、なかなか味わえない経験になると思います。**(齋藤氏)