インターネットらしい決済のあり方を追求…BASE株式会社『PAY.JP』事業部長の高野兼一氏が語る『PAY.JP』と『PAY ID』の展望

今回、Pedia Newsでは、BASE株式会社でオンライン決済サービス『PAY.JP』の事業部長をつとめる高野兼一氏に、先日リリースした『PAY.JP』の購入者向けID型決済サービス『PAY ID』の開発裏話と今後の展望についてインタビューを実施した。

金融(Finance)とテクノロジー(Technology)を融合するフィンテック(FinTech)。ブロックチェーン(Blockchain)やビッグデータ(Big Data)、人工知能(Artificial Intelligence、AI)など最先端技術を使った新しい金融サービスが、これまでにない新たな産業を創出し、次世代の金融の世界へと誘う。

その中でも決済の分野は非常に活気づいている領域だ。昨年上場したオンライン決済サービスを提供するStripeをはじめ、クレジットカード情報の信用確認サービスを提供するCredit Karmaや中国Legend Holdings傘下のインターネット総合金融会社でオフライン決済サービスを提供するLakalaなどバリュエーション(企業評価額、Valuation)10億ドル(約1,000億円)以上のユニコーン企業が多数存在する。

今回、Pedia Newsでは、BASE株式会社でオンライン決済サービス『PAY.JP』の事業部長をつとめる高野兼一氏に、先日リリースした『PAY.JP』の購入者向けID型決済サービス『PAY ID』の開発裏話と今後の展望についてインタビューを実施した。(参考記事:BASE、オンライン決済サービス「PAY.JP」で購入者向けID決済「PAY ID」を開始…第1弾はBASEのECサイト20万店舗で導入

### 『PAY.JP』で「支払いのすべてをシンプルに」

「支払いのすべてをシンプルに」ーインターネットらしい次世代の決済サービスのあり方を追求する『PAY.JP』。『PAY.JP』は、2014年12月、BASEが開発者向けオンライン決済サービス『Pureca』を買収したことを機に、2015年9月より事業を開始。

『PAY.JP』は、シンプルなAPI・多彩な機能と分かりやすい料金形態のもと、開発者であれば、WEB・モバイル・IoTなど様々なシーンで決済を導入できるオンライン決済サービス。シンプルなAPIと豊富なライブラリを持ちながら、手数料以外の初期費用・月額費用・その他固定費は一切かからない「開発者による、開発者のための決済API」でもある。

### 『PAY ID』で「支払いをもっとシンプルに」

その『PAY.JP』が満を持して、2016年6月、『PAY.JP』の購入者向けに新たな決済手段としてID型決済サービス『PAY ID』をリリース。

『PAY ID』は、会員IDを使ってオンライン決済ができるサービス。『PAY ID』にあらかじめクレジットカード情報を登録するだけで、以降は、都度クレジットカード番号やお届け先等の情報を入力する必要なく会員IDを使ってスムーズに決済できる。また『PAY ID』では、複数のクレジットカードを登録でき、目的に応じて使い分けもできる。

### 『PAY.JP』から『PAY ID』が誕生した裏側

今回、『PAY.JP』から『PAY ID』として新しくサービスを分けたことについて、高野氏は

『PAY.JP』はビジネス向けで開発者にとって使いやすいオンライン決済サービスとしてリリースしました。その中で、当初から導入者側だけではなく購入者側も整備していきたいと思っており、『PAY.JP』は中立的な存在で開発者を支援するサービスとして確立したいという想いが強かったので、購入者向けのサービスを『PAY ID』として新たに切り出しました。

『PAY ID』はid.pay.jpというドメイン名ですが、そのドメインで切り出そうと決断したのは6月の初めでした。『PAY ID』のロゴもリリース直前まで試行錯誤して、6月27日にリリースしました。

と述べ、ユーザーの利用用途に合わせて使いやすさを追求した結果、『PAY.JP』から『PAY ID』がスピンアウトし、開発者にとっての決済手段の『PAY.JP』、購入者にとっての決済手段の『PAY ID』が生まれたことを明かした。

### 開発者の『PAY.JP』、購入者の『PAY ID』

『PAY.JP』は、ビジネスをする開発者が決済を導入するもので、ビジネスの決済手段として取り入れられています。一方、『PAY ID』は購入者向けのアカウントで、購入者にとって財布に代わるものであり、様々なところで決済できる決済手段という側面があります。(高野氏)

### 『BASE』とのシームレスな連動、安価な手数料

特徴はそれだけではない。BASEでは、『PAY ID』の提供開始に先駆けて、まずは個人・法人・行政が利用するEコマースプラットフォーム『BASE』の EC サイト20万店舗で『PAY ID』決済を順次導入する計画を発表している。『PAY ID』のスムーズな購入環境の構築によって、店舗にとっても転換率アップや、現在離脱している新規顧客の獲得、リピーター獲得の効果が期待できる。

『PAY.JP』『PAY ID』の特徴は大きく二つあります。

一つは『BASE』とシームレスに連動することです。『PAY.JP』は、様々な開発者(事業者)が組み込めるものですが、『BASE』に関しては、『BASE』のアプリの中に存在する決済手段として『PAY ID』があるので、『タオバオ』と『アリペイ』のような関係を築いています。そのため『BASE』の20万を超える全店舗(2016年7月現在)で使えるのも魅力の一つです。

もう一つは、手数料です。今は3%の手数料をいただいていますが、もっともっと手数料を引き下げて、手数料の原価を無くしていきたいと思っています。(高野氏)

### 決済から与信へ

そう語る高野氏には、群雄割拠なオンライン決済領域において、『PAY.JP』『PAY ID』がより一層輝きを増すために次なる打ち手を見越している。

今後、『PAY.JP』では、『BASE』をはじめとしたC2Cのプラットフォームとの親和性を考え、プラットフォーム上で簡単に使える決済サービスのあり方を考えていきたいと思っています。

短期的には、『PAY.JP』『PAY ID』のアカウントをどんどん増やして、『PAY.JP』経済圏を増やしていきたいと思います。そうすると、様々な情報が蓄積されていくと思うので、長期的には、『PAY.JP』でアカウントの与信を管理して、きめ細かな与信を提供できるようになったらおもしろいと考えています。

『PAY.JP』と『PAY ID』を組み合わせることで、店舗側にとっても購入者側にとっても非常に使いやすいオンライン決済サービスとして展開できる状態にあると思うので、もっとたくさんの人に使ってもらいたいです。(高野氏)

『PAY.JP』と『PAY ID』を二つの決済サービスを組み合わせ、より多くのユーザーが利用する機会を創出することで、決済の鍵をにぎる与信事業への参入を目指す。それは、高野氏がオンライン決済サービスを手掛けようと決意した原体験が大きく影響する。

『PAY.JP』は、もともと、「クレジットカードの概念はインターネットの世界では効率的ではない」という問題意識からはじまりました。

『PAY.JP』をはじめる前に、クレジットカードの仕組みに興味を持って、いろいろ調べてみました。その結果、クレジットカードの世界では、クレジットカード会社に数多くの情報を握られていて、その分手数料も下がりにくい現状があるというところに行き着きました。また、決済の仕組みを調べてみたところ、与信が重要な鍵となっていることもわかりました。

与信は、究極のところ「情報の取り方をどのようにするか」への追求です。今後、様々な情報がデジタル化していくことは間違いないです。その中で、金融機関のあり方は変わっていくと考えています。

だからこそ、『PAY.JP』では、オンライン決済事業に加えて、クレジットカードだけにこだわらずに様々な分野で与信事業を展開することで、「インターネットらしい決済のあり方」を追求していきたいと思います。(高野氏)

最後に、高野氏は、『PAY.JP』が目指す世界について、

大きいところでいうと、「摩擦をなくしたい」と思っています。

例えば、カード決済一つを例にしても、今のカード決済は複数のプレイヤーが介在していて無駄が多いと思います。それは、どこからか信用という一つの情報を正確に導き出すことができれば変えられる世界だと思っています。そうすれば、加盟店側も手数料を取られないだろうし、購入者側は摩擦ゼロなシームレスな体験ができる上に、さらにきめ細かな与信で自分がお金を使いたい時にお金を使えるような世界を実現できると考えています。それが「インターネットらしい決済のあり方」としてあるべき姿だと思っています。

『PAY.JP』は、まだ立ち上げに近いフェーズですが、少人数精鋭のチームで「摩擦のない」「インターネットらしい決済」を実現していきたいと思います。

と述べ、オンライン決済サービス『PAY.JP』『PAY ID』と共に、インターネット時代に合わせた新しい決済で次世代の金融サービスを創造する意気込みを明かした。

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