ユニコーン企業「Uber」、真のバリュエーションはいくらか?

米ニューヨーク大学の経済学教授でエクイティバリュエーションに精通するAswath Damodaran教授は、Uberのバリュエーションの適正価格に関する極めて興味深い考察を発表した。

今、Uberのバリュエーションは、S&P500種株価指数を構成する企業の約80%よりもはるかに上回る。現在、Uberのバリュエーションは625億ドルを超える。

Uberは、シェアリングエコノミーを牽引する時代の寵児として、シリコンバレーのベンチャーキャピタリストをはじめ、多くの投資家が、その未来に希望の光を見ている。

その中、米ニューヨーク大学のAswath Damodaran教授は、Uberのバリュエーションの適正価格に関する極めて興味深い考察を発表した。

配車サービスの市場規模は、年々増加傾向にあり、持続的に成長し続けている魅力的な市場だ。2015年12月時点で配車サービス利用者数は10億を突破。特に、米国では成人人口の5%に相当する1,240万人が利用している。

米国では、配車サービス利用者数が2020年までに成人人口の7.8%に相当する2,040万人に到達する見込み。配車サービスの普及は、何も米国だけではない。中国、インド、マレーシアをはじめとしたアジアや欧州、ラテンアメリカでも裾の尾を広げている。

その一方で、各国各都市で様々な法規制も進んでおり、勢いを増す配車サービスに「待った」をかけている。

イノベーションによる破壊は簡単だ。しかし、そこからお金を生み出すことが難しいんだ。

様々な問題を抱えながらも、配車サービスという魅力的な市場の中で、スタートアップがこれまでの既得権益を破壊しようと新たなイノベーションに挑戦している。そして、その活躍をベンチャーキャピタルなどの投資家や大手企業までも熱望している。

直近12か月の資金調達額をみると、Didiは73億ドル、Uberは35億ドル、Lyft、Olaが5億ドル、Grabtaxiが35億ドル。彼らの資金調達先をみると、伝統的な機関投資家やベンチャーキャピタルからの投資ではなく、アップル、GM、ソフトバンク、アリババなど企業からの投資がほとんどだ。

巨額資金調達後、彼らは驚異的なスピードで事業に投資し、さらなる成長に向けてエンジン全開で加速していく。この状況について、Damodaran教授は

若いスタートアップは、サービスを伸ばす段階から収益を得る段階にステップアップする際に「Bar Mitzvah Moment」に直面することが多い。

スタートアップのシナリオは、起業家自身が思い描いているようなストーリーでは進まないことも多い。自分たちのストーリーを実現するために、資金調達を実施しなければならない時もある。

実際に、Uberは2015年、中国市場でのシェア拡大に向けて10億ドル以上、ライバルのLyftは、毎月5,000万ドル以上の資金を投下し、持続的成長を補完している。

そして、Damodaran教授は、独自の調査と算出方法で、Uberの真のバリュエーションについて衝撃の事実を明かした。それは、Uberの真のバリュエーションが直近のバリュエーションから55%と半値以上下回る280億ドルである、というものだ。

その理由は以下のとおり。

* 売上
* 成長が鈍化している。中国を撤退したことも記憶に新しい。今後売上を支えるはずだった中国市場を退いたことは非常に大きな痛手となるだろう。
* 競合
* 中国撤退はDidiからシェア20%を奪い取れなかったことが大きな原因であったが、他の市場でもLyft、Ola、Grabtaxiなどの配車サービスが猛威を振るう。
* コスト
* プロモーション、マーケティングをはじめとした費用だけではなく、法的な面でも各国で様々な制約があり、極めてコストが高い。
* 新たな脅威
* アップルやグーグル、テスラなども配車サービスに参入することが考えられ、ますますレッドオーシャンになることは間違いないだろう。

世界中のスタートアップで最も投資家から評価を得ている、ユニコーン企業Uber。その未来は、バラ色ではないかもしれない。ユニコーン企業が幻想になるか、はたまた市場からの期待に応えて実在するまぼろしのユニコーンとなるか。それは、当事者であるスタートアップの活躍次第だ。