旅のコレクションサービス『Compathy』運営のワンダーラスト、総額1.3億円を資金調達…堀江社長「リバースオークションで旅行業界にイノベーションを起こす」

ワンダーラストは、旅のコレクションサービス『Compathy』の収益化と海外展開を本格化するために、モバイル・インターネットキャピタルとSMBCベンチャーキャピタルに対して総額1.3億円の第三者割当増資を実施したと発表した。Pedia Newsでは、ワンダーラスト 代表取締役社長 堀江健太郎氏にインタビューを実施し、今回の資金調達の経緯と、今後の展望などを伺った。

ワンダーラストは、旅のコレクションサービス『Compathy』の収益化と海外展開を本格化するために、モバイル・インターネットキャピタルとSMBCベンチャーキャピタルに対して総額1.3億円の第三者割当増資を実施したと発表した。

Pedia Newsでは、ワンダーラスト 代表取締役社長 堀江健太郎氏にインタビューを実施し、今回の資金調達の経緯と、今後の展望などを伺った。

日本旅行業協会は、今月6日、日本人の海外旅行者を増やすための「アウトバウンド促進協議会」を2月に設置し、日本人の海外旅行者を、2015年の1621万人から2000万人に増加することを目指すと発表した。

[一般社団法人日本旅行業協会「数字が語る旅行業2016」]

2014年の観光消費を見ると、内訳は国内旅行市場が20.3兆円、海外旅行市場が3.0兆円、訪日外国人市場が2.2兆円の合計25.5兆円と推計される。旅行業は景気や国際情勢の影響を大きく受けているが、日本の1人当たりのGDP(国内総生産)を考えると、日本人の海外旅行はさらなる伸長が期待される。実際、今後、生活のどのような面に力を入れたいかの調査では、レジャー・余暇生活が1983年以来不動の第一位を占めている。

[一般社団法人日本旅行業協会「数字が語る旅行業2016」]

その一方で、2015年の日本人海外旅行者の年齢別構成比を見ると、20〜29歳が減少傾向にある。ミレニアム世代である彼らには、有給休暇をとる文化が浸透しきれておらず、短期間での旅行を実現できるものが好まれている。

休暇は日々のストレスを解消するためにあるが、身も心も解放されて最高の休日を満喫するためには細かい予定を立てたり予約を取ったりかなりストレスを感じることもある。

物理的に超えられない国境が世界にはある。しかし、インターネットの普及もあり、物理的な国境の意味合いは緩やかに溶けているように感じぜずにはいられない。むしろ、心の国境の方が大きいのではないだろうか。心の国境をなくし、旅への渇望を生み出すために立ち上がったのが「ワンダーラスト(Wanderlust)」である。

ワンダーラストは、2013年6月に設立された会社。代表の堀江氏は、外資系コンサルティングファームにて5年間、戦略・組織コンサルタントとして活動する傍ら、200名超の海外旅行者を自宅にてホストし、訪日外国人向けのNPO法人を立ち上げた人物。

**当時インキュベイトファンドにいた木下さん(現スカイランドベンチャーズ 木下慶彦氏)に勧められたことがキッカケでIncubate Campに出て、当時運営していたNPO法人で自分の感じていた社会的問題を解決することの限界を感じていたこと、他のインキュベイトファンドの方々にも後押しされたこともあり、起業しました。なので、創業時から社外取締役にインキュベイトファンドの村田さんに入っていただいています。CTOの岩本(岩本政樹氏)とは、大学の同級生に紹介してもらいました。当時、僕は前職が経営コンサルタントだったこともあり、IT界隈に全く知り合いがいませんでした。それで、大学の同級生に紹介してもらったんですよね。初めは、週末プロジェクトという形で手伝ってもらっていましたが、起業する時にジョインしてもらいました。**(ワンダーラスト 代表取締役社長 堀江健太郎氏)

ワンダーラストでは、「旅を通じて人々の心から国境をなくす」ことをミッションに掲げ、世界とつながる旅のコレクション『Compathy』を運営する。

Compathyは、月間100万人以上の海外旅行者が利用する、旅行の計画から記録までをワンストップで提供する”旅のコレクション”サービス。アップロードされた写真の撮影日時・場所の情報を利用することで、Web上の写真アルバムやブログでは記録することができなかった旅のルートや時間軸といった旅の全てを1つのストーリー(ログブック)に自動でまとめ、Facebook上の友人やその他ユーザと共有・交流することができる。

**僕らは、創業以来、真面目にずっとCGMだけをやってきたんですよ。ただ、CGMは放っておくとなかなか人が集まりにくいので、コストを極限まで削減して、データを集めながら運営してきました。僕らは、海外旅行産業におけるシフト、特にEC化率とFIT比率に注目しました。これまでの旅行サービスは情報と予約にかなり集約されており、旅行のプランをまとめようとすると、紙のノートやEvernoteを使って自分でまとめなければなりませんでした。そこで、僕らは、当初、海外旅行者向け旅行計画サービスの提供を目指しました。プロトタイプを作って、いざユーザーテストをしてみると、これが全然使われませんでした。foursquare APIを利用し、観光スポットを表示し、旅行計画を自動で作れるようにしましたが、foursquareのデータはあくまでもメタデータにしか過ぎなくて、その場所がどんな場所なのか知って判断するためには結局検索エンジンを使って調べないといけませんでした。それなら、半歩下がるけど、観光地の情報を自分たちで集めようと思って、2013年12月にCompathyをローンチしました。**

**僕らは、Compathyで、旅行に必要な情報をワンストップで提供するサービスを提供したいと思っています。旅行先の情報を調べたり、予約したり、旅の記録を写真で編集したり、友人にシェアしたり、旅行にまつわるものをワンストップで提供することを目指しています。もちろん、旅行の口コミサイトは様々なものがありますが、Compathyでは写真に撮影地の情報をタグ付けるという特徴を活かし、観光地を軸にして旅行記をまとめています。昨年末には、ある程度データが溜まってきたので、簡単に旅行の計画を立てられる機能をローンチしました。これは、Compathyで、行きたい場所をクリックして他のユーザーが投稿した写真、レビューや旅行記を見て気に入れば、それをドラッグ・アンド・ドロップで旅程表に追加するだけで地図上に最適な移動方法も表示してくれるというもので、簡単にオンラインで旅行計画が立てられます。**

**現在、ユーザーの9割以上が日本人で、長期休暇のある8月と3月が繁忙期です。また、全体の7割が女性で、年齢的には20代後半から40代前半のユーザーが多いです。Compathyのユーザーを見ると、トップコレクターズはほとんど男性でもあり、海外旅行頻度のエクストリームは男性の方が多いと思うのですが、女性の方が共感欲求が強くて旅行記もアピーリングな内容が多くてちゃんと人に見せるために努力しているんですよね。**

**その一方で、日本人のパスポート所有者は全体の24%に過ぎません。また、日本人の海外渡航者に関する統計データを見てみると、29歳以下では女性が24%、男性が6%です。Compathyのミッションとしては、日本人の76%に当たるパスポートを持っていない人たちに海外旅行に行かせたいし、影のミッションとして男性をもっと海外旅行へ行かせたいです。**(ワンダーラスト 代表取締役社長 堀江健太郎氏)

今後、Compathyでは、収益化対策でもある、ユーザのデータを活用して簡単に旅行の計画・予約機能を中心とした開発・運営強化を図るとともに、海外展開を含むマーケティング施策・体制を強化することで、旅行において必要なサービスをワンストップで提供し、新しい”旅のカタチ”の実現を目指すという。

**今後、Compathyをマネタイズしていきたいと考えています。そのためのビジネスプランとして二つあります。まず、観光地をソートできる機能を活かし、宿泊・食べる・見る(観光)の3軸でアフィリエイトの仕組みを取り入れます。もう一つが本命のリバースオークションです。日本ではあまり聞きなれないものかもしれませんが、海外ではプライスラインが取り入れています。旅行は滅多に行くものでもないので、ユーザーのニーズが顕在化していないと商品が売れないんですよね。そのため、旅行関連事業社は、グーグルアドワーズを中心に集客をしていますが、それでもコンバージョン、ROIの高いマーケティングができていないのが現状です。それに対し、Compathyではユーザーの旅程データを保有しています。これは、旅行関連事業社の観点では見込客のリストとも言えます。これらのデータを旅行事業者に対して公開することで、旅行事業者が自分たちの商品を売りたいユーザーを選んでもらって、ユーザーには複数の旅行事業者の提案の中から最適なものを自由に入札してもらおうというのがリバースオークションの仕組みです。僕らとしては、アフィリエイトでCPU/CPIによる収益化、CPC/CPMによる収益化を狙いたいと考えています。Compathyのユーザーは、すでに旅行することが決まっているので、Compathy内で直接予約できるようにすればコンバージョンもROIも必然的に高くなると考えています。**

**また、リバースオークションで、旅行事業者からどのようなオファーをもらっているかをオープン化していきたいです。そうすることで、プロバイダー間での価格競争も起きると考えています。ユーザーがいきたい場所を選ぶだけで、プロバイダー同士で価格競争が起きるようになれば、簡単に安く最適なサービスを提供できるようになると思います。**(ワンダーラスト 代表取締役社長 堀江健太郎氏)

そこでワンダーラストは、本日(1月25日)、シリーズAで、モバイル・インターネットキャピタルから1億円、SMBCベンチャーキャピタルから3000万円の総額1億3000万円の資金調達を実施した、と発表した。堀江氏によれば、今回のラウンドは**「非常に苦しいラウンドであった」**という。

**もともと、2015年11月頃から資金調達に向けて動きましたが、調達に必要な素材が揃っていなくて決まりませんでした。そうこうしているうちにキャッシュが尽きて、投資家の方々から資金を借りたり受託をしていました。その回収に時間がかかってしまって本当に苦しい想いをしましたが、その間にオウンドメディアが成長してきたのもあって、今回のラウンドを2016年9月にクローズしました。**

**今振り返ると、もっと計画的にやっておけばよかったと思うのですが、創業時と受託をしていた時は本当に大変でした。2013年6月に僕と岩本で出し合った300万円と村田さんが出資してくださった300万円の計600万円で共同創業して、2013年12月にサービスをローンチしましたが、実は翌年2月にはキャッシュアウトが見えている状態でした。なんとか、ローンチから2ヶ月後に、シードでリクルートとインキュベイトファンドから6000万円を資金調達できましたが、当時を振り返っても寝た記憶がないです。また、受託をしていた時は絶望的な状況でした。ちょうど僕らが資金調達に動いた2015年末は、アーリーステージのスタートアップを中心に資金調達環境が変わりはじめたタイミングでもあったと思います。資金調達したいけど、メディアも今のような成長を見せていなくてアピールできるところがなくて、僕としても虚勢を張れなくなっていて、メンバーにはキャッシュアウトするまでに資金調達をするけれど転職活動してもいいと伝えました。最終的には7人いた社員が4人まで減りました。人手も足らなくて、僕も自分から営業に行ったり目の前のお金を稼ごうとして動いたりして、本当に何やっているんだろうと思っていました。今回の資金調達は、足元でメディアが成長してきたおかげでクローズすることができましたが、新しいビジネスをやろうとすると、常々つきまとうのが不明確さだと考えています。**

紆余曲折を繰り返しながらも、「旅を通じて人々の心から国境をなくす」ことへの熱い炎を消すことなく、ひたむきに事業を続けていた彼らだからこそ、新たなフェーズへと進むことができたのだろう。最後に、堀江氏は、今後の展望について次のように語ってくれた。

**今後は、これまでCompathyもメディアもB2Cでしたが、新たにリバースオークションをはじめとしたB2Bの領域に取り組みます。また、ユーザーのニーズを広げるために、Androidアプリも開発していきたいと考えています。さらに、今春にはCompathyのリニューアルも予定しています。今回、調達した資金を使って、開発・マーケティング体制を強化すると共に、LTVを安定化させて、新たな施策も打っていきたいです。**(ワンダーラスト 代表取締役社長 堀江健太郎氏)

株式会社ワンダーラスト

旅のコレクションサービス『Compathy』