2社の起業、イグジットを経て、シリアルアントレプレナーがペット x ヘルスケア x IoTで新たな挑戦に臨む…株式会社ぺっとぼーどCEO堀宏治氏

今回、Pedia Newsでは、株式会社ぺっとぼーどCEO堀宏治氏に、青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC)でインタビューを実施。新サービスの全容、ぺっとぼーどの創業経緯と今後の展望について伺った。

1兆5,000億円の市場に、2社の起業、イグジットを経てシリアルアントレプレナー(連続起業家)が新たな挑戦に臨む。

矢野経済研究所は、4月、2015年のペット関連市場規模は前年比1.3%増の1兆4,689億円であることを公表。特に、ペットの健康維持・管理に関する製品やサービスへの需要が高まっている。

いま注目のペット市場で、2社の起業、イグジットを経たシリアルアントレプレナーが、医療とIT技術の知見をいかし、新たな挑戦に臨もうとしている。それこそが、株式会社ぺっとぼーどだ。

株式会社ぺっとぼーどは、2012年、「ペットが幸せになれば、人は幸せになれる」をビジョンに掲げ、シリアルアントレプレナー(連続起業家)堀宏治氏によって創業。2014年より、小田原でトータルペットケアサロン「CARE&SPA](http://carespa.jp/){: target=”_blank”}」を開業。2015年には、港区白金のトリミングサロン「[Petman」を買収し、経営統合。

また2016年1月より、実店舗事業に加え、テレビ電話でペット相談できるサービス「PetBoard.vet」を運営。「PetBoard.vet」は、2016年3月、KDDIウェブコミュニケーションズ社が開催した「Smart Communication Award 2016」で最優秀賞を受賞。

さらに2016年6月には、ASACアクセラレーションプログラム第2期に採択。ASACアクセラレーションプログラムとは、東京都から有限責任監査法人トーマツが委託を受けて運営するアクセラレーションプログラム。

そして今回、ぺっとぼーどは満を持して、ペット市場でIoT(Internet of Technology)に挑む。少子高齢化や核家族の進展に伴い、ペットが家族の一員として認識される中、ペット業界でオンラインとオフラインの融合し、新たなイノベーションの創造を目指す。

今回、Pedia Newsでは、株式会社ぺっとぼーどCEO堀宏治氏に、青山スタートアップアクセラレーションセンター(ASAC)でインタビューを実施。新サービスの全容、ぺっとぼーどの創業経緯と今後の展望について伺った。

### “もうペットなしではいられない”

“ペットと暮らす喜びを経験すると、もうペットなしではいられない”そう語る堀氏も無類のペット愛好家だ。家族のように大切で愛する存在であるペットのために、自分の強みをいかして社会貢献したい。その想いが、ぺっとぼーど創業を後押しした。

しかし堀氏は、もともとペット関連事業に従事していたわけではない。堀氏は、1993年大学卒業後、新卒でNTTデータに入社し、病院のシステム開発に従事。2002年にはジョンソン&ジョンソンに転職し、2年間病院のコンサルタントとして活躍。2004年、病院のコンサルティングを行うGlobal Health Consulting Japanを共同創業。さらに2006年、病院のデータ分析会社のメディカルアーキテクツを創業し、2011年girasol(ヒラソル)に事業売却。

### 2社を自己資金だけで創業

**堀氏**:1社目の起業も2社目の起業も、”スタートアップ”という概念も知らなかったので、ベンチャーキャピタルなどから資金調達することなく、自己資金だけで創業しました。

### 1社目は日本最大の病院コンサルティング企業へ成長

**堀氏**:1社目の起業は、ジョンソン&ジョンソン時代の仲間と共にGlobal Health Consulting Japanを創業しました。Global Health Consulting Japanは、現在、日本最大の病院コンサルティング会社になりました。

2003年に日本の医療制度が、医療機関が実際に行ったサービスの項目と数量に応じて報酬が支払われる「出来高払い方式」から一連の医療サービスを一括りにして評価し、疾患ごとに定められた入院1日あたりの医療サービスの費用に基づいて、患者の入院日数に応じた診療報酬を医療機関に支払うアメリカ型の「包括払い方式」に大きく変わりました。

当時医療業界ではこれまでの方針から180度変わったので大激震でした。この包括払い方式に対応するために、Global Health Consulting Japanでは日本全国の病院から診療データを集めて、同じ診療でもコストを抑えている病院のデータをコスト高の病院と比較することで、全体の診療にかかるコストを下げていきました。

### 1社目からスピンアウトして2社目を創業

**堀氏**:当初は社内のコンサルツールとして全国の診療データを保有していましたが、僕たちだけでは到底全国の病院をコンサルできませんでした。それなら病院側にデータ分析システムを提供した方が医療業界を変えられる。そう思って、Global Health Consulting Japanからスピンアウトして2社目となるメディカルアーキテクツを創業しました。

### 2社目は日本最大の診療データベース会社へ成長

**堀氏**:メディカルアーキテクツは、最終的に1,000の病院に導入されて日本最大の診療データベース会社になりました。当時、社員は全部で5名程度で売上が10億円近くあり、利益率も極めて高かったんです。ただある時からサーバーダウンが頻発しました。というのも、データベースでは1,000病院の全診療データを記録・保存していたので、システムの見直しが必要でした。そこで、改修可能なエンジニアを抱える現在の株式会社ヒラソルに事業売却することになりました。現在ヒラソルでは、導入数をコントロールして運営しているようです。

### 2社の起業、イグジット、そして東日本大震災が人生を変えた

**堀氏**:2社目のイグジットを機に、医療業界から離れることを決めました。その直後、2011年に東日本大震災が起きました。その時ニュースで被災地でペットを飼っている人たちがペットと一緒に住めなくなってしまったことを知りました。

### ペットを社会問題として認識、クラウドファンディング開始

**堀氏**:僕もペットを飼っていて家族の一員のように愛していたので、それを知った時にはショックで初めてペットを社会問題として認識するようになりました。そこで、動物愛護活動を進めたいと思って、「CAMPFIRE」でクラウドファンディングをはじめました。CAMPFIREのプロジェクト「犬・猫の殺処分0をソーシャルで実現するプロジェクト」では、動物愛護活動をするための資金20万円を集めました。

### 3社目の起業、ぺっとぼーどを創業

**堀氏**:それがキッカケで、ペット業界で仕事をすることになり、2012年にぺっとぼーどを創業しました。

### 飼い主の”あったらいいな”を実現

**堀氏**:僕はペット業界の人間というよりペットの飼い主という立場だったので、一人の飼い主として”ほしい”サービスを作りたいと思って、ペットケアサロン「CARE&SPA」を小田原につくりました。

### 豊臣秀吉にあやかり、小田原でペットサロンを展開

**堀氏**:「小田原を制圧すれば、日本を制圧できる」豊臣秀吉の小田原攻めにあやかりました(笑)また近くに箱根があったのも理由の一つです。実は箱根はペット同伴で入れるお店やペットホテルなどが少なくて、ペットにはあまり優しくない街なんです。そこで箱根にも近い小田原にペットサロンを作り、箱根のお客さんにも来ていただけるようにしました。実際、ペットホテルの3割が箱根のお客さんです。

### 月額2,000円でペットの歯磨き受け放題

**堀氏**:「CARE&SPA」の特徴は、ペットの歯磨きが月額2,000円で受け放題のサービスです。ペットの寿命は20年で1.5倍以上に増加していて、歯周病のワンちゃんは全体の80%に及びます。というのも、ワンちゃんに飼い主が歯磨きをしようとすると、噛み付いてくるんです。僕も自分ではワンちゃんの歯磨きはできません。従来のトリミングサロンでも歯磨きをしてくれていますが、サロンには月1回程度しか行かないので、歯磨きも月1回しかしていないんです。毎日ペットの歯磨きをしてほしい。そう思って月額2,000円で歯磨き受け放題のサービスを作りました。

### ペットサロン黒字化、そしてオンライン事業へ進出

**堀氏**:毎日サロンでペットにケアを提供し、飼い主さんたちと話すようになって、我々が1番ペットのことをわかるようになりました。そこで、ペットサロンの実店舗事業が黒字化したタイミングで、リアル事業のノウハウをオンラインでも事業を展開したいと思い、新規事業をはじめました。

### テレビ電話でペット相談できるサービス「PetBoard.vet」

**堀氏**:それが1月より開始したテレビ電話でペット相談できるサービス「PetBoard.vet」です。

**堀氏**:「PetBoard.vet」を使えば、普段忙しくて動物病院に行けない人でも、いつでもどこでも気軽に獣医師さんにテレビ電話で相談できます。ただ1つ問題があったんです。それは飼い主さんが獣医師さんに相談したい時は、病院に行く時と同じでよほど悩み事がある時でないと使わないんです。

### オフラインとオンライン事業でわかった、飼い主さんの本当の悩み

**堀氏**:一方ペットサロンには毎日ペットたちが飼い主と一緒に来てくれて、健康状態を管理できるような状況がありました。毎日飼い主さんとペットと触れ合うことでコミュニティもできていました。飼い主さんたちにお話を聞いてみると、皆さん口を揃えて言うのが”食事”の悩みでした。

### 「食生活を通じてペットの健康改善をしていきたい」

**堀氏**:これは、我々が店舗で販売しているペットフードなのですが、オーストラリア政府が認定しているオーガニックのペットフードなんです。もちろん人間も食べれます。ただ値段がホームセンターなどで販売されている廉価なペットフードと比べて15倍で、1gあたり3円かかります。例えばトイプードルであれば、このペットフードに変えると、毎月1万円、年間12万円のコストがかかります。コストはかかりますが、我々は実際に自分たちのサロンで、ペットの健康状態が日々改善されていくのをこの目で確かめています。だからこそ、より多くの飼い主の方々にこのペットフードを知っていただいて、より多くのペットにこのペットフードを食べてもらって、健康になってほしい。食生活を通じてペットの健康改善をしていきたい。そのために、IoTの分野に挑戦することに決めました。

### ペット x ヘルスケア x IoT 「HACHI TAMA(ハチタマ)」

**堀氏**:そこで今回、新たに「ペット x ヘルスケア x IoT」として「HACHI TAMA(ハチタマ)」というハードウェアを開発しました。このハードウェアは、スマートフォンアプリと連携しており、アプリからタイマーでセットして1日4回まで自動でフードをあげることができます。ハードウェアからフードが出るときには音が鳴るので、”この音が鳴ればごはんの時間”というのを習慣化することができます。もちろん、このハードウェアにはカメラも付いているので、外出時でもアプリからワンちゃんの様子をいつでもどこからでも確認することができます。これにより、ぺっとぼーどでは、ペットのデータを集め、そのデータに基づき、食生活を通じてペットの健康改善を実現します。

### ぺっとぼーど第2章は「ペットのヘルスケア」

**堀氏**:今後我々は、ペットのヘルスケア事業を展開します。ペットのヘルスケアには「食事」「健康管理」「保険」の3つがあります。ぺっとぼーどのユーザーさんは、ペットフードを定期購読して「HACHI TAMA」で毎日決まった時間に決まった分量の良いごはんを食べているので、健康管理ができています。

### ペット保険事業へ参入を視野に入れる

**堀氏**:将来的には、そのユーザーさんたちをプラットフォームにした、新しい「ペット保険」を作りたいと思っています。現状のペット保険は年齢のみの判断で健康状態に関しては自己申告でほぼ無審査です。そのため、事故率が高く保険料もどんどん値上げ傾向にあります。我々はペット保険の仕組みを変え、ペット業界でイノベーションを創出したいと思っています。その実現には、ペットの毎日の健康状態を示すデータが必要不可欠です。

### ペットのヘルスケア業界の第一人者「ぺっとぼーど」

**堀氏**:僕はこれまでヒトのヘルスケアに関する事業をしてきて、たくさんのヒトの健康状態に関するデータを収集し、データベースを作成し、全国の病院に提供し、データベースが生み出す価値を体感してきました。今度は、これまでのヘルスケアとIT技術のノウハウと知見をいかし、ペットの健康状態に関するデータを集め、ペットの健康改善につながるサービスを生み出し、ペットのヘルスケア業界の第一人者として先頭を走っていきたいと思います。

ー ありがとうございました。

なお、10月6日からクラウドファンディングがスタート予定。現在、事前登録キャンペーンを実施中。メールアドレスを登録するとhachi tamaが無料で当たるなど各種特典がつく。

ペット x ヘルスケア x IoT 「HACHI TAMA(ハチタマ)」