「ドローン」からはじめる「IPプラットフォーム構想」日本初、ドローン特化の特許共同出願専門会社『Drone IP Lab』が挑む

日本で初めてのドローン・スタートアップに特化したVC「ドローンファンド」は、ドローン事業に特化した特許共同出願専門会社「Drone IP Lab(通称、DIPL)」を、ファンド主導で設立し投資した。

スタートアップがもたらす新しいアイデアは特許制度と相性が良く、本来はその恩恵を受けることができるものであるが、これまで日本ではスタートアップによるイノベーションを支えてきたとは言い難い。その一方で、アメリカでは、インテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)らが、自身の保有する特許を盾にして、大企業から多額のライセンス料や賠償金を受け取る、「パテント・トロール」と呼ばれる存在が問題となっている。

元来、特許制度とは、新しい技術的な思想を社会に公開する代償として、一定期間、それに対する法的保護を与える制度である。プロダクト、サービスだけでなく、スタートアップを支える起業家のアイデアは、特許制度による保護の適用に向いており、法的な保護を加えることで、他社による模倣を防ぎ、社会全体としてのイノベーションが促進されるものだ。しかし、スタートアップの限られたリソースの中で、特許調査から特許出願までの一連の流れを対応するには難しさもある。

こうした中、日本で初めてのドローン・スタートアップに特化したVC「ドローンファンド」は、ドローン事業に特化した特許共同出願専門会社「Drone IP Lab(通称、DIPL)」を、ファンド主導で設立し投資した。

* 参考記事:日本初、ドローン・スタートアップに特化したVC「ドローンファンド」を個人投資家・千葉功太郎氏が設立…すでに11社へ投資、リバネスと業務提携、特許共同出願専門会社「Drone IP Lab」をファンド主導設立

[田路圭輔さん(取締役副社長)、中畑稔(代表取締役社長)、六田友佳里(執行役員)、千葉功太郎(ドローンファンド代表)]

DIPLの代表には、コロプラの知財部門創設、FiNCの知財部門創設に関わってきた中畑稔氏が就任。ドローン投資先が自社で出願しきれない発案を共同で特許検討し、Drone IP Lab社の費用にて共同出願し、ドローンに関係する様々な関連特許(知財)を保有して、投資先グループ全体で利活用していく、新しい仕組みだ。

パテント・トロールとの大きな違いは、ファンド投資先をはじめとする日本のドローン・スタートアップ内で技術や知財を活用することによって新しいイノベーションを生み出すきっかけを作るとともに、外部からの侵害訴訟等に対してはDIPLが盾となってこれらドローン・スタートアップを守るという点にあります。僕らは、国産ドローン技術が事業として安全に離陸できるように知財の面から支援していきます。(DIPL代表 中畑稔氏)

DIPLは、「国産ドローンの世界における競争優位性を獲得すること」をビジョンに掲げ、2020年までに1000件のDrone特許技術を使用可能にし、ライセンス活動を通じた収益を還元するとともに、海外勢に対する参入障壁を構築することを目指す。これにより、国産ドローン技術が事業として安全に離陸できるように知財の面から支援する。

そもそも、ドローンに関する特許の出願状況はどうか。2015年のドローンに関する特許は全世界約6000件、うち全体の80%が中国、15%がアメリカ、5%以下が日本となっている。

さらに、年次成長率10%ずつ増加し、2020年には1万件を越えると予想されている。このうち、DIPLでは、全体の10%にあたる1000件の特許保有を目指す。そのために、ドローンファンド投資先企業の特許だけでなく、大企業・大学・研究機関や海外企業などの外部特許・外部技術を持ち込み、ドローン特許を束ねていく計画だ。

これまでコロプラやFiNCで、インハウスの弁理士として活動し、ベンチャー企業の内側から変えられることに携わってきました。今回の取り組みも、その延長線の一つにあります。

千葉さんとは今年2月、福岡で開催されたICCにて朝食をご一緒させてもらったときに、二人でDrone IP Labの構想を考えました。知財の件数でいえば、日本は中国に大差をつけられてしまっています。ただ、あるドローン・スタートアップの社長とも話していたのですが、日本は「改良」を得意としている国です。つまり、稲作は中国から伝わったものですが、今では日本は世界一おいしいお米を大量生産できる国になっていますし、自動車も日本が初めて作ったものではないけれど今では世界のトヨタがあります。なので、ドローンについても日本は「改良」や「応用」という観点では世界一をとれると確信しています。

僕は、特許事務所で修業を積んだ後、ずっとベンチャー業界にいました。直近のFiNCでは社長の溝口さんと共に知財戦略を一から作りました。ベンチャー企業の中にどっぷり浸かっていたからこそ、起業家と同じ方向を向くことができるし、より事業に集中できるような環境を提供できると確信しています。

2002年の知的財産戦略大綱において、“知的所有権” という言葉が “知的財産権” という言葉に変わったことからも、財産として転々流通させる意図がみてとれますが、情報をオープン化し、知財を流通させることで、誰もがアクセスできるような “IPプラットフォーム” を構築して、新しいインフラを作っていきたいと思います。(DIPL代表 中畑稔氏)