【決算分析】”変化に強い会社”クルーズの決断、「SHOPLIST」の本当のねらいを読み解く

クルーズは、2017年3月期第2四半期の決算を発表。今後、SHOPLISTによって、クルーズがどのような変化を遂げ、EC業界へ影響を与えていくのか、第2四半期の決算から読み解いていきたい。

今回、Pedia Newsでは、11月11日に公開された決算短信、決算説明会資料をベースに、クルーズの2017年3月期第2四半期の決算を紹介する。

クルーズといえば、10月13日に、大幅な戦略転換を発表したことが記憶に新しい。

* 参考記事1:**クルーズ、ゲーム事業からコマース事業へ事業構造転換…マイネットグループに譲渡、Candleを12億5,000万円で子会社化、新会社Studio Zを設立**

“永続的な企業の存続に必要不可欠な事業ポートフォリオの変革、SHOPLIST をファストファッションEC分野を代表するブランドへ” という方針を掲げ、主力事業を、これまでのゲーム事業からEC事業へと大きく事業構造転換した。その一環として、「SHOPLIST」にヒト・モノ・カネの経営資源を集中させる為に、3つの方針を固めた。

1. 「エレメンタルストーリー」を除くゲーム事業をマイネットグループに事業譲渡
* 開発方式をハイリスクからローリスクへ
* ブラウザゲーム黎明期では、新規1本当たり、開発費1,000万・開発期間6ヶ月・打率約40%の確率で月照億単位のヒットタイトルを創出していたが、ネイティブゲームへ主流が変化したことで、新規1本当たり、開発費3〜5億円・開発期間12ヶ月と変化した影響が大きい
* ゲーム事業譲渡により、ゲーム事業の社員数が283人から87人まで縮小
2. 「SHOPLIST」に経営資源を集中、事業拡大のためのM&A等を積極化
* 月間ユニーク訪問者数1,500 万人以上のファッションキュレーションメディア「MARBLE」などを運営する株式会社Candleの全株式を12億5,000万円で取得
* これにより、「SHOPLIST」への集客や広告などによる収益貢献を期待するだけではなく、新規事業としてクルーズグループの収益多角化を狙う
* 今後は、社内・社外問わず、新規事業の創出を進める
3. 高収益ヒットタイトルタイトルの創出に向けてStudio Z社設立
* ゲーム事業は投資の一環と位置づけ
* エレメンタルストーリーの開発・運営メンバーを子会社に集結

* 参考記事2:**20歳で起業、22歳でM&A!東大スタートアップがクルーズ入りで次世代をつくる…株式会社Candle金靖征氏が語る、創業・M&A・今後の展望**

今後、クルーズでは、「SHOPLIST」へ人材や資金等の経営資源を集中させ、「SHOPLIST」の集客力・販売チャネル・ブランディング強化を行うことで企業価値の向上を目指す。

それでは、SHOPLISTによって、クルーズがどのような変化を遂げ、EC業界へ影響を与えていくのか、第2四半期の決算から読み解いていきたい。

### クルーズの決断、「SHOPLIST」の本当のねらいを読み解く

発表した連結決算(2016年4月〜9月)は、売上高158億4,800万円(前年同四半期比33.9%増)、営業利益14億7,500万円(同107.0%増)、経常利益14億8,500万円(同102.8%増)、最終利益10億4,300万円(同248.2%増)だった。

第2四半期(2016年4月〜6月期)の業績を見ると、売上高は80億4,800万円、営業利益は7億、営業利益率は8.7%となった。

うち「SHOPLIST」率いるコマース事業は、売上高47億2,800万円(前年同期比31.4%増、前四半期比4.5%増)で過去最高の四半期売上高を記録し、売上全体の58%を占めた。「SHOPLIST」が、大きく業績に貢献していることをわかる決算となった。

「SHOPLIST」は、レディースからメンズ・キッズまで多様なジャンルのファストファッションアイテムがまとめて買えるショッピングサイト。10月27日には、世界49ヶ国760店舗以上を展開するグローバルファッションブランド「FOREVER 21」が、日本のファッション専門の通販プラットフォームで初めて「SHOPLIST」にオープンした。

最近では、テレビCMなどで見かけた方も多いだろう。今期は、宣伝費に4億8,400万円(前年同期比23.1%増、前四半期比8.5%減)を投下しているが、今後も継続的に大規模プロモーションを実施するという。

「SHOPLIST」は、2012年7月に開始し4年目を迎え、通期取扱高が約150億円規模にまで急成長している。取扱高が急拡大する中、すでに通期取扱高600億円分の出荷が可能な仕組みを準備しており、600億円を上回る規模への拡大が見込まれる際には適宜倉庫のキャパシティを拡張していくという。

現在、「SHOPLIST」は、年間ユニーク購入者数約130万人、1人当たりの年間購入額約13,000円、1人当たりの年間購入回数2.56回という。

「SHOPLIST」では、中長期的に、ブランディング、プロモーション、物流、インフラの整備などを強化し、年間ユニーク購入者数500万人、1人当たりの年間購入額約20,000円、1人当たりの年間購入回数4回を目指す。なお、500万人とは、日本に住む16歳〜45歳の総人口約4,600万人の11%に当たる数字だ。

### “変化に強い会社” から “あらゆる時代と共に進化し続ける会社” へ

クルーズは、創業から15年間、時代とともに5回以上にわたりメイン事業を変化させてきた。

その一方で、15年間で最高売上更新回数は13回、営業赤字の回数は0回という業績を残している。

クルーズは、まさに “変化に強い会社” だ。そのクルーズが、今回、コマース事業「SHOPLIST」メインの会社へと生まれ変わった。

2021年には25兆6,000億円になると言われるB2C EC市場の中で、2014年から2015年のたった1年で1,000億円規模で拡大し続けるファッションEC市場へ、大きく舵を切ったのは変化を嗅ぎつける力の高さが伺えるだろう。

今後、クルーズは、「SHOPLIST」とともに、さらなる成長を遂げ、 “変化に強い会社” から “あらゆる時代と共に進化し続ける会社” へと変わりゆくのではないだろうか。