元Google社員が生み出す、未来のチーム・マネジメント「A;(エー)」がチームワークを自動・リアルタイムに可視化する

元Google社員が創業したLaboratikでは、Googleが実践する働き方やマネジメントから着想を得て「People Analytics」をハックする、Slackボット「A;(エー)」を開発している。

デザイナー出身の元Google社員、三浦豊史氏。三浦氏は、2004年に米ニューヨーク市立大学芸術学部卒業後、現地のクリエイティブエージェンシーR/GA New Yorkでデザイナーとして勤務。帰国後は、GoogleにてインダストリーマネージャーとしてAdWordsやYouTubeの広告営業・ コンサルに携わった。

Google(持ち株会社に移行後の正式社名、Alphabet)といえば、従来型の企業とは異なる新しい働き方やマネジメントの方法を採用しているという話が、過去に様々なメディアで取り上げられてきた。同社が成長し続け、さらにイノベーションを起こし続けるためには、先進的なオフィス環境だけではない。

今や全世界で数万人の従業員を抱える同社が重要視するのが「生産性」だ。2012年より、生産性向上計画「プロジェクト・アリストテレス」に着手し、「People Analytics Operation(職場の人間科学に特化したチーム)」が実施する。

同社には、数百にも及ぶチームに分かれて様々な業務を行っていると言われるが、これらの中には、生産性の高いチームもあれば、そうでないチームもある。その謎を解き明かすために、同社は、得意のデータ分析技術に加えて、組織心理学、社会学の専門などを多種多様な分野の専門家を集めて、生産性の高い働き方を追求した。

結果として、高い生産性を生み出し続けるためには、チーム内の「心理的安定性」が必要不可欠であることがわかった。この分析対象として、特に注目されたのが「チームワーク」だった。チームのコミュニケーションの特性が生産性に大きく影響しているというのだ。

まだ日本では馴染みあるものではないかもしれないが、これまでにGoogleやFacebookをはじめとした世界の名だたる企業が導入している。実際、PwCコンサルティングの調査によれば、People Analyticsへの関心は高まっている一方、それを利活用する企業は少数にすぎない。つまり、People Analyticsに対する、興味と実践の間には大きな溝があるのだ。

こうした背景のもと、三浦氏が創業したLaboratikでは、自身の実体験をもとに、Googleが実践する働き方やマネジメントから着想を得て「People Analytics」をハックする、Slackボット「A;(エー)」の開発をはじめた。

「A;」は、Slackと接続するだけで、自然言語処理を介してチャット上で交わされるやり取りを解析し、「つながり」「感情」「行動」をリアルタイムで自動的に見える化するサービス。チーム内のコミュニケーション頻度や感情コンディションを可視化することで改善点を見出し、より強い組織を作るためのヒントを提供する。2016年12月に限定公開版をリリース以降約3ヶ月で、giftee、ラクスル、サイバーエージェントなど、スタートアップから大企業まで約100社の企業内チームに導入されている。

同社はこの3月に「A;」の復数機能をリニューアル。その特徴は大きく分けて2点ある。

1. チャットのやり取りを自然言語解析しチームワークを自動で可視化
* コミュニケーションの量や相手を定量化してメンバー間の関与や熱意の度合いをグラフ表示
* メンバーのチャット上での発話データを解析することで感情のコンディションをグラフ表示
2. 可視化に加え、ユーザーのアクションにつながるレポート・通知
* コメントの感情分布を検知することで急にネガティブコメントが増えたなど感情変化の大きいチャンネルを通知
* 話題のトピックとしてメンバーの多くがコメントをして盛り上がっているチャンネルやコメントの中に増えているワードを通知
* デイリー・ウィークリー・マンスリーでデータをまとめてメンバーにレポート

また、Slackを経由してGoogleカレンダーやGitHubなど他のアプリとも連携できるので、スケジュールや開発進捗も自動で記録できる。さらに、「#a」というタグを付けるだけで、自動的に情報が記録されるので、大事なチャット情報を保存できたり、日報代わりにも利用できる。

三浦氏によれば、今後は、

1. 属人的な経験値を中心に実践されてきた組織・人事マネジメント分野にテクノロジーを融合させることで精確・迅速・公平な意思決定をアシスト
2. 本音が見えにくいアンケート調査や面談ではなく実行動データに基づいた分析結果を提示
3. 自動化を進めることでリアルタイム且つ手間をかけずにマネジメントを効率化

をすることで**「データ活用と自動化による組織マネジメントを実現」**を進め、**「チームメンバーのワークスタイルを簡単に自動で把握できるようにしていきたい」**という。

これにより、**「時間をかけなくても、自動的にワークスタイルのログを残し、チームワークを可視化する」**(三浦氏)ことを目指す。