「立ち上げ屋、それが新しいカタチのベンチャーキャピタル(VC)」柴田氏が語る、ソラシードのはじまり

事業と起業家を結びつけ、効率的にシード期のITスタートアップ企業を支援する、ソラシード・スタートアップス。代表パートナーの柴田泰成氏は「ファンド主導による、ゼロからの共同創業で新しいカタチのベンチャーキャピタルを目指す」と語る。なぜ、柴田氏は、そのような思いに至ったのか。

事業と起業家を結びつけ、効率的にシード期のITスタートアップ企業を支援する、ソラシード・スタートアップス。代表パートナーの柴田泰成氏は「ファンド主導による、ゼロからの共同創業で新しいカタチのベンチャーキャピタルを目指す」と語る。なぜ、柴田氏は、そのような思いに至ったのか。

**20歳のときから30歳で起業するつもりだった。インキュベイトファンドに出会うまで、投資家になるつもりなどなかった。いまも投資家になったとは思っていない。あくまでも立ち上げ屋、それがぼくの起業**

起業家になりたい、20歳の頃から漠然と考えていたが、30歳までは修行する道を選んだ。大学時代は、起業家にあこがれ、先輩起業家に会いにいくほど熱い志をもっていた。しかし、当時2004年のスタートアップ環境は、いまのように学生ベンチャーが活発ではなく、「20代は修行、起業は30歳になってからするもの」という風潮が強かった。最終的に、そのことばを真に受け、楽天に新卒入社、その6年後にはリクルートに転職した。楽天とリクルートでは、広告やメディア関連で複数の新規事業をゼロから立ち上げ、着実に立ち上げ屋としての力をつけてきた。

2013年、30歳を迎える年で、起業家として独立しようと思った矢先に、インキュベイトファンドが主催する、インキュベイトキャンプ(Incubate Camp 5th)と出会う。当時、過去最高得点で圧勝ともいえる高評価での優勝を手に入れた。そこで、主催のインキュベイトキャンプから「投資家にならないか」と声をかけられる。

**起業家になりたくて、10年間頑張ってきて、満を持して会社にも辞表を出して、インキュベイトキャンプにのぞんだ。3回断ったが、それでも、投資家になって一緒にやろう、と言われた。いろいろ考えているうちに、投資ファンドをもちながら、いろんな会社を立ち上げてみたくなった**

そう柴田氏は振り返る。2013年7月、インキュベイトキャンプの優勝から2ヶ月後に、ファンド規模3億円超えのソラシード・スタートアップスを設立する。第1号投資先として、インキュベイトキャンプで優勝した時のアイデアを事業化したサムライトを、ファンド100%出資で設立し、自ら代表取締役として事業を推進。

**投資家として自分のファンドから出資して、起業家としてもゼロからスタートアップをはじめた。はじめる前まで、複数の事業を同時に立ち上げられると思っていたが、結局、2年間はサムライトの立ち上げに集中していた。このままだと、当初考えていたような複数の会社を並行して立ち上げられない、やり方を変えないといけない、そう思った。そこで、いわゆるスタートアップスタジオと近しい考え方で、自分の時間配分を変えて立ち上げるようになった。ビジネスアイデアをある程度考えて、それに合う起業家と一緒に二人三脚で共同創業する。あくまでも、自分は投資家であり、起業家が会社の主導権をにぎる。これまでに4社を共同創業してきて、今は、そのカタチがうまくハマっていると思う**

サムライトは、楽天時代に携わったアドネットワークと、リクルート時代に携わったメディアやコンテンツマーケティングのふたつが交わり「広告を情報に変える」ために設立され、2015年4月には朝日新聞に買収された。

**サムライトでゼロイチの立ち上げからバイアウトまで一気通貫して経験できたことは、大きな財産になっている。VC出資でスタートアップをはじめたからには、どこかでイグジットを考えないといけない。そうした時に、ちょうど縁があって、朝日新聞メディアラボの方々と、共同事業の立ち上げの話があった。共同事業を検討していく中で、メディアラボの方々のベンチャーに対する真摯な姿勢と新しいものに挑戦する姿勢に心を打たれて、一緒に事業をするならもっと距離を近づけて一緒にやっていきたい、と思った。こうした中で、買収という可能性が出てきて、お互いに一緒になった方が業界に対してもいい影響を与えられると感じた。互いに補完関係があって、本当に一緒になってよかったと思っている**

ソラシードのはじまりは、さまざまな出会いが重なり、自然の成り行きだった。起業家として生きたい、そのために10年の歳月をかけて立ち上げ屋としの才覚に磨きをかけてきた、柴田氏が、ひょんなことから投資家としての生き方と出会い、ファンドも事業も立ち上げる新しいカタチのベンチャーキャピタルを生み出したのだ。