【大阪ベンチャー特集】大学のオープン化と起業家教育による「学の実化(じつげ)」、関西大学が “ふらっと” 立ち寄れる ”フラット” なベンチャーコミュニティをTSUTAYAとつくる

大阪の地で130年にわたって「学の実化」を推進してきた、関西大学。「正義を権力より護れ」を建学の精神とし、学理と実際との調和を説き、地の利を活かした教育で考動する関大人を育てたきた。その関西大学が起業家支援をTSUTAYAと共同ではじめた。なぜいま関西大学が起業家支援に取り組むのか。その理由を、関西大学の財前英司氏に聞いた。

大阪の地で130年にわたって「学の実化」を推進してきた、関西大学。「正義を権力より護れ」を建学の精神とし、学理と実際との調和を説き、地の利を活かした教育で考動する関大人を育てたきた。その関西大学が起業家支援をTSUTAYAと共同ではじめた。なぜいま関西大学が起業家支援に取り組むのか。その理由を、関西大学の財前英司氏に聞いた。

近年、ビッグデータに代表される情報処理可能なデータの飛躍的増大や、コンピュータの計算能力の向上、人工知能の技術革新等、革新的な技術などが登場し、第4次産業革命ともいうべき産業構造の変化と競争激化が進んでいる。

産業界とアカデミアの双方において革新的な成果が求められる中、企業と大学が「組織」として本格的に協働することでシナジーを発揮し、イノベーションの創出に繋がることに注目が集まっている。

一方、グローバルが進む中、国単位ではなく、都市単位において、国際競争が激化しつつある。政府では、経済産業省近畿経済産業局を中心とし、関西の起業環境整備の加速化を目的に、新たな産業と雇用を生み出すベンチャーを関西一体となり、地域でイノベーターを生み育てる好循環の確立に向け、関西起業家・ベンチャーエコシステム構築プロジェクト(NEXT INNOVATION)を推進する。

こうした背景のもと、関西では、産業集積など地の利を活かしたベンチャーコミュニティーの形成が進められている。特にJR大阪駅北側の再開発エリア「うめきた」が活性化している。貨物駅の地下線化によって発生する17ヘクタールにも及ぶ通称「うめきた2期地区」など、首都圏では考えられない超好立地での用地獲得が可能となったほか、大阪駅ビルの改修やグランフロント大阪、阪急百貨店のリニューアルなどで街自体が活気づいているのだ。

この波に乗ろうと、大学も積極的な動きを見せており、本格的な大学キャンパスを開設する動きが相次いでいる。中でも、従来の教育機関の枠組みを超えた産官学連携による起業家教育で「学の実化」を推進する学び舎が、関西大学である。関西大学といえば、梅田で自前ビルの建設を進め、「関西大学梅田キャンパス(KANDAI Me RISE)」を設立したことが記憶に新しい。

阪急梅田駅から徒歩5分。若者がにぎわう繁華街を進んだところにある、関西大学梅田キャンパス。梅田キャンパスは、関西大学の原点ともいうべき天六キャンパスの伝統を現代に継承しつつ、特定の学部や大学院を常設することなく「教育のオープン化」を推進することで、知的資源の社会還元を推進できる、新しい「知の拠点」として誕生した。

梅田進出の狙いには、学生募集に有利とされる都心回帰の動きと産学連携の強化にある。梅田キャンパスには、大学構内への出店として全国初となる「TSUTAYA BOOK STORE」とスターバックスコーヒーの店舗を設け、地域・社会人・大学がともに同じ志をもった仲間と出会い、次世代を担う若者の起業や新ビジネスの創造を支援する場所にしたい考えだ。

**東京オリンピックがある2020年に向けて、現行のセンター入試の廃止や小学校でのプログラミング教育の必修化など教育環境が大きく変わろうとしています。知識の体系化からインタラクティブなものへと移り変わろうとしている中で、大学としてどうすべきかという課題認識がありました。いま大学ではキャリア支援に視線が集まっています。これまでに、大学在籍中に起業する学生や自分でサービスを立ち上げる学生も多くいましたが、大学として彼らに積極的な支援をしてきていませんでした。学生の中で着実に起業家として生きるという選択が芽生えている。それならば、キャリアのひとつとして起業をとらえ、大学としてなんらかの支援をすべきではないか。ただ、いわゆる産学連携と言われる取り組みだけでは、研究シーズと企業の特定部署が1対1の非常にクローズドな関係性で成り立っており、真のオープンイノベーションとは言えないのではないか。そうした想いから、関西大学では、この梅田キャンパスでTSUTAYAとタッグを組み、起業家育成・支援を本格的に取り組んでいくことを決めました。**

**私たちは教育機関だからこそ、長期的なキャリア支援のひとつとして起業家の育成・支援を担うことができます。梅田キャンパスは、関西大学の学生だけでなく、一般のビジネスパーソンでも他大学の学生でも高校生でも自由に公平に利用することができます。教育機関である大学をオープン化することで、学生にもこれまでになかったような出会いを提供できるようになるほか、起業家の裾の尾を広げる役割も担うことができると考えています。**

**昨秋の開始から4か月が経ち、この場所からスタートアップ3社が生まれました。どれも関西大学の学生ではなく、この場所を利用していただいた社会人や高校生による企業です。また、定期的に起業家、投資家やベンチャー企業をお呼びしてイベントを開催しています。これまでに50回以上のイベントを開催していますが、年内に200回のイベントを開催し、起業に関心を持っていただく機会と起業を目指す方々同士が繋がれる機会を作っていきます。**

**たとえるならば、大学のアメリカンフットボール部で活躍する選手に、野球やサッカー、バスケットボールなど他のスポーツ経験者が多いように、起業という選択肢に光をあてることで、彼らのキャリア選択の中に就職だけではない新たな選択肢を提示できるようになると考えています。いまは、アメフトの部員集めをしているような段階ですが、TSUTAYAとの協業という利点を活かして、起業、スタートアップや新しいビジネスを起こしたい人たちが ”ふらっと” 立ち寄れる環境を作り、彼らと “フラット” なベンチャーコミュニティを築いていきたいと思います。**(財前氏)