採用管理システム「Talentio」、スタートアップファクトリー”キメラ”による再始動から”フリークアウト・ホールディングス”に「スタートとしてのバイアウト」へ

今年2017年3月、フリークアウト・ホールディングスは、タレンティオの発行済株式の全てを取得し、子会社化することを発表した。その経緯を、タレンティオの代表取締役である佐野一機氏に聞いた。

paperboy&co.(現:GMOペパボ)創業者・家入一真氏と、そのpaperboy&co.の経営・ブランド戦略の構築をコンサルタントとしてサポートした佐野一機氏という、二人の異質な才がタッグを組む「キメラ」。

社名の「キメラ」というと聞き慣れない言葉だと思うが、ギリシア神話に登場する伝説の動物、キマイラに由来する。獅子の頭、山羊の体、蛇の尾を持つ姿になぞらえ、同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっていること、またそのような状態のことを表現している。

その言葉を具現化するように、キメラ社は、プロダクトを自社で立ち上げるだけでなく、企業・事業の譲受して再生を行い、様々な遺伝子を複合的に融合する。創業から再生まで、スタートアップの全てを担う姿は「スタートアップファクトリー」のようだ。

その主戦場に選んだのが「HRテック市場」だった。人材育成や採用活動、人事評価など、これまで勘と経験に頼る部分が多かった人事領域の業務の改善を行うことで、新しい働き方の提案や雇用力を強化しようと立ち上がった。そこで生まれたのが、採用管理システム「LEAN」だった。

2015年9月、採用管理システム「Talentio」の運営会社ハッチを買収した。採用管理システムという分野では競合のはずだったTalentioが、キメラによる再生プロジェクトのひとつとして統合される形でM&Aに至った。

人事担当者向けのB2Bサービスだからこそ、彼らが抱える課題やペイン(痛み)ポイントを把握するために、徹底したユーザーヒアリングと圧倒的な開発スピードで改善を繰り返した。

その結果、異なる二つの遺伝子を受け継いだ新生「Talentio」は、プロダクトマーケットフィットを追求することでリブート(再始動)を果たした。

Talentioでは、刻一刻と常に移り変わりゆく採用トレンドに対応するために、順次機能を追加・変更し、いつでも最適な採用戦略のパートナーであるように改善を進めている。人材獲得、選考プロセス、分析・検証、セキュリティと、採用にまつわる全てをTalentioなら一つのプラットフォームで管理できる。

これまで分散していた情報を一元管理できる上に、蓄積されたデータを活用した先進的な採用アプローチを取ることができるようになる。実際、タレンティオを導入するSmartHR採用責任者の勝股修平氏に話を聞いてみると、データに基づいた採用計画を立てれるようになったり、社内での情報共有のスピードが改善されたり、と様々なメリットがあるそうだ。また、ログインするたびにリリースノートが更新されており、機能改善スピードの速さには目を見張るものがあるという。

こうした中、タレンティオは、急展開を迎え、今年3月フリークアウト・ホールディングスが、タレンティオの発行済株式の全てを取得し、子会社化することを発表した。

**もともとは資金調達を前提として動いていましたが、結果的には総合的な観点からフリークアウト・ホールディングスへの参加を決めました。もちろん、キメラのグループ会社としてタレンティオを経営していくこともできましたが、市場や顧客に対してある程度受け入れられるサービスとなったことから、キメラとしてタレンティオを再生するという役割は一旦終えた、という感覚を持っていました。そうすると、タレンティオは必ずしもキメラグループにいることを固執しなくてもいい、タレンティオが最も成長できる選択を取りたい、そう考えました。**

**今回の決め手は、特に経営ビジョンへの共感という点が大きいです。フリークアウト・ホールディングスは、”人に人らしい仕事を。(Give People Work That Requires A Person.)”という経営ビジョンを掲げています。**

**我々も、人がやるべきではない仕事を減らして本当に人が必要な仕事にパワーをかけてほしい、という想いでHRテック市場に参入しました。同じ方向性を持ち、経営者としても尊敬するメンバーと一緒に、このHRテック市場を盛り上げていきたいと思いました。**

**また、フリークアウトは、タレンティオのヘビーユーザーで初期の頃からサービスを使ってくれていました。これまでの経緯を全て知っていますし、ユーザーとしても震慄な言葉も感謝の言葉も両方を伝えてくれていて、我々の価値を最も理解してくれているという点も大きかったです。さらに、今後タレンティオとして、開発体制とマーケティング体制を強化していきたいと考えていたこともあり、それらのノウハウを持っていたことも大きいです。**

**今後も、タレンティオの代表取締役として、ヒト・モノ・カネ・ブランドといった経営資源を開発するのが僕の最も重要な仕事の一つです。タレンティオにとって、今ある選択肢の中で最も圧倒的なスピードで成長できる選択だと考えて、今回のグループ入りを決めました。**(佐野氏)

これによりタレンティオは、採用、人材活用の世界にHR Techを通じて”人に人らしい仕事を”提供していく。まずは、採用管理システム(ATS)領域で圧倒的なサービスへと成長させると共に、HRテックでアジアNo.1になることを目指し、新サービスにも積極的に取り組んでいく姿勢である。今回の取り組みに伴い、佐野氏はキメラの取締役を退任し、今後はタレンティオの活動に注力するという。**「タレンティオのフリークアウト・ホールディングスグループ入りは、ゴールとしてではなくスタートとしてのバイアウト。今後、さらに成長を加速させていき、日本のHRテック業界を牽引する存在となって、HRテック業界でアジアNo.1となりたい。」**(佐野氏)