誰にも負けない、その熱量の先にあるものは「釣り」業界の未来…釣り人による、釣り人のための「アングラーズ」が500 Startups Japanとイグニスから資金調達

アングラーズは、500 Startups Japan、イグニス、個人投資家から数千万円の資金調達を実施。今回、Pedia Newsでは、アングラーズ 取締役COO 藤井紀生氏にインタビューを実施し、今回の資金調達の経緯、そして今後の展望を伺った。

時代は「モノ消費」から「コト消費」へ ーーー 小売、サービス業など、幅広い業界で近年よく使われる言葉だ。国内でもスマートフォン普及率が約7割にも達し、誰もがいつでもどこでもインターネットで世界中の情報へのアクセスが可能となった。さらにSNSの利用増加に伴い、受動的に情報が取得できるようにもなった。その時代、社会の移り変わりと共に、消費者の嗜好が「体験」を重視したものへ変わりつつある。

そうした消費傾向を背景に、いま、体験型レジャーが注目される。「釣り」もそのひとつだ。実際、一般社団法人日本釣用品工業会が発表した「釣用品の国内需要動向調査報告書」によれば、2014年の釣用品国内出荷規模は3年連続プラス成長を続けている。この釣り業界に挑むのが「アングラーズ」だ。

アングラーズ](http://info.anglers.jp/){: target=”_blank”}は、本日(12月1日)、500 Startups Japan、[イグニス、個人投資家から数千万円の資金調達を実施。今回の資金調達は、2016年4月に500 Startups Japanが発表したJ-KISS型新株予約権方式で行われた。

今回、Pedia Newsでは、アングラーズ 取締役COO 藤井紀生氏にインタビューを実施し、今回の資金調達の経緯、そして今後の展望を伺った。

### 誰にも負けない、その熱量の先にあるものは「釣り」業界の未来
#### 釣り人による、釣り人のための「アングラーズ」が500 Startups Japanとイグニスから資金調達

誰にも負けないもの ーーー それが藤井氏にとっては「釣り」だった。藤井氏は、立命館大学在学中に「釣り」にハマる。その後、立命館大学MOT大学院 テクノロジー・マネジメント研究科に進学し、アントレプレナーシップを学ぶ一方で、再び趣味の釣りに没頭する。**「学校にも行かず、琵琶湖で釣り三昧でした(笑)」**

大学院卒業後は、ベンチャー企業に就職し、ベンチャーのイロハを学ぶ。そして、2012年、麻雀仲間でもあった若槻氏(アングラーズ 代表取締役CEO若槻嘉亮氏)・若槻氏の大学の友人である渡邊氏(アングラーズ 取締役CTO 渡邊新介氏)と共に起業する。

**起業当時は、若槻と渡邊がプログラマだったので、スマートフォンを使ってサービスをやりたいと思っていましたが、何を作るかは決めていませんでした。いろいろな案を考えてみましたが、手応えがなかったんです。**

**「これまでの人生の中でやってきたことで誰にも負けない。それくらい熱量がなければスタートアップで勝負し続けられない」そう思いました。僕の場合はそれが「釣り」でした。**

**実際に釣りをしていて、ほしい情報がネットにもなかったんです。ないなら作ってしまえと。それが原点となり、釣果記録アプリ『ANGLERS』をリリースしました。**

**最初は僕の釣り好きの延長で始まったサービスでしたが、利用者が増えていくにつれ、「どのように釣り人たちへ還元していくか」「どのように釣り人口を増やし、釣り業界を一緒に盛り上げていくか」を強く考えるようになりました。**(アングラーズ 取締役COO 藤井紀生氏)

アングラーズでは、「釣りで人生を豊かに」をビジョンに掲げ、釣り人向けに釣果記録アプリ『ANGLERS』を提供する。『ANGLERS』は、釣った魚などの記録「釣果」を簡単に記録することで次回の釣りに活かせる、釣り人のために役立つサービスだ。現在ダウンロード数は11万以上、釣果記録数は28万を超え、スマホアプリ日本一の釣果記録を誇る。

**日本の釣り人口は約800万人で、僕らは、ルアー釣りにフォーカスしてサービスを提供しています。

**実際に釣りをしていると、「ロッド、リール、ラインが自分には何が合うのか」「どこで釣れるのか」が知りたいんですよね。釣り人にとっては「釣り具」と「釣果」の情報が全てなんです。**

**釣具に関して言うと、困るのが、昔の釣具のモデルの情報です。店舗には売っていたり、手元でまだ現役で使えるのに、メーカーサイトでは最新のモデルが陳列されていて、載っていないことも多いです。僕らは、過去のものを含めて約80のメーカーのロッド、リール、ラインの情報を全部で1万点近く網羅しています。**(アングラーズ 取締役COO 藤井紀生氏)

アングラーズは、500 Startups Japan、株式会社イグニス、個人投資家から数千万円の資金調達を実施。今回の調達は、2015年12月にクックパッド元COO山岸延好氏による出資に次いで、2回目の資金調達だ。

**僕らは、サービスの特徴もあり、やはり「釣り」好きの方には刺さったんですよね。釣り業界には、僕らのようなサービスは少ないです。ただ、釣り人でないと、実感できない部分も多くあります。だからこそ、資金をいただく以上に、誰に株主になっていただくのか、それが非常に重要でした。**

**今回の資金調達は、実際に釣り人でもある投資家の方にも賛同していただけて、本当に素晴らしい投資家の方々にめぐり会えたと思っています。**

**今回の資金調達によって、500 Startupsと共に海外展開を積極的に考えていきたいと思います。イグニスさんからは組織についてアドバイスをいただいており、今後は採用も強化していきたいと思います。僕らは初めての起業でわからないことばかりなので、投資家の方々は親身になって相談に乗ってくださるので本当に助かっています。**(アングラーズ 取締役COO 藤井紀生氏)

投資家側から見た時に、今回の出資の決め手はどこにあったのだろうか。今回のラウンドに参加した、500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏、イグニス 代表取締役社長 銭錕氏は、次のように語った。

○ 500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏

**若槻さんと藤井さんは、最初のmtgの際から釣りに対する愛があふれ出ていました笑。しかし、同時にそれがプロダクトにしっかりと盛り込まれ、高いエンゲージメントが出ていたことが一番の決め手です。釣りはニッチで深くユーザーに刺さる一方、グローバルに愛好者が広がるアクティビティです。今後は、500 Startupsの得意とするグロースのノウハウを注ぎ込むことで、ニッチ×グローバルで伸ばしていけるポテンシャルがあると感じています。**

○ イグニス 代表取締役社長 銭錕氏

**釣りを大きく進歩させる可能性があるチームだと思っています!いち釣り人としてもサービスの成長と今後提供される素晴らしい体験を楽しみにしています!**

今回の資金調達によって、アングラーズは、どのような展開を狙うのだろうか。最後に、藤井氏は次のように語ってくれた。

**一言で言えば創業時より計画していた「どこで何が釣れているのかを知ることができるサービス」に移行します。**

**僕らは、これまで『ANGLERS』を通じて、釣り人に必要不可欠な情報である「釣果」「釣具」の情報をインプットしてきました。釣り人にとって、釣果の詳細な位置情報は「言いたくないけれど聞きたい情報」です。誰かに教えると、これまでのように釣れなくなることもあります。だからこそ、ユーザーに応じて、リアルで一緒に釣りに行く身内に話す情報と、知らない人に話す情報の境界線が異なります。例えば「東京湾」と「川崎市の○○○」というのでは情報の粒度が異なり、ユーザーによっては情報伝達先の相手に応じて開示する情報の粒度を変えたいという要望があります。**

**今後は、インプットを中心としたサービスからアウトプットもできるサービスへと変わっていきます。そのためにも、現在開発者が圧倒的に足りていません。今回の資金調達では採用の面の強化を図っていきたいと考えています。**

**僕らは、日本だけに収まるつもりはありません。釣り具は、日本のメーカーが世界のトップ1位と2位を独占し、日本の技術は世界一です。日本は、釣りの歴史が深く、食べるための釣りから、キャッチアンドリリースという言葉があるように楽しむための釣りに変わってきました。また、日本は人口に対して釣りができるエリアが狭いため、釣り人にとってはまさに情報が全てです。日本で僕らのサービスが成功すれば、同じような環境を持つ国々でも成功できると考えています。**

**将来的には、釣り人や釣りに行こうと思った人が「まず検索する」ようなサービスへ進化させ、釣り人口を増やしていきたいと思います。**(アングラーズ 取締役COO 藤井紀生氏)

「体験」による「コト消費」が重視される時代だからこそ、起業家自身が、消費者の抱える見えない「痛み(ペイン)」を理解し、それを解決するサービスが求められている。まさに、釣り人であった藤井氏だからこそ、釣り人による釣り人のためのサービス『ANGLERS』を生み出すことができたといえよう。そして、藤井氏らの想いを分かち合う投資家もまた、釣り人だったからこそ、レガシーな釣り業界が抱える課題と消費者の変わりゆくニーズを分かり合えたのだろう。

起業家と投資家は両輪の関係だ。起業家と投資家が、共に理解し合い、同じゴールを目指すことで、レガシーな業界でさえも産業構造から大きく変えることができる。アングラーズが、彼らを支える投資家らと共に、ITの力で「釣り」業界の未来を創出することに期待したい。