元入国管理局の起業家が率いるResidence、ビザ申請・管理の法人向けサービス『one visa』オープンベータ版を公開 Primal CapitalとSkyland Venturesより資金調達 #ivs10

ビザ申請・管理の法人向けサービス『one visa』を運営するResidenceは、Primal Capital(プライマルキャピタル2号投資事業有限責任組合)とSkyland Ventures(Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合)から、シードラウンドで総額3600万円の資金調達を行った、と発表した。

2017年4月の有効求人倍率は1.48倍と、バブル経済期の水準を超え、1974年2月以来、43年2ヶ月ぶりの高さとなった。4月は完全失業率も2.8%と20年ぶりの低水準になった。雇用市場は好調が続いて、「売り手市場」となっている。

その一方で、海外からの旅行者も拡大している。2016年は、訪日外国人数が2400万人を超え、ビザ発給数と併せて過去最高を記録した。そのうち、全体の約78%を占める中国国籍者に対するビザ発給数は、数次ビザの発給数が30万6376件となり、昨年に比べてほぼ倍増(前年比96.6%増)だった。特に相当の高所得者に対する数次ビザの発給数は14万1321件(前年比266%増)となり、昨年を大きく上回った。これにより、新たにビザを取得することなく何度も訪日できるリピーターが増えていくことが予想される。

少子高齢化による生産年齢人口の減少が進む、日本。政府は、コンテンツ、ファッション、デザイン、食、観光などのクールジャパン産業の海外展開やインバウンド対応などをリードあるいはサポートする人勢として、日本と海外の両方においてクールジャパンの提供基盤や市場拡大を支える人材として、外国人材の活用と集積に取り組んでいる。特に、国家戦略特区における「外国人材」の受け入れを突破口にしようとしている。いま働き手として「外国人材」の受け入れを確保する環境が急務となっている。

こうした中、本日、元入国管理局受付窓口場責任者が率いる株式会社Residenceは、ビザ申請・管理の法人向けサービス『one visa(ワンビザ)』のオープンベータβ版を発表した。

同社代表の岡村アルベルト氏は、南米ペルー生まれ。8歳で来日して以降、日本で生活を送る。**「10歳の時に、友人が強制送還される事件があった。それから、在日外国人を取り巻く環境を整備していくことを人生のミッションと決めた。外国人には、日本語を流暢に話せて理解できる人もいれば、そうでない人もいる。言葉の壁があると、なかなか意思疎通が難しいことも多い。周囲にビザで悩む人が多いということもあって、ビザに関する仕事に就きたいと思った」**

その後2014年には、日本最大の入国管理局「品川入国管理局」で受付窓口現場責任者に抜擢された。年間のVISA申請件数は約156万件とも言われるが、うち約1.2%に当たる2万件の申請に携わったという。**「窓口に並んだことがある人はわかるかもしれませんが、待ち時間が4時間とも言われる。その理由は、受付窓口担当者が少なくて一人当たり担当する申請書類の数は多いが、申請書類のうち全体の97%に不備があることが大きい」**

外務省のビザ申請書類を見てみると、公文書であるゆえに独特の表現が多く、初見の場合、まして外国人の場合は戸惑う人も多いだろう。**「提出書類は公文書だから変えることはできないけれども、オンライン上での表現なら変えられると思った。例えば、外国人がアルバイトやパートなどを行うときは資格外活動許可を受ける必要があるが、それをアルバイトやパートを希望するか否かの選択式問題にすれば誰でも簡単に質問に答えられる」**

そこで、誕生したのが『one visa』である。『one visa』は、ビザ取得時の手間をなくし、取得後の面倒な管理をスムーズに行えるWEBサービス。

まず「社員」の名前とアドレスを追加する。すると、必要な申請の有無を自動で判定し、必要な申請の詳細情報が「社員」に共有される。その後、選択式問題に(一部、自由記述式問題)に答えるだけでフォーマット通りの書類が自動生成される。つまり、「人事」が「社員」の情報を集めるコストをかけずに、「社員」が自ら情報を入力してくれるので、「人事」はワンクリックで書類を作ることができる。

利用料金は、月額3480円からの社員数に応じた従量課金モデル。また、行政書士にビザの代理取得を依頼することもでき、その場合には1件当たり4万円の費用がかかる。(2017年6月時点の利用料金、税別価格)

現在、導入企業は10社。その中には、主要駅前・繁華街立地に新日本様式のカジュアルレストラン『KICHIRI』、駅ビル・ショッピングモールに『いしがまやハンバーグ』などを手がける「きちり」や従業員数約3万4000人以上で全世界2000拠点以上をもつ「オリックスグループ」、大手流通企業グループ「セブン&アイ・ホールディングス」傘下の「セブン銀行」などの大手企業やベンチャー企業が含まれる。**「品川入国管理局を退職した時に、偶然申し込んだIBM BlueHubの第2期に採択されたことがキッカケとなって、2015年11月に法人登記した。創業時は、僕の経験を生かしてビザ取得に関するセミナーを開催しながら、ビジネスプランをブラッシュアップしていた。その時の参加者が、オープンベータ版を導入してくれている。もともと、グーグルフォームを使って、擬似的なone visaのようなものを作って、人力でビザ申請書類を作ることも行っていた。」**

そして本日、その『one visa』を運営するResidenceは、Primal Capital(プライマルキャピタル2号投資事業有限責任組合)とSkyland Ventures(Skyland Ventures2号投資事業有限責任組合)から、シードラウンドで総額3600万円の資金調達を行った、と発表した。これは、2015年11月のエンジェル投資家による資金調達に次ぐもので、2016年7月に1回目のシードラウンド、2017年5月に2回目のシードラウンドを行ったという。

**今回のラウンドは、リード投資家としてPrimal Capital佐々木さんにお願いした。これまでに会った投資家の中で、一番本質的なアドバイスをくれたのが佐々木さんだった。僕自身、ビジネスプランはかなり考えてきたし、綺麗に筋書きを立てることができたと思っていたので、褒められることの方がずっと多かった。だけど、佐々木さんには”本当にやりたいことは何か”というのを考えさせてもらえた。僕にとっては、それが新鮮で、佐々木さんには僕に見えていない問題点が見えているんだと感じた。それに、仮に事業がうまくいったとしても、甘えずに取り組めるパートナーになれると思った。**

**また今回のラウンドには、Skyland Ventures木下さんにも出資してもらった。木下さんとは『IBM Bluehub』の時にも面識はあったが、今回の出資のキッカケになったのはSkyland VenturesとInfinity Ventures Summitがコラボしたスタートアップピッチコンテスト『WAVE』だった。IBM Bluehub第二期同期のクラスター加藤さんから、木下さんはポジティブな気持ちにモチベートしてくれるけど、事業については必要以上に口を出さないというのを聞いていて、佐々木さんとは異なるタイプなので補完関係になると思った。例えるなら、佐々木さんがムチなら、木下さんはアメになってくれると思った。**

一方、今回のラウンドに参加した投資家からはどのようにみえているのか。Pedia Newsでは、Primal Capitalの佐々木浩史氏とSkyland Venturesの木下慶彦氏からコメントをいただいた。

* Primal Capital 佐々木浩史氏より、コメント

**岡村さんとは2016年5月に知り合いました。初めて事業プランを説明していただいた際に即決で投資を申し出ました。理由としては大きく下記2点です。**

**・人:岡村さんの強烈な原体験と「それらを自分が解決するんだ」という強い意思。このビジネスのためにキャリア選択をしてきたという計画性。様々な人たちを巻き込んでいける人間性。**

**・マーケット:訪日外国人数が間違いなく増加する中、様々な負が露呈してきている。インフラ整備が遅れている中で、民間だからこそやれる点が多そう。また、集まったビザ情報を活用して“外国人のQOLを向上させていく”という点で、初期サービスからのビジネスモデルの成長性が見込める。**

**リンカーンの「Where there’s a will, there’s a way.」の言葉の通り、強い意思で“人々に必要とされる事業”を創っていかれることと信じています。**

**社会インフラとなり得る非常に楽しみなスタートアップでして、エンジニアを中心に仲間を募集しております!**

**(余談ですが、Skyland木下さんとはインキュベイトファンドのアソシエイトの初代・2代目という間柄でもあります。初めての協調投資で非常に嬉しいです!)**

* Skyland Ventures 木下慶彦氏より、コメント

**企業向けにビザ取得時の手間を無くすサービスone visa CEO岡村アルベルトさんとは、Primal Capital 佐々木さんの紹介で、2017年4月に開催したWAVEデモデイ× IVS Launch Padのピッチバトルに参加いただき出会いました。**

**人口減少が問題視される日本社会において、2016年に100万人を超えた日本における外国人労働者の増加に対して手を打って行かなければなりません。前職で入国管理局の現場を経験されたアルベルトさんの「誰かでは無い、自分がやるんだ」という気持ちに共感しており、またサービスづくりにおいて細かなところまで気にしてトライ&エラーが回っていることも数回のMTGを経てわかり、投資実行させて頂きました。応援しています。**

今後は、ビザの情報の特異性をいかし、①与信提供サービス、金融機関への与信提供、クレジットカード、②不動産を借りる際の与信情報提供、③ビザが取れる仕事の紹介など、ビザの情報を最大限に活用したサービスを提供し、外国人が困らない世の中を実現していきたい考えだ。加えて早期より、海外のビザにも対応することで「グローバルスタンダードな与信の構築」を目指すという。

**金融機関や保険機関、不動産機関の多くは、永住者でないと審査してくれない。one visaなら、企業の情報も個人の情報も常に最新のものを入力してもらえるので、与信情報として利用できると思う。そして、いまは国内のビザにしか対応していないが、海外のビザにも対応できるようになれば、グローバルスタンダードな与信情報を構築できるプラットフォームにもなると思う。そうすれば、例えばアメリカのビザを取りたい時に、自分には何が足らないかわかるようになり、人生の中でのプライオリティを可視化できるようになると思うし、どの国に行っても一つの与信情報で対応できる世界が作れるようになると思う。**