「農業のフランチャイズ化を目指す」就農プラットフォーム『LEAP』開発のseak、グリーベンチャーズ等からシリーズAで総額約3億円を資金調達

LEAPを開発する農業ベンチャー企業「seak」は、グリーベンチャーズ、既存投資家でシードラウンドの投資家でもある寺田倉庫と三菱UFJキャピタルから、シリーズAラウンドの第三者割当を実施すると同時に、日本政策金融公庫農林水産事業の青年等就農資金等の活用を組み合わせて総額約3億円の資金調達を実施した。

**もともと個人で農業を新しく始めようとしたんです。そうしたら就農するまでが大変で、それが参入障壁だとわかったんです。**

そう語るのは農業ベンチャー企業seak代表の栗田紘氏である。一般的に、農業をはじめるには、まず2年程度の座学あるいは研修が必要とされる。研修を終えても、自治体から紹介してもらえる農地は耕作放棄地であり、農地として活用するために環境を整えようとすると多額の資金を要する。さらに、ノウハウや経験などもないので、せっかく栽培をはじめてもうまくいかずに大面積栽培になり、販路開拓にも注力できずに、薄利多売のモデルで経営せざるを得ない。このように、新しく農業を始めようとすると、あらゆる段階において大きな課題と直面する。

こうした背景のもと、誰でも新しく農業をはじめられるように、複合的な農業の全てのステップを垂直統合した農業プラットフォーム『LEAP』を開発した。

LEAPは、農業先進国イスラエルやオランダなどで進められてきた研究をベースに、日本の環境に合わせて独自にカルチャライズした栽培方法を利用する。

**植物は光合成で実を作るので、光合成が収穫量と質に関係するんです。海外の論文では、それぞれの国で前提となる条件が異なりますが、それらと日本の風土との差異を考えながら、自分たちで仮説を立てて栽培しています。今は、実がなる野菜を中心に、トマト、キュウリ、ナス、カボチャ、ズッキーニ、トウモロコシ、ピーマンを手がけています。トマトの栽培方法をベースに、他の野菜にアレンジしていますね。実際、僕らの栽培方法を利用した場合には、収穫量が2.4倍、単価が2倍になって、高い売上を安定的に得られるようになります。**(栗田氏)

ビニールハウスも独自仕様で供給する。4000以上の部材から構成されるビニールハウスは、各部材の選定や調達に多額の費用がかかり、結果として新規就農者の初期費用の肥大化へと繋がっている。そこでLEAPでは、施工職人との直接的なコミュニケーションを通じ、コストや商流を圧縮し、既存よりも43%安い価格で施設一式を提供する。

**農家の収益は、収量や品質を安定させて売上そのものを上げるだけでなく、コストを最小化することで、より向上できると思うんです。**(栗田氏)

現在、神奈川県だけで4億平米にも及ぶ耕作放棄地を活用しながらLEAPの実証実験を進めている。この取り組みが評価され、2016年9月には神奈川県藤沢市から法人としては初となる認定就農者を取得した。

また、第一勧業信用組合と提携し、農業をはじめるために必要な初期費用を工面する独自ローン「LEAPスタートローン T」を開発しており、2018年度中には提供を開始する予定だ。これにより、就農ハードルを、資金面からも劇的に下げようとしている。

* 上限金額 1000万円
* 利率 変動2.875%以上
* 期間 据置2年、10年
* 担保・保証 なし(法人等は別途相談)
* 営農場所 東京都
* 他条件 営農開始にあたってLEAP規定の一定条件を満たす必要あり

さらに、栽培管理をより効率化するためのシステムを持つ。作業のやり方を予習・復習できるオンラインコンテンツの作成や、何か異変やトラブルがあった時にすぐに相談できるチャットツール、リアルタイムにデータを取得できるセンサー連携などを実装している。今後は、フランチャイズ展開に備えて、システムの各機能をより改善して整備すると共に、農地の情報・作業履歴・出荷商品の情報などを、新規就農者のIDに紐づけて一元管理出来る機能も実装する計画である。

もちろん、LEAPが提供するのは農業のはじめ方だけではない。農作物を売るための販路も確保している。LEAPでは、LEAPを利用して生産された農作物を、独自ブランド「ゆる野菜」という名前で、百貨店地下にある高級スーパー「明治屋」との直接取引を行っている。朝収穫した農作物を昼には店舗に直接出荷する、独自の配送網を構築することで、朝採りの野菜を新鮮なままで提供できるのが評判を呼んでいる。すでに、高級スーパーだけで50店舗以上の導入オファーを受けている。

LEAPを開発する農業ベンチャー企業「seak」は、グリーベンチャーズなどからシリーズAラウンドの第三者割当を実施すると同時に、日本政策金融公庫農林水産事業の青年等就農資金等の活用を組み合わせて総額約3億円の資金調達を実施した。

今回のラウンドには、新規投資家のグリーベンチャーズの他に、既存投資家でシードラウンドの投資家でもある寺田倉庫と三菱UFJキャピタルも参加した。

**昨年のシードラウンドでは、寺田倉庫、三菱UFJキャピタルと個人投資家から約6000万円の資金調達を行いました。もともと僕らは、寺田倉庫が2015年に開催したTERRA-Biz(テラビズ)というビジネスコンテストに出場したのがキッカケでLEAPを開発しました。その時の縁から、寺田倉庫にはエンジェルのような立場でコンセプトから一緒にブラッシュアップをしてもらっています。三菱UFJキャピタルには、LEAPの出口である販売先を紹介してもらっています。僕らのような無名のベンチャー企業でも、高級スーパーに野菜を置いてもらえるのは彼らのブランド力と顧客網があるからです。今回、シリーズAの資金調達では、新たな投資家としてグリーベンチャーズに出資してもらいました。グリーベンチャーズとは、昨年末のIVS(Infinity Ventures Summit)でLaunchpadに出場したのがキッカケでした。その会場にいた、堤さん(グリーベンチャーズ 堤達生氏)に声をかけてもらって、年明けに天野さん(グリーベンチャーズ 天野雄介氏)ともお会いして、意気投合しました。今回、グリーベンチャーズを新たに仲間として迎え入れることで、経営や事業面を支援してもらいたいと思っています。**(栗田氏)

今回の資金調達によって、就農プラットフォーム『LEAP』における栽培検証のさらなる体制拡充と、フランチャイズモデルを開始するためのシステムを含めたプラットフォームの機能改善、拡充を進める考えで、自社システム開発の創業メンバーをエンジニア・デザイナー共に採用していく予定だ。

なお、今回の発表に加えて、最高開発責任者(CDO)として、土壌学研究のPhDを持つNakhshiniev Bakhtiyor氏(ナクシニエフ バクティヨル氏)が就任した。これにより、LEAP独自の土、ならびに栽培溶液管理の手法を開発・検証する体制を強化することで、LEAP独自のレシピを構築し、新規就農者が再現可能な形で提供し、栽培品質の劇的な向上を目指していく姿勢である。