東大ベンチャーPOL、理系人材の研究データベース『LabBase』で研究室のインフラを目指す…加茂社長が語る、創業の経緯と今後の展望

POL(ポル)は、ダイレクトリクルーティングと共同研究の提案が可能な研究室と所属学生/研究員のデータベース『LabBase(ラボベース)』を開発した。Pedia Newsでは、POL 代表取締役CEO 加茂倫明氏にインタビューを実施し、起業から『LabBase』誕生までの経緯と今後の展望を伺った。

東大生が立ち上げたベンチャーが、IT化が遅れていたアカデミアの課題を解決するために動きはじめた。

POL(ポル)は、ダイレクトリクルーティングと共同研究の提案が可能な研究室と所属学生/研究員のデータベース『LabBase(ラボベース)』を開発した。Pedia Newsでは、POL 代表取締役CEO 加茂倫明氏にインタビューを実施し、起業から『LabBase』誕生までの経緯と今後の展望を伺った。

POLは、昨年2016年9月に設立された会社。代表の加茂氏は1994年生まれ、灘中高出身で、現在、東京大学理科二類の2年生。2014年10月よりホワイトプラスでインターン生として市場調査や新規事業立案に携わり、2015年6月にはApple Watchアプリ制作プロジェクトを始動させ、自らリクルートした東大院生と共にコミュニケーションアプリを開発。その後、2015年9月には東大を半年間休学し、シンガポールにてREAPRAグループのHealthBankでサービスディレクターとしてオンラインダイエットサービス『BIVIE』を立ち上げ。2016年3月末に帰国し、同年5月よりReproでインターン生としてCustomer Growth Teamの立ち上げを担当し、クライアントの事業成長支援、コンサルティングを行った。そして同年9月にPOLを創業。POLには取締役として元ガリバーインターナショナル(現IDOM)専務取締役で、FiNCの社外取締役でもある吉田行宏氏が参画している。

**高校生の時、祖父が亡くなったタイミングで死生観について考えるようになり、後世に何か残すために起業したいと思い始めました。起業に興味を抱いた理由は、3つあります。まず、父親が経済学の教授で家にビジネス書が山積みで、当時からビジネス書に触れていたので自然とビジネスに興味を持っていたこと。2つ目が、人に言われてやるより、自分がやりたいことをやる方が良いパフォーマンスを出せると気づいていたこと。3つ目が、僕はマスに愛されたい欲がすごく強いんですよね。身の回りの人たちだけじゃなくて、万人に愛されたい、感謝されたいんです。そして、当時の浅い考えですが、起業なら自分の好きなことを追求してマスに影響を与えられるんじゃないかと。今思えば、すぐにでも起業っぽいことをプロジェクトベースででも始めればよかったのですが、当時は思考の幅が狭く、とりあえず東京に行って優秀な人たちが集まる東大に行かないと情報を得られないと思って進学しました。**

**東大に入ってからは大学1年生の夏頃からいわゆる意識高い系でした(笑) 起業したいとは言いつつも働くとは何なのかがわかっていなかったので、社長の近くで働けるベンチャーでインターンをしたいと思って秋からホワイトプラスでインターンしました。ホワイトプラスは、あるインターンシップイベントで偶然知って、オフィスに見学させていただいた時にそのままトントン拍子でインターンすることが決まったんですよね。その後、Sloganの伊藤さんのご紹介で、エス・エム・エス創業者である諸藤さんが新たに創業したシンガポールにあるREAPRAという会社で働くことになりました。僕自身はここでオンラインダイエットサービスをゼロから立ち上げたのですが、ここで初めて事業の立ち上げの難しさと楽しさを身をもって経験し、起業がどんな感じか、具体的なイメージが沸きました。その後帰国して、Reproで数ヶ月間インターンさせていただいた後にPOLを創業しました。過去のインターン先はどこも本当に良いところばかりで、運が良かったんだと思います。**

**起業当時は日本版AngelListを作りたいと思って仲間集めをし、いろんなエンジェルの方々にヒアリングしていました。吉田さん(POL 取締役 吉田行宏氏)とは、その際に栗島さん(Viling Venture Partners 栗島祐介氏)に紹介していただきました。吉田さんから何回かアドバイスをいただく中で、一緒にやりたいって心から思ったんですよね。事業戦略だけじゃなく組織戦略についても同じくらいしっかり考える必要性を説いてくれたりと、全体を俯瞰して、常に原理原則に基づいて本質的な問いとアドバイスをくれるんです。僕を経営者として成長させるために、あくまで意思決定は僕に任せ、そのために必要な最善の情報を与えてくれます。釣り方のコツは教えてくれるけれど、魚はくれない。まさに、最高のメンターだと思いました。結果として、起業当初の事業アイデアは止めて『LabBase』にピボットしましたが、吉田さんと出会えたのは本当によかったと思っています。**(POL 代表取締役CEO 加茂倫明氏)

『LabBase』は理系採用と産学連携を革新する、研究室と所属学生/研究員のデータベース。ダイレクトリクルーティングと共同研究の提案が可能で、採用市場に出にくい理系学生の採用、共同研究先探し、学生の研究室選びに最適なツールである。現在、学生は既に利用可能だが、法人は事前登録を受け付けている最中で、Gunosy、FiNC、 FreakOutをはじめ80社以上の企業が事前登録をしているという。最後に加茂氏は、『LabBase』にかける想いと今後の展望について熱く語ってくれた。

**僕はまだ研究室には配属されていませんが、一応理系学生です。LabBaseの着想は、理系の先輩が抱えていた就活の課題に気づいたことから始まりました。研究室にもよるのですが、忙しいところが多くて長時間拘束されるので、物理的に就活に時間を割きにくい状況にあり、また研究室の外の情報が入ってきにくいため、多くの学生が就活やキャリアに対する意識も低いまま就活期間に突入し、教授や学科の推薦で行ける企業の中だけで考えてしまいがちになっています。また、ヒアリングを進めていく中で、研究室には研究費やポスドク問題などの課題やアナログな部分が多いと気付き、それらを解決していくためLabBaseをはじめました。**

**LabBaseは、単なる就活サービスではありません。多くの就活系サービスでは利用者の圧倒的多数が文系で、本来文系とほぼ同数いるはずの理系人材が埋もれています。だからこそLabBaseでは、現時点で就活意識のあまり高くない理系学生にも使ってもらえるように、”研究データベース”として押し出していき、ひとつの機能としてスカウト機能もあるという形で見せていきたいと思っています。**

**今後は、研究室をハックし便利にする様々な機能を追加していき、理系人材に対して多くのメリットを提供していきたいと思います。例えば研究者間のSNS的な機能や実験ノートの共有機能、実験の被験者を募集できる機能などを考えています。最終的には、教員や、就活意識の高くない学生も含めて、全ての研究室所属者が登録して日常的に使うようなサービスを作って、研究室のインフラになりたいと思っています。また、アカデミアがブラックボックスになっていることが産学連携等の障壁にもなっているのではないかと考えているので、アカデミアをオープン化することで、研究者や企業などのステークホルダーがハッピーになるような、社会的に善なサービスを作っていきたいと思います。**(POL 代表取締役CEO 加茂倫明氏)

株式会社POL