「フィンテックはペイメントテック」マネーフォワード瀧氏が語る「フィンテックのこれまでと、これから」

Pedia Newsでは、マネーフォワード 取締役 兼 Fintech研究所長 瀧俊雄氏にインタビューを実施し、フィンテックにおける2016年の振り返りと2017年の展望を伺った。

金融(Finance)とテクノロジー(Technology)の融合分野「フィンテック」。フィンテック投資を分野別にみると、決済業務が最も高い比率を占め、次に融資業務が続いており、これまで銀行が独占としていた領域での投資が大半を占める。加速するフィンテックブームの背景には、デジタル技術の発展、顧客のデジタル・ネイティブ化、既存金融機関の危機意識、規制緩和の後押しがある。

Pedia Newsでは、マネーフォワード 取締役 兼 Fintech研究所長 瀧俊雄氏にインタビューを実施し、フィンテックにおける2016年の振り返りと2017年の展望を伺った。

2015年より頻繁にニュースの見出しとなり、象徴的なトレンドであった「フィンテック」。2016年には個別議論が活性化し、今年2017年はついに啓蒙期から次の段階である実証期へと移行し、フィンテックが本質的な意味を持ち始めようとしている。

2016年の動きとして、最注目すべき点は「日本再興戦略2016」にてフィンテックに関して言及があったことだろう。これまで経済産業省や金融庁といった関連省庁等で議論されていたものが、アベノミクスが掲げる戦後最大の名目GDP600兆円を実現する第4次産業革命の一つとしてフィンテックを取り上げた。その中で、IT技術の発展等の環境変化に対応するための環境整備やキャッシュレス化によるビッグデータ利活用促進などを推進し、フィンテックのさらなる展開を見据え、イノベーションの促進を、国を挙げて取り組むと明言されたのである。

[出典: 2016年6月内閣官房日本経済再生総合事務局「日本再興戦略2016 これまでの成果と今後の取組」より]

また、個別議論では、金融庁による制度ワーキング・グループにおける中間的業者規制、FISCによるフィンテックベンチャーに関する有識者会議、全国銀行協会によるオープンAPI検討会といった動きがあり「銀行API」の利活用が鍵となったといえよう。

**APIが使える社会は、フィンテックの実用において第一歩であり重要である。例えば、金融機関とベンチャーが協業する場合に、どのようなことができるのかを具体的に議論できるようになる。金融といえば、お金を貯める・借りる・送る・支払うの4アクションを担うが、その中でもお金を送る・支払うといったものが自由化されようとしている。おそらく、今年2017年後半からはベンチャーがこの分野で新しいことに挑戦できるようになると考えている。**(瀧氏)

さらに、プレイヤーである企業の動向を見ると、資産運用関連ベンチャーの多くがサービス提供を開始した一方、2016年の年間を通じて決済関連ベンチャーがめざましい勢いで成長しており、2017年もその勢いはとどまることを知らない。

**広義で言えばメルカリの活躍もフィンテックに含まれると思うが、AnyPayの正式ローンチ、Apple Pay/Android Payの開始など決済関連の動きがめざましかった。個人的には、日本の決済環境を見ていると、今年から向こう数年間、決済分野ではフェリカやLINE PAYなどの既に築かれたチャネルがどのように進展するのかを注視している。最近では、フィンテックの中でも決済分野が活性化しているため、フィンテックはペイメントテックと言い切るような側面も出てくるのではないか。また、ブロックチェーンに関していえば、海外では異常な盛り上がりを見せているが、日本において、2016年は、2015年に加熱していたものを現実的な観点に引き戻して、冷静な実証が進んだ年であったと思う。**(瀧氏)

瀧氏がそう語るように、2016年における国内のフィンテック動向を振り返ると、リスクベースの制度に向けた動きの本格化、中間事業者の位置付けを契機に銀行APIが議論の中心化、情報発信の英語化などが推進され、2015年に総論として合意されていたものが2016年には個別議論として活性化され、国内だけにとどまらず、国外にも積極的な情報発信を行うようになり、従来とは異なる大きな変化が訪れた年となった。

こうした背景を踏まえ、今年2017年の日本のフィンテックにおける展望について、瀧氏は「金融機関のAPI活用のあり方が明確になり、オープンイノベーションの制度的な基盤が完成」、「銀行API・カード決済代行に加えての新テーマの誕生」、さらに「技術からソリューションへ焦点の移転」により、貯金ツール、生産性改善、決済サービス・インフラの改善、不動産・保険等の領域との融合に注目していきたいと語ってくれた。

ただ、これらを実現するためには、「問題解決の度合とスケール」が重要となるだろう。少子高齢化社会における金融サービスの付加価値とは何か。スマートフォンの普及や技術革新と共に、変わりゆく消費者のリテラシーに対応する金融サービスとは何か。さらに新しい技術によってもたらせるだろう価値が消費者の期待する以上のものとなるか。今、フィンテックには、本当の意味で金融とテクノロジーを融合し、研究開発レベルから実証レベルへと移行させることで、私たちの生活に寄り添う未来の金融サービスを提供することが求められている。まさにフィンテックにとって、2017年は大きな一年となるだろう。