“エレクトロニクス”と”飲む”を融合したヘルスケアサービスで「無意識な健康を目指す」ドリコス、総額1.2億円を資金調達 竹社長が語る、創業から今後の展望

世界初のオーダーメイドドリンクサーバ『healthServer(ヘルスサーバー)』を手がけるドリコスは、総額1.2億円の資金調達を実施した、と発表した。今回、Pedia Newsでは、ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏にインタビューを実施し、今回の資金調達の経緯と、今後の展望などを伺った。

ひとりの理系研究者が、アカデミックの世界からベンチャーの世界へ飛び込み、エレクトロニクス技術をいかしたモノ作りを通じて、世界のヘルスケアにイノベーションを起こす。

世界初のオーダーメイドドリンクサーバ『healthServer(ヘルスサーバー)』を手がけるドリコスは、本日(1月12日)、総額1.2億円の資金調達を実施した、と発表した。今回のラウンドには、ダイドードリンコ、資生堂のベンチャー投資機能である資生堂ベンチャーパートナーズ、フリービットのベンチャー投資会社であるフリービットインベストメント、大和証券グループの大和企業投資、KLabのベンチャーキャピタル子会社であるKLab Venture Partnersが参加した。

今回、Pedia Newsでは、ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏にインタビューを実施し、今回の資金調達の経緯と、今後の展望などを伺った。

ドリコスは、2012年1月、竹社長が慶應義塾大学理工学研究科大学院生のときに設立された会社。竹社長は、慶應義塾大学で、日本学術振興会の特別研究員として、半導体チップ間高速無線インタフェースの研究に従事しながら、ベンチャーを立ち上げ、2015年からは慶應義塾大学理工学部電子工学科助教授を務めるなど、研究と起業の二足のわらじをはく人物だ。

**子供の頃からモノ作りが大好きで、電子工学系のエンジニアである父の影響を受けて、「将来は日本の電機メーカーに入ってエンジニアになりたい」と思っていました。小・中学校で工作の時間がありますよね。その時に、自分が作ったモノを人に見せるのが好きで、友人に「すごいね」とリアクションしてもらえるのが心地よかったんです。**

**そういう原体験が、理工学電子研究科に進学しました。ただ、その時、ちょうど家電メーカーが不況になってきたタイミングでもあり、研究を進めていく中で、「日本の大手電機メーカーでは、自分が作ってきたモノを、お客様に直接売って自分の目でお客様の反応を見ることが難しい」と思いました。「自分が直接お客様に届けるのであれば、起業が、一番効率が良い方法であり、最も刺さるやり方だ」「バックグラウンドである電子工作をいかした、エレクトロニクスとモノ作りを組み合わせて起業をしたい」そう考えて、徐々に、選択肢として起業に向いていきました。**

**エレクトロニクスで起業というと、一般的には、技術を中心に手がける方が多いですよね。私は、研究する中で、数年前と比べて、お客様が家電を性能だけで買ってくれる時代は終わったと感じていました。どの家電メーカーでも、これまでは、機能だけでインパクトがあるモノを発売することができていましたが、現在は、良い機能のモノがたくさん発売されたことで、お客様自身に、「自分にとって本当に必要な機能が何なのか」「どの機能が優れているのか」を伝えることが難しくなってきたと思います。その一方で、研究者は、もちろん、機能の性能を上げることにこだわります。ただ、そうすると、お客様のニーズとのギャップが広がっていきます。そこに虚しさを感じました。「技術で何ができるのかではない」「お客様が毎日やることで、エレクトロニクスで解決できることは何か」誰もが毎日することを考えた時に、「食べる」と「飲む」にたどり着きました。ドリコスは、「ドリンク」と「コミュニケーション」を掛け合わせた造語です。毎日する「飲む」とエレクトロニクスを掛け合わせて、「どのようなおもしろい日常を描けるか」「どのような価値を提供できる日常を描けるか」を追求していきたいと思って創業しました。**(ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏)

ドリコスでは、世界初のオーダーメイドドリンクサーバ『healthServer』を提供する。『healthServer』は、本体の両脇にあるセンサーで利用者の体の状態をセンシングし、独自のアルゴリズムで解析することで、利用者に今必要な栄養素を抽出し粉末で提供する、これまでにないサプリサーバー。

**ヘルスケアという言葉が広がりを見せていく中で、「健康」をキーワードにして見ると、大きく二つのステップがあると考えています。まず、自分が健康かどうかを知ることがステップ1で、その上で、自分が健康でないということがわかった時に健康という理想に向かって改善行動を行うことがステップ2であると捉えています。世界のヘルスケアサービスや技術を見ると、ステップ1については、ウェアラブルデバイスやスマートフォンのダイエットアプリなど何かを記録したりセンシングしたりして、健康なのかどういう状態なのかを知れるものが伸びてきていると思います。**

**ただ、健康になるためには、そのデータを眺めているだけでは難しくて、何かしら改善の行動を取らなければいけません。それが、エレクトロニクスだけで解決できることかというと、なかなか難しいです。それなら、ステップ1の部分で、せっかく、毎日、みんなが何か飲んでいるのだから、飲むという行動の中に改善行動を取り入れてしまえば良いのではないかと考えました。エレクトロニクスでステップ1を補い、飲むという体に直接フィードバックできる行動でステップ2のアクションをしよう。意外かもしれませんが、「エレクトロニクス」と「飲む」がヘルスケアと親和性が高いと思い、ヘルスケア市場へ参入しました。まさにそれを解決するソリューションが『healthServer』です。**(ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏)

利用者は、『healthServer』本体にタッチするだけでも、スマートフォンアプリから前後のスケジュール選択するだけでも、体の今の状態を知ることができる。『healthServer』では、利用者の体に関する情報をもとに、管理栄養士と医学博士の監修を受けた「必要とされる栄養素の解析アルゴリズム」を用いて、今の体の状態に最適な栄養素を判定する。その結果をもとに、その場で、利用者に今必要な栄養素を、オーダーメイドで必要な分だけ調合して自動的に抽出する。これにより、体に良い影響を与えるスマートなドリンク体験を提供する。

ドリコスには、アンチエイジングやサプリメント業界で有名な久保明氏が顧問として参画し、『healthServer』の製品開発を学術的な見地からサポートする。久保氏は、予防医療、アンチエイジング、生活習慣病診療を専門とし、医療法人財団百葉の会銀座医院など都内で診療を行う。また、人の老化度を科学的に測るエイジングドックを開発し、銀座医院では『プレミアムドック』を立ち上げ、その結果に基づく運動・栄養・点滴療法などを実践している。

**アルゴリズムには、久保先生の知見のほかに、医学、栄養学の観点も入っています。医学、栄養学の観点では、その人にとって栄養素が最もパフォーマンスを出す条件として、三つの条件があると言われています。一つ目が、栄養素自体の品質にこだわることです。例えば、純度がどれくらいなのか、胃で溶けずに小腸で溶ける性質であるとか、品質が高ければ高いほど良いとされています。二つ目が、利用者の状態に合わせることです。この状態とは、利用者の年齢、性別、持病、症状などを、一人ひとりカウンセリングして提供するというものです。三つ目が、タイミングや摂取の仕方をコントロールすることです。いわゆる、摂取する量や時間を、適切にコントロールするということです。この三つの条件が全てそろうことが「本当に栄養が効く」ひとつの答えになっているとされています。**

**その中で、サプリメント業界を見てみると、一番最初の品質の部分のみをこだわっているんですね。コンビニや薬局などで、パッケージングされているものを買う限りにおいては、品質の部分でしかこだわることができませんでした。それに対して、『healthServer』は、お客様が何も考えずに、三つの条件が揃ったベストな状態で自動で抽出できます。それが、医学、栄養学、サプリメント業界の中でも革新的なポイントです。**(ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏)

また、竹社長によれば、2016年1月に、三菱UFJキャピタルより資金調達を実施し、その調達資金で開発を進めてきたという。

**2015年6月から構想を作り、2015年10月に一番最初のプロトタイプを出し、2016年1月に三菱UFJキャピタルさんから資金調達を実施しました。三菱UFJキャピタルさんは、まだ投資家の方々にコンタクトを取っていないタイミングで、ホームページからお問い合わせをいただいてお会いしたのがキッカケです。ご担当者の方から「リスクがあるにせよ、シードのモノ作りベンチャーを支援していきたい」とおっしゃっていただき、投資していただきました。その後、本格的に開発を進め、2016年6月にプロトタイプの改良を終えました。1年をかけて、ようやく、お客様に見せられるレベルになりました。**

**これまでの開発を振り返ってみると、僕らのようなシードのスタートアップが、モノ作りに挑戦することでさえ大変なのに、ましてや、お客様の口に入る食品に挑戦しているので、ダブルで難しさを実感しました。サプリメント業界は、長く歴史がある業界で、新しいベンチャーがいきなり受け入れられるような業界ではないので、サプリメントを入れる食品容器一つをとっても、ノウハウがわからず、「何を満たせば市場に出してもいい製品になるのか」が難しかったです。**

**現在、スポーツジム、企業のオフィスや個人のご自宅など、100人以上の方々にご協力いただき、テストマーケティングを行っています。サービスを使う前と、使った後では、全然反応が違うんですよね。**

**使っていただく前はアイデアはおもしろいと言ってくださる方が多かったのですが、サプリメントを日常的に飲んでいらっしゃる方と飲んでいない方では、反応が二極化しました。サプリメントを日常的に飲んでいらっしゃる方は、かなり積極的に欲しがってくださっていました。特に、スポーツジムの方々は、日常的にサプリメントを摂取していたり、健康志向の方々が多いので、積極的なコメントをいただいていました。一方で、企業のオフィスでは、そこまで強い反応をいただけていなかったのが正直なところです。**

**実際に使っていただいた後は、みなさん全員、おもしろいというところでは一致していて、使い続けるためには「こういったところを改善してほしい」という前向きなご意見をいただいております。また、効果の実感については、長期的に継続しながら実感していきたいというコメントをいただいています。私たちも、お客様に中長期的にご利用いただくために、続ける理由に直結するような納得感を、より一層提供していきたいと思っています。**(ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏)

今回、新たに、ドリコスは、シリーズAで総額1.2億円の資金調達を実施した。今回のラウンドには、ダイドードリンコ、資生堂のベンチャー投資機能である資生堂ベンチャーパートナーズ、フリービットのベンチャー投資会社であるフリービットインベストメント、大和証券グループの大和企業投資、KLabのベンチャーキャピタル子会社であるKLab Venture Partnersが参加している。なお、今回の投資は、資生堂ベンチャーパートナーズにとって第1号投資案件でもある。

**今回の資金調達では、事業会社から投資していただきたいと考えていました。やはり、今後、サプライチェーンを考えていく上でも、モノ作りと食品、サプリメントでノウハウをお持ちのパートナーと一緒に組みたいと思っていました。**

**ダイドーさんは、自動販売機を中心に販売を持っており、屋外設置だけでなく、法人など室内のロケーションにも強いです。ダイドーさんは、既存の飲料だけでなく、新しい商材の一つとしてヘルスケアにご関心をお持ちで、今回、評価していただきました。今後、ダイドーさんとご一緒に、チャネル作りを進めていきたいと思います。**

**資生堂ベンチャーパートナーズさんは、資生堂のベンチャー投資組織です。資生堂といえば、美容に強いですが、販売網やエビデンスの部分で一緒に手を組みたいと思いました。私たちは、『healthServer』の効能に関するエビデンスを、お客様に適切な表現で届けなければなりません。資生堂さんが長年培ってきたノウハウや経験の部分で、手を貸していただきたいと思っています。具体的には、銀座医院さんと資生堂さんが共同で提供する健康美容ドックで、『healthServer』の実証実験をしていきたいと考えています。銀座医院さん、資生堂さんと私たちの三機関で連携していきます。**

**フリービットインベストメントさんは、格安SIMサービスを手がけるフリービットの投資組織です。『healthServer』では、個人を特定する情報をいただいていませんが、個人のバイタルデータに近い情報が匿名で集まります。私たちは、データを集めてデータを解析するだけでなく、利用者がサプリメントを摂取した後の情報もトラッキングすることができます。そのため、ビッグデータを使った、新しいヘルスケアのIoTサービスでもあると言えます。現在は、bluetoothを使って端末とスマートフォンが接続していますが、将来的には、IoT技術を使って、端末そのものを、インターネットと繋げて、健康ステーションハブを作っていきたいと考えています。**

**大和企業投資さんは、ヘルスケアやモノ作りに関心をお持ちで、今回、投資いただきました。また、これまでのテストマーケティングでの結果もご覧いただいた上で、着実に積み上げてきた点を評価していただきました。**

**KLab Venture Partnersさんは、お客様の継続性というところで事業開発のご支援をいただきたいと思っています。私たちのビジネスを成り立たせるには、お客様をいかに離さず継続していただけるかが重要となります。事業づくりのノウハウをご教授いただきながら、一緒に開発していきたいと思っています。**(ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏)

アカデミックなバックグラウンドをいかし、電子工学、医学、栄養学とICT技術、IoT技術を融合し、世界でも類を見ない新しいヘルスケアサービス『healthServer』を手がける、ドリコス。食品・飲料、美容、通信、金融、IT業界のプロフェッショナルである事業社の投資組織であるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)と共に、「技術で飲むを彩り」そして「飲むを通じた体験」を築き上げていくことだろう。最後に、竹社長は、今後の展望について、まっすぐな眼差しで熱く語ってくれた。

**ドリコスは、私が学生の時に創業した会社です。私もそうであったように、理系人材の多くは、研究に没頭していますが、ベンチャーに関心を抱いている方々もいると思います。今、ドリコスには、私の研究室の後輩である学生がインターンとして参加しています。自分で起業するまで行かなくても、アカデミックなバックグラウンドを持った理系人材が社会に出る前に、ベンチャーの環境に身を置ける環境が必要だと思っています。未来を担う、理系人材の後輩たちが育って欲しい。そのロールモデルとなるべく、今、ドリコスを経営しています。**

**ドリコスでは、「無意識なヘルスケア」をキーワードに、日常に溶け込むサービスを提供していきます。誰もが健康でありたいと願いながらも、頑張らないと健康になることができません。そのため、ヘルスケアサービスは、まだまだ多くの課題を抱えていると思います。健康は頑張ることでないと思うんです。「生活していたら、ここ数年、一回も病気に行っていない」そんな健康的な生活を送るのが、理想だと思います。私たちは、飲むを通じたヘルスケアサービスで、究極的には、何も意識せずに病気をしない世界を目指します。現在、『healthServer』では、利用者にタップ操作をしていただいていて、まだ健康を意識させている状態です。今後、一緒の船に乗っていただいた投資家の方々と共に、理想の世界を作っていきたいと思います。**(ドリコス 代表取締役社長 竹康宏氏)

ドリコス株式会社

世界初のオーダーメイドドリンクサーバ『healthServer(ヘルスサーバー)』