ロボット工学の第一人者 石黒浩教授が語る「ロボットと人間の境界線」

人間とロボットの境界線はどこにあるのか。Pedia Newsでは、ロボット工学の第一人者、大阪大学大学院の石黒浩教授にインタビューを実施した。


人間とロボットの境界線はどこにあるのか。**「人間とロボットの境界線はない」**ロボット工学の第一人者、大阪大学大学院の石黒浩教授はそう言う。

**「人とは何か、自分の価値とは何か」**哲学的とも言える話だが、石黒教授は**「価値に絶対的なものは存在しない。人の価値は人のエゴを寄せ集めたものであり、いわゆる人間とロボットといった境界線は人のエゴとのバランスによって生じるものである」**と説明する。

石黒教授は、自身の分身とも言えるジェミノイド、あのマツコデラックスをアンドロイド化したマツコロイド、夏目漱石をアンドロイドとして甦らせた漱石アンドロイドなど、これまでに多様なアンドロイドを世に送り出してきた。これらの制作には、短いもので半年、長いもので2〜3年の月日がかかり、完成までには多額の資金も要する。

石黒教授が目指しているのは、人知を超えるロボットの開発ではなく、あくまでも**「人を知る」**のが目的である。認知科学の実証実験の一つとして**「ロボットで人間を再現する」**ためにロボット開発を行っている。

**人類にとって意味のあることは人間に対する興味から生まれるものである。人は人を知りたいから生きているのではないか。全ての仕事は人に向いているのではないか。**(石黒教授)

石黒教授によれば、人間が作り出した最高峰の技術がロボットであり、将来的にはロボットと人間が区別されることなく互いに溶け込んで生活する社会が来るというのだ。すでに現在、場面・目的・状況を限定して量産しない形であれば、ある程度ロボットと人間が対話することはできる。ただ、**「ロボットにとって対話能力も重要であるが、それ以上に見た目が大事である」**という。

**ロボットなど技術は、人間と切り離せない。遺伝子をいくら改良しても人間だけでは月に行けないが、技術を道具として使うことで、人間は月にも行ける。技術とは、人間の能力を置き換えるものであり、拡張するものである。**(石黒教授)

ロボットの進化、いわば技術の進化は、人間の機能を拡張していく。究極的には、ロボットが人間に近づき、人間がロボットをロボットとして区別することなく、他の人間と接するのと同様に生活する時代が、そう遠い未来ではないのかもしれない。それが人間を知ることに繋がるのだろう。