「サードウェーブはVR/ARでインターネットができるようになる時代」…gumi國光氏が語る「次に取り組むテーマ」 #SVMeetup

シード・アーリーステージのスタートアップへ投資を行うSkyland Venturesは、株式会社gumi<東証1部: 3903>の代表取締役社長である國光宏尚氏をゲストに迎え、スタートアップや新規事業担当者向けに「次に取り組むテーマは何か!」と題して「Skyland Ventures Meetup #SVMeetup」を開催した。本稿では、gumiの國光氏による講演「次に取り組むテーマは何か!」についてお伝えしよう。

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シード・アーリーステージのスタートアップへ投資を行うSkyland Venturesは、5月4日、株式会社gumi<東証1部: 3903>の代表取締役社長である國光宏尚氏をゲストに迎え、スタートアップや新規事業担当者向けに「次に取り組むテーマは何か!」と題して「Skyland Ventures Meetup #SVMeetup」を開催した。

イベントは、gumiの國光氏による講演「次に取り組むテーマは何か!」、質疑応答、ミートアップという構成であった。

本稿では、gumiの國光氏による講演「次に取り組むテーマは何か!」についてお伝えしよう。なお、過去に開催した「Skyland Ventures Meetup」のイベントレポートは以下でご紹介している。

* Kaizen Platform創業者須藤憲司氏による「スタートアップの経営、資金の使い方、組織育成とは」
* Rubyの父まつもとゆきひろ氏による「Rubyエンジニア向け勉強会」
* FiNC代表取締役社長CEO溝口氏による「最高の人材を集め続ける組織の創り方」

### gumiの誕生秘話

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冒頭、國光氏は「gumiの誕生秘話」について、これまでの人生を振り返ると、①高校卒業前、②高校卒業後、③アットムービー創業、④gumi創業の4段階があったと語った。

①の高校卒業前について、國光氏は、

団塊ジュニア世代で、良い大学に進学して良い会社に就職して出世することが良い人生という風潮が強かったが、現実は大学卒業後にバブル崩壊して就職難第一世代となった非常に不遇な世代に生まれた。進学校へ進学したものの、大学に進学して良い会社に就職するというレールに乗って他の人と同じような人生を送ることに疑問を感じていた。大学に進学することは抜けられない歯車の一部になることだと思っていた。そのため、大学に進学しないことを決めた。

と述べた。

②の高校卒業後について、國光氏は、

高校卒業後は、現在のようにスタートアップで起業するという選択肢がなくて「いつかビッグになる」と思いながら、2年間、関西を拠点にフリーター生活を送っていた。そして、ある時、人生の転機が訪れる。それが1995年の「阪神淡路大震災」だった。震災を通じて、誰もがいつか訪れる死を避けられないと強く感じた。「もしかしたら自分が今日死んでいたかもしれない。」「今日死んでいたとしたら、自分は何を残せたのだろう。」そう考えると、「いつか自分はビッグになる」と思いながらも、まだ何一つできていないと強く感じた。そこで、環境を変えようと考えて海外に行こうと思った。それが20歳の時だった。その後、約10年間海外で過ごした。

と述べた。

③のアットムービー創業について、國光氏は、

29歳の時、テレビと映像のプロデュースを行う「株式会社アットムービー」を友人と創業した。アットムービーでは、モバイル映像コンテンツを中心に制作した。現在では当たり前だが、当時は目新しいものであったライブストリーミングなど、映像技術を使った新しいエンターテイメントにチャレンジした。しかし、映像ビジネスでは事業規模を大きくしようとすると、著作権や肖像権など複雑な問題にぶつかり、自分たちが想定していたスピードで事業が展開できなかった。その間、米国ではYouTubeなど様々な映像ビジネスが登場した。「このスピードでこのまま映像ビジネスを展開しても未来はない」そう考え、インターネットの分野で新しいことに挑戦したいと思うようになった。

と述べた。

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④のgumi創業について、國光氏は、

当初、映像の仕事をしていたこともあり、IT業界に知り合いがいなかったが、ブログをキッカケにIT業界のスタートアップ経営者と繋がって友達が増えた。元ウノウ創業者で現在メルカリの代表を務める山田進太郎氏ともブログをキッカケに出会った。当時のウノウは「映画生活」「フォト蔵」などを運営し、優秀なエンジニアが多い集団だった。個人的にウノウの偉業は「日本で初めてエンジニアブログを始めた」ことだと思う。ウノウは、エンジニアがブログで情報発信する文化を築き上げて多くの優秀なエンジニアを集めていた。ウノウメンバーと互いに話し合う中で「エンターテイメント業界に精通していた自分たちとIT業界に精通して技術に強いウノウがコラボレーションすればインターネットで新しいビジネスができる」と意気投合した。そして、2007年、gumiを創業した。

と述べ、「gumiの創業当初のビジネス」について、

2007年は、世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバルSXSWで「Twitter」が初登場した年だった。初めてTwitterを見た時「これはすごい」と感動した。当時、Web1.0の「ウェブサイト中心のインターネット」からWeb2.0で「ヒト中心のインターネット」に変わる大きな流れがあった。その最中、颯爽と登場したビジネスこそが「Twitter」だった。ただ当時のTwitterはPCベースのサービスだった。そこで、モバイルファーストの「Twitter」ライクなリアルタイムSNSビジネスに勝算があると考えた。そして、リアルタイムSNS「gumi」が誕生した。gumiの名前は、クラスを意味する「組」をもとに、当時アーリーアダプターであった女子中高生に親しみを感じてもらえるように可愛らしさを表現して名付けた。また、gumiのドメイン名「gu3」は、当時ガラケーで数字を入れた短いドメイン名が流行っていたことに由来する。

と語った。

### 國光流・新しいビジネスの作り方

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次に、國光氏は「ビジネスの作り方」について、

スタートアップの中には、ビジネスの作り方を間違って失敗するケースが多いと思う。これは二つの要因が考えられる。一つ目は「身近なニーズから発想する」ケースで、二つ目は「流行っているサービスをコピーする」ケース。前者はあくまでも身近な問題を解決しているだけに過ぎずマーケットサイズが小さくなりがち、後者はあくまでも後追いしているだけに過ぎずマーケットでの優位性がない。個人的には、大きなビジネスを作るために有用な手法は三つあると考えている。一つ目が「研究家」タイプ。これは、大学で高度な研究を進めていく過程でマーケットニーズが出てビジネスに転換する方法。二つ目が「既存マーケットのディスラプト」タイプ。例えば、スマニューやGunosyはYahoo!ニュース、メルカリはYahoo!オークションをモバイルに最適化した形でディスラプトし、Uberはタクシー業界、Airbnbは宿泊業界をディスラプトしている。様々な業界がある中で、自分が最も興味あるマーケットでディスラプトできるところをビジネス化すると良いと思う。個人的には「どのように既存マーケットをディスラプトするか」が最も作りやすいビジネスの方法だと考えている。三つ目は「大きな流れをつかむ」タイプ。既存マーケットがディスラプトする中で、必ず「大きな流れ」がある。TwitterはWeb1.0のウェブサイト中心のインターネットからWeb2.0のヒト中心のインターネットの「大きな流れ」をつかんで「大きなストーリー」を持ち合わせていたからこそ世界中が興奮した。「大きな流れ」において、一つの軸だけではなく多軸で「大きなストーリー」を予想することが重要となる。さらに、ビジネスを作る上では「タイミング」が非常に重要だ。検討中のビジネスが流行ってから着手しては手遅れになるので、2年先を見てビジネスを検討すると良いと思う。

と述べ、大きな流れをつかんだ上で既存マーケットをディスラプトするような大きなストーリーを ユーザーに想起させることの重要性を語った。

### モバイルの次はVR/AR

続けて、國光氏は「スタートアップが次に取り組むテーマ」について

Web2.0の次に来る一つの大きな流れが「IoT」だと考えている。Web2.0ではヒト中心のインターネットを通じて、ユーザーがウェブサイトから情報を入力することで様々なデータを集めて新しいビジネスを創造してきた。しかし、Web2.0では能動的なユーザーアクションが必要で、集められるデータ量に限界が見えてきた。そこで、ヒトだけではなく全てのモノにインターネットが繋がることが必要になってきた。「モノ中心のインターネット」を使えば、これまで以上により多くのデータを収集でき、そのデータを整理してそれぞれのユーザーに合わせてターゲティングれば、新しいビジネスを創造できる。これこそが、「IoT」のストーリーだ。そして、「IoT」の次に来る大き流れが「VR/AR」だと考えている。もし今から新しいスタートアップをするなら、間違いなく「VR/AR」でビジネスを検討すると思う。

と述べ、ソーシャルウェブの次にIoT、そしてさらにその次にVR/ARの時代が来ると説明した。

### 「サードウェーブ」= 「VR/ARでインターネットができるようになる時代」

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最後に、國光氏は「VR/AR」について

「VR/AR」は「サードウェーブ(第三の波)」だと考えている。ファーストウェーブ(第一の波)は「PCでインターネットができるようになった時代」、セカンドウェーブ(第二の波)が「モバイルでインターネットができるようになった時代」で、これから来る新しい「サードウェーブ(第三の波)」が「VR/ARでインターネットができるようになる時代」だと思う。個人的に、VRとARは最終的に目指すゴールは同じモノだと考えている。そのため、「VR/AR」は同じ文脈で捉えた方が良いと思う。「VR/AR」が実現する世界では、視覚とインターネットが直接つながる。これにより、リアルなデータがシームレスに集まってユーザー間で互いにデータを共有できる。つまり、「VR/AR」は、技術的には「視覚の再定義」を行う「視覚中心のインターネット」だと考えている。そして、「VR/AR」による「視覚中心のインターネット」は、「モバイルインターネット」よりも直感的な世界を実現すると思う。ただ「VR」の前提条件には、ユーザーの全視覚をヘッドセットで覆いかぶせることが必要。マス層が長時間ヘッドセットを装着してVR空間に滞在することは難しいと思うので、ゲーム・映像・エンターテイメントや車・不動産など3Dモデルを必要とするB2BについてがVRビジネスの大きな事業機会だと思う。個人的には「AR」が本命だと考えている。「サードウェーブ(第三の波)」である「VR/AR」の素晴らしい点は、これまでのファーストウェーブ(第一の波)、セカンドウェーブ(第二の波)と異なり、みんなが同じ世界をイメージできる点だ。もちろん、現在の技術では一部「AR」で実現できないものもあるが、「VR」空間なら実現できる。「VR」「AR」そしてその次の「MR」が目指している世界は「視覚中心のインターネット」で一直線で繋がっているので、「VR」で培ったノウハウを次の「AR」「MR」へと繋げていくと良いと思う。

と語った。なお、gumiでは、2015年よりVRに特化したインキュベーションプログラム「Tokyo VR Startups」、2016年より連結子会社gumi Americaを通じて米国のVR/ARスタートアップに投資するベンチャーキャピタルファンドVR FUNDに出資して共同事業者として参画しており、VR/AR分野に積極的に投資を行っている。

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[写真協力:カメラマン 延原優樹氏]