サイエンスがサプリメントの未来をつくる、データ活用の可能性…サプリメント/アンチエイジングの専門家、医学博士 久保明氏に聞く

美容や健康を保つために、手軽に摂取できるサプリメント。栄養の偏りが気になったときや、体調をくずしたときなどにサプリメントを摂取する人も多いだろう。そのサプリメント業界は、新たな取り組みに精力的な姿勢をみせている。これからのサプリメント業界は、どこへ向かうのだろうか。その行く先を、医学博士である久保明氏に聞いた。

美容や健康を保つために、手軽に摂取できるサプリメント。栄養の偏りが気になったときや、体調をくずしたときなどにサプリメントを摂取する人も多いだろう。そのサプリメント業界は、新たな取り組みに精力的な姿勢をみせている。これからのサプリメント業界は、どこへ向かうのだろうか。その行く先を、医学博士である久保明氏に聞いた。

食事から摂取するタンパク質や、ビタミン、ミネラルといった各栄養素は、体内に働きかけて身体のあらゆる部分を正常に動かし、人間が生きていくためには必要な不可欠なもの。これらの栄養素を摂取する基本は日々の食生活である。しかしながら、毎日の食生活において、すべての栄養素をバランスよく摂取するのは、なかなか難しい。そこで注目されるのが、必要な栄養素を効率よく補給できるサプリメントである。

一般に、サプリメントとは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」(厚生労働省)に該当するものと考えられる。ただ、その用語に行政的な定義がないため、私たち一般の消費者にとっては、通常の食材から、菓子、飲料や、医薬品のような錠剤、カプセルまで多岐にわたる。

また、国内の健康食品・サプリメント市場は約1兆6000億円以上と言われており、年々拡大を続けている。サプリメント先進国であるアメリカでは、Dietary Supplementを「従来の食品・医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル等)のもの」と定義しており、ヨーロッパでも同様のものをFood Supplementと定義している。

こうした背景には、米国で1994年から導入された「ダイエタリーサプリメント制度」による影響も大きい。ダイエタリーサプリメント制度とは、医薬品とサプリメントの明確な区別、消費者のサプリメント摂取の目的の明確化、サプリメントに対する知識と理解の促進、サプリメント産業の育成、医療費削減などを目的として施行された。加えて、米国には、日本のような国民健康保険制度がなく、民間保険に加入する人が少ない。病気になると、莫大な医療費を負担しなければならず、その結果として、自分の健康は自己管理して病気を未然に予防するという考えが浸透した。

その中、米国において、アンチエイジング研究で有名なマサチューセッツ工科大学(MIT)の科学者が共同設立、6人のノーベル賞受賞者を科学顧問にもつ、栄養補助食品メーカー「Elyslum」や、エンジェルファンドAF Squareの元パートナーが創業したビタミン剤メーカー「RITUAL」等のベンチャー企業が立ち上がりつつある。

一方、日本においても、慶應義塾大学理工学部電子工学科助教授を務めるなど研究と企業の二足のわらじをはく竹康宏氏が創業した、世界初のオーダーメイドドリンクサーバー「healthServer」を運営するドリコスなどが生まれてきた。

* 参考記事:**“エレクトロニクス”と”飲む”を融合したヘルスケアサービスで「無意識な健康を目指す」ドリコス、総額1.2億円を資金調達 竹社長が語る、創業から今後の展望**

healthServerは、IoT技術を活用し「エレクトロニクス」と、日常生活で毎日行う「飲む」を組み合わせることで、センサーで身体の状態を把握し、独自のアルゴリズム解析を用いて、今必要な栄養素を抽出し粉末で提供する。healthServerを使えば、一人ひとりの身体に合った高品質なサプリメントを提供してくれる上に、摂取する量などを適切に管理してくれる。医学、栄養学、サプリメント業界の中でも、革新的なサービスといえよう。

**healthServerは、これまでのシステムの中でなされていなかったことを実現しました。サプリメント業界は、飲食業や医薬品業など異業種を手がける方々が守備範囲を広めながら取り組まれてきたため、販売の仕方もいわゆる “街の豆腐屋さん” のように、地域のネットワークや通販などの形態をとっていました。こうした中、購買者が選択の基準としていたものは ”自覚症状” とメディアを中心とした “情報” の二つであり、この構図が長年変わっていませんでした。今後はサイエンスとICT技術を活用した “客観的指標” を導入し、パーソナライズ化されたサプリメントを活用することで “エイジングにいかに対処するか” という新たなステップを築くことができると考えています。**(久保氏)