「発想の転換がエネルギー問題を解く鍵となる」環境エネルギー投資 河村代表が語る、これからのエネルギー業界に求められるもの

Pedia Newsでは、株式会社環境エネルギー投資の代表取締役社長である河村修一郎氏にインタビューし、「エネルギー業界のこれまで」と「これからエネルギー業界に求められるもの」などを伺った。

いま、日本のエネルギー市場で大きな構造改革が行われようとしている。

Pedia Newsでは、株式会社環境エネルギー投資の代表取締役社長である河村修一郎氏にインタビューし、「エネルギー業界のこれまで」と「これからエネルギー業界に求められるもの」などを伺った。

日本のエネルギー消費は、二度の石油危機以降、法規制や最先端の設備の導入支援などを進め、高度なエネルギー効率を実現し、2004年をピークに減少傾向にある。一方、東日本大震災以降、原子力発電の停止により、電力の供給を海外からの化石燃料の輸入に頼っており、その依存度は過去最高水準であり、一次エネルギーの自給率は先進国の中でも極めて低い水準である。化石燃料の依存度が高まると共に、電気料金も大幅に上昇し、諸外国と比較しても高水準である上に、二酸化炭素の排出量が増加しており、地球温暖化にも影響を与えることが懸念されている。

こうした状況の中、日本は、中長期的なエネルギー需給構造を視野に入れ、安全性・安定供給・経済効率性および環境適合に関する政策目標を同時達成に向けて、様々なエネルギー資源の特性や導入実態を踏まえながらエネルギーミックスの推進を図るとしている。また、電力・ガス自由化に伴い、効率的なエネルギー供給を実現し、再生可能エネルギーの導入拡大を目指す。

昨春にはじまった電力自由化に続き、今年4月からは都ガスの自由化がはじまる。かつての電力会社と同様、これまではガス会社もそれぞれ管轄地域で独占的に販売できたが、自由化後は他の業者も自由に参加し、任意で価格を設定できるようになり、顧客が一人ひとりのライフスタイルや価値観に合わせ、自分の意思で供給者を自由に選べるようになる。それに伴い、エネルギー業界の競争はさらに激化しそうだ。

自由化が先行する欧米では、単純な値下げによる価格競争を行うベンチャー企業の他に、エネルギー業界をフロントやバックエンドで支えるベンチャー企業がめまぐるしい勢いで活躍する。

特に、エネルギー先進国であるイギリスでは、経済成長を続けながらもエネルギー消費量を減少させている。発電には、水力、火力、石炭、原子力、太陽光、風力など様々なエネルギー資源が使われており、それぞれの特性を生かして安価かつ安定的に電力を供給するエネルギー・ミックスで、石炭使用量は1800年代の産業革命以来最低レベルを記録するなど着実にエネルギー消費量を減らしている。

もちろん、民間企業のエネルギー業界への参入もイギリスでは活発に行われている。実際、スーパーマーケットや生活協同組合など、生活密着した事業者や、自然エネルギーから得られた電力を販売する事業者など、それぞれの会社が多種多様なメリットを持つプランを提供する。イギリス大手スーパーマーケットチェーン店「セインズベリー」では、家計を握る主婦の目線に立ち、電気・ガス料金の支払いに応じて買い物ポイントがもらえ、買い物で貯まったポイントで電気・ガス料金を支払うこともでき、さらにスーパーが行う銀行業務の自動引き落とし払いにすれば数パーセント割引される。

このような動向を踏まえ、いま、日本のエネルギー業界には、これまでにないマーケティングや販売チャネルの獲得など、いち早く顧客の多様なニーズに応え、新しい価値を提供していくことが求められる。そこで、日本にはこれまで存在していなかった、エネルギー業界とベンチャー企業のコラボレーションをプロデュースするのが「環境エネルギー投資(EEI)」である。

環境エネルギー投資は、環境・エネルギー分野に特化した、日本初のベンチャーキャピタル(VC)として2006年に設立。代表の河村氏をはじめ、起業経験をもち、エネルギー分野に精通するメンバーを中枢に据え、リスクマネーの提供にとどまらず、豊富な業界ノウハウに基づいた独自の経営プロデュース機能を提供する。これにより、エネルギー分野での国内外のベンチャー企業と大企業・異業種企業との提携・連携を促進することで、電力・ガス事業者とベンチャー企業のコラボレーションを創造する。

現在、「電力・ガス自由化」をテーマに、約100億円規模のファンドを運営し、エネルギー関連事業や周辺サービスを担うベンチャー企業、省エネルギー・省資源等のソリューションを有するベンチャー企業を中心に、20を超える投資実績を有する。

具体的には、新電力・エネルギーベンチャーとして、マンションの電力を高圧でまとめ買いすることで電気料金を削減して提供するマンション一括受電事業者「中央電力」、創エネルギー・省エネルギー・エネルギー流通等の総合エネルギー関連事業者「洸陽電機」、全国のスーパーマーケットや飲食チェーンに向けて、行動科学に基づく独自の店舗教育シスムを通じた省エネルギーサービスを提供する「アイ・グリッド・ソリューションズ」、電力・ガス事業者のパートナーとなるベンチャー企業として、「FREETEL」ブランドで、SIMフリー端末の開発・生産・販売とSIMカードの販売および通信サービスを一環して展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)「プラスワン・マーケティング」、国内最大級の電力比較サイトを運営する「エネチェンジ」、日本最大級のクラシファイドサイトを運営する「ジモティー」、リアル店舗の効果的な販促を実現するO2Oマーケティング会社「ipoca(イポカ)」、スマートホーム・スマートビル・スマートドライブなどを推進するベンチャーとして、デシカント剤や気化熱を活用した超省エネ型の新世代空調システムの設計・販売事業者「アースクリーン東北」、ナノテクノロジーで新しい技術を創造する産総研技術移転ベンチャー企業「NSマテリアルズ」などがある。

**エネルギー市場に参入する企業には、電力・ガス事業そのものを取り組むプレイヤも多いが、体力勝負な部分もあり、創意工夫やテクノロジーだけでは難しい面も多々ある。そこで、我々としては、電力・ガス事業者とベンチャー企業のコラボレーションをプロデュースすることで、新しい価値を提供している。電力・ガス事業者はB(Business、企業)を顧客に持つが、その企業はC(Customer、消費者)を顧客に持つ。そのため、電力・ガス事業者と提携・連携することは、結果的に消費者にアプローチできることに繋がる。そして、電力・ガス事業者が持つネットワークやノウハウ、ブランド力と、ベンチャー企業の技術やアイデアを融合することで、スピード感を持って取り組むことができる。**(河村氏)

また、昨年7月には、料理動画メディア「mogoo(もぐー)」を運営するスタートアウツにも出資した。一見、エネルギー分野と関わりのないように思えるが、これも電力・ガス事業者とベンチャー企業のコラボレーションにより、相互に新しい価値を提供するための投資であったという。

スタートアウツは、InstagramやFacebookを中心に10〜30代の女性から圧倒的な支持を得ている料理動画サービス「mogoo」を運営する会社。2015年9月にレシピ動画の配信をはじめ、月間延べ1000万人が閲覧する。昨年8月には東京ガス株式会社「食」情報センター スタジオプラスジーギンザと共同で料理教室を開催した。

**もともと、東京ガスは、家庭でのガス利活用を促進するために100年以上に渡り料理教室を開催してきた歴史がある。これまで、料理教室でファンを増やし、リピーターを獲得してきた一方、受講者層が固定化されており、若年層を中心とした新しい世代のファンを増やしたいと考えていた。スタートアウツは、代表の板本さんをはじめ、チームが優秀で事業も素晴らしい上に、スピード感を持って取り組んでいたので、両者を引き合わせたら化学反応が起きて何か新しい価値を提供できるのではないかと思った。実際、共同で料理教室を開催したところ、東京ガスだけではリーチできなかったような若年層の方々へたくさんリーチできるようになり、スタートアウツにとってもmogooの利用者と直接コミュニケーションをとることができて独自にファンを育てられるようになった。今後、様々なコラボレーションをプロデュースすることで、電力・ガス事業とベンチャー企業の裾の尾を拡げていきたい。**(河村氏)

私たちの暮らしや社会はエネルギーの消費によって成立する。日常生活に欠かすことのできない、電気やガスはもちろん、現代社会の基礎となる運輸、スマートフォンで家族、恋人や友人と連絡を取るときの通信も全てエネルギーを利用している。身の回りの生活を支える基盤であるエネルギーがあるからこそ、私たちの生活はより豊かに・便利に・快適なものへと育まれてきた。

**エネルギー問題を解決するためには、もちろん、省エネルギーや再生可能エネルギーなども重要であるが、発想を変えてこの問題を解くこともできると思っている。いま、ほとんどのオフィスでは1200ルクスという白くて明るい照明が均一的に利用されており、ビル全体で、数パーセントの節電を促すことに力を入れているが、ある大学の研究で色温度と明るさを制御した照明を利用したところ、数十パーセントの節電に成功したという結果が報告されている。実際、アイデア出しやクリエイティブなことをするには、白くて明るい照明よりも暖色で少し暗めの照明の方が相性が良い。つまり、一人ひとりが、自分たちのライフスタイルに合わせてそれぞれの目的に応じたエネルギーの利用方法を実践するだけで、エネルギー消費量を軽減し、社会問題であるエネルギー問題を解決できるようになる。エネルギー問題をそのまま解くだけでなく、発想を変えて、企業活動や個人の生活・活動における行動を通じて、結果的に、エネルギー消費量が下げて、エネルギー問題を解決できるような世界を実現していきたいと思う。**(河村氏)

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