“宇宙通信のAWS”を目指す、宇宙ベンチャー「インフォステラ」がシードでフリークアウト、500 Startups、千葉功太郎氏から資金調達

インフォステラは、本日、フリークアウト、500 Startups Japan、エンジェル投資家の千葉功太郎氏から、シードで6,000万円の資金調達を実施した、と発表。今回Pedia Newsでは、株式会社インフォステラ取締役COO⽯⻲⼀郎氏にインタビューを実施。「なぜ、いまベンチャーが宇宙産業に挑むのか」そして「宇宙産業の現状と今後の展望」について伺った。

2011年、クラウドサービス最大手Amazon Web Services(AWS)が東京にデータセンターを開設。それから5年経ったいま”宇宙通信のAWS”を目指す、宇宙ベンチャーが東京・渋谷に誕生した。それこそが、株式会社インフォステラだ。

### 渋谷の宇宙ベンチャー「インフォステラ」がシードで資金調達

インフォステラは、本日(10月6日)、フリークアウト、500 Startups Japan、エンジェル投資家の千葉功太郎氏から、シードで6,000万円の資金調達を実施した、と発表。今回の資金調達によって、インフォステラは、R&D(研究開発)を強化していきたい考えだ。

### 小型人工衛星にとっての“AWS”を目指す

インフォステラは、今年2016年1月、代表取締役CEO倉原直美氏、取締役COO⽯⻲⼀郎氏、取締役⼾塚敏夫氏(株式会社エーオーアール代表取締役専務)によって設立された会社。”宇宙最⼤の通信インフラの構築を通じて⼈類の⽣存圏拡⼤に貢献する”ことをミッションに掲げ、⼩型⼈⼯衛星の通信インフラサービスの開発及び提供を通じて、”宇宙通信のAWS”を目指す。現在、人工衛星の運用に利用するアンテナをシェアできるようにするプラットフォーム「StellarStation」を開発中。

### ⽇本の⼩型⼈⼯衛星研究の第⼀⼈者が支える

倉原氏は、もともと東京⼤学⼯学部航空宇宙⼯学科中須賀研究室の特任研究員として、内閣府FIRSTプロジェクトに採択された⼩型衛星開発プロジェクトにて地上システム開発マネージャーを務めた人物。その縁もあり、インフォステラの顧問には、⽇本の⼩型⼈⼯衛星研究の第⼀⼈者である、東京大学中須賀真⼀教授が名を連ねる。

### フリークアウトCTOの明石氏が顧問に就任

今回の資金調達に加えて、インフォステラは、株式会社フリークアウト執行役員CTO、ヤフー株式会社シニアフェローの明石信之氏が、顧問に就任したことも明らかにした。

明石氏は、システム開発会社を経て、2000年にヤフー株式会社へ参画。ヤフーでは、Yahoo! JAPANの広告配信基盤、ビッグデータ基盤、および開発システムの開発に従事。2009年〜2012年にかけてヤフー株式会社のCTOを務めたのちに、2014年より株式会社フリークアウトで執行役員CTOに就任。インフォステラでは、2016年6月より、開発中の「StellarStation」のアーキテクチャ設計から衛星通信デモまで広範囲にわたり技術サポートをしている。

### インフォステラ取締役COO⽯⻲氏にインタビュー

今回Pedia Newsでは、株式会社インフォステラ取締役COO⽯⻲⼀郎氏にインタビューを実施。「なぜ、いまベンチャーが宇宙産業に挑むのか」そして「宇宙産業の現状と今後の展望」について伺った。

### 宇宙産業の市場規模は21兆円以上

地上から遠く離れた”宇宙”。その市場規模はどのくらいだろうか。

Satellite Industry Association(SIA)が6月に発表した宇宙産業に関する最新の調査結果によれば、世界の宇宙産業の市場規模は2,083億ドル(約21兆円2,000億円)。

内訳をみると、衛星テレビ、衛星電話、衛星通信、衛星ラジオ、地球観測などの衛星サービスが1,274億ドル(約13兆円)で最大。続いて、VSAT(衛星経由ブロー ドバンド接続)、カーナビ等(GNSS)、衛星運⽤アンテナなどの地上整備が583億ドル(約5兆9,000億円)、⼤型衛星や小型衛星の衛星製造が166億ドル(約1兆7,000億円)、大型ロケットや小型ロケットのロケット打上が59億ドル(約6,000億円)。

### なぜ、いまベンチャーが宇宙産業に挑むのか?

**⽯⻲⼀郎氏(以下、石亀氏)**:宇宙産業は、大きく4つのセグメントに分けられます。4番目の衛星サービスが宇宙産業の市場として最大ですが、現状はその多くが衛星テレビの市場です。

1. 衛星を製造する人たち(衛星製造)
2. 衛星を飛ばすためのロケットを開発する人たち(ロケット打上)
3. 衛星を運用するためのアンテナを提供する人たち(地上整備)
4. 衛星ならではのサービスを提供する人たち(衛星サービス)

### 大型衛星から小型衛星へ、テクノロジーのイノベーションが後押し

**石亀氏**:「なぜ、いまベンチャーが宇宙産業に挑むのか」それは、衛星が大型衛星から小型衛星に変わったことで、コストが格段に下がり、参入障壁が下がったことがあります。これまで3トン〜10トンあったものが、大きさは10cm x 30cm重さは数キロほどになって片手でも持てるほどまで小型化されました。例えると、パソコンからスマートフォンに衛星の世界でも変わったのです。

### 「衛星リモートセンシング」「衛星インターネット」に宇宙ベンチャーが集まる

**石亀氏**:その中でも”小型衛星ならでは”の衛星サービスとして、今最も注目すべきなのが「衛星リモートセンシング」「衛星インターネット」です。この2つのために、宇宙ベンチャーはみんな競い合っています。

### リモートセンシングの注目ベンチャー「Orbital Insight」

**石亀氏**:「衛星リモートセンシング」とは”地球観測”のことです。今最注目なのがOrbital Insightです。「Orbital Insightがビジネスとして立ち上がれば、宇宙産業が大きく変わる」それくらい大きなインパクトを秘めている会社です。

**石亀氏**:Orbital Insightは、6月にセコイアキャピタルやGV(旧Google Ventures)などからシリーズBで1,500万ドル(約15億円)の投資を受けています。

**石亀氏**:Orbital Insightでは、衛星リモートセンシングのビジネスモデルが根底から変わるようなビジネスをしています。これまでの衛星リモートセンシングはクライアントからの受発注⽅式で画像を一枚ずつ撮影する画像販売モデルでした。一方Orbital Insightは、既に撮影された⼤量の画像の解析データを販売するデータ販売モデルに変えようとしています。

**石亀氏**:またOrbital Insightは、リモートセンシングの非常に興味深い用途にチャレンジしたりしています。ヘッジファンドに対して、小型衛星から得られた地球観測の画像をもとにした解析データを提供します。例えば、サウジアラビアの上空から港の写真を撮影し、石油タンカーの数から原油価格を予測するというようなことです。

**石亀氏**:Orbital Insightに代表されるリモートセンシングベンチャーは、あくまで画像を撮影するための1つの選択肢として衛星を利用すると言っています。小型衛星を使えば、他のどの撮影手段よりも広角・高頻度で撮影できる。その特徴を活かし、ドローンを使った撮影などと組み合わせて、小型衛星での撮影を利用しているのです。

**石亀氏**:今後、衛星リモートセンシングベンチャーは、世界で最も多くのデータを持つ会社になることでしょう。彼らにしかない、世界中のデータを使って、世界の今後を予測するプラットフォームを創出することで、マネタイズしていくことになります。ビジネスモデルは、グーグルマップのようなサードパーティ向けにAPIを公開、緯度経度を指定し、API経由で画像を参照した分だけ課金するようなモデルが想定されます。

### 衛星インターネットの注目ベンチャー「Space X」「OneWeb」

**石亀氏**:一方「衛星インターネット」は、Space X(Space Exploration Technologies)OneWebという大きく2つの陣営に分かれて競い合っています。

**石亀氏**:Space Xはイーロン・マスクが設立した宇宙ベンチャー。Space Xは、2015年1月、低軌道衛星によるインターネット接続プロジェクトのために、グーグル、フィデリティなどから10億ドル(約1,000億円)の資金調達を実施しています。

**石亀氏**:OneWebは、遠距離通信企業Terracomを立ち上げたグレッグ・ワイラーが設立した宇宙ベンチャー。OneWebは、2015年6月にヴァージン・グループやクアルコムなどから5億ドル(約510億円)の資金調達を実施しています。

**石亀氏**:今後、衛星インターネットを手がけるベンチャーは、小型衛星の特徴を活かし、コストを抑えながら広範囲に定間隔で衛星を配置することで、未だインターネットにつながっていない地域にも衛星を使ってインターネットを普及させていきます。彼らは、小型衛星を使って、地球と地球をインターネットで繋げることでしょう。

### 小型衛星の登場で打ち上げ機数が爆増

それでは実際、大型衛星から小型衛星に変わったことで、打ち上げ機数はどのように変化しているのだろうか。

SIAの調査結果によれば、小型衛星の打ち上げ機数は、2013年より大幅に増加傾向にあり、2014年が130台、2015年が Falcon 9の打ち上げ失敗の影響があったものの108台となった。なお、小型衛星の打ち上げは既に多くの引き合いがあり、RocketLabをはじめとした小型ロケットベンチャーは打ち上げバックログを2020年頃まで抱えているケースも有るという。

### 小型衛星の需要増加で、小型ロケットの需要増加

**石亀氏**:衛星リモートセンシングや衛星インターネットをはじめとした、小型衛星ならではの衛星サービスが増えることで、それを運用するためのアンテナの需要が増え、さらに衛星を打ち上げるための”小型ロケット”の需要が増えます。これによりロケットの量産が効くようになり、低コストなロケットが市場に広がるでしょう。

### 「宇宙産業で”小型衛星”を中心としたエコシステムが生まれる」

**石亀氏**:衛星リモートセンシングと衛星インターネットが継続的なビジネスになることで、宇宙産業は新たなステージに進みます。「宇宙産業で”小型衛星”を中心としたエコシステムが生まれる」個人的には、衛星リモートセンシングと衛星インターネットの次にホットな宇宙産業市場は「宇宙旅行」だと考えています。

### 宇宙産業は宇宙旅行の登場でさらなる進化を遂げる

**石亀氏**:もし、こうした「小型衛星をきっかけに始まったロケットの低コスト化が持続可能なものとなり、宇宙旅行が往復ワンシート”1,000万円以下”で実現できるようになれば、これまで以上にロケットの需要は増加し、宇宙産業飛躍の第二の波がくる」と思います。そして宇宙旅行によって、人間が宇宙に滞在するようになれば、そこにはこれまでにない新しいエコシステムが誕生します。

### ”地上と宇宙を常時接続できる宇宙のインフラ”「インフォステラ」

**石亀氏**:「宇宙に人間が滞在すれば、地上と同じようにツイッターやインスタグラムなどのSNSを使いたくなる」そうすると、宇宙でインターネットを常時接続できる必要があります。そのインフラとなる”宇宙インターネット”を作るのが、最終的な目標です。Space X等は、小型衛星を使って”地上と地上”を繋げようとしていますが、インフォステラは”地上と宇宙”を繋げます。宇宙旅行が当たり前になる時代で”地上と宇宙を常時接続できる宇宙のインフラ”になりたいと思っています。

ー ありがとうございました。

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