【詳報】サイバーエージェント決算説明会「AbemaTVのマスメディア化でさらなる企業価値の向上へ」…16年通期は売上・営業利益が過去最高 引き続きAbemaTVへ先行投資

今回、Pedia Newsでは、10月27日に公開された決算短信、決算説明会資料、決算説明会及びその質疑応答をベースに、サイバーエージェントの2016年9月期通期(2015年10月〜2016年9月)及び第4四半期(2016年7月〜9月)の決算を紹介する。

2017年3月期の企業の第2四半期(2016年7月〜9月期)の決算発表が本格化している。

* 参考記事1:**決算シーズン到来!注目IT関連株の決算スケジュールまとめ(2016年10月末)**

### サイバーエージェント、16年通期決算説明会

その中でも注目企業のひとつがサイバーエージェントだ。サイバーエージェントは、10月27日、2016年9月期通期の決算を発表するとともに、決算説明会を開催した。

* 参考記事2:**【速報:16年通期】サイバーエージェント、売上高22%増・営業利益12%増の増収増益**

今回、Pedia Newsでは、10月27日に公開された決算短信、決算説明会資料、決算説明会及びその質疑応答をベースに、サイバーエージェントの2016年9月期通期(2015年10月〜2016年9月)及び第4四半期(2016年7月〜9月)の決算を紹介する。

### 16年4Qは、増収・営業利益減益

まず第4四半期の数字を見ると、売上高856億円(前四半期比12.1%増)、営業利益42億円(同49.3%減)、経常利益35億円(同56.1%減)、最終利益13億円(同27.2%増)で増収営業減益となった。

インターネット広告事業とゲーム事業が大きく伸びたものの、引き続き「AmebaTV」のコンテンツ強化、広告宣伝費、人員増強などの先行投資、さらにゲームの広告宣伝費、決算インセンティブが響いた。

### 16年通期は、売上・営業利益ともに過去最高

ここからは、通期の決算を見よう。

決算説明会の冒頭、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏は、

売上は3,000億を超えて3,106億とYoY2割以上の増収。営業利益は、投資期にあたるので、減益予想で予測を出していたが、最終的にはそれを上回り367億円。

注力事業の「AbemaTV」は、4月11日に開始して約半年を経過し、ダウンロード数は900万を超えて、初速は好調。

広告代理事業も好調で、この規模になりながら2割の年度の増収と、利益のほうも順調に伸びている。

ゲーム事業は順調というより、好調と言ってよいと思うが、YoYで4割の増収、営業利益7割の増益。

と振り返った。

通期の決算を見ると、売上高3,106億円(前年比22.1%増)、営業利益367億円(同12.3%増)と、売上・利益ともに過去最高を更新した。

藤田氏は、前回の決算説明会で営業利益350億を超えた分は決算インセンティブにあてる方針を明かしていたが、

決算のインセンティブを十分に出したうえで、足元のゲームの調子がよいことから、さらに上回って360億で着地した。

と述べ、Cygamesを中心とするゲーム事業が好調だったことを受けて上ブレとなったことを説明した。なお、経常利益から最終利益への減少が大きいのは、AbemaTVの損失を全て計上し、Cygamesの少数持ち分が差し引かれていることによるものという。

### インターネット広告事業:売上高1,704億円(19.3%増)、営業利益145.2億円(26.1%増)

セグメント別の業績を見ると、インターネット広告事業は、スマートフォン広告が伸びて、売上高1,704億円(同19.3%増)、営業利益145億2,000万円(同26.1%増)だった。

#### インフィード広告と動画広告が好調

これは注力商材でもあるインフィード広告と動画広告が、市場全体の成長も後押しとなり、牽引した。

インフィード広告が「LINE」のタイムライン広告で大きく伸びているほか、「Facebook」「Twitter」「LINE」の動画広告が大きく伸びた。今後、動画広告では「AbemaTV」「FRESH!」の動画広告の販売も強化していく予定。

### ゲーム事業:売上高1,226億円(40.9%増)、営業利益304.5億円(70.3%増)

ゲーム事業について、主力タイトルが好調に推移し売上高は1,226億円(同40.9%増)だった。一方、広告宣伝費を大幅に増強したことで、営業利益は304億5,000万円(同70.3%増)となった。

#### Cygames新作『Shadowverse』がヒット

売上高の内訳をみると、2014年〜2015年に開発したゲームが売上の中心だったが、2011年〜2012年に開発したゲームも売上に貢献した。さらに、Cygamesの新作『Shadowverse』がヒットしたことで、売上を一段と押し上げた。

#### 「ミルフィーユ型で積み上げながら伸びる」

これにより、引き続き「ミルフィーユ型で積み上げながら伸びる」(藤田氏)傾向が続いた。

#### 17年2Q以降に、Cygamesの新作が登場!次なるヒットとなるか?

新作ゲームについては、2017年第1四半期に4本リリース、第2四半期以降にCygamesの新作を含めた8本のリリースを予定している。

### 先行投資中の『AbemaTV』ついにKPIを公開

続いて、先行投資中のメディア事業は、売上高219億円(同6.0%減)、営業損益83億円の赤字(前年同期2億9,900万円の赤字)を計上。藤田氏は、先行投資として注力する『AbemaTV』の状況を説明した。

#### MAU600万、WAU300万、DAU100万と順調!まもなく1,000万DLへ

『AbemaTV』は、968万ダウンロードを突破し1,000万ダウンロード到達が目の前となり、MAU(1か月あたりのアクティブユーザー数)約600万、WAU(1週間あたりのアクティブユーザー数)約300万、DAU(1日当たりのアクティブユーザー数)約100万と順調に増加した。

#### 若年層、女性の利用が増加

また利用者層は、18〜34歳が多くなってきているほか、女性の利用率が35%に到達し、50%に順調に近づいている。

#### 「10年がかりで腰を据えてやっていく」

藤田氏は『AbemaTV』の投資イメージについて、

投資といっても、「去年100億円の赤字出したが、今年いくら出すか」という考え方のもの。なお、オープニングで既に40億円程度を広告宣伝費に大幅に投資している。

来期は、制作費を増強するとともに、一部広告の売上が上がるのと相殺し、約200億円の赤字を許容するつもりで先行投資していく。内訳は、自社コンテンツ開発4割、アニメなど外部のコンテンツを購入して放送するものが3割、広告宣伝費が2割弱のイメージ。

2〜3年は損益度外視で進める。最後は粘り勝ちになるだろうとも考えているので、10年がかりで腰を据えてやっていく。身の丈にあった無理のない規模の投資をコンテンツにかけていく。

広告は、やりながらブラッシュアップして改良していく。今後、プランニングツールだとか分析ツール、あとオリジナリティのある広告商品というのを作りながら、『AbemaTV』らしい収益モデルを作っていきたい。

と説明した。

#### テレビデバイスの視聴時間の方が圧倒的に長い

加えて、藤田氏は、テレビデバイス対応について、24日より開始したAmazon FireTV対応が好調なスタートを切ったことを明かし、

テレビデバイスでの視聴の場合、Chromecastでスマートフォンの視聴時間の3.3倍。ここ数日のFireTVの数字を見ると、Chromecastのさらに倍あるので、スマートフォンよりも6倍以上視聴時間が長い。

と述べた。

* 参考記事3:**【速報】「AbemaTV」初のテレビ専用アプリをAmazon Androidアプリストアで配信開始**

#### 『AbemaTV』のロードマップを公開

今後の『AbemaTV』のロードマップについては、2017年1月までに、①テレビデバイス対応、②画面の縦型対応、③バックグラウンド再生対応などを進め、さらにそのほかの機能やコンテンツを拡充することで、「WAU1,000万」「マスメディア」を目指すとした。

### 17年通期も、引き続き『AbemaTV』の先行投資期間

2017年9月期の業績予想は、売上高3800億円(前期比15.9%増)、営業利益280億円(同23.9%減)、経常利益267億円(同24.5%減)、最終利益100億円(同26.5%減)と増収減益を見込む。

#### 「AbemaTVのマスメディア化でさらなる企業価値の向上へ」

広告事業とゲーム事業で利益を積み上げながら、引き続き先行投資中の『AbemaTV』への積極的投資を進める方針だ。

藤田氏は、今後について、

今、サイバーエージェントでは、ゲームが大きく稼いでくれているうちに、会社の価値を大きく上げるようなメディアを育て上げてしまいたい。この時期に、ゲームで稼いだ分を『AbemaTV』へとにかく十分な投資を行い、『AbemaTV』がマスメディアと成功したら、これは企業価値が大きく飛躍するきっかけになる。

数字で見ると増収減益という予測だが、会社の状況としては決して悪くない、むしろ良い状況にあるのではないかと思う。

と語って、決算説明会を締めくくった。

### まとめ

時代の変化を敏感に察知しながら、常に最先端のトレンドを生み出してきたサイバーエージェントが、ブログ、スマートフォンの次に狙うフィールドこそ、今最も注力する『AbemaTV』を中心とした動画だ。

NHK放送文化研究所の調査によれば、15〜19歳、20〜50代の各年層において「数分の投稿動画」「テレビ番組動画」をある程度まとまった時間で見ることが多いという。実際、20代の利用シーンとして、「通学・通勤中」の動画平均視聴時間約42分、「食事中」の動画平均視聴時間約53分、「夜、家でくつろいでいる時」の動画平均視聴時間約92分となった。この調査結果からも、若年層を中心とし、可処分時間の使い方が変わりつつあることがわかる。

その中、順調な広告事業、好調なゲーム事業の成果を、積極的に『AbemaTV』を中心としたメディア事業へ投資する戦略は、まさに次の時代の当たり前を生み出す先行投資といえよう。

今回の決算では、『AmbamaTV』の足元の数字が開示されたが、順調に推移している。次期以降、機能の拡充、コンテンツの拡大が進められることから、さらなる継続率、利用者の増加が期待される。

着実に新たな「マスメディア」を目指し、歩み進める『AbemaTV』が、サイバーエージェントの新たな柱となる日を待ち望む。