今回、Pedia Newsでは、8月10日に公開された四半期報告書及び7月29日に公開された決算短信をベースに、エムティーアイの2016年9月期第3四半期連結決算(2015年10月〜2016年6月)を紹介する。
国内で2017年3月期の企業の第1四半期(2016年4月~6月期)の決算発表が本格化する一方で、海外でも2017年12月期の企業の第2四半期(2016年4月~6月期)の決算発表が本格化している。(参考記事:決算シーズン到来!注目IT・ゲーム関連株の決算スケジュールまとめ(2016年7月末))
### 2期連続の最高益更新を目指す「エムティーアイ」
その中でも注目企業の一つであるのが、株式会社エムティーアイだ。エムティーアイは、2期連続の最高益更新を目指しているている。
エムティーアイでは、『music.jp』『ルナルナ』をはじめ、「音楽」「ヘルスケア」「電子書籍」「生活情報」「エンターテインメント」など、毎日の暮らしを楽しく便利にする多彩なサービスを、モバイルサイトやアプリを提供する。
### 2016年9月期第3四半期連結決算(2015年10月〜2016年6月)
今回、Pedia Newsでは、8月10日に公開された四半期報告書及び7月29日に公開された決算短信をベースに、エムティーアイの2016年9月期第3四半期連結決算(2015年10月〜2016年6月)を紹介する。
### 売上高は微増の249億1,900万円で”横ばい”
売上高は前年同期比0.2%増の249億1,900万円、売上総利益は同0.3%増の209億9,000万円で横ばいで着地した。
### “大幅増益”で営業利益は43億8,500万円へ
営業利益、経常利益、最終的な四半期純利益は、それぞれ43億8,500万円(同24.3%増)、43億2,900万円(同25.9%増)、26億2,100万円(同34.8%増)で、利益は大幅増益となった。
### 広告宣伝費を抑えて販管費が減少
これは、広告宣伝費が前年同期と比べて減少したことで、販売費及び一般管理費(販管費)が減少したことが大きい。実際に、販管費をみると、販管費総額は前年同期比4.6%減の166億400万円。内訳は、広告宣伝費が59億5,900万円(同8.3%減)、人件費が41億1,200万円(同2.4%減)、支払手数料が28億3,200万円(同2.7%増)、外注費が10億7,300万円(同4.4%増)、減価償却費が9億1,800万円(同9.1%減)、その他が17億800万円(同10.1%減)となった。
### 「実質0円端末」廃止で携帯ショップ経由の入会が伸び悩む
エムティーアイでは、全国の携帯ショップを中心に顧客単価(ARPU)の高い自社コンテンツのスマートフォン有料会員獲得に注力している。
その中、市場環境を見てみると、2016年2月の実質0円端末廃止以降、スマートフォン端末の販売台数は伸び悩み、第3四半期も低調に推移。
結果、携帯ショップ経由の入会が伸び悩み、2016年6月末のスマートフォン有料会員数は2015年9月末と比べて26万人減少の574万人となり、フィーチャーフォンとスマートフォンを合わせた全体有料会員数は735万人(同59万人減)となった。
### ARPU(顧客単価)の上昇も伸び悩む
一方、主力サービスにおけるスマートフォン有料会員のARPUは、前年同期比11.4円増で上昇傾向が続いたものの、伸び悩みを見せている。
### 通期売上高は当初予想から下方修正
最後に、通期業績予想を見よう。今回の業績を受けて、エムティーアイは、実質0円端末の廃止の影響により第4四半期もスマートフォン有料会員の獲得がゆるやかに鈍減する見込みのため、通期の売上高を当初予想より7.1%減の325億円へ下方修正。
一方、営業利益、経常利益、最終的な利益は、スマートフォン有料会員の獲得の伸び悩みに伴い、広告宣伝費が当初予想よりも未消化となったことで、順調に推移していることから、通期の利益はそれぞれ50億円(当初予想6.4%増)、49億4,000万円(同6.0%増)、30億円(同11.1%増)へ上方修正。
第4四半期において、エムティーアイでは、スマートフォン有料会員の獲得に注力するとともに、顧客単価(ARPU)の向上に取り組むことにより、通期連結業績の達成を目指す。
具体的には、全国の携帯ショップでお客様にコンテンツの販売促進を行う販売チャネルの強みを活かしたARPUの高い自社コンテンツの販売促進は継続するとともに、MVNO事業者との協業を推進することで、リアルアフィリエイト(RAF)ネットワークを強化し、コンテンツ・サービスの充実を図る。
リアルアフィリエイト(RAF)とは、ネット広告の仕組みを携帯ショップというリアルな場に応用したもの。携帯ショップに来店されたユーザーに対してコンテンツの入会促進を行い、実際に入会された場合に、その携帯ショップが成果報酬を受け取れる仕組みのこと。
リアルアフィリエイト事業は、フロー型ビジネスでBtoBモデル。そのため、新規入会者数と手数料収入が売上となる。
リアルアフィリエイト事業の新規入会者累計のカテゴリ別割合を見てみると、動画が28%で最大。それに続いて、音楽が215、地図が14%となった。
コンテンツ配信事業には、音楽・書籍・動画の『music.jp』、健康情報の『ルナルナ』『カラダメディカ』、天気情報と地図ナビの『ライフレンジャー』などが含まれる。
コンテンツ配信事業のビジネスモデルは、BtoCモデルのストック型ビジネス。月額有料会員数とARPUが売上に直結する。
全体有料会員数のカテゴリ別割合を見ると、2016年6月末時点で、音楽が39%で最大。それに次いで、健康情報が15%、天気情報が14%、書籍・コミックが8%、地図ナビが4%となった。
特に、『music.jp』『カラダメディカ』『ライフレンジャー』で高課金比率アップを図る。
『music.jp』では、ソニー・ピクチャーズエンターテインメント、ワーナーブラザーズジャパン、ウォルト・ディズニー・ジャパン、20世紀フォックスホームエンターテインメント、パラマウントピクチャーズ、ユニバーサルピクチャーズといったハリウッド全6社の映画作品の品揃えを強化することで、高ARPUの実現を推進していく。
### ヘルスケアサービス事業が遂に売上実現フェーズへ突入
さらに、中長期的に取り組むヘルスケアサービス事業は、売上実現フェーズに入る見込み。
エムティーアイでは、女性の健康情報サイト『ルナルナ』で培ったノウハウを活かし、男女問わず幅広い年代の人々の健康をサポートする様々な新サービスの開発に取り組んでいる。
中でも、活動量計や心拍計などで計測した健康データを、スマートフォンで管理する機器連携サービスは注目度も高く、今後の成長が期待できる分野。さらに一歩進んだヘルスケアとして、がんや生活習慣病・体質に関する遺伝子解析サービスの提供開始や、音波を利用した世界トップクラスの高精度を誇るスマートフォン向け屋内測位システム「IntraWave」の商用化に取り組んでいる。
今後も、エムティーアイでは、ヘルスケアサービス事業は、将来の成長ポテンシャルが高く、ユーザーのライフステージを長時間サポートすることで従来よりもストック型ビジネスになり得る見込みが大きいことから、様々な展開を実施していく。
具体的には、全国の携帯ショップ運営企業(代理店)を通じて法人向けに『CARADA』パッケージサービスの販売を積極的に推進するとともに、グループ会社で展開するスポーツジム・学校法人等向けのトレーニング管理サービスの契約件数を拡大していく。
『CARADA』は、健康の三大要素である運動、食事、睡眠をイッカツで管理できるヘルスケアサービス。
『CARADA健診パッケージサービス』とは、QRコードを使って検診結果をいつでも持ち歩けるサービス。ビジネスモデルは、ストック型ビジネスでBtoBtoE(EはEmployee)モデル。そのため、契約企業数、1社当たり利用従業員数、単価が売上高に繋がるという仕組み。
加えて『CARADA健診パッケージサービス』では、オプションサービスとして『CARADAマイ栄養コーチ』を用意。『CARADAマイ栄養コーチ』は、栄養士が個別にチャットで食生活を指導していくれるサービス。月額利用料金は2万円。