「大きなビジョン」「実現可能性」「居場所」「リターン」…FiNC溝口氏が語る「最高の人材を集め続ける組織の創り方」 #SVMeetup

シード・アーリーステージのスタートアップへ投資を行うSkyland Venturesは、株式会社FiNCの代表取締役社長CEOである溝口勇児氏をゲストに迎え、スタートアップやスタートアップに関心のある学生向けに「スタートアップが最高の人材を集め続けるには」と題して「Skyland Ventures Meetup #SVMeetup」を開催した。本稿では、FiNCの溝口氏による講演「スタートアップが最高の人材を集め続けるには」についてお伝えしよう。

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シード・アーリーステージのスタートアップへ投資を行うSkyland Venturesは、4月29日、株式会社FiNCの代表取締役社長CEOである溝口勇児氏をゲストに迎え、スタートアップやスタートアップに関心のある学生向けに「スタートアップが最高の人材を集め続けるには」と題して「Skyland Ventures Meetup #SVMeetup」を開催した。

イベントは、FiNCの溝口氏による講演「スタートアップが最高の人材を集め続けるには」、質疑応答、ミートアップという構成であった。

本稿では、FiNCの溝口氏による講演「スタートアップが最高の人材を集め続けるには」についてお伝えしよう。なお、過去に開催した「Skyland Ventures Meetup」のイベントレポートは以下でご紹介している。

* Kaizen Platform創業者須藤憲司氏による「スタートアップの経営、資金の使い方、組織育成とは」
* Rubyの父まつもとゆきひろ氏による「Rubyエンジニア向け勉強会」

### 「スタートアップが最高の人材を集め続けるには 」

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冒頭「スタートアップが最高の人材を集め続けるには」と題して、株式会社FiNCの代表取締役社長CEOである溝口勇児氏が登壇。溝口氏は、高校在学中からトレーナーとして活動しており、今日までプロ野球選手やプロバスケットボール選手、芸能人等、延べ数百人を超えるトップアスリート及び著名人のカラダ作りに携わる。また、トレーナーとしてのみならず、業界最年少コンサルタントとして、数多の新規事業の立ち上げに携わりまた数々の業績不振企業の再建を担う。これまでに再建を託された企業に関してはその全てを過去最高業績へと導く。その後、2012年4月、株式会社FiNCを創業。

株式会社FiNCは「継続を科学する」モバイルヘルスに特化したテクノロジーベンチャー。現在、創業から4年で従業員数は100名以上。メンバーは、常勤で医師や薬剤師、栄養士やトレーナー等の予防領域の専門家や、データサイエンティスト、エンジニア、遺伝子やライフサイエンス領域の研究者らで構成されたプロフェッショナル集団。

### 日本から世界的な会社へ

溝口氏は「FiNCの現状」について、

高校生の頃「トレーナー」という仕事と出会い、天職だと思ってこれまでやってきた。トレーナーとして仕事する中、自分一人でサポートできる人数には限界があると感じた。身体の異変には必ず予兆があり、予兆には日々の習慣である「栄養」「運動」「睡眠」が大きく影響する。あらゆる情報が錯綜する中、何をすれば良いか分からない人や続けられない人が多いと思う。FiNCはこうした課題をデータ&ソリューションで解決することを目指した「予防」領域でスマートフォンに特化したヘルスケアベンチャーだ。FiNCは2012年4月の創業から丸4年を迎えた。最初の3年間はデータ収集・分析からソリューションを提供するまでのプロセスで属人的な部分も多かったが、4年経った現在は「人工知能(AI)」化を進めている。日本は社会インフラが整っている国の中で唯一人口減の国で、そうした日本の外的環境を見ても「AI」は非常に発展すると思っている。また日本は高齢化も含め、世界で最も課題が先に来ている国でもある。そうした意味でもヘルスケア×テクノロジー、ヘルスケア×人工知能はとても面白いと思っている。そこでFiNCでは、人の生体データやライフログデータを貯めてパーソナライズ化されたソリューションを提供することで、世界で最も課題が進むこの国で解決策を示したいと考えている。このヘルスケアにおいては日本が世界のリーダーにならなければいけないといった使命感を抱いている。同時に日本が変われば世界は変わると確信している。

と述べ、創業4年経った今、新たなステージに進み「日本から世界的な会社」の創造を目指していると語った。

### 最高の人材の集め方
また、溝口氏は「最高の人材を集める方法」について、

FiNCのメンバーには、元みずほ銀行常務の乗松、元ゴールドマン・サックス証券幹部の小泉、元ローソンチケット社長の野林、元テラモーターズ創業メンバーの岡野、元MEDICA創業者の南野、元ガリバー創業メンバーの吉田など多業種から様々な会社の出身者が参加している他、従業員の出身国は約10カ国でダイバーシティに富んでいる。またFiNCは、約40人のエンジェル投資家と8社の一部上場企業から総額20億円以上の資金調達を実施している。個人的には、スタートアップが最優先するべきことは「ビジョン」だと考えている。「ビジョンを実現させるために目標から逆算するとやるべきことが見えてくる」採用一つにしても「ビジョンを実現させる」ことを前提として行うことが重要だと思う。「良い人材の集め方」は、①「大きなビジョン」、②「実現可能性」、③「居場所」、④「リターン」の4つがポイントだと思う。FiNCの採用では「相手に合わせてこの4つのポイントをどのように設計するか」を考えている。

と明かした。

### 「ビジョンを実現する」
その上で、溝口氏は「最高の人材を集める理由」について、

「最高の人材を集める理由」は「ビジョンを実現する」ため。会社には税務・会計・法務・ファイナンス・営業・人事・マーケティングなど様々な仕事がある。起業したばかりの頃は全て自分で対応できると自信を持っていたが、一歩踏み出してそれぞれの分野の仕事を携わってみると、奥深さが分かって自分一人で各分野のトップになることはできないと痛感した。また、毎年年末に1年を振り返るが、起業当初は「過去最高に成長した」と感じていたが、冷静に目標から逆算すると「これから30年間、毎年このスピードで過去最高の成長を続けてもビジョンには到底達することができない」と気づいた。本気で「ビジョンを実現する」ことを考えているからこそ、仲間が必要だと分かった。

と述べ、起業当初の苦労を振り返りながら、その苦労を通じて学んだことを語った。

### 強い組織の創り方

溝口氏は自身が考える「強い組織を創る方法」について、

「強い組織」とは「戦略」と「実行力」を兼ね備えた組織だと考えている。ソフトバンクやユニクロのように、経営陣や経営者が考えた正しい戦略を非常に速いスピードで実行できる体制を持つ組織は強い。彼らの共通点は、常に実現可能性があるギリギリを意識していることだと思う。FiNCでは、経営幹部や経営者が「無茶を言える組織」を創ることが重要だと考えている。また私は年間10%がクビになるプロ野球の世界や、自身の未熟な道徳によって組織を滅ぼしてしまった過去の体験から多くを学んだ。プロの世界と同じで、経営者は時に非情にならなければいけない。本当はやりたくないことであっても、「ビジョンを実現する」ために、心を鬼にして意思決定をせざるをを得ない状況がある。

と述べ、「ビジョンを実現する」ために「戦略」と「実行力」を兼ねた組織創りの大切さを説明した。

### 良い会社とは「手のような会社」
溝口氏は「強固なカルチャーとダイバーシティの両立」について、

「強固なカルチャーとダイバーシティを両立する会社」とは「手のような会社」だと思う。手のひらの部分は同じ、つまりビジョンやカルチャーは組織で共通しているが、指のようにそれぞれの個性を持つ会社が「良い会社」だと思う。そのためには、「経営チームの結束力と器」と「仕組みとルール」が重要だと考えている。経営チームの結束が深く、仕組みとルールを作るって組織における権限・責任・役割を明確にすることで、ダイバーシティにチャレンジできる。万が一、ダイバーシティにチャレンジして失敗した場合には、その失敗から学ぶことができる。

と述べ、失敗を恐れずにチャレンジすることの尊さを語った。

### 「上に上がらないと景色は広がらない」
溝口氏は「組織が抱える問題」について

経営陣と従業員の間で「判断基準の相違に伴う誤解が多い」と思う。その原因として、「上司などを反面教師として学ぶことができずに自分も同じ間違いを犯している」場合と「見えていない世界が見えている」場合があり、後者の場合が約90%だと考えている。従業員の多くは経営者が如何に広く多角的な視点から意思決定をしているかを理解できていない。かつての私もそうだった。人生を1階~100階までで例えると、階に上がらないと景色は広がらない。一方で上に上がれば上がるほど、理解者は減り、孤独は増していく側面は確実にある。大きなビジョンを掲げるなら、孤独に向き合う覚悟も必要。

と述べ、それぞれの階層に応じて見える世界が異なって生じる場合が多いと説明した。

### 「最高の仲間を迎え入れるためにはまずあなたが最高の上司になりなさい」

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最後に溝口氏は会場に向けて、

皆さんにユニクロの柳井さんに言われた「最高の仲間を迎え入れるためにはまずあなたが最高の上司になりなさい」という言葉を贈りたい。これまでFiNCが最高の人材を採用できた理由は、ビジョンが大きく、まだ誰も解決していない課題にチャレンジしているからだと考えている。これからFiNCがさらに多くの「最高の仲間を迎え入れる」ためには、私自身が自分を磨いて最高の経営者にならないといけないと思っている。「自分が最高になる」ためには、逆境に立ち向かってとにかく苦しむことが重要だと思う。会社を潰してしまうような負ってはいけないリスクはヘッジしながらも、そうではない負えるリスク程度のものに関しては、万が一を想定し最小限にミニマイズすることを意識しながらも果敢にリスクテイクしていくことが大事。とにかく苦しみながら、その経験を通して自分を磨いていく。皆さんも、これから様々な壁にぶつかると思うが、苦しい時を迎えた時に「これでまた成長できる」とポジティブに向き合うことが大切。最初はそのような感情を抱くのは難しいかもしれないが、何度も乗り越えれば自然とそうした境地に立てる。結果として「最高の上司になる」ことができると思う。

と語り、自身がユニクロの柳井氏から送られた言葉を引用して会場に向けてエールを送った。