経済効果は約5,400億円!米クラウドファンディング大手「Kickstarter」がつくる、クリエイターのクリエイターによるクリエイターのための創造経済

クラウドファンディングの第一人者のKickstarterに関して、新たな興味深い研究が発表された。米国及び世界を代表する屈指の名門大学ペンシルバニア大学は、Kickstarterが創造経済に与える影響に関して、世界で初めて包括的な研究を公開した。

いつでも誰でも実現したいプロジェクトへ広く個人から出資を募る、クラウドファンディングサービス。遠く離れた土地でも共感する想いと叶えたい願いがあれば、インターネットを通じて声をあげることで、互いに繋がり合い、自らの応援団を自分の手で築き上げることができる。

クラウドファンディングの第一人者のKickstarterに関して、新たな興味深い研究が発表された。

### Kickstarterが創造経済に与える影響に関する研究

米国及び世界を代表する屈指の名門大学ペンシルバニア大学は、7月11日 、Kickstarterが創造経済に与える影響に関して、世界で初めて包括的な研究を公開した。

ペンシルバニア大学の研究では、Kickstarterのプロジェクトを通じ、

* パートタイムのプロジェクト協力者を28万3,000人創出
* 新会社・新非営利団体を8,800、フルタイム就労者を2万9,600人創出
* プロジェクト参加者らによる直接的経済効果は53億ドル以上

であることが明かされた。以下では、ペンシルバニア大学の研究をもとに「Kickstarterが創造経済に与える影響」の詳細について紹介する。

### クリエイターのクリエイターによるクリエイターのための創造経済

クリエイターが創意工夫をこらす、芸術性やデザイン性に富んだプロジェクトでは、プロジェクト協力者に対価を支払えるかどうか、が長期的な運用の鍵をにぎる。特に、編集者・イラストレーター・音響などのプロジェクト協力者は、プロジェクトに携わりながらも対価を得られないことが多々あった。

プロジェクトオーナーは、Kickstarterを利用することで、プロジェクト協力者に対価として金銭を支払えるようになったことがわかった。つまり、これまで一銭も得られなかった28万3,000人が、Kickstarterを通じて仕事を得られるようになったのだ。まさに、クリエイターのクリエイターによるクリエイターのための創造経済だ。

### 新たな雇用を創出

Kickstarterのプロジェクトは、ほとんどが映像や書籍、アルバムなど一度きりの売り切りモデルだが、新会社や新団体の設立などプロジェクトをきっかけに持続的に未来に繋がるプロジェクトも多い。

Kickstarterのプロジェクト1,000件を調べてみると、創業者190名、フルタイムの従業員数82名を創出していることがわかった。また、2016年6月までに、Kickstarterのプロジェクトから創出されたフルタイムの新規雇用者数は2万9,600万と推定。

### VR業界の革命児「オキュラス」も出身者

また、Kickstarterをきっかけに誕生した新会社・新団体は8,800と推定される。

その中には、VR業界の革命児Oculus、スマートウォッチ業界を牽引するPebble Technologyなどがある。これらの企業・団体のうち、全体の82%が現在も運転中。

### 経済効果は約5,400億円以上

Kickstarterのプロジェクトのうち、70%が実益を得ていることから、Kickstarterによる直接的経済効果は53億ドル(約5,400億円)以上、とされている。

### キャリアアップ、そして新たな人生を歩む

さらに、今回の研究で興味深いことが2点明らかとなった。

一つは、Kickstarterがプロジェクトオーナーのキャリアアップへ影響を与えているということだ。

**【Kickstarterのクラウドファンディングプロジェクトオーナー】**

* 全体の37%がキャリアップ
* プロジェクト成功後、21%が年収アップ
* プロジェクトをきっかけに、新たな仕事の機会を得られた人が19%
* 転職などのキャリアチェンジできた人が7%

特に、映像制作、写真家、芸術家、作家、デザイナー、音楽家などクリエイターは、Kickstarterのプロジェクトを通じて、スキルアップして、収入も増加し、さらにキャリアップにもつながったという。

### 知的財産を世界へ多数輩出

もう一つは、Kickstarterが経済効果だけではなく、多数の知的財産を世界へ輩出していることだ。これまでに、Kickstarterのプロジェクトのうち、50%が革新的なものとして認めらて、推定4,200の特許を取得している。

クリエイターのうち10%以上は、クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館のナショナルデザインアワード、ジェームズ・ダイソン・アワード、IDSAのインターナショナル・デザイン・エクスペリエンス・アワード、CESイノベーション・アワード、グラミー賞、オスカーなど、世界でも有数な賞も受賞している。

### インターネットらしい、未来の社会・経済のあり方

クラウドファンディングの成功は、プロジェクトオーナー、協力者、その支援者の三者間で相互作用することで、初めて成立する。今回の研究結果によって、クラウドファンディングが社会・経済に多大なる影響を与えることは明白となった。

スマートフォンの普及やIT技術の発展によって、いつでもどこでも誰でもインターネットで繋がることが当然となった世界だからこそ、今一度、インターネットらしい、未来の社会・経済のあり方を見つめ直す必要があるのではないだろうか。その鍵を握るのは、インターネットサービスやスマートフォンアプリが生み出す、新たな体験にちがいない。