【Skyland Ventures Meetupレポート】230億円を使った先に見えた3つのジレンマで創業、2020年までにDAU100万を目指す…Kaizen Platform須藤氏が創業から今後の全てを紹介 #SVMeetup

シード・アーリーステージのスタートアップへ投資を行うSkyland Venturesは、リクルート最年少執行役員からWebサイトのUI/UX改善のプラットフォームKaizen Platformを創業した須藤憲司氏をゲストに迎え、「スタートアップの経営、資金の使い方、組織育成とは」と題して「Skyland Ventures Meetup」を開催した。

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シード・アーリーステージのスタートアップへ投資を行うSkyland Venturesは、4月15日、リクルート最年少執行役員からWebサイトのUI/UX改善のプラットフォームKaizen Platformを創業した須藤憲司氏をゲストに迎え、スタートアップやスタートアップに関心のある学生向けに「スタートアップの経営、資金の使い方、組織育成とは」と題して「Skyland Ventures Meetup」を開催した。

本サイト「Pedia News」では、イベントの模様をお伝えしたい。

### スタートアップが新しいことを学ぶ場所「Skyland Ventures Meetup」

冒頭、Skyland Venturesの代表木下慶彦氏は、今回の「Skyland Ventures Meetup」について、

スタートアップは、新しいことを次から次へと学ばなければならない。だからこそ、今回「Skyland Ventures Meetup」を開催した。第1回目は、自分が今1番話を聞きたい人ということで、須藤さんに声をかけた。

と述べ、スタートアップが新しいことを学ぶ場所を作りたいと考えて「Skyland Ventures Meetup」の開催に至ったと明かした。

次に、「スタートアップの経営、資金の使い方、組織育成とは」と題して、Kaizen PlatformのCEOである須藤氏が登壇。須藤氏は、早稲田大学商学部を卒業後、株式会社リクルートでマーケティング部門などを経て、株式会社リクルートマーケティングパートナーズの執行役員として活躍。その後2013年、Kaizen Platformを米国で創業。現在、サンフランシスコと東京の2拠点で事業を展開。

### 230億円を使った先に見えた3つのジレンマ

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須藤氏は、これまでのキャリアについて、

Kaizen Platformは3年前に創業した会社。その前は10年間リクルートに勤めており、会社員経験が長い。これまで約250億円を使ってきたが、約230億円はリクルート時代に使った。リクルートでは、最初の3年間はマーケティング、次の3年間が新規事業、その後2年間マネージメント、最後の2年間で経営を担当した。リクルート入社時からマーケティングで集客を担当し、マーケティングだけで約100億円を使ってきた。新規事業では、フリーペーパー「R25」のウェブサイト制作、中途採用「リクナビネクスト」、バナー広告などのプロジェクトを担当した。さらに、マネージメントと経営を通じて、エグゼクティブな仕事を担当し、マクロで世界を見ることを学んだ。

と述べた。

須藤氏は、「Kaizen Platform創業のキッカケ」について、

リクルート時代に大きく3つのジレンマを感じていた。1つ目は「マーケティングVSIT」、2つ目は「エージェンシーVSクライアント」、3つ目は「インターネットVSレガシー」のジレンマだ。「マーケティングVSシステム」のジレンマではプロダクトやビジネスを作る人とIT部門のギャップ、「エージェンシーVSクライアント」ではエージェンシーやコンサルがクライアントのビジネスに寄り添いきれておらずクライアントが孤立してしまうというギャップ、「インターネットVSレガシー」では伝統的な大企業がインターネット化に伴って採用したい人材は、なかなか来てくれないというミスマッチで3つの大きなギャップをもっていると思った。そこで、これらのギャップを埋めたいと思い、Kaizen Platformを立ち上げた。

と語り、須藤氏が自身のキャリアを通じて実感した既存産業におけるギャップが生むペイン(痛み)を解決したいと思い、Kaizen Platformを創業したことを明かした。

また、須藤氏は、「Kaizen Platform創業時」について、

起業して1年目は夢中だった。当時、Kaizen Platformという名前が知られていなかったので採用に苦労した。そこで、まずはKaizen Platformの名前を知っていただきたいと思ってあらゆるピッチイベントに出場した。20代の若手起業家が多い中、今までリクルート時代はプレゼンで負けたことがなかったが、初めてプレゼンで負けた。自分にとってはそれが新鮮であったと同時に負けず嫌いなので非常に悔しかった。当時、リクルート時代の知人には「負けて恥ずかしくないのか。」とよく言われたが、「名前を知っていただけないことはスタートアップでは死んでいることと同じ」と考えていたので出場し続けた。Kaizen Platformという名前を知っていただいて何かを感じていただくことが最も大切だった。だからこそ、自分から率先して恥をかいた。

と述べ、リクルート時代とは異なるスタートアップの洗礼を受けながら無我夢中でKaizen Platformを立ち上げたと説明した。

### 「UIは新しい店頭」
続けて、須藤氏は、「Kaizen Platformで今考えていること」について、

今考えていることは「UIは新しい店頭」。Kaizen Platformは、ユーザーインターフェースを改善する会社として立ち上げた。今はみんながパソコンやスマートフォンを持つ。先日銀行に行った際、非常に混んでいて行列を作っていた。手続きの用紙を見ると、大部分がスマートフォン上からできるものだったのに、待ち時間でみんながスマートフォンを利用していたことに違和感を感じた。「だったら並んでいるうちにやればいいじゃん(笑)」

一方で、銀行のウェブサイトを見ると、リアルな店舗とは異なり、「自分がどのような手順で何をしたらいいのか」わかりにくいと感じた。もし「このウェブサイトがリアルな店頭のように何ができるのか」がわかれば、行列に並ばずとも簡単に行動できて既存産業の構造を変えられると思った。企業が何かを改善しようとすると、複雑な社内調整や組織構造が原因で改善したくてもできないという現状があるが、世界には改善したい人も改善できる人も多くいる。だからこそ、自分たちが改善できる人を用意してみんなで改善する環境を作りたいと思った。

と述べ、Kaizen Platformを通じてユーザーインターフェース(UI)を中心に3つのギャップを埋めると語った。

### 改善案は1年で3万以上
須藤氏は、「Kaizen Platformの現状」について、

* 会員登録企業数
* 200社以上
* DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)
* 500以上
* オファー数
* 1日あたりのオファー数は50以上
* 改善案
* 昨年年間で3万以上
* DAT(1日あたりのアクティブテスト数)
* 1,100以上
* 改善によるトータルインパクト
* 241億円以上
* 改善による1日あたりのインパクト
* 300,000ドル以上(約3,000万円以上)

と事業進捗を示した。

### 総額約20億円の資金調達の裏側
また、須藤氏は、「Kaizen Platformの資金調達」について、

創業時は約1,500万円の資金ではじめた。当時は、当初予定していた金額の倍以上を使い続けており、どんどん貯金もなくなり、共同創業者の石橋さんとよく喧嘩をしていた。その後、シードで80万ドル(約9,000万円)を調達した。さらに、事業進捗に合わせて、シリーズAで500万ドル(約5億4,000万円)、つなぎのラウンドで400万ドル(約4億4,000万円)、シリーズBで800万ドル(約8億7,000万円)の資金調達を実施した。これにより、資金調達額は累計1,780万ドル(約20億円)となった。シードの資金調達時は、日本と米国で50社の投資家と話し合い、そのうち15社からオファーをいただき、3社に投資をしていただいた。今年2月(2016年2月)に発表したシリーズBのラウンドは、スタートアップの資金調達の市場が2015年の下半期から冷え込んでいたこともあって最も苦労した。個人的には、投資した資金を回収することが難しいから投資家という仕事があると考えているので、起業家は仮に投資を受けられなかった場合でも「投資をしておけばよかった」という勉強代を後で回収するように事業を進めていく必要があると思う。自分たちだけが知っている何かによって希望を繋いで光を感じて進められるほどスタートアップは甘くない。好調な事業進捗の一方で、見えないところでたくさん苦労を重ねてきている。

と述べ、好調な事業進捗を示す一方で、スタートアップ投資市場の変化とそこで生きる起業家ならではの厳しい苦労と熱い想いを明かした。

### 「21世紀の新しい働き方・雇用の創出」
須藤氏は、「Kaizen Platformのグロースハッカー」について、グローバルクラウドソーシングマーケットの現状を示しながら、

Kaizen Platformでは、一定のクオリティのグロースハッカーに時給約5,000円を支払っている。これは、年収では800万~1,000万円の人の仕事と同じになる。

と時給を意識して仕事する大切さを説明した上で、

Kaizen Platformを通じて、産業におけるギャップを埋めながらグロースハックのエコシステムを構築し、21世紀の新しい働き方・雇用を創出していきたいと思う。世界でウェブサイトは約10億サイト以上あって、ITアウトソーシング市場は日本が2兆円で世界が30兆円と言われている。Kaizen Platformでは、お客さんの改善したものがデータとして溜まるので、問題の発見と解決できる人をマッチングできる。自分のことを改善するだけでなく、他の人のことも改善できるというのが魅力だ。

と述べ、Kaizen Platformを通じてこれからの時代に合わせた新しい働き方・雇用を提案していきたいと語った。

### 2020年までにDAU100万を目指す
そして、須藤氏は、「2020年までのKaizen Platformのビジョン」について、

DAUで100万を超えることを目指す。トヨタの従業員数が約34万、世界最大の派遣会社アデコの派遣スタッフ数が約65万、ウォルマートの従業員数が約220万なので、Kaizen Platformでは世界で2番手の常駐しない派遣業を目指していきたい。

と明かした。

### Kaizen Platformという旅を通じて新しい未来を創出

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最後に、須藤氏は、「これからのKaizen Platformのビジョン」について、

様々な産業で経営の中心が、トップアジェンダに「お客さんの体験を良くすること」を向け、UI/UX中心にすれば全ての問題が解決する。UI/UXは、マーケティング、システム、エージェンシー、クライアント、インターネット、ノンデジタルをはじめ企業に携わる全ての人に関係する。そのため、会社の経営はUI/UXを中心にするとうまくいく。今後は、Kaizen Platformを通じて、新しい働き方の創造を進め、「改善したい全ての人へ」提供していきたい。Kaizen Platformという旅をしながら歩み進めていきたい。

と述べ、Kaizen Platformの新たなフェーズに向けてチームメンバーとともに顧客体験を重視したユーザーインターフェースで「Kaizen Platformの旅」を進めると語った。

[写真協力:カメラマン 延原優樹氏]