自前主義からの脱却!トヨタ自動車のアセットをフル活用した共創プログラム「TOYOTA NEXT」が始動…垣迫氏と金岡氏が語る「トヨタにしかできない、オープンイノベーション」

Pedia Newsでは、トヨタ自動車株式会社 デジタルマーケティング部 部付 主査 担当部長 垣迫和行氏と、同じくデジタルマーケティング部 部付 中長期戦略グループ 係長 金岡慶氏にインタビューを実施し、トヨタ自動車がオープンイノベーションとしてTOYOTA NEXTをはじめた全貌を伺った。

日本経済において、基幹産業である自動車産業は、高い国際競争力をもち、貿易黒字の大部分を占める。国内においても首都圏から地方まで広大な裾野産業と雇用を抱えており、地域経済を支える。

今、自動車業界は100年に一度の大きなの波が押し寄せている。自動運転や、電気自動車など次世代自動車の普及などにより、自動車業界が大きく変わろうとしている。従来より、自動車は、環境汚染、省エネルギー、CO2排出抑制などの社会的課題に対応し、画期的な技術の開発と導入を進めてきた。しかし、温暖化が進展する中、環境・エネルギー性能に優れた自動車の普及や、高齢化に伴い、高齢者が安全で円滑に移動できる社会の実現や、都市に置ける渋滞問題の解消などに向け、自動車にはさらなる進化が期待される。

日本の国民産業であり、日本を代表とするブランドでもある、自動車産業が、将来もイノベーションの中心であり続けるためには、今何が必要のだろうか。その答えのひとつが「オープンイノベーション」であろう。

こうした中、トヨタ自動車は、昨年2016年12月7日より、オープンイノベーションプログラム「TOYOTA NEXT」を開設した。このプログラムでは、募集テーマに沿う新たなサービス案を他企業、研究機関等から募集、選考し、選定先とサービスを共同開発していく。

Pedia Newsでは、トヨタ自動車株式会社 デジタルマーケティング部 部付 主査 担当部長 垣迫和行氏と、同じくデジタルマーケティング部 部付 中長期戦略グループ 係長 金岡慶氏にインタビューを実施し、トヨタ自動車がオープンイノベーションとしてTOYOTA NEXTをはじめた全貌を伺った。

少子高齢化と過疎化が同時進行する日本では、21世紀初頭をピークに人口が減少し続けており、それと共に高齢化が深刻化している。一方、都市圏に人口が集中しており、地方の過疎化、さらに過疎地域の人口減が依然として続いている。人口減少が続けば、資源消費の減少をもたらし、生産・消費のあり方を大きく変え、環境負荷を減らす効果が考えられる一方で、一人当たりのエネルギー消費量や廃棄物量の伸び等の増加が人口の減少率を相殺する可能性、生産性の低下による環境投資額の減少や技術開発力の低下、過去の環境汚染を回復するための資金等の不足の可能性も考えられる。

この流れを打開するには、社内のリソースだけにとどまらず、社外と連携して「オープンイノベーション」に取り組み、産業構造そのものを未来に通ずる次世代のものへと進化させる必要があるだろう。

とりわけ、日本経済を長年にわたり支え続ける、自動車産業のイノベーションに注目が集まる。自動車業界においては、急速かつドラスティックな環境変化が進展し、市場競争環境は不確実性を増しており、既存の競争原理は業界や国境を超えて破壊されつつある。
政府も、名目GDP600兆円に向けた「日本再興戦略2016」の中で、データ利活用プロジェクトの推進、中継中小企業への導入支援として「自動走行」を取り上げている。

こうした環境下で、今や日本を代表する企業として不動の地位を築いた「トヨタ自動車」が「オープンイノベーション」に打って出る。

「ただ自動車をつくるのではない。日本人の頭と腕で日本の自動車工業をつくらねばならない。」ーーートヨタ自動車創業者の豊田喜一郎氏のことばを胸に、トヨタ自動車は「TOYOTA NEXT」を通じて、自前主義から脱却し、ベンチャー企業や個人のクリエイターなど外部からアイデアを求めることで、スピーディーにイノベーションを推進する。

TOYOTA NEXTは、従来の自前主義に囚われることなく、大小問わず様々な企業や研究機関等がもつ新しいアイデア、テクノロジー、ソリューションや、すでにサービスを開始している事業を活用して、新たなサービスを共同開発していく。

**対象はベンチャー企業の他にも、個人でも研究者でも中小企業でも零細企業でも大企業の新規事業開発部門も考えています。私たちと一緒にオープンイノベーションへ取り組み、人を中心とした様々なサービスを提供し、新しい価値を提供するためには、規模は関係ないと思っています。トヨタネクストをベンチャーのみなさまに浸透させて、良いアイデアを持つ人たちがTOYOTA NEXTに応募する、そのような流れをこれからつくっていきたいと思います。**(金岡氏)

TOYOTA NEXTでは、トヨタ自動車ならではのアセットである「ビッグデータ」「タッチポイント」「製品・サービス」と、社外のアイデアや技術を融合させる。これにより、日本人の生活においてこの先の未来、もっとワクワク・ドキドキする体験を提供できる「人を中心とした」様々なサービスを共同開発し、2017年以降に順次展開していく。具体的には「全ての人の移動の不安を払拭する安全・安心サービス」「もっと快適で楽しい移動を提供するクルマの利用促進サービス」「オーナーのロイヤルティを高める愛車化サービス」「トヨタの保有するデータを活用したONE to ONEサービス」「全国のトヨタ販売店を通じて提供するディーラーサービス」といったものを検討する。なお、中長期的には、トヨタ自動車との資本提携や業務提携なども検討していきたい姿勢である。

**今回、まず第1回目を開催しますが、トヨタとしてオープンイノベーションへ継続的な取り組みを推進するためにも、TOYOTA NEXTの取り組みを今後続けていきたいと考えています。世の中のスピード感に負けないように、社内外問わず、スピーディーにサービスを開発して提供していきたいです。その中で、今回のご縁をベースに、将来に向けて中長期的な取り組みもご一緒させていただきたいとも思っています。従来のモビリティにとらわれずに、私たちが予想もしなかったような業界やアイデア、テクノロジー、ビジネスと一緒に取り組みたいです。**(垣迫氏)

### 編集後記

トヨタ自動車といえば、ブランドコンサルティング大手の米インターブランドが発表した2016年の世界ブランドランキングで、アジア勢で初めてトップ5位にランクインし、過去最高位を更新した。一方で、最近様々な発表の場で「創業以来の変革の時を迎えている」というメッセージを発信してきた。

また、一昨年秋に発表したJ-ReBORN計画では、人口減・高齢化・都市と地方の2極化等、様々な課題を抱える日本で、お客様軸への働き方のReBORN、地域における町いちばん企業へのReBORNを掲げ、2020年代の自動車ビジネスの活性化にチャレンジしている。

今回のTOYOTA NEXTは、そのJ-ReBORN計画の一環でもある。TOYOTA NEXTを支援するパートナー企業としては、運営事務局・選考サポートとしてデジタルガレージ、DGインキュベーション、そしてクリエイティブ統括・選考サポートでクリエイティブディレクターのレイ・イナモト氏によるInamoto&coが加わる。垣迫氏によれば、今回、レイ・イナモト氏による紹介で、デジタルガレージ、DGインキュベーションとタッグを組むことになったという。

変わりゆく日本において、日本を支えてきたトヨタ自動車。彼らは、TOYOTA NEXTを通じて、過去から今を振り返り、今から一歩先の未来を見据えて、社内外のリソースを融合することで、日本の未来を担う産業として自動車産業を次世代へと導いてくれることだろう。トヨタ自動車と「人を中心とした」未来を担うサービスを開発することに関心をもつ人たちには、ぜひ2月20日(月)までにTOYOTA NEXT 公式サイトより応募してもらいたい。

TOYOTA NEXT