【17年2Q決算】増収増益のエムスリー、営業利益 21%増の111億円…欧州老舗Vidal Groupを約116億円で株式取得

今回、Pedia Newsでは、10月24日に公開された決算短信、決算説明会資料をベースに、エムスリーの2017年3月期の第2四半期累計(2016年4月1日から2016年9月30日まで)の決算を紹介する。

2017年3月期の企業の第2四半期(2016年7月〜9月期)の決算発表が本格化している。

* 参考記事:**決算シーズン到来!注目IT関連株の決算スケジュールまとめ(2016年10月末)**

### エムスリー、2017年3月期第2四半期決算

その中でも、注目企業の一つであるのがエムスリーだ。

今回、Pedia Newsでは、10月24日に公開された決算短信決算説明会資料をベースに、エムスリーの2017年3月期の第2四半期累計(2016年4月1日から2016年9月30日まで)の決算を紹介する。

### 前年同期比2ケタ増の増収増益

エムスリーは、10月24日取引終了後、2017年3月期第2四半期累計の連結決算を発表し、売上高348億7,400万円(前年同期比14.2%増)、営業利益111億円(同21.2%)、最終利益71億4,900万円(同16.3%増)となり、前年同期比2桁増の増収増益で着地した。

[ エムスリー株直近1か月推移、Google Finance]

これを受け、10月25日のエムスリー株は急反落した。営業利益は2割越えの111億円と好調だったものの、115億円強を見込んでいた市場予想を下回ったことから売りが優勢した。10月25日の終値は前日終値3,450円から280円(8.12%)安の3,170円だった。

### 主力事業「医療ポータル」売上高15%増・利益9%増

気になるセグメント別の業績は、エムスリーの主力事業『MR君』をはじめとした「医療ポータル」事業の売上高が15%増、利益が9%増と伸びた。その他、医療関連会社向けのマーケティング事業、治療プロジェクトが順調に推移し、好調だった。

### 『M3君』ファミリー、前年同期比13%増

「医療ポータル」事業のセグメント売上高は138億800万円(前年同期比15.4%増)だった。内訳は、医療関連会社マーケティング支援分野が64億5,500万円(同12.3%増)、調査分野が11億2,300万円(同5.3%増)、その他が62億3,100万円(同21.0%増)となった。

医療関連会社マーケティング支援分野は、製薬会社の利用の拡大により『MR君』ファミリーの売上収益が前年同期比13%増となったことで好調だった。また、調査分野では営業体制の整備が進んで製薬会社等への直販が拡大し、その他ではエムスリーキャリアの医療向け人材紹介事業を中心に拡大した。

一方、「医療ポータル」事業のセグメント利益は77億1,500万円(同9.1%増)だった。これは、売上原価と販売費及び一般管理費の総額がエムスリーグループ業容拡大に伴う人件費増加等の要因を中心に61億5,400万円(同21.5%増)発生、さらにアネステーション社の子会社化に伴い4,200万円が発生したことによるもの。

### 受注拡大、人材に先行投資

「エビデンスソリューション」事業のセグメント売上高は107億3,200万円(同9.8%増)、セグメント利益は23億4,300万円(同31.2%増)だった。治療プロジェクトが順調に進展したことやグループ拡大により収益が伸びた一方、好調な受注を背景に積極的な人材採用による先行投資の増加を進めた。また、2015年4月に子会社化したSMOノイエスの2016年上半期は約2億円の黒字となった。

### 海外は、既存事業好調・M&A効果も後押し

「海外」事業のセグメント売上高は、米国・英国市場64億1,300万円(同11.8%増)、中国・韓国市場を含めた海外セグメントの売上高70億700万円(同9.4%増)となった。

これは、米国・英国における調査サービスと医師の転職支援サービスの拡大などが為替変動のマイナスの影響を吸収したほか、M&A費用を除いた現地通貨での利益は増益基調だったものの、中国における営業体制の強化に伴う人件費増加等の要因や為替変動のマイナスの影響を吸収したことが大きい。

### 医師会員・調査パネル数は、全世界400万人を突破

医師会員・調査パネル数の推移を見ると、2016年9月末時点で全世界400万人を突破。地域としては、中国、米国、日本が多い。

### 米国の市場規模は、日本よりも大きい

特に米国市場では、医師転職支援サービスの利用が増加し、売上高は19億6,100万円となった。エムスリーでは、直近2年間で4社のM&Aを進めており、既存事業の拡大にM&A効果が加わったことで、事業規模は前年の2倍以上に増加した。これより、米国の市場規模は、日本よりも大きく、高い成長率を維持している。

今後は、米国で運営する医師向けサイト『MDLinx』とのシナジー早出の進展に伴い、さらなる売上高の拡大と収益性の改善が進む見込み。さらに、エグゼクティブ医師・看護師などへの事業拡大も検討中だという。

### 中国市場は、中国全土の医師の過半数を網羅

一方、中国市場では、会員医師数が168万人を突破し、中国全土の医師の過半数を網羅するまでに成長した。『MR君』をはじめとした製薬会社向けマーケティング支援サービス、調査サービスが順調に拡大を続け、売上高前年比72%増となった。

### 約116億円で株式取得、欧州老舗Vidal Groupを子会社化

また、Vidal Groupの子会社化とインドにおける合弁事業開始により、5,100万円が発生した。Vidal Groupの株式取得価格は約116億円。

Vidal Groupは、フランス・ドイツ・スペインの3か国を中心とした世界各地域において医薬品情報のデータベース関連事業を行う会社。フランスでは、全医師の75%以上に当たる15万人を会員とする。

Vidal Groupは、1914年にフランスで医薬品情報辞典を創刊。その後、紙媒体からオンライン、モバイルへの切り替えが進み、事業のインターネット化に成功。最近では、蓄積された医薬品データベースを活用し、クリニック・病院・薬局などに対し医療情報システムを提供する新規事業も開始。これより、事業の付加価値化が高いことから、営業利益率は2割を超える。

### Vidal GroupのM&Aを皮切りに、欧州市場をさらに強化へ

今後、エムスリーは、Vidal Groupの強みを活かし、欧州市場の地域特性を見極めながら、「製薬プロモーション支援」「CME教育」「リサーチ」「転職支援・治療支援」などのサービスを展開していく方針だ。

### インド市場へ本格参入、合弁事業を開始

一方、インドにおける合弁事業開始について、エムスリーは、8月、インドにおけるるインターネットを活用した医療関連サービスの展開を目的として、Healthcare at Home Private Limitedと共同で合弁事業を開始することを目的とする契約を締結し、Health Impetus Private Limitedの株式の一部を取得し子会社化した。これにより、合弁会社の既存事業および製薬会社や医師とのネットワークを土台として、インドにおいてM3の各種プラットフォーム・サービスを立ち上げていく予定。

Healthcare at Homeは、インド最大手消費財メーカーDabur India Limitedの創業者一族Burman Familyと、英国でハイテク訪問看護サービスを展開する Healthcare at Homeの創業者が設立したジョイントベンチャー。Health Impetusは、Healthcare at Homeの子会社で、製薬会社をクライアントとして患者の服薬率上昇をサポートできるサービスを提供する。

「診療プラットフォーム」事業のセグメント売上高は13億8,500万円(同6.1%増)、セグメント利益は9,200万円(同31.3%減)だった。これは、シィ・エム・エスの事業が順調に推移したことで売上が増加し、人員の増強や開発投資などの先行投資を進めたことによるもの。

「営業プラットフォーム」事業は、エムスリーマーケティングの事業が順調に拡大し、メディカルマーケターの稼働率の上昇と単価の上昇により、セグメント売上高7億600万円(同6.3%増)、セグメント利益4,900万円(同314.6%増)となった。

「その他」事業は、2016年8月よりテコムを新規連結したことでセグメント売上高が18億3,600万円(同96.8%増)した一方、新規に立ち上げた事業への先行投資などでセグメント利益は1億200万円(同7.5%減)となった。

### 17年通期予想は、増収増益で据え置き

最後に業績予想を見よう。2017年3月期通期予想は、売上高750億円、営業利益230億円、最終利益143億円で、前年同期比増収増益と据え置いた。