【atte FeSセミナーレポート後編】プロデューサー的デザイナーが「アッテ」を創造…ソウゾウのデザイナー井上氏が「メルカリアッテ」デザインの裏側を紹介

メルカリのグループ会社であるソウゾウは、地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」のリリースを記念して、2週連続月曜日にアッテリリースまでの裏側を語る「atte FeS」を先日完成したばかりのオフィス新イベントスペースで開催。本稿では、1週目の開催となる「ソウゾウの組織・デザイン・企画編」について紹介する。今回はその後編で第三部の模様をお伝えしよう。

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メルカリのグループ会社であるソウゾウは、地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」のリリースを記念して、4月11日・4月18日の2週連続月曜日にアッテリリースまでの裏側を語る「atte FeS」を先日完成したばかりのオフィス新イベントスペースで開催。

ソウゾウは、2015年9月、メルカリのグループ会社として、「Building next ordinary(ありそうでなかったをソウゾウする)」をミッションに設立された会社。3月17日より、地域コミュニティアプリ「メルカリ アッテ」を提供している。

イベントは、以下のような構成であった。本稿では、1週目の開催となる4月11日(月)の「ソウゾウの組織・デザイン・企画編」について紹介する。本サイト「Pedia News」では、イベントの模様を前編・中編・後編に分けてお伝えしたい。今回はその後編で第三部の模様をお伝えしよう。

* 第一部 ソウゾウの創り方
* 第二部 ソウゾウだからこそできた「メルカリ アッテ」
* 第三部 アッテ デザインの舞台裏

### プロデューサー的デザイナーがユーザー体験をつくる
第三部では、「アッテ デザインの舞台裏」と題して、株式会社ソウゾウのデザイナー井上雅意(がい)氏が登壇。井上氏は、元サムスン電子ジャパンでモバイル端末のUI/UXデザイン、新規事業開発を担当。その後、ヤフー株式会社で、ソウゾウの代表取締役社長である松本龍祐氏とともに新規事業の開発を行う。2016年より、株式会社ソウゾウにデザイナーとして参画。

まず井上氏は「新規事業におけるデザイナーの役割」について、

ソウゾウのデザイナーは、ビジネス(B)、クリエイティブ(C)、テクノロジー(T)がバランスよく揃ったデザイナー像を目指している。一言で言うと、プロデューサー的デザイナー。

と述べた。同氏によれば、この背景は、スマートフォンのアプリが主流になったことを受けており、

ユーザー体験がサービスヒットの肝。ユーザー体験がいかに良いか、それがサービスのヒットするかしないかの別れ道になっている。ユーザー体験を描きやすいのは、デザイナー。だからこそ、デザイナーがサービスをヒットさせる、ビジネス的にあてる視点をもつことが必要。そして、早めに触れるモノを作って、それをみてワクワクするか、ゾクゾクするかみたいなところを早い段階から練っていくことが必要。

と説明し、デザイナーがビジネス視点をもち、プロデューサー的な視点をもつことが重要であると語った。

また、井上氏は、従来のウォーターフォール型プロセスは、企画とUI/UXの部分でギャップを生む恐れがあるため、ソウゾウではUI/UXをはじめの段階から着手するようにしている、という。これにより、アイデアの段階から形にでき、形にしたものをつかって、企画、コンセプトや戦略などを練っているという。実際に、ソウゾウでは、「メルカリ アッテ」のコアな肝の部分である、①タイムライン、②チャットらしさ、③位置起点について、どのように表現するか、サービスとしてどのようにみせるのかを形にしながら練っている。

### プロデューサー的視点に必要なモノは5つ
次に、井上氏は、「プロデューサー視点を持つには?」について、

* とにかくほかのサービスを知る、調べる
* アプリがメインなので、気になるアプリはひたすら調べる。UXのいい点、実際なぜヒットしたか、どれくらい売上があって、どういうビジネスモデルのなのか。そこから要素を抽出していく。
* サービスがねらう領域の市場感(規模、成長度)
* 規模がなかったらやっても意味がない。
* 企画(ラフでも)をどんどん周りにぶつけて話す
* たまたまソウゾウはプロデューサー視点の人が多く、ラフの段階から企画をぶつけることで良い結果を生んでいる。
* ヒットするサービスに携わって感覚をつかむ
* ヒットしたサービスに携わっていた人の感覚は見聞では得られないもの。運次第のところはあるがそういう機会をつくれるか。
* ロールモデルから学ぶ
* ソウゾウでは、身近なところに代表の松本氏がいる。松本氏からプロデューサー視点を学び、やり方を盗んでいる。

と述べ、井上氏自身もプロデューサー視点をもつために、日々努力していることを明かした。

### 「デザイナーあるある」を自分で超える
さらに、井上氏は、「プロデューサー的デザイナーならではのこだわり」について、

* 作りたいものを作らない
* デザイナーとしては本当はかっこいいものや美しいものをつくりたいと思っており、常に葛藤があるが、「自分の作りたいもの」を作ってはいけない。
* 「自分の作りたいもの」を封印して、どのようなユーザーをターゲットにして、なにがヒットする要因なのか、という点を見極め、そこに寄せたものをつくる。
* さらすことを恐れない
* デザイナーだからこそ、途中のものを見せることは勇気がいるが、感覚値的には60%くらいの状態でどんどんみせた方が良い。
* 早めの段階で企画から取り組むことで、早めにアイデアを当てることができる。その結果、思いもよらないところで、アイデアがジャンプする瞬間がある。
* 作って壊すことが重要
* デザイナーは、一回作ると壊したくない、と思いがちだが、今作っているものよりも他のものが良い時や変えたほうがいい時には素直に言えることが重要。
* サービスのコンセプトさえブレなければ、いくらでも変える気持ちで作る、それくらいの心持ちが重要。

と述べ、井上氏が心がけるプロデューサー的デザイナーのポイントを紹介した。

### タイムライン、チャット、位置起点
続けて、井上氏は、「アッテのUI/UXのこだわり」について、一貫して、①タイムラインの分かりやすさ、②チャットらしさ、③位置起点のコンセプトを重要視してきたことを明かした。

①のタイムラインの分かりやすさについて、井上氏は、リリース直前に大きく変更したことを明かし、

当時のタイムラインは、「Twitter」的に言うと正解だけど、「アッテ」では本当にイケるとまでは言い切れず、なんとなく不安があった。そこで、今のUI/UXである3つタブに変えてみた。「メルカリ」の売り買いする点とカニばってしまうので、遠慮していたが、3つタブになると、すんなりきた。そこで、思い切って変えた。

と述べた。これにより、現在のタイムラインのUI/UXにたどりつき、募集を投稿しやすくなり、さらに、探しやすくなることで、当初想定していたような利用ケースが増えている、という。

②のチャットらしさについて、井上氏は、

チャット的インターフェースはトレンドで、チャット的にやりとりをすることで直感的になる。そこで、徹底的にチャットぽくしたいと思った。

と説明し、応募のやりとりや応募へのコメントなどで徹底的にチャットらしさを出していることを語った。

③の位置起点について、井上氏は、

位置起点は「アッテ」のサービスの肝。ユーザーがアプリを開いた地点で募集の投稿がたくさんみえるために、どうすれば良いかを考えた。特に、手渡しできる範囲と、その範囲を絞った時に投稿がたくさん見えるかどうか、というところを考えた。当初は、自分の現在地を起点に、周辺のエリアの投稿を出したり、都道府県で投稿を出し分けたりなどを考えていたが、自分の位置起点で距離を表示しよう、と決めた。ただし、「自分の現在地から10キロ」と言われても正直どれくらいの距離かわからなくてピンとこない。そこで、なんとなく、「徒歩で行ける範囲」「自転車で行ける範囲」「路線バスで行ける範囲」に分けてみた。路線バスにした理由は、車にしてしまうと、どこにでも行けるという感覚があると思ったから。個人的には、これは秀逸だったと思っている。

と語り、位置起点ならではの表現で苦悩しながらも、ユーザー体験を考え、現在の「メルカリ アッテ」のUI/UXに至ったと明かした。

### 今後の「アッテ」のUI/UXに期待
井上氏は、今後の「メルカリ アッテ」のUI/UXについて、

今後は、距離が遠くなったら、飛行機を出したり、グローバル化したら、地域に合わせて、トゥクトゥクを出したりできたらおもしろいのではないかと思っている。

と述べ、さらなる事業展開に合わせて、UI/UXを進化させていくと語った。

また、井上氏は、現在、開発していることについて、

* 仲間イベントタブ
* 今後コミュニティーらしくしていきたい。
* 手渡しをする前に、すでにコミュニケーションがあるような形にしたい。
* 投稿のしやすさ
* カテゴリごとに投稿の仕方や投稿のしやすさが違うと思うので、そこに対応していきたい。
* チャットのしやすさ
* 機能面も含めて、もっとリアルタイム性を高めて体験を向上させたい。

と明かし、こだわる部分をひたすら煮詰め続けることで、「メルカリ アッテ」のさらなる事業展開を支えていく、と述べた。

### デザイナー流チームの盛り上げ方

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最後に、井上氏は、「デザイナーだからできるチームの盛り上げ」について、

デザイナーでモノがつくれるからこそ、チーム全員が楽しいと思えるモノをつくって、チームに楽しい雰囲気をつくることが重要。

と述べ、①キャラクターを作ること、②グッズを作ることをすすめた。これにより、社内外のコミュニケーションでサービスを感じられ、サービスに対する愛着が向上するという。なお、「メルカリ アッテ」では、リリースからわずか1カ月で、LINEスタンプ、Tシャツ、ステッカー、トートバッグなどのグッズをつくっているとのこと。

「メルカリ アッテ」App Store

「ニャッテ(アッテ公式)」LINEスタンプ

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