【詳報】IDEOとGenuine Startupsの共同記者発表会レポート…IDEOのデザイン思考、グローバル性を活かし、新しいVC「D4V」を合弁設立

世界最高のデザインファーム「IDEO(アイディオ)」と日本のベンチャーキャピタル「Genuine Startups(ジェニュインスタートアップス)」は、10月3日に発表した両者合弁のベンチャーキャピタルの設立に関する共同記者会見を東京都内IDEO東京オフィスで開催した。

世界最高のデザインファームとアーリーステージの国内ベンチャーキャピタルが、ベンチャーキャピタルを設立し、スタートアップとともに、デザインの力で、日本から世界へ新たなイノベーションを起こす。

世界最高のデザインファーム「IDEO(アイディオ)」と日本のベンチャーキャピタル「Genuine Startups(ジェニュインスタートアップス)」は、10月3日に発表した両者合弁のベンチャーキャピタルの設立に関する共同記者会見を東京都内IDEO東京オフィスで開催した。

両者は、この日、新たにベンチャーキャピタル「D4V(ディー・フォー・ヴィ、Design for Venturesの略)」を設立し、日本国内・海外の両方の市場にインパクトを与え得る日本のアーリーステージのスタートアップ企業に投資することなどを発表し、設立に至った経緯や狙い、内容の詳細などを説明した。

D4Vは、支援するスタートアップ企業に対し、資金、助言、人的ネットワークを提供するだけでなく、人間中心思考並びに領域横断的なデザイン主導型アプローチを提案できる点にあり、これらによって支援先スタートアップ企業のミッションと事業目的の達成を手助ける。

IDEOからは共同経営者のトム・ケリー氏がファウンディングパートナー兼会長、ビジネスデザイン・ディベロップメントのディレクター野々村健一氏がファウンディングパートナーとして参加し、デザイン思考並びにベンチャーデザインに関する専門知識を、一方Genuine Startupsからはファウンダー兼共同代表の高野真氏がファウンディングパートナー兼CEO、ファウンダー兼共同代表の伊藤健吾氏がファウンディングパートナー兼COO、ファウンダーの谷家衛氏がファウンディングパートナーとして参加し、経験豊かな金融プロフェッショナルが有する経験・知識・人的ネットワークを、それぞれ持ち寄り、結合させる。

[D4V ファウンディングパートナー兼CEO/Genuine Startupsファウンダー兼共同代表 高野真氏]

会見は、まずGenuine Startupsファウンダー兼共同代表の高野真氏のプレゼンからスタートした。両社の出会いに関しては、Genuine Startupsが設立から3年の節目を迎え、より大きなフレームワークで新しいベンチャーキャピタルを立ち上げたいという想いから、IDEOのトム・ケリー氏に「新しいベンチャーキャピタルを一緒に立ち上げてもらえないか」という提案をしたことから話が始まり、それからも「IDEOと組む」という可能性に関して非常に情熱をもって取り組み、両社は継続して話し合いを持った。この話し合いの中で、トム氏は、「両社の組み合わせが、グローバルに相乗効果を生み出し、日本を変革するチャンスが大いにある」と確信し、その後両社のキーマン同士が話し合いを重ねた結果、「互いに全面的な協力をし合い、これまでにない新しいタイプのベンチャーキャピタルを設立することで、双方の強みを活かし合い、大きな相乗効果を生み出せるのではないか」との判断に至ったという。

[D4V ファウンディングパートナー兼COO/Genuine Startupsファウンダー兼共同代表 伊藤健吾氏]

この背景として、Genuine Startupsは、2013年に伊藤健吾氏が設立以来、国内のアーリーステージのスタートアップ企業に特化した投資活動を展開し、2015年には元ピムコジャパン取締役社長でアトミックメディア代表取締役CEO及びフォーブスジャパン編集長の高野真氏、2016年にエンジェル投資家の谷家衛氏をファウンダーに迎え入れ、これまでに50社以上のスタートアップ企業に投資してきた。具体的には、トランスリミット、ココン、ココアモーターズなどの投資先が代表例だ。ただ「もう少し大きなフレームワークで、新しいベンチャーキャピタルを立ち上げたい」と考え、今回「IDEOの全面的な協力を受ける」ことで設立に至ったと述べた。

D4Vと他のベンチャーキャピタルとの相違点に関しては、3点の特徴を紹介した。まず1つ目は「グローバルとローカルの間をブリッジする」ことを挙げ、スタートアップ企業への投資そのものは日本国内に限定する一方で、投資先スタートアップ企業のビジネス展開としてはグローバルな視点を持つと語った。次に2つ目は「大企業とベンチャー企業の間をブリッジする」ことを挙げ、非常にクローズドな国内のベンチャーキャピタル業界を大企業に対して開放すると述べた。最後に3つ目として「デザインシンキングに代表される、人間中心のアプローチ」と挙げ、「IDEOの持つエクスパティーズ(専門性)を、スタートアップ企業の人たち、ビジネスに盛り込む」ことができると説明した。

また当面、Genuine Startupsが得意とするアーリーステージのスタートアップ企業への投資、日本国内の大手事業企業、金融機関からのファンドレイズにフォーカスする一方で、今後5〜10年をかけて、投資対象を全てのラウンドへ、ファンドレイズを「世界中の大企業や個人投資家へ拡張すると語った。

これにより、「IDEOのアプローチを取り入れることで、日本から世界的な視点でビジネス展開をヘルプし、スタートアップ企業にリスクを取って投資しながらも育成までを含めて支援する」ことを明確にアピールし、今回の設立がこれまでにない新しいタイプのベンチャーキャピタルの設立であることを強調した。

さらに、今回のD4V設立に伴い、エグゼクティブ・アドバイザーとして、ソニー元CEOの出井伸之氏、ハリウッド俳優・プロデューサーのマシ・オカ氏を招聘したことも明らかにした。これに関して、出井氏には、主に中国やシンガポールにおける強固なネットワークを、マシ・オカ氏にはエンターテイメントに関する知見を活かすとともに、米国における教なネットワーク活かして、ビジネス展開及びファンドレイズを進めるという。

[D4V ファウンディングパートナー兼会長/ IDEO 共同経営者 トム・ケリー氏]

次に、IDEO共同経営者のトム・ケリー氏にプレゼンをバトンタッチした。IDEOは、1978年にデイヴィッド・ケリー氏が創業以来、全世界9か所に拠点を設け、デザインコンサルティング事業を展開してきた。

トム氏によれば、創業以来約40年にわたり「友人と働くような環境、信頼できる仲間と働くような環境を提供する」という信念を持ち続け、短期間で集中的なデザインスプリントを実施して、「インキュベーションのような形で育て、スタートアップ企業をひとつ上の段階に上げるためのお手伝いをしてきた」という。

今回のD4V設立については、2015年に「ビジネスの多角化」と「日本のスタートアップ企業へ投資する最適なタイミングは今しかない」と考えていた矢先に、Genuine Startupsの高野氏と出会い、高野氏、伊藤氏、谷家氏との話し合いの中で両者の強みが補完関係にあることが分かり、まさに「全てのタイミングがうまくピタリとそろった」とトム氏は述べた。

[D4V ファウンディングパートナー兼COO/Genuine Startupsファウンダー兼共同代表 伊藤健吾氏、D4Vファウンディングパートナー/ IDEO ビジネスデザイン・ディベロップメント ディレクター 野々村健一氏]

また、今回のD4V設立では、IDEO東京だけではなく、世界各地のIDEOの拠点と連携することで、IDEOがこれまで培ってきたグローバルな経験を活用して、世界に通用するスタートアップ企業を日本から排出することで、「日本の変化の触媒になると確信している」と手応えを感じているようだ。

最後に抱負として、高野氏は「IDEOとGenuine Startupsの伊藤、谷家、僕(高野氏)の4つのエレメントは、それぞれ異なるものを持ち合わせている。伊藤はスタートアップ企業に投資して、そこにネットワークを持っており、谷家はエンジェル投資家として複数のスタートアップ企業を成功に導き、アントレプレナー(起業家)の間ではビッグブラザー的な存在になっており、僕(高野氏)はフォーブスの立ち上げやエンジェル投資活動をはじめる前までは金融のエスタブリッシュに近く、そことのコネクションがある。そのため、我々3人は、それぞれ異なるステージのスタートアップ企業を支援することができる。さらにIDEOが加わることで、人間中心に考えるクリエイティブなアプローチとグローバルな視点を取り入れることができる。その結果、アーリーステージのスタートアップ企業に投資して最後まで育てることができるようになる。そして、それは日本だけではなく、海外にもビジネス展開できる。日本から世界に向けて羽ばたくスタートアップ企業を支援していきたい」と両社の提携によるD4V設立の意義を述べてプレゼンテーションを締めくくった。

**参考記事**

* **IDEOとGenuine Startupsがベンチャーキャピタル「D4V」を共同設立…ソニー元CEO出井氏とマシ・オカ氏を招聘**