【福岡ベンチャー特集】グルーヴノーツ佐々木氏、人生を変えた「グーグルとの出会い」を語る

今に至るグーグルの礎を築いた、2006年。スタートアップの本場、米シリコンバレーの洗礼を受けながら希望の光を見出していたのが、グルーヴノーツ代表取締役会長の佐々木久美子氏だ。グーグルとの出会いが、彼女の後の人生を大きく変える出来事になった。

グーグルとの出会い、それが後の人生を大きく変える出来事になった。

今に至るグーグルの礎を築いた、2006年。米国では、グーグルがヤフーを大きくリードし、検索市場のシェアのうち49.5%を獲得、さらに売上でも海外市場での伸びが高く、アマゾンに並ぶ規模にまで成長した。さらには、動画サービス「YouTube」を約16.5億ドルで買収した。まさに、グーグルが名実ともに世界最大のIT企業に抜きん出た。

**グーグルの技術が気になっていた時に、偶然シリコンバレーに出張できたんですよね。10年以上経った今でも感じているけれども、エンジニアだからこそグーグルの技術力と将来性の高さを当時から理解できました。それに、ランチミーティングだったり、オフィスにキッチンやハンモックがあったり、そういう働き方にも大きなインパクトを受けたんです。そういう環境の中で、エンジニアが自分の好きな技術を追求しながらサービスを生み出せるのは、アントレプレナーシップが備わっているからなのだと思いました。自分たちで作ったサービスを使い倒す、それでよかったら市場に出す、そんなサイクルがありました。結果として、それが革新的なサービスを次から次へと生み出す源泉となっていると思うんです。ただ、彼らの技術について説明を受けた時に、もしかしたら技術なら自分も日本から世界へ勝負できるのではないか、そんな風に感じて、自分の技術に自信を持てるようになったのも事実です。**

スタートアップの本場、米シリコンバレーの洗礼を受けながら希望の光を見出していたのが、グルーヴノーツ代表取締役会長の佐々木久美子氏だ。

佐々木氏は、もともと起業家を目指していたというわけではないという。離婚して、いざ子供を一人で育てなきゃいけないとなった時に、当初エンジニアとして東京のIT企業で働くことを検討していた。しかし、東日本大震災が発生した時でもあり、全てが仕切り直しになったことを機に、地元福岡で働くことを考え始めた。

**ちょうどその頃、前職の社外取締役であり、現在の代表取締役社長である最首英裕さんと起業や現在のビジネスモデルを話し出しました。前職の時に、スマートフォンやパソコン、ゲーム機器などをはじめとしたモノが普及し、トランザクションが膨大に増えたことで、クラウド上で簡単にスケールできるようなサーバーを構築したい、という要望が多かったんです。そこで、これらを一つのプラットフォーム化できないか、と思いつきました。当時、福岡ではスタートアップがまだ盛り上がりを見せる前でしたが、周囲に起業について相談できる方が多かったので、色々な方に相談をしたんです。すると、”それだけ考えているなら起業したらいい”と言われたんですよね。子どもを育てあげるためには、生活を支えなければならないし、仕事しながら子育てするために時間の自由も必要です。もちろん社長として会社を経営するのは大変なことだとわかっていたし、一番自分がやりたくない仕事だったけれども、一つの手段として起業を選択しました。**(佐々木氏)

グルーヴノーツは、最先端の高速分散処理技術を活かしたスマートデバイス×ビッグデータ領域に強みを持つテクノロジースタートアップ。Ruby、Erlang、Golang等の開発言語を駆使し、ゲーム・自動車・IoTといった分野でサービスを生み出すプラットフォームを提供する。

同社の「MAGELLAN BLOCKS」は、専門的な知識がなくても、プログラムを書けなくても、誰もが手軽に機械学習を利用することができるクラウドサービス。販売数予測や、イベント・セミナーの来場者数予測、カードの不正利用検知や、病気の予測などの分析結果を、機械学習で導くことができる。また、機械学習の専門家でなくとも、誰でも気軽に機械学習を使えるよう、UIベースでノンプログラミングで使えるのも嬉しい。

MAGELLAN BLOCKSには、数々のオンラインゲームでの経験を詰め込まれている。それを実現できるのもGoogle Cloud Platform(GCP)のおかげ、と佐々木氏はいう。

**グーグルとは前職の時にも付き合いがあって、起業してからも、グーグル側の担当者の方がずっと変わらずに気にかけてくれていたんです。GCPチームが立ち上がった時にも紹介していただいて、彼らに私たちの技術力を認めてもらえて、GCPのリリース初期からパートナーとして利用させてもらっています。2015年Google Global Partner of the Year Awardノミネート、世界のパートナー企業7社のうちの1社に選ばれました。また、 今年のNext(Google Cloud Next ’17 in サンフランシスコ)では、エリック・シュミット氏のキーノートスピーチ内で、大切なパートナーとして紹介されました。グーグルだけが全てとは思いませんが、起業当初からずっと変わらずに付き合ってくれて見守ってくれていたのはグーグルでした。今になってようやくグーグルへの恩返しができるようになってきたと思います。**(佐々木氏)

また同社では、IT特化のアフタースクール「テックパーク」も運営している。テックパークは、通常の学童保育のように、宿題をしたりおやつを食べたりするだけでなく、プログラミングや動画制作、電子工作、ロボット工作などITについても学べる場所だ。オフィスに隣接する形で設置されているため、社員や社員の家族も利用することが多いという。

**私たちのDNAが、ITというわかりにくいものでしか表現できていなかったのに対して、テックパークの取り組みを始めてからわかりやすく可視化されたことで、地元福岡での知名度が向上してきたように思います。会社として、社員のためだけじゃなくて、社員の家族や周りの人たちに対しても、感謝の気持ちを示したかったんです。会社が大変な時に、社員の家族の人たちが晩御飯をご馳走してくれたり相談にのってくれたり、そういう支えがあったから今があります。だからこそ、わかりやすい形で感謝の気持ちを見える化したくてテックパークを始めました。社員のためにも、彼らが働きたいと思える場所を作っていきます。**(佐々木氏)

一人の起業家として福岡のITベンチャーを背負う後ろ姿には、二人の子供を持つ母としての顔を伺えた。**「子供に恥ずかしくない仕事をしないといけない。家庭と仕事は切り離した方がいいという人もいるけれども、私にとってはその二つが基本にあるんです。子供に自慢できるような仕事をして子供に教育を受けさせたい。それは社員一人ひとりにとってもそうあってほしい。だから、自分も社員も顧客もみんなが本当に幸せになるものを生み出していきたい。それが永続的なビジネスにも繋がると思っています。」**(佐々木氏)